人口減少時代に入り、相続した土地や建物、自分で購入した物件などの扱いに悩む人も増えています。不動産の売買を不動産会社に依頼しても、なかなか買い手がつかずに諸経費ばかりが出ていくケースもあります。
こうした中、不動産の売買を円滑にする仲介サービスとして利用されているのが、不動産大手6社が共同運営している「すまいValue」です。
そこでこの記事では、すまいValueの特徴やメリット・デメリット、評判・口コミについて詳しく紹介します。不動産の売却を考えている方は、参考にしてください。
目次
- すまいValueの特徴
1-1.業界のリードカンパニーが共同運営
1-2.全国に対応できる店舗ネットワーク - すまいValueのメリット
2-1.大手不動産会社への一括査定が無料でできる
2-2.周囲に知られずに査定依頼が可能
2-3.具体的な売却時期が決まっていない場合でも査定可能
2-4.店舗数が多い・相談しやすい
2-5.好条件の売却も可能
2-6.サポートが充実している - すまいValueのデメリット
3-1.仲介手数料の値引きは難しい
3-2.大手6社に限定されるため、地域密着企業への依頼はできない
3-3.担当者の対応力・営業力には差がある
3-4.両手仲介になりやすい - すまいValueの評判・口コミ
- すまいValueで不動産一括査定を受ける方法・手順
5-1.査定依頼のページで物件情報を入力する
5-2.査定結果を比較する
5-3.媒介契約を締結
5-4.不動産売買契約の締結・引き渡し - まとめ
1.すまいValueの特徴
すまいValueは、「オープンマーケット」という団体を作り活動してきた不動産大手6社が参加している不動産売却・査定サイトです。
サービス名 | すまいValue |
運営会社名 | 小田急不動産(株) 住友不動産販売(株) 東急リバブル(株) 野村不動産ソリューションズ(株) 三井不動産リアルティ(株) 三菱地所の住まいリレー(三菱地所ハウスネット(株)) |
設立 | 2016年(サービス開始年) |
査定物件 | ・マンション ・一戸建て ・土地 ・マンション一棟 ・ビル一棟 ・アパート一棟 等 |
買取サービス | あり(紹介可能) |
査定依頼費用 | 無料 |
通常の不動産一括査定サイトは、中小の企業を中心に数を集めて競わせることで好条件を提示させるものですが、仲介の依頼先が決定してから内容が変更になったり、なかなか買い手がつかなかったりなどのトラブルもあります。
一方、すまいValueは、業界トップクラスの大手不動産会社にのみ限定して査定依頼ができるサービスである点が特徴です。詳しく見ていきましょう。
1-1.業界のリードカンパニーが共同運営
すまいValueは、6社合計で2023年度の成約件数11万件以上、売却成約率は75.1%*という豊富な実績があります。(*2022年度内に査定依頼を行い、査定依頼から1年以内に媒介契約を結び、かつ媒介契約から1年以内に成約した方のうち、媒介契約から売却まで3ヶ月以内に至った方の割合)
- 三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)
- 住友不動産販売株式会社
- 東急リバブル株式会社
- 野村不動産ソリューションズ株式会社(野村の仲介+)
- 三菱地所の住まいリレー(三菱地所ハウスネット)株式会社
- 小田急不動産株式会社
すまいValueが過去に実施したアンケートでは、利用者の95.5%が「安心感がある」と回答(※2019年4月1日~2022年3月31日にすまいValueで媒介した顧客を対象に行ったアンケート結果)しています。
不動産の営業に関わるスタッフのうち96.5%の人が公正な不動産取引をサポートする宅地建物取引士の国家資格を有しており、中小企業の不動産会社と比較して資本力がある点もプラスに評価できるポイントと言えるでしょう。
1-2.全国に対応できる店舗ネットワーク
査定依頼先が6社に限定されることで「対応エリアが狭いのでは?」と懸念される方も多いと思いますが、不動産大手6社を合わせると全国の店舗数は841店舗あり、自分の住んでいるエリアにも対応している可能性は高いと言えます。
参加企業はいずれも得意なエリアや物件、保有している物件や顧客が異なるため、互いに競争することで売り手に有利な売却活動を期待することもできます。
2.すまいValueのメリット
すまいValueを利用することで、不動産の売り手側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットは以下の通りです。
2-1.大手不動産会社への一括査定依頼が無料でできる
通常の一括査定では、中小の不動産屋など規模を問わず査定依頼を行うので、どのような不動産会社から返事をもらえるかはわからず、不安に感じることもあります。
一方、すまいValueでは、事前に知名度の高い大手6社に査定依頼を出すことがわかっており、さらに査定にかかる手数料も無料です。
2-2.周囲に知られずに査定依頼が可能
すまいValueでは、利用者の様々な状況に配慮し、事情を伝えれば周囲に知られないような形で査定や売却を依頼できます。査定の段階で家族に知られたくない場合はその旨と、希望する時間帯や連絡方法を伝えておけばそれに合わせて担当者が連絡してくれます。
