ヤマハ発動機のESG・サステナビリティの取り組みは?株主優待情報も【2022年11月】

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世界的な自動二輪メーカーであるヤマハ発動機は、ESGやサステナビリティの取り組みにも力を入れている企業です。最近、日本でもESG投資残高が拡大を続ける中、ヤマハ発動機の取り組みは外部から高い評価を得ているため、持続的な成長が見込める企業として注目している方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ヤマハ発動機の特徴やESG・サステナビリティの取り組み内容について詳しくご紹介します。株価動向や株主優待情報なども併せて解説するので、ESG投資に関心のある方や、銘柄選びで悩んでいる方は参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2022年11月15日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. ヤマハ発動機の特徴
  2. ヤマハ発動機のESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.サステナビリティ基本方針
    2-2.環境に配慮した取り組み
    2-3.社会に配慮した取り組み
    2-4.ガバナンスの強化に対する取り組み
    2-5.ヤマハ発動機のESG・サステナビリティに関する外部評価
  3. ヤマハ発動機の株価動向
  4. ヤマハ発動機の株主優待情報
  5. まとめ

1 ヤマハ発動機の特徴

ヤマハ発動機株式会社(7272)は、静岡県磐田市に本社を置く東証プライム市場に上場している企業です。ヤマハ(YAMAHA)のブランドで世界的に有名な自動二輪メーカーであり、国内では磐田市や浜松市、袋井市など静岡県に多くの製造拠点や事業所を構えています。

ヤマハ発動機の歴史は古く、ピアノなど楽器で有名なヤマハ株式会社(7951)の母体でもある日本楽器製造株式会社が発祥です。1897年10月12日に資本金10万円で設立された日本楽器製造からモーターサイクル製造部門を分離独立する形で、1955年7月1日に現在のヤマハ発動機が誕生しました。

主力事業は、自動二輪をはじめとする四輪バギー、スノーモビル、電動アシスト自転車などを手掛けるランドモビリティ事業となっており、全売上高の約65%を占めます。特に自動二輪事業は、2020年の世界販売台数でホンダ(7267)、ヒーロー・モトコープ(インド)に次ぐ世界3位のシェアとなっており、オートバイファンなどを中心に国内外で知名度の高いメーカーとなっています。

一方、プレジャーボートや水上オートバイなどを手掛けるマリン事業は、売上高に占める割合こそ2割強ですが、2021年12月期の決算では営業利益率が19.6%と高い水準をマークしており、業績に大きく貢献している事業です。

その他にも、産業用ロボットを手掛けるロボティクス事業やローンなどを取り扱う金融サービス事業、電動車いすやゴルフカートを取り扱うその他事業を展開しており、中でもロボティクス事業は最近強化に取り組んでいる事業となっています。

2 ヤマハ発動機のESG・サステナビリティの取り組み

ヤマハ発動機のサステナビリティに対する考え方や具体的なESGへの取り組み内容について確認してみましょう。

2-1 サステナビリティ基本方針

ヤマハ発動機は創業以来「企業活動を通じた国家社会への貢献」を社訓とし、コンプライアンスや人権の尊重、ステークホルダーとの関係の重視や適時・適正な情報開示をサステナビリティの基本方針に掲げています。

また、各ステークホルダーへの社会的責任も以下の通りまとめており、事業活動を通じた社会の持続的な発展が可能との考えに基づいてESGの取り組みなどを進めています。

お客さま 誰もが安全・安心に使用できる高品質の製品やサービスを提供し、正しい使い方の教育・普及と使用環境づくりに努めます。
従業員 従業員の健康・安全を企業成長の基盤と考え、労働環境の向上に努め、多様性を重視し、人材活躍推進に積極的に取り組みます。また、結社の自由、および団体交渉の権利を尊重します。
取引先 国籍や規模にかかわらず広く門戸を開き、長期的視野で相互繁栄の実現に取り組みます。
地球環境 地球温暖化防止に向けた技術開発を進め、環境負荷の最小化に努めます。また、生物多様性の保全とその持続可能な利用に取り組みます。
地域社会 各国・地域の文化・慣習を尊重し、地域社会との調和に努めます。
株主・投資家 相互対話に基づき、長期安定的な成長を通じた企業価値向上を目指します。

