トイレのリフォームの種類や費用の目安は?工事期間や注意点も

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水回りの1つで毎日使用するトイレのリフォームで、どのようなリフォーム方法があるか種類や費用の目安を知りたい方も多いのではないでしょうか。トイレは既存の排水方式や施したいリフォーム内容によって、費用や工事期間が左右しやすいリフォームです。

そこで当コラムでは、トイレリフォームの種類や費用の目安を紹介していきます。事前に押さえておきたい注意点も解説していくので、これからトイレリフォームを検討している方は、ぜひ参考としてご活用下さい。

目次

  1. リフォーム前に押さえておきたいトイレの排水方式
    1-1.汲み取り式
    1-2.浄化槽
    1-3.下水道
  2. トイレリフォームの具体例や種類・費用目安
    2-1.温水洗浄便座・ウォッシュレットの導入(約8万円〜)
    2-2.和式トイレから洋式トイレへの変更(30万円〜)
    2-3.汲み取り式から水洗トイレへのリフォーム(約80万円〜)
    2-4.タンクレストイレへの変更(約20万円〜)
    2-5.トイレ内装リフォーム(15〜30万円)
    2-6.バリアフリー化(1〜100万円)
    2-7.トイレの増設(約40万円)
  3. トイレリフォームの注意点
    3-1.使用する床材は水に強い素材を選ぶ
    3-2.マンションのトイレリフォームは管理規約を確認する
    3-3.リフォーム中はトイレが使えない
    3-4.物理的にトイレリフォームができないケースがある
  4. まとめ

1.リフォーム前に押さえておきたいトイレの排水方式

1-1.下水道

各自治体が管理する下水道に接続し、排水する処理方法が下水道です。下水処理場で適切な水質に処理して放水するため、環境にやさしい排水方法となります。

浄化槽と異なり、下水道は毎月の点検が不要です。下水道の使用利用料は、水道使用料を元に計算され利用者へ請求されます。そのため、賃貸物件として貸し出している物件であれば、下水道の利用料は利用者である入居者が負担します。賃貸物件の場合、メンテナンス・維持費用が借主・貸主どちらの負担になるか悩ましい他の下水処理方式と異なり、利用者の負担が明確なのも下水道の強みです。

ただし、維持管理費用がかからないメリットがある反面、市町村が管理している下水までへの接続工事を負担する必要があります。接続工事の目安は30〜80万円ほどで、公共汚水桝から距離が離れているほど工事費用が高額になります。また下水道が配管されているエリアでしか利用できないため、下水道を利用できない場所もあります。

1-2.浄化槽

浄化槽は、微生物の力で汚れを分解する小型の汚水処理設備です。浄化槽は基本的に、敷地内の地面に埋めて利用します。

浄化槽には大きく分けて、単独浄化槽と合併浄化槽の2種類があります。単独浄化槽はトイレの排水処理のみで、台所・風呂場の汚水はそのまま近くの排水溝などへ排水します。単独浄化槽は環境への負担が大きいため、平成12年の浄化槽法改定により単独浄化槽の設置は原則禁止されています。(※参照:環境省「単独処理浄化槽から合併処理浄化槽へ」)

また、単独浄化槽から合併浄化槽への変更は、市町村が設けている補助金が利用できる可能性があります。築年数が古い物件では単独浄化槽の排水形式が採用されているケースもあるため、トイレリフォームの際には補助金を活用した変更工事も検討材料となるでしょう。

浄化槽は下水道が配管されていない地域や、過去に配管されていなかった地域で用いられるケースが多い排水形式です。注意点として浄化槽は、以下の内容の定期点検が法的に義務付けられています。

  • 定期清掃
  • 法定点検
  • 保守点検

さらに、浄化槽内部の微生物が死滅しないよう、空気を送り込むブロアーを24時間使用する必要があります。結果として浄化槽は点検費用やブロアーの電気代などの維持費がかかるという点がデメリットとなります。また地震災害や地盤沈下で、浄化槽が破損するリスクも抱えています。破損した浄化槽の交換工事は補助金が活用できないため、全額自己負担になる恐れがあるリスクも押さえておきましょう。

