不動産を売却する時は、売り出し価格を決めるために不動産会社から査定を受けることが必要です。しかし、複数の不動産会社から査定を受けると、会社によって査定額がバラバラでどう判断したらよいかわからない状況に陥ることもあります。
この記事では、不動産会社によって査定額にバラつきが出る理由とともに、売却依頼先の不動産会社を絞り込むためには、何に気を付けて会社を比較すれば良いのかについて解説します。
目次
- 不動産の査定額がバラバラになる理由
1-1.不動産会社の実績が異なるため
1-2.担当者によって判断基準が異なるため
1-3.売却の案件を取るために高めの査定額を出す会社もある - 不動産売却の仲介依頼先を見極めるポイント
2-1.事前に周辺相場を把握しておく
2-2.大手不動産会社と地域の不動産会社を比較する
2-3.できるだけ実績の多い不動産会社を選ぶ
2-4.担当者の提案内容を精査する - まとめ
1.不動産の査定額がバラバラになる理由
複数の不動産会社から査定を受けたとき査定額にバラつきが出る主な理由としては、会社ごとに実績・判断基準・方針などが異なる点が挙げられます。
1-1.不動産会社の実績が異なるため
不動産の価格査定にはいくつかの算出方法があり、不動産会社によって査定方法が異なります。
例えば、同じエリアで同じような物件を売却した事例がある場合は、不動産会社はその事例に基づいて査定額を提示します。しかし、例えば複数の不動産会社に査定を依頼した場合は、依頼先の不動産会社全てが近隣での売却事例を持っているとは限りません。
近隣の売却事例を持っていない場合は、不動産会社が似たような広さ・間取りの不動産で周辺相場を調査し、調査結果に基づいて査定額が提示されることがあります。
1-2.担当者によって判断基準が異なるため
査定する不動産会社の売却実績有無は査定額に影響を与えますが、担当者の経験や判断によっても査定額は異なります。
不動産の取引そのものと違って、査定を行うにあたっては宅地建物取引士などの資格は不要です。不動産会社の方針にもよりもますが、担当者レベルで査定価格を算出することが可能なため、担当者によっても査定価格が異なってくることがあるのです。
1-3.売却の案件を取るために高めの査定額を出す会社もある
不動産会社の事情として、他社と似た金額で査定を出していたのでは、売却の案件を獲得できない可能性もあります。このため担当者によっては相場よりも高めの査定額を出し、売主へ自社の仲介による売却を促すケースがあります。
相場よりも高い査定額が出ると売主としてはその会社に依頼したくなりますが、相場よりも大きく高い金額で売り出された物件は売却が長期化してしまい、最終的に値下げ対応をしなければならないこともあります。このような事情も考慮しながら、依頼先を選定することが重要です。
案件を獲得しておき、後で「やはり高すぎて売れないから値下げしましょう」と売主に提案してくる不動産会社もあります。このような場合は、売却完了までに無駄な時間がかかるだけでなく、不動産価格の値下げによって手残り金が当初の想定よりも減ってしまいます。
不動産会社の中には、案件の獲得にはつながらなくても、とにかく売却の確実性を重視して査定額を提示してくるケースもあります。複数社の担当者を比較し、査定価格だけでなく対応力なども確認されると良いでしょう。
2.不動産売却の仲介依頼先を見極めるポイント
不動産の査定を受けた際に良い不動産会社を見極めるためには、事実に基づいた判断をすることと、担当者のスキル・人柄を考慮することなどが必要です。
2-1.事前に周辺相場を把握しておく
前項で解説したように、不動産売却の案件獲得のため最初だけ高い査定額を提示してくる不動産会社もあるため、不動産売却の依頼先を見極めるためには、そのような不動産会社を選択肢から排除する必要があります。
近隣での売却事例などの納得できる根拠や実績など、明確な根拠のない高額査定には注意が必要です。
査定額の高低を見極めるためには、売主自らも周辺の不動産がいくらで売り出されているのかという相場を把握しておく必要があります。周辺相場を把握していることが不動産会社の担当者に伝われば、不動産売却に熱心な売主という印象を与えることにつながり、その後の丁寧な対応も期待できるでしょう。
また、相場を把握するには複数社の不動産会社と同時にやり取りを進めておくことも大切なポイントです。1社からの提案内容に不明点や不安点が出てきた場合、その他の会社の意見を聞いてみることで多角的な視点から情報の精査ができるようになります。
2-2.大手不動産会社と地域の不動産会社を比較する
不動産売却の委託先を選ぶ際には、大手の不動産会社と地元の不動産会社を比較してみましょう。大手不動産会社と地域の不動産会社では、それぞれ強みとするポイントが異なるためです。
大手不動産会社は豊富な取引実績と全国規模の販売力に強みがあり、信頼性も高いと言えます。一方、地域の不動産会社は大手不動産会社がリーチできていない顧客を抱えていたり、特定のエリアに特化した不動産事情を熟知しているケースがあります。
最近では大手不動産会社6社に限定して査定依頼ができる「すまいValue」や、中小企業を含む2,000社以上の不動産会社に査定依頼ができる「SUUMO不動産売却」などの不動産一括査定サイトがあります。これらの査定サービスを活用して、査定価格や対応内容を比較されてみると良いでしょう。
主な不動産一括査定サイト
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
2-3.できるだけ実績の多い不動産会社を選ぶ
不動産の査定を受けると、担当者となる営業マンから査定額の提示と説明を受けることになります。査定額の提示を受ける際には、物件が立地しているエリアでの取引取扱実績を確認し、できる限り実績の多い不動産会社を絞り込むことがポイントになります。
取扱実績を確認する際には、マンションの売却であればマンションの取扱実績、戸建の売却であれば戸建の取扱実績を聞くことが必要です。マンションや戸建てなど、不動産会社によっては実績が特定の種類の不動産に偏っていることもあります。
自分が売却しようとしている不動産と同じ種類の取扱実績を持った不動産会社を選んでみましょう。
2-4.担当者の提案内容を精査する
不動産売却では、担当者1人で売却活動を進めるわけではありませんが、それでも不動産売却の成否に担当者の提案力・販売力が関わってくることが多いにあります。
また、不動産売却は3ヶ月以上など一定の期間を要するため、担当者とはそれなりに長い付き合いを持つことになります。査定額の根拠を論理的に説明できるかどうか、根拠は売主として納得できる内容であるかを確認するとともに、人柄は自分と合うかどうかも判断されてみると良いでしょう。
査定の担当者がそのまま売却の担当になることもあります。担当者の言葉遣いや態度などは、買主や買主側の仲介業者が受け取る印象にもつながり売却の成否にも影響を与えるため、買い手側の印象も考慮して判断してみましょう。
まとめ
不動産売却の際に不動産会社によって査定額がバラバラになる理由としては、会社によって持っている売却実績が異なる点や、不動産会社と担当者の考え方が影響する点などが挙げられます。
不動産売却の委託先を見極めるためのポイントとしては、査定結果を比較するためにあらかじめ不動産価格の周辺相場を把握しておくことや、会社規模にとらわれず売却の取扱実績に基づいて判断することなどが重要です。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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