2-2 環境に配慮した取り組み

ヤマハ発動機は、環境に配慮した取り組みとして製品から排出されるCO2の削減や事業拠点におけるCO2の削減、物流活動におけるCO2の削減に取り組んでいます。

特に、ヤマハ製品の使用によって排出されるCO2は、ヤマハ発動機グループのCO2排出量のうち約80%を占めるため、燃費改善など製品使用時のCO2削減は重点的に取り組みを行っている項目です。

また、資源循環への取り組みも進めており、再生可能な資源活用による新規資源利用の削減、製造段階における廃棄物削減と資源保護、グループでの水使用量の削減なども環境に配慮した取り組みの一環となっています。

再生可能な資源の活用については、3R(リデュース・リユース・リサイクル)設計に積極的に取り組み、廃棄される二輪車や小型船舶などを取扱店が適正に処理できるリサイクルの仕組みなどを業界他社と協力・連携しながら推進しています。

さらに、生物多様性に対する取り組みも進めており、ヤマハ製品が使用される海や山といった自然環境の保護や、人が容易に立ち入ることのできないエリアでヤマハ製品を用いた自然保護活動を行うなど、持続可能な自然共生社会の実現を目指した活動も行っています。

2-3 社会に配慮した取り組み

ヤマハ発動機は社会に配慮した取り組みの一環として、グローバルな視点に立った多様性が尊重される職場作りを進めています。

単にグローバル人材の活用や女性の登用を進めるだけでなく、従業員の業務意欲をかき立てる成果や能力にリンクした人事制度の制定、仕事と生活の両立支援、労働環境の向上、社員の健康の保持・増進など、多岐に渡る取り組み内容になっています。

さらに、ヤマハ発動機では地域社会との共存共栄に対する取り組みも行っており、SDGsとも関連のある「将来を担う人の育成」「地球環境の保全」「交通安全普及」「地域社会の課題解決」という4つのテーマに対して、地域社会への教育や啓発活動、スポーツ活動などを通じて取り組みを進めています。

また、安全や品質といった顧客に対する取り組みや、サプライチェーン全体でサステナビリティを推進するなど、ステークホルダーに対する様々な取り組みが進行中です。

2-4 ガバナンスの強化に対する取り組み

ヤマハ発動機はガバナンスの強化に向けてコーポレートガバナンス基本方針を定め、リスクマネジメント体制の確立やコンプライアンス遵守に向けた取り組みを進めています。

コーポレートガバナンス基本方針では、株主の権利や平等性の確保、様々なステークホルダーとの適切な協働、適切な情報開示と透明性の確保を定めており、取締役会など各機関の役割と責務を明確にするコーポレートガバナンス体制の構築などもその内容の一つです。

リスクマネジメント体制の確立については、「サステナビリティ委員会」などの機関を設置してグループ全体のリスク低減への取り組みが進められています。

毎年、リスクの中でも特に重点的に予防や対策に取り組むべきものをグループ重要リスクとして定めており、2022年度は新型コロナウィルスによるパンデミックやサイバーセキュリティ、製品に含まれている環境負荷物質などが重点的に取り組んでいる項目です。

また、コンプライアンス遵守に向けた取り組みも進められており、世界中で展開している事業に関わる法令等についてコンプライアンスリスクの評価やモニタリングを継続的に実施しています。社員に対するコンプライアンス研修の実施や内部通報制度の整備なども進められており、2019年からは社外の取引先も内部通報制度を利用することができるようになりました。

2-5 ヤマハ発動機のESG・サステナビリティに関する外部評価

ヤマハ発動機は非財務情報の開示にも積極的な企業で、社外からもサステナビリティやESGへの取り組みで高い評価を受けています。たとえば、様々な株価指数の算出などを行う米国のMSCI社が行っているESGレーティングでは最高ランクとなるトリプルエー(AAA)評価を獲得しています。