1-3.汲み取り式

汲み取り式は築年数の古い住宅では現代でも使われていることが多く、ボットン便所とも呼ばれています。汲み取り式は便槽と呼ばれる専用のタンクに汚水を溜めて利用する排水方式で、定期的にバキュームカーでの汲み取りが必要です。

災害による断水や停電時でも使用できるメリットがある反面、害虫の発生・悪臭が漂いやすい弱点を抱えています。デメリットが多いので、特別な事情がない限り汲み取り式へ新たに変更するトイレリフォームは基本的に行いません。

また、汲み取り式の排水に洋式トイレを設置した、簡易水洗と呼ばれる形式もあります。簡易水洗は汲み取り式トイレ特有の臭いをおさえられるかわりに、汲み取り頻度が増える弱点があります。

2.トイレリフォームの具体例や種類・費用目安

2-1.温水洗浄便座・ウォッシュレットの導入(約8万円〜)

簡易的なトイレリフォーム工事の一例は、ウォシュレットの導入です。目安として本体価格が1〜10万円、工事費用が2万円前後となります。

作業期間は1日以内に終わるケースがほとんどですが、ウォシュレットの設置には電源の確保が必要です。既存のトイレに電源がない場合には、電気の配線工事を施す必要があります。

コンセントの増設費用は、目安として15,000円程度です。また一体型トイレやタンクレストイレは元々ウォシュレットが備わっている製品もあるので、電源の確保が必要になるため注意しましょう。

また高機能なトイレへ変更を検討している場合には、ウォシュレットの導入ではなく、便器本体の交換を検討してみると良いでしょう。

2-2.和式トイレから洋式トイレへの変更(30万円〜)

足腰の負担大きさの軽減やウォシュレットの取り付けができる、洋式トイレへの変更工事は目安として30万円〜です。工事期間の目安は1〜5日間で、既存トイレの排水処理の仕組みにより期間が変わります。

例えば、汲み取り式と下水道を比較した場合、下水道のトイレは工事期間が短くなります。和式トイレは使用する水の量も倍近いので、洋式トイレへ変更すると節水効果が得られるのもメリットです。

トイレ本体のグレードが高いほど、比例してトイレリフォーム総額費用も高額になります。例えばタンクを兼ね備えた従来型の組み合わせ式トイレと、機能性の高いタンクレストイレを比較した場合、タンクレストイレが割高になる傾向があります。なお、高グレードのタンクレストイレに変更する場合、電気工事や手洗い器工事も追加されます。

また、既存の和式トイレを解体する工事を伴うため、解体・処分費用も伴います。解体費用の目安は5万円前後です。特に段差がある和式トイレの場合、段差のないトイレと比較すると工事費用が高くなります。

リフォーム費用をおさえたい場合には、和式トイレへ被せるように設置する簡易洋式トイレを設置する方法も選択肢の1つでしょう。ただし、デメリットとして接続部分の掃除がしにくいため、通常の洋式トイレと比べてメンテナンスの手間がかかるという点に注意しましょう。

2-3.汲み取り式から水洗トイレへのリフォーム(約60万円〜)

汲み取り式から水洗トイレへリフォームする場合、約60万円ほどの費用がかかります。工事期間の目安は3日間〜2週間程度です。

加えて、下水道直結の場合60〜100万円、浄化槽設置水洗トイレは100〜180万円程度の費用が発生します。新規に設置するトイレ本体のグレードによっても、トイレリフォームの総額も左右されるでしょう。

浄化槽の設置費用は50〜80万円が目安ですが、大掛かりな工事になるため建物の調査が必要な場合があります。また汲み取り式トイレから水洗トイレへの工事は、既存の便槽撤去・解体費用が伴います。

