アパートをオーナーチェンジで売却する方法や手順は?注意点も

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オーナーチェンジとは、賃貸不動産に入居者がいる状態で売却することを言います。また、オーナーチェンジで販売されているアパートやワンルームマンションなどはオーナーチェンジ物件と呼ばれます。

このオーナーチェンジ物件を売却するためにはどのような方法があるのでしょうか。今回のコラムでは手順や注意点を含めて解説していきます。

目次

  1. オーナーチェンジでアパートを売却する手順
  2. オーナーチェンジ物件を売却する方法
    2-1.地域の不動産会社に売却を依頼する方法
    2-2.管理業務を委託している不動産会社に売却を依頼する方法
    2-3.不動産一括査定サイトで選んだ不動産会社に売却を依頼する方法
    2-4.オーナー自身が売却先を探す方法
  3. オーナーチェンジでアパートを売却する際の注意点
    3-1.売却にプラスとなる書類を作成する
    3-2.不動産賃貸借契約の引き継ぎ
  4. まとめ

1 オーナーチェンジでアパートを売却する手順

アパートは複数の部屋で構成されているため、市場で販売されている大部分がオーナーチェンジ物件となっています。つまり、中古アパートをオーナーチェンジで売却することは特別なことではありません。

運営しているアパートをオーナーチェンジ物件として売却する際の手順は下記のようになります。

  1. アパートの査定を依頼する
  2. 必要な書類を用意する
  3. 不動産査定を受ける
  4. 不動産売買契約を結ぶ
  5. 不動産の売却活動を始める
  6. 不動産売買契約を結ぶ
  7. 物件を引き渡す
  8. オーナー変更を通知する

通常の不動産と大きく異なる点はありませんが、必要書類としてレントロールや修繕履歴書などを用意するとよりスムーズに売却活動が進められるでしょう。

また物件を引き渡すのと同時に、入居者と交わした不動産賃貸借契約書は新しいオーナーに引き継ぎます。この2つについては、後で詳しく紹介していきます。

2 オーナーチェンジ物件を売却する方法

アパートをオーナーチェンジで売却する方法は、他の不動産を売却するのと大きな違いはありません。管理業務を担当している不動産会社が売買事業を行っている場合は、管理会社へアパートの売却を依頼することもできます。

オーナーチェンジ物件の売却方法としては下記の4つが考えられます。

  1. 地域の不動産会社に売却を依頼する
  2. 管理業務を委託している不動産会社に売却を依頼する
  3. 不動産一括査定サイトで選んだ不動産会社に売却を依頼する
  4. オーナー自身が売却先を探す

上記の4つについて、次の項目から注意点を含めて紹介していきます。

2-1 地域の不動産会社に売却を依頼する方法

以前からお付き合いのある不動産会社、あるいは売却を依頼したい不動産会社がある場合は直接、アパートの売却を依頼します。

地域の不動産会社では、エリアに特化したネットワークを持っていることがあり、アパート経営に興味のある顧客を多数抱えていることも少なくありません。大手不動産会社がリーチできていない買主へ、物件をアピールできる点がメリットと言えるでしょう。

一方、居住用の不動産とは異なるため、売却部門の部署が無くアパートの売却に慣れていない不動産会社および担当者では、査定価格が適正かどうか不安が残ります。

「お付き合いがあるから」といった安易な理由で依頼すると、売却できるまでに時間がかかったり、相場よりも安い価格で売却してしまったり、といった事態も起こり得ます。そのため依頼する前にアパートの売却実績がどの程度あるのか、確認することが大切です。

2-2 管理業務を委託している不動産会社に売却を依頼する方法

アパートの管理を担当している不動産会社に売買部門がある場合、そちらに売却を依頼することができます。売却を決めた際は、管理担当者に売買部門を紹介してもらえるよう相談してみましょう。アパートを査定するには、主に下記の点が査定ポイントになります。

  • 物件の築年数や状態
  • 仕様・設備のグレード
  • 立地
  • 入居率
  • 交通アクセス
  • 周辺環境
  • 家賃滞納者の有無

アパートの管理を担当してきたため、アパートの状態をはじめ、入居率や修繕履歴なども把握しています。そのためスムーズに売却できる可能性があります。

ただし、事情を把握しているために、反対に販売価格が抑え目になることもあります。クレームの多い入居者がいる、家賃を滞納しやすい入居者がいるなどが査定に影響を与える可能性もあるのです。

また、入居率の高いアパートの場合、売却が成立すると管理会社としての契約が終了してしまうこともあります。そのため販売価格を相場よりも若干高めの設定するなどにして、売却を遅らせようとする可能性もあります。

査定価格を鵜呑みにしないで、オーナー自身が相場価格を調査するなどで、販売価格を適正に設定するようにしましょう。

2-3 不動産一括査定サイトで選んだ不動産会社に売却を依頼する方法

不動産一括査定サイトとは、登録している不動産会社から査定をしてもらう会社を選ぶことができるサイトです。利用するサービスによって細かな手順は異なりますが、不動産査定一括サイトの利用の流れは下記のようになります。

  1. 物件情報を入力する
  2. 売主情報を入力する
  3. 送信ボタンを押す
  4. 地域と物件種別に合わせて査定が可能な不動産会社の一覧が表示される
  5. 簡易査定してもらう不動産会社を選ぶ(サイトにより1社〜10社まで選択可能)
  6. 各不動産会社から査定結果が届く
  7. 査定を比較検討して、訪問査定をしてもらう不動産会社を選ぶ
  8. 訪問査定をしてもらう
  9. 査定価格を比較検討して、売却活動をしてもらう不動産会社を選ぶ

