不動産オーナーが知っておきたい、「決め物」と「当て物」の違いとは?

不動産業界では関係者だけで使われる様々な専門用語があります。その中の一つに「決め物」と「当て物」という表現があります。自分の物件が決め物なのか、当て物なのかを知っておくと、自分の所有する物件を早期売却できたり、高い入居率で賃貸経営できたりできるメリットがあります。

そこでこの記事では、「決め物」「当て物」の意味について詳しく解説するので、参考にしてみてください。

目次

  1. 不動産業界の「決め物」とは
    1-1.不動産会社の営業マンが本当に売りたい物件
    1-2.決め物を最初から紹介する営業マンは少ない
  2. 当て物(引き物、中物)とは
    2-1.引き物は客寄せのために使われる物件
    2-2.当て物は引き立て役となる物件
    2-3.中物は購入意欲を促すための物件
  3. 引き物・当て物扱いにされるデメリットとは
  4. 自分の物件が当て物にならないようにする方法
    4-1.賃貸仲介(不動産投資)で当て物とならないための工夫
    4-2.売買仲介(不動産売却)で当て物とならないための工夫
  5. まとめ

1.不動産業界の「決め物」とは

不動産売買では高額な取引が多く、わずかな駆け引きで価格が数十万から数百万円と違ってくることもあります。自分の物件が決め物になるよう、物件紹介時の業界用語について詳しく知っておきましょう。

1-1.不動産会社の営業マンが本当に売りたい物件

決め物(きめぶつ)とは、不動産会社の営業マンが本命とする「売りたい物件」や、「条件の優れた物件」を指します。

不動産会社の営業マンは常に多くの顧客を抱えているので、自分の担当する物件をできるだけ効率良く売りたい、貸し出したいと考えていることも少なくありません。

しかし、その物件の中には条件の良い物件だけではなく、広さや間取り、立地などの条件が悪い物件もあります。

不動産会社の利益は物件を売却したり、賃貸契約を締結した際に発生します。どの物件を顧客へ紹介するか判断をする中で、「売りやすい」「貸し出しやすい」物件として第一候補になるのが、決め物です。

決め物は状態の良さや立地、価格面でも相場と比べて安いなどの特徴を兼ね備えている好物件です。担当している営業マンにとっても決定率が高く、部屋探しをしている人から見ても、「これに決めたい!」と感じやすい物件となっています。

1-2.決め物を最初から紹介する営業マンは少ない

営業マンはあまり決め物を最初から紹介しようとはしません。どんなに好条件を揃えた物件でも、部屋探しや家探しをしている人に最初から紹介すると、「これくらいの物件が普通なのか」と思われる可能性があるからです。

通常、部屋探しをする場合、最初に見た物件で「これに決めよう」と決断する人はそう多くありません。そこで、不動産会社の営業マンは、「良い物件」のハードルを上げないため、決め物はできるだけ内見案内の最後に持ってきて、他の物件と比較した時により良く見えるようなストーリーを作ることがあります。

そのため、決め物物件は、複数の物件を紹介する流れの中で最後に紹介されることが多いのが特徴です。

2.当て物(引き物、中物)とは

決め物が本命物件であるのに対して、本命でない物件は「当て物」(あてぶつ)と呼ばれます。当て物の中にも「引き物」(ひきぶつ)や「中物」(なかぶつ)などの種類があります。不動産業界の慣習的な用語になるため、引き物物件や中物物件などについてもご紹介します。

2-1.引き物は客寄せのために使われる物件

引き物物件とは、チラシやウェブサイトの最も良い場所やポータルサイトに掲載し、集客目的で掲載されている物件です。引き物物件は賃料が相場よりも安く、立地なども良い条件を備えているのが特徴です。

ただし、引き物は欠陥を抱えている場合があります。一見すると好物件でも、詳しく話を聞いてみると住みたい意欲がやや薄れる部屋だったというのが引き物物件によく見られる特徴です。