既存便槽の撤去の解体・処分費用は、目安として2〜4万円です。設備工事で床を解体するため、内装工事も追加されます。

浄化槽を設置する場合は、自治体が設けている補助金制度を利用できる可能性が高いので活用を検討してみると良いでしょう。一例として、千葉市は条件を満たした方であれば、自宅の単独処理浄化槽やくみ取り槽を合併処理浄化槽に転換する方に向けて補助金が設けられています。(※参照:千葉市「合併処理浄化槽への転換費用の補助制度」)

汲み取り式から水洗トイレへ変更する際に浄化槽を設置するケースの場合は、リフォームを検討している住宅の自治体ウェブサイトを確認してみましょう。

2-4.タンクレストイレへの変更(約15万円〜)

タンクレストイレへの変更工事は、目安として15万円〜となります。工事期間は既存のトイレが排水形式が下水道で組み合わせトイレの場合、1〜2日で済むケースがほとんどです。

タンクレストイレは、便器の後ろに貯水タンクがない現代風のトイレです。水道水の水圧で流すため、連続で水を流せるのも大きな特徴でしょう。

スッキリとした見た目が印象的で、清掃しやすいのもタンクレストイレの強みです。一方で、電気便と呼ばれる箇所で水を流す構造上、停電で通常通り使えなくなる点がデメリットとなります。便器製品によっては停電時に緊急用の対処法が設けられているものもあるため、導入前にチェックしておきましょう。

タンクレストイレは従来型の組み合わせトイレと比較すると、節水効果も高い特徴があります。そのため、エコ住宅設備の1つとなるため、国や自治体が設けている補助金の対象になる可能性も想定されるでしょう。

例えば「子育てエコホーム支援事業」であれば、指定された基準を満たすトイレの導入とあわせて、複数箇所のリフォームを施す場合に補助金を利用できるケースがあります。(※参照:国土交通省「子育てエコホーム支援事業」)

注意点としてタンクレストイレは、タンク上の手洗い場がなくなる可能性が高い本体です。手洗い場を設置する際に配管が求められる場合、工事費用の上乗せや工事期間が長くなるケースがあるため注意しましょう。

2-5.トイレ内装リフォーム(15〜30万円)

大掛かりなトイレリフォームの場合、トイレ内の内装工事も必要です。特に床を張り替えるには、一度便器を外す必要があります。

あとで内装工事をすると大掛かりになるため、便器交換時に内装工事を施すと効率的です。トイレの内装は工事範囲が狭いので、通常の部屋と比較すると内装工事は安くなります。

内装工事の内訳例は、目安として以下の通りです。

  • 床張り:1〜6万円
  • 天井・壁紙:2万円〜4万円
  • ドア交換:2万円〜
  • 木目塗装:1万円〜
  • 照明工事:2万円〜

トイレは暗い印象になりがちなので、明るい壁紙や照明を導入すると良いでしょう。また内装リフォームの際にドアを交換する場合は、扉の開く方向に注意しましょう。

【関連記事】壁紙(クロス)を自分で張り替える手順は?壁紙の種類や選び方、注意点も

2-6.バリアフリー化(1〜100万円)

車椅子でも利用しやすいよう手すりの設置や引き戸への変更といった、バリアフリー化もトイレリフォームでは選択肢の1つとなるでしょう。トイレを広くしたり増設したりする場合は、工事期間は3〜5日程度が目安です。

費用の目安は、バリアフリー化で導入する設備や工事内容によって左右されます。バリアフリー工事項目の一例は、以下の通りです。

  • 手すりの設置:1〜5万円
  • 引き戸への変更:5〜15万円
  • トイレの拡張:15〜30万円
  • 段差の解消:5〜100万円

トイレ自体の工事や内装を実施する場合には、上記の費用に上乗せされます。

自治体によってはバリアフリー化や節水トイレの導入の際に、条件を満たすことで利用できる補助金や固定資産税の控除といった減額制度を設けている場所もあります。

※参考:大阪市「バリアフリー改修が行われた住宅に対する固定資産税の減額措置
※参考:名古屋市「バリアフリー改修工事が行われた住宅に対する固定資産税の減額について

2-7.トイレの増設(約50万円〜)