物件の売却を近所の人に知られたくない場合は物件情報を公開せず、店舗の持つネットワークから買い手になりそうな個人や不動産会社を探すことも可能です。
いずれも申し込みフォームの「ご要望・その他連絡事項」欄に必要な情報を記入しておけば、各社で対応してくれます。
2-3.具体的な売却時期が決まっていない場合でも査定可能
売り手には、すぐに売るつもりはなくても、財産の分配や今後のライフプランニングのために物件の評価額の目安を知りたい場合があります。そのような事情も十分に考慮してくれるので、具体的な売却時期が決まっていない場合でも相談可能です。
また、物件の所有者の家族であれば本人でなくとも査定ができます。その他の人が査定を依頼する場合、申し込みフォームで事情を記載し、承認されれば査定可能です。
2-4.店舗数が多い・相談しやすい
すまいValue参加企業の店舗は全国各地にあるため、近くの店舗で担当者と条件を話し合ったり進捗を確認したりできます。メールや電話ではなかなか難しいコミュニケーションも対面で行えるので、資料などを一緒に見ながら次のアクションを考えていくことができます。
2-5.好条件の売却も可能
すまいValueでは、大手企業間で査定結果を比較することが可能なので、好条件での売却を期待することもできます。
例えば、不動産売却は、物件価値に客観的な差がないとしても、企業の持つ販売力などの要素で最終的な売却価格が変わることがあります。
参加している6社は得意な物件やエリアが異なり、それぞれ顧客も異なります。各社の提案や強みなどをよく吟味して検討できるのは大きなメリットです。
2-6.サポートが充実している
すまいValueでは、実績やノウハウの豊富な企業が担当してくれるので、仲介サポートのほか、契約やライフプランニング、瑕疵や設備のトラブルに関するアフターフォローなど様々な部分での相談にも乗ってくれます。また、電話やメールなどによるサポートも充実しています。
3.すまいValueのデメリット
すまいValueを利用する上での注意点やデメリットも確認してみましょう。
3-1.仲介手数料の値引きは難しい
中小の不動産会社では、事業主や担当者の意思決定により仲介手数料などを値引きできるケースもありますが、大手不動産会社ではこれらの値引き対応のハードルはやや高いと言えるでしょう。
不動産会社では1つの物件の売買を成立させるために、広告費、人件費、物件調査費などの経費に加えて、売買契約書・重要事項説明書の作成、買主との交渉、金融機関への融資相談など多くの作業が発生しています。
担当者とは仲介手数料の値引きを無理に進めず、より高くスムーズに不動産売却が進められるように協力し、良い関係性を構築できるように工夫してみましょう。
3-2.大手6社に限定されるため、地域密着企業への依頼はできない
すまいValueは全国にネットワークを持つものの、関東近辺や主要都市に多くの店舗が集中しており、地方の局所的な郊外エリアは対応できない場合もあることに注意が必要です。
地域に特化した不動産会社や、地元の小さな不動産屋の方が現地のニーズを知っていて、より良い販売先を持っていることがあります。このようなエリア・物件タイプの場合はすまいValueでの売却がスム-ズに進まない可能性もあります。
3-3.担当者の対応力・営業力には差がある
大手企業に限定して査定依頼が出来るすまいValueですが、査定や売却を担当する担当者の対応力・営業力に差がある点には注意が必要です。
大手企業ならではの情報力や広告力に期待できる反面、不動産売却の成否に大きく関わる担当者の経験値は保証されていません。特殊なエリアや物件タイプの場合、担当者の経験値が乏しくスムーズに売却が進まない可能性もある点には注意しましょう。
3-4.両手仲介になりやすい
不動産仲介には片手仲介と両手仲介の2種類があります。片手仲介は売り手と買い手それぞれに仲介会社がいる状態ですが、両手仲介は1社のみが買い手と売り手に介在する取引形式です。
片手仲介・両手仲介のいずれでも売主側の仲介手数料は変わらず、契約の手順なども特に変わりはありません。一見してデメリットが無いように見えますが、両手仲介は物件情報を見る母数が少なくなることで売却先が狭まり、売却の長期化を招いてしまうリスクがあります。
大手不動産会社の仲介サービスでは自社で抱えている顧客も多く、両手仲介での売却の可能性が高まる傾向にあります。ただし、両手取引自体が必ずしも不利益につながるということでなく、「対象不動産を希望する買主候補が現れやすい」という販売力の実績とも言え、売却価格や売却スケジュールが希望に沿っているのであれば大きな問題がないと見ることができます。
両手仲介での売却が気になる方は、売り出した物件がレインズ(不動産流通機構)に登録されているかどうかを自身でも確認されてみると良いでしょう。レインズに物件が登録されると複数の事業者が閲覧できる状態となるため、物件の囲い込みを防ぐことができます。レインズに登録されると登録証明書が発行されるため、仲介の不動産会社から受け取って確認しましょう。
4.すまいValueの評判・口コミ
すまいValueは高く評価されている不動産一括査定サービスです。実際に利用している人からは次のような口コミがあがっています。
すまいValueの良い評判・口コミ
大手の安心感。他はネットでの査定だったが書類にしてポストに届けてくれたので高齢の家族とも情報共有しやすかった。