2-2.当て物は引き立て役となる物件

不動産会社の営業マンが物件紹介をする時、決定率の低い物件を始めに紹介することがあります。この物件を当て物と言い、当て物を紹介した後に決め物を紹介することで、契約決定率の向上を狙うことがあります。

2-3.中物は購入意欲を促すための物件

中物物件とは、当て物物件よりもやや条件の良い物件を指します。例えば、「家賃は安いが駅からやや離れている」「駅には近いが建物がやや古い」「広くて綺麗でも住環境があまり良くない」などの特徴を持つ物件が中物に該当します。

3.引き物・当て物扱いにされるデメリットとは

不動産会社が、引き物や当て物、決め物などと区分する目的は、本命物件をしっかりと売ったり貸し出したりするためです。そのため、売れそうにない物件や、貸し出せそうにない物件には力を入れた営業活動を行わないことがあります。

このような物件の区別がオーナー(売主)にも良い結果をもたらすとは限りません。自分の物件が当て物扱いされると、なかなか売れなかったり、入居者が決まらず家賃収入が入らなかったりなどのデメリットが生じます。

自分の物件が当て物扱いにされているかを知るには、不動産会社に内覧数やアクセス数を聞くなどして、確認することも可能です。

4.自分の物件が当て物にならないようにする方法

仲介会社に依頼している物件が当て物扱いにされている場合、決め物となるように状況を改善することが大切です。

賃貸仲介と売買仲介のパターンに分けてそれぞれ見て行きましょう。

4-1.賃貸仲介(不動産投資)で当て物とならないための工夫

賃貸仲介で当て物となってしまう物件の特徴として、物件のスペックに対して設定家賃が高すぎるケースがあります。入居者は家賃の予算を設定したうえで、その家賃で入居したい物件の条件を比較していくためです。

当て物は同じ家賃帯の決め物と比較して、物件のスペックが劣ることがあります。設定家賃に問題が無いか適宜確認しておくことが大切です。

また、委託先の賃貸管理会社によって集客力や営業力が異なります。賃貸付けが不得意な管理会社の場合だと家賃設定が適正でも紹介顧客の母数が少なく、当て物となる可能性もあります。このような場合は管理会社の変更も視野に入れ、検討してきましょう。

また、これから不動産投資を始める方であれば、販売会社が賃貸管理までワンストップで行っているような不動産投資会社への相談も検討してみましょう。自社ブランドがあり賃貸管理まで行う不動産投資会社は、入居率を保持するために自社物件を優先して決め物とする傾向があるためです。

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4-2.売買仲介(不動産売却)で当て物とならないための工夫

売買仲介で当て物となってしまう主な要因としても、物件の売却相場に対して高い売出価格を設定してしまっているケースが多くあります。

不動産売却の戦略のひとつに、相場よりもやや高い金額で売り出し、売却活動のなかで徐々に値下げをする方法があります。この時、相場よりも高い金額のまま売却活動期間が長引いてしまうと、購入検討者の注目度が下がり、当て物となってしまう可能性があります。

その他、売主が売却を積極的に考えていない場合は、仲介業者から売買の成約までに手間と時間がかかると見なされ、他の物件を優先して顧客に紹介されてしまう可能性もあります。

仲介業者にとって売買が確定した時の仲介手数料が主な収益となります。売却を積極的に検討していることが伝わるよう、売却活動を任せきりにならずに仲介業者とのコミュニケーションを積極的に行うことが重要なポイントです。

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まとめ

不動産業界は独特の慣習があり、専門の業界用語も多いのが特徴です。特に、物件売買は馴染みの少ない取引となるので、自分の物件が不動産会社にどう扱われているかを知る機会は多くありません。

自分の物件を賃貸に出す時や売却する時に、当て物扱いされるのはデメリットになります。当て物扱いされないためには、不動産会社に任せきりにするのではなく、自身でも物件の家賃相場や求められている設備などの需要について、しっかりと情報収集を行っておくことが大切です。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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