トイレの増設は、畳一枚分以上の面積があれば増設ができます。そのため、元々押入れや、クローゼットだった場所にも設置可能です。トイレの増設工事にかかる日数は、3日〜7日程度です。間取りの変更や増築をする場合は、さらに工事期間が伸びます。

空間を仕切り新たに部屋を作る場合や増築が伴う場合は、内装工事費用が上がる傾向にあります。加えて1階・2階のどちらにトイレを増設するかでも値段が異なります。

配管作業が容易な箇所に増設する場合は、増設費用をおさえられますが、2階に増設する場合は、配管延長・水漏れ防止工事により高額になるケースが多くなります。2階に増設する場合は、給排水管の延長工事が最低限で済み、夜間の排水音が気になりにくいトイレの真上が理想でしょう。

3.トイレリフォームの注意点

3-1.使用する床材は水に強い素材を選ぶ

トイレに使用する床は、水に弱いものを使用すると変色・腐食しやすくなります。水が染み込む素材は、悪臭の原因へと繋がりやすいので注意しましょう。洗剤やアンモニアを弾く清掃しやすいものを選ぶのがポイントです。例えば自然素材である無垢材は、トイレには不向きです

アンモニア臭の防臭・消臭効果を持つトイレ専用のリメイクシートも販売されているため、配送工事を施す際には候補の1つとなるでしょう。お洒落なトイレの内装に仕上げるには、壁紙と相性の良い床材を選ぶのもポイントです。

3-2.マンションのトイレリフォームは管理規約を確認する

管理規約はマンション全体に定められたルールです。マンションによって規約内容は異なります。

管理規約が設けられたマンションでトイレリフォームをする場合は、管理組合に工事の申請・許可が必要です。マンションによっては、定められている決まりで水回りを移動できません。

土日の工事が禁止の場合も多いので、休日を跨いだトイレリフォームは工事期間が延びる可能性があるため注意しましょう。最短で工事を済ませたい場合には、月曜日から着工するといったようにスケジュールを調整してみましょう。

3-3.リフォーム中はトイレが使えない

トイレのリフォーム工事中は、トイレを利用できません。工事中は近所の公衆トイレなどを利用する必要があります。

トイレのリフォーム工事が長期になるほど、トイレが使えない期間が長くなります。リフォーム会社によっては、仮設トイレ設置を依頼できるところもあります。またトイレを含めた大規模なリノベーションを実施する場合には、仮住まいを用意するのも手段の1つでしょう。

【関連記事】リフォームとリノベーションの違いは?費用や工期などを比較

3-4.物理的にトイレリフォームができないケースがある

トイレリフォームで移設や増設を検討している場合、物理的にトイレを設置できない場合があります。例えば、物件の立地が高台の場合は、水圧が足りずにタンクレストイレが導入できない恐れもあるでしょう。

戸建住宅の2階へ増設する場合も同様に、水圧が足りない可能性があります。マンションであれば管理規約の問題だけではなく、配管の構造上から移動・増設ができない可能性もあるでしょう。トイレを移設・増設予定の場合は、リフォーム会社に相談し、物理的にリフォームが可能かどうかを確認しましょう。

まとめ

毎日使用するトイレは、日常生活の質に大きく影響を及ぼすリフォーム箇所の1つです。後悔しないトイレリフォームを施すためには、予算とグレードのバランスが取れた工事の実施を検討してみましょう。

トイレリフォームでは想定外の出費で予算オーバーになる失敗を防ぐためにも、各注意点を押さえた上での比較・検討が求められます。地域の相場価格を判断するには、複数の業者で相見積もりを行うといった対策も一度検討してみると良いでしょう。

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HIROTSUGU

過去に屋根工事・防水塗装・リフォーム業へ携わった現場経験を元に、20代で中古戸建物件を購入し初期費用を安価に済ませるDIYで不動産賃貸業を開始。不動産投資の他に暗号資産や投資信託、FXなど多彩な資産運用経験を元にフリーライターとして執筆活動を行なっています。