下記、主な不動産一括査定サイトの特徴をまとめました。不動産一括査定サイトによって提携している不動産会社が異なるため、依頼したい不動産会社が提携しているかどうかという視点で選んでみるのも良いでしょう。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
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不動産一括査定サイトで不動産会社を選ぶ際の注意点は、査定価格だけを比較しないようにすることです。査定価格とは、査定した不動産会社が不動産市場で売れる可能性のある金額として提示しているため、買取とは異なり、あくまでも売却見込みのある価格となります。

そのため不動産会社が顧客を獲得するために高めの査定価格を提示して、売却活動を開始したあとで市場の反応を見ながら価格を下げていくという営業手法もあります。

このように適正な販売価格が設定されていない場合、売却期間が長くなり、そのため鮮度がなくなって必要以上に売買価格を下げてしまうこともあります。複数の不動産会社に査定を依頼した場合、1社だけ価格が高い不動産会社には査定の根拠などを伺い、納得できる説明をしてくれるか確認しましょう。

2-4 オーナー自身が売却先を探す方法

不動産を売却する際に、仲介業者に依頼せずに売却先を探すことは可能です。例えば、知人や隣人に売却する、貸している人に売却するという例もあります。そのほか物件に「売主売却物件」といった看板をかけて、買主を募集する例もあります。

通常、不動産の売買取引で不動産会社などに仲介してもらった場合、仲介手数料が発生しますが、個人間取引では仲介手数料が発生しないため、売主も買主も費用を抑えることができるのです。

このほか自身で売却活動をする際のメリットは主に下記になります。

  • 販売価格を自分で設定できる
  • 広告戦略など売り出し方を自分で決めることができる
  • 売却先を自分で決めることができる
  • 周りに知られずに売却できる
  • アパートの売却に消費税がかからない(総費用が抑えられるため売却しやすい)
  • 仲介手数料が発生しない

このようなメリットがありますが、反対にデメリットもあります。例えば、契約書類などを自分で作成する手間や、契約書に不備があったときのトラブル対策などです。

特に、売却するアパートには売主に契約不適合責任があり、雨漏りやシロアリ被害などの欠陥あるいは見えない損傷があった場合には、売主が補償などで対応することが求められます。しかし、その範囲や責任の負い方などを決めるには、不動産や法的な知識が不可欠です。

また、買主が金融機関で融資を受ける場合、専門業者を介さない個人間取引だと融資審査を通過できない可能性もあります。個人が売主となっている物件は、購入後のトラブルを敬遠して買主候補が現れにくいという傾向もあり、売り先が限定されることから売却価格が低下してしまう恐れもあります。

3 オーナーチェンジでアパートを売却する際の注意点

不動産売却の中でもオーナーチェンジ物件の売却の場合は、下記の2つの点に注意してください。前述しましたが、改めて詳しく解説しますので、確認してください。

3-1 売却にプラスとなる書類を作成する

同じ不動産売却でも、アパートなどの賃貸用物件を売却する際は、物件の収益性を不動産会社や買主候補に提示するためにレントロールを用意しましょう。レントロールは家賃明細表とも呼ばれ、主に家賃や敷金、契約日、契約期間などそれぞれの部屋の賃貸借契約の状況を一覧にしたものです。

また、修繕履歴書も作成しておくといいでしょう。修繕履歴書の書式は決まっていませんが、アパートの外壁や玄関などの共用部分に加えて、各部屋の修繕履歴や設備の更新履歴なども記載しておきます。

オーナーチェンジ物件は入居者がいますので、不動産会社や買主候補にすべての部屋を見てもらうことができません。そのためこうした書類を作成しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができるのです。

管理を委託している不動産会社では担当者が変わることがあり、すべてが引き継ぎされていないことがあります。そのためオーナー自身で適切に書類を作成しておきましょう。

3-2 不動産賃貸借契約の引き継ぎ

アパートの入居者とは入居時に不動産賃貸借契約書を交わします。この不動産賃貸借契約は、物件を売却した際に所有権移転登記を行っていれば自動的に引き継がれるものです。

家賃などの条件が同じであれば、賃貸借契約書の名義変更をしないで、物件の引き渡し時に新しいオーナーに不動産賃貸借契約書を渡します。

ただし、敷金や保証金といった入居者から預かっているお金がある場合には注意が必要です。この場合も売主から買主へと引き継ぎますが、主に次の3つの方法があります。

  • 売主が預かっている敷金や保証金を、買主にそのまま渡す
  • 入居者に一旦返却して新しいオーナーに預け直す
  • 売買代金で相殺してお金のやり取りをしない

この預かり金に関してはあとでトラブルになることが多いので、売買契約を締結する際に不動産会社を通して決めておくようにしましょう。

まとめ

アパートをオーナーチェンジで売却する際も他の不動産を売却する方法と大きな違いはありませんが、管理会社が売却を担ってくれることもあるという点は、居住用不動産の売却と異なるポイントと言えます。

また注意点として、家賃などが変わらなければ賃貸借契約は継続されますが、敷金や保証金などを預かっていた場合は買主との間でその扱いについて調整しておく必要があります。仲介する不動産会社のアドバイスを受けながら、円滑に進めていきましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。