利便性があまり良くない立地なので大手は無理かと思っていたが、スムーズに売却が実現できた。
「素早い対応、納得の査定額、大手の不動産会社多数、兎に角すべてに満足しています。」
すまいValueの残念な評判・口コミ、改善を求める声
複数見積もりの方が有利に売れるかと思い利用。地域によって対応しない会社があるのは明示した方がよいのではないか。
選択できる不動産会社をもう少し増やして欲しい。また、実際に利用した方と直接やりとりができる仕組みが欲しい。
買替を考えており、不動産会社に探している時にネット広告をみて利用。各会社の持つ地域毎の得意不得意(専売物件の数等)がもっと比較できるとうれしい。
※すまいValueのウェブサイトより引用(出典:2016年10月サービススタート時から2023年5月時点までの集計)
手続きのスムーズさや担当者の対応などで、大手企業のサービス感を感じられたという意見が多く見られます。また、不動産の査定や売却先探しのスピード感にも満足している声が多く寄せられています。
一方、地方の郊外エリアでは対応してもらえないという声もあり、対応エリアの拡充が望まれています。売却予定の不動産が対応エリアに位置していない場合、他の査定サイトの利用を検討してみましょう。
5.すまいValueで不動産一括査定を受ける方法・手順
5-1.査定依頼のページで物件情報を入力する
すまいValueの査定申し込みページから一括査定お申し込みのボタンを選択して申し込みフォームを開きます。査定に必要となる項目や査定してほしい会社を入力して送信すると、後日に各社から査定結果が届きます。
5-2.査定結果を比較する
査定結果が届いたら価格や査定の根拠を比較し、希望に合った会社を選びます。この段階になれば、店舗にも足を運び、より詳細な相談を行うこともできます。査定担当者はそのまま売却担当となるケースも多いため、査定担当者の対応力なども比較対象としてみましょう。
5-3.媒介契約を締結
売却を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を締結します。媒介契約は不動産会社に売却を依頼する契約で、複数社と締結できる一般媒介契約と、1社としか締結できない専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
項目 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
複数の不動産会社への依頼 | ○ | × | × |
自分で見つけた買主との単独契約 | ○ | ○ | × |
指定流通機構への登録義務 | 無 | 有 | 有 |
販売活動の報告義務 | 無 | 有 | 有 |
契約期間 | 規制は無し | 3ヵ月以内 | 3ヵ月以内 |
一般媒介契約は複数社と契約ができるため、売主側の自由度が最も高い契約方式です。しかし、不動産会社側もレインズへの登録義務が無く、販売活動の報告義務も無いため、積極的な売却活動を期待しづらいという点がデメリットです。
ニーズが多い物件であればまずは一般媒介契約、売却が難しい物件であれば専任、もしくは専属専任媒介契約とするなど、契約方法についてもそれぞれ工夫をされてみると良いでしょう。
5-4.不動産売買契約の締結・引き渡し
売却活動が開始すると、しばらく経って売り出した物件を見た方から買付証明書が届きます。買付証明書とは、購入の条件や手付金の金額などが記載された書類です。買付が複数ある場合には、条件の良い方から順番に契約を進めることになります。
条件のすり合わせが済めば、不動産売買契約を行います。不動産売買契約を締結した後は、通常解除することが出来ません。しかし、例外的に下記のような内容で売買契約が解除されることがあります。
- 手付解除:手付金の放棄によって売買契約を解除する方法
- ローン特約による解除:買主のローン審査が通らなかった時に無条件で解除される
- 建物の滅失:契約後、決済前に災害などで建物が減滅した場合に解除する方法
決済・引き渡し前に契約が解除された場合には、売却活動のやり直し、他の買付がある場合にはその他の買主との交渉を再開する流れとなります。
契約解除が行われず契約書に記載された引き渡し日を迎えた場合は、残金の決済と同時に所有権移転登記を行います。不動産登記は自身でも行うことができますが、通常、司法書士が実行することが取引慣例となっています。
まとめ
すまいValueは、不動産仲介の大手企業6社が合同で運営している不動産の一括査定サービスです。参加企業は6社のみですが、大手ならではの高品質なサービスを提供してもらえるほか、全国規模のネットワーク力を存分に活用することができます。
また、周囲の人にも知られずに売却を進められるなど、利用者の様々な事情にも配慮してくれるサービスです。物件の取引価格や成約までのスピードにも多くの人が満足している実績があります。
不動産の売却を検討する際は、このように実際の利用者の評判なども参考にしながら、一括査定サービスや不動産会社を選ぶことが大切です。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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