国内不動産価格の上昇と利回り低下、将来不安などを背景に、海外不動産への投資熱が加速しています。そのなかでも特に、高い経済成長率と物理的な距離の近さや親日国が多い東南アジアには多くの資金が集まっています。
この記事では、東南アジアでも特に注目の高い5ヶ国について不動産の最新状況を取り上げて解説をしていきたいと思います。
- 日本人が移住したい国No.1「マレーシア」
- 日本企業も多数進出で東南アジア随一の工業国「タイ」
- 2015年の法改正で外国人の不動産投資が解禁された「ベトナム」
- 米ドルでの投資が可能な国「カンボジア」
- 2017年の経済成長率予測も7.0%の急成長国「ラオス」
日本人が移住したい国No.1「マレーシア」
東南アジアのハブとも言われるマレーシアは、外資や外国人を積極的に受け入れるオープンな国で、日本人からの人気が特に高い国の一つです。不動産投資を考える上では、以下のような特徴があります。
- 高い経済成長と政治の安定性が両立
- 親日国で、日本人のロングステイ先としても人気
- 外国人でも土地付き物件を購入可、ローンも可能
- リンギット安で購入しやすい
高い経済成長と政治の安定性が両立
マレーシアは毎年GDPが4%~5%のレンジで安定的に伸びており、政治も安定しているため、東南アジアのなかではカントリーリスクが比較的少なく投資ができる国です。
親日国で、日本人のロングステイ先としても人気
マレーシアは親日国であるとともに、日本人のロングステイ先(移住先)としても圧倒的な人気を誇る国です。一般財団法人ロングステイ財団が毎年公表している日本人のロングステイ希望国はなんと11年連続でトップとなっています。
購入した物件は、投資物件としてだけでなく、将来はマイホームとしても利用したいという日本人購入者が一定数いるため、投資国としても非常に人気があります
外国人でも土地付き物件が購入可、ローンも可能
マレーシアは対外投資に積極的な国で、一定の条件を満たせば外国人でも土地付きの物件を購入することが可能です。また、物件を購入する際にローンを組むこともできるため、レバレッジをきかせた投資を展開することが可能です。
リンギット安で購入しやすい
マレーシアの通貨であるリンギットは2014年に米国の利上げや輸出不振などにより歴史的なリンギット安(円高)の水準となりましたが、現在は回復基調にあります。
日本企業も多数進出で東南アジア随一の工業国「タイ」
東南アジアでも先進国的な立ち位置にあるタイは、投資先としても非常にメジャーな国だと言えるでしょう。GDP成長率は3%前後なので、成長率という点では他の東南アジアの国に負ける部分がありますが、そのぶん経済的な安定性は高いので、海外での分散投資を考えている方からの人気が高いという特徴があります。
- 在留邦人数は東南アジアでトップの7万人
- タイの不動産価格は順調に上昇
- 政治や天災などカントリーリスクに注意
在留邦人数は東南アジアでトップの7万人
タイの在留邦人数は、米国・中国・オーストラリアについで4位となっており、東南アジアのなかでは最大の規模となっています。日本人街もあり購入した物件の日本人向け賃貸なども検討しやすいのが特長です。
タイの不動産価格は順調に上昇
タイの不動産価格は安定的な上昇傾向が持続しています。以下は、バンコクのコンドミニアムの価格推移ですが、2000年から堅調に推移していることがわかります。
CBRE「OUTLOOK FOR THE BANGKOK PROPERTY MARKET IN 2015」
政治や天災などカントリーリスクに注意
タイは安定的な経済成長性や不動産価格の上昇が続いている一方で、軍事クーデターや洪水などのカントリーリスクもありますので、投資の際にはリスクマネジメントを意識することが大切です。
2015年の法改正で外国人の不動産投資が解禁された「ベトナム」
ベトナムは社会主義の国ですが、市場経済を通じて社会主義を実現するというスタンスのなので、現在は外資の受け入れなども積極的に行っています。人口の増加スピードや経済の成長性も高く、今後が期待できる国です。
- 外国人による不動産所有が可能になり、投資の期待が高まる
- 毎年のGDP成長率は5%~6%
- 法律や税制の変更リスクも
外国人による不動産所有が可能になり、投資の期待が高まる
2015年の法改正で外国人でも不動産を購入できるようになりました。これにより、日本国内でもベトナムへの投資が加速しており、今後も不動産価格の値上がりを期待することができる状況です。
毎年のGDP成長率は5%~6%
ベトナムは東南アジアでは後発の新興国となるので、現在も高い成長率が続いています。また、現在の人口構成で一番多い世代は20歳代前半なので、今後数十年間人口ボーナスが期待できるという点も投資国として魅力的です。
World Population Prospects – Population Division – United Nations
法律や税制の変更リスクも
ベトナムは現在も国の体制を手探りで構築している国なので、突然法律や税制などが変わるリスクがあるという点には注意が必要です。マレーシアやタイなどに比べると、リスクが大きくリターンが大きい投資となりますので、資産全体のベトナム不動産への配分は3割以下程度におさえたほうが良いでしょう。
米ドルでの投資が可能な国「カンボジア」
カンボジアは、タイ・ベトナム・ラオスと接している国で、物価や人件費が高騰しているタイにある製造企業などが新しい拠点先として期待されている国です。日本人にはやや馴染みの薄い国ですが、高い成長性に注目が集まっています。
- 2000年から経済が急成長、物価が高騰したタイの製造業の受け皿に
- 不動産価格も上昇中、労働者の増加で賃貸需要も期待できる
- 米ドルでの投資が可能、為替リスクを抑えられる
2000年から経済が急成長、物価が高騰したタイの製造業の受け皿に
2000年頃から不安定だった政情が安定し、投資国としての魅力が徐々に高まってきています。タイとベトナムの間にある国ということで、物流面でも期待がされている国となります。
不動産価格も上昇中、労働者の増加で賃貸需要も期待できる
首都のプノンペン近辺の地価や不動産は年々上昇を続けており、今後もしばらく不動産の値上がり傾向は続くと予想されています。また、2014年には「イオンモールプノンペン」ができるなど、日本人が住みやすい環境も整ってきており、日本人の投資先としての魅力も高まってきています。
米ドルでの投資が可能、為替リスクを抑えられる
カンボジアの通貨は「リエル」ですが、プノンペンなどの主要都市や商業上の取引では、米ドル通貨での決済がメインとなっています。東南アジアへの投資でありながら、米ドルで投資ができるということで新興国通貨の為替リスクを回避することが可能という点が他の国にはない魅力となります。
2017年の経済成長率予測7.0%の急成長国「ラオス」
ラオスはカンボジア同様にタイとベトナムの間に位置する国で、高い経済成長を実現している国です。都市周辺を中心に不動産価格も上昇しており、大きなリターンが期待できる状況です。
- GDP成長率7.0%、東南アジアでトップクラスの成長率
- 投資が集まっているのは首都ビエンチャン
GDP成長率7.0%、東南アジアでトップクラスの成長率
ラオスはGDP成長率が2016年7.0%、2017年も予測値ではありますが7.0%となっています。また、ラオスは1989年以降GDP成長率がマイナスになったことがなく、特に2005年以降は10年以上も7%以上の経済成長を実現しています。カンボジアと同様にタイとベトナムの中間に位置する国のため、今後は製造業の物流の要としての期待をされています。
投資が集まっているのは首都ビエンチャン
ラオスで投資資金が集まっているのは首都のビエンチャン周辺となります。外資企業の受け入れなどによる雇用創出や労働者増加に伴い、ビエンチャンには多くのコンドミニアムが建設中となっています。ベトナムのように法改正で外国人による不動産購入が解禁されると言われていますので、投資家が注視をしている状況です。
まとめ
東南アジアは非常に成長性が高く、魅力的な投資エリアです。ただ、カントリーリスクや為替リスク、法改正・税制改正などにより投資環境が大きく変わることもありますので、信頼できるパートナー会社を見つけて、不動産投資を進めていくとよいでしょう。たとえば、東南アジアのエリアに強いビヨンドボーダーズという海外不動産会社は、東南アジアのハブ国であるマレーシアに支社を持っているため、不動産に関する最新情報や物件情報をリアルタイムで仕入れることができる体制を構築しています。無料で不動産購入の相談をすることもできますので、ご興味のある方は一度問い合わせてみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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