また、MSCI社や英国に拠点を置くFTSE Russell社の算出する世界的なESG投資の指標となる以下の指数にもヤマハ発動機は選定されています。

指数 選定基準
MSCI ESG Leaders indexes 世界中の企業から環境・社会・ガバナンスへ積極的に取り組んでいる企業を選定。
MSCI ジャパン ESG セレクト・リーダーズ 日本で上場している大・中・小型株を対象としたMSCIジャパンIMI指数の中から業種ごとの偏りが出ないようESGの評価が高い銘柄を選定。
FTSE4Good Index Series 世界中の企業から環境・社会・ガバナンスの観点から様々な評価基準に基づき優れた取り組みを行っている企業を選定。
FTSE Blossom Japan Index FTSE Russell社が算出するFTSE日本指数の中からESGの3要素である環境・社会・ガバナンスの評価が高い日本企業のみ選定。
FTSE Blossom Japan Sector Relative Index FTSE日本指数の中からESGの評価が高い日本企業を業種ごとの偏りが出ないように選定。特に、温室効果ガスの排出量が多い企業については低炭素化への取り組みが評価されている企業のみを選定。

このほかにも、世界最大規模の金融指数算出会社の米国S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が発表する「S&P Japan 500 ESG」の構成銘柄や、日本のSOMPOアセットマネジメント社がESGへの取り組みに優れた300銘柄をセレクトした「SOMPOサステナビリティ・インデックス」の構成銘柄に採用されています。

3 ヤマハ発動機の株価・決算動向

ヤマハ発動機の株価動向についても確認しておきましょう。以下は、2018年以降の四半期末日の終値でまとめた表です。

(単位:円)

項目 3月末 6月末 9月末 12月末(期末)
2018年 3,180 2,786 3,185 2,159
2019年 2,171 1,915 1,958 2,203
2020年 1,307 1,688 1,522 2,104
2021年 2,711 3,020 3,120 2,759
2022年 2,756 2,486 2,707

ヤマハ発動機の株価は大きく騰落していることが確認できます。特に、2020年に入ってからは新型コロナウィルスなどの影響による株価の下落が顕著に表れており、2018年9月末に3,185円だった株価は2020年3月末には1,307円と大幅な下落となりました。

(単位:百万円)

決算期 2017年12月 2018年12月 2019年12月 2020年12月 2021年12月
売上高 1,670,090 1,673,137 1,664,764 1,471,298 1,812,496
営業利益 149,782 140,787 115,364 81,672 182,342
当期純利益 101,603 93,366 75,736 53,072 155,578

ヤマハ発動機の2017年以降の決算内容をまとめた上の表と併せて確認します。2020年12月期は売上高約1.47兆円と前年同期比10%超の減収、当期純利益については約530億円と同比30%ほどの大幅減益となっています。

その後、2021年12月期の決算見通しがコロナ前の2019年12月期を大幅に上回る増収増益となったことから、2021年9月末には3,120円まで値を戻しています。2022年に入ってからはやや足踏みを続けていたものの、現在は2021年9月末を上回る水準まで値上がりしており、2022年11月15日時点では3,455円となっています。

2022年12月期の第2四半期の決算発表で増収減益としていた業績見通しを、第3四半期に増収増益と見直したことが株価の上昇につながっています。

今後については円安などの上振れ要因はあるものの、原材料費や物流コストの高騰、半導体の供給不足などのマイナス要因も懸念されるため、決算情報などに注目しながら株価の推移を注視していくことが大切です。

4 ヤマハ発動機の株主優待情報

ヤマハ発動機では、毎年12月31日時点で株主名簿に記載されている株主を対象に株主優待を実施しています。優待品と交換可能なポイントが付与される株主優待で、保有株式数と保有期間に応じたポイント付与の詳細は以下の通りです。

保有株式数 保有期間
3年未満 3年以上
100株以上500株未満 1,000ポイント 2,000ポイント
500株以上1,000株未満 2,000ポイント 3,000ポイント
1,000株以上 3,000ポイント 4,000ポイント

市場での最小取引単位である100株以上を保有している株主が対象となり、3年以上の長期保有者に対しては各1,000ポイントの上乗せがあります。付与されたポイントは、「株主優待のご案内」に掲載されている優待品と交換することができ、1,000ポイントから静岡県をはじめとする全国各地の名産品などへの交換が可能です。

2021年12月期はJリーグのジュビロ磐田観戦ペアチケット(1,000ポイント500組限定)や、ヤマハのバイクレンタルやボート免許の教室で利用できる割引券(2,000ポイント)なども交換可能で、これらを利用する方にとっては嬉しい優待内容となっています。

また、ヤマハ発動機では毎年6月末時点でも1,000株以上保有している株主に優待を実施しており、翌年の同社カレンダーを申込みした株主へ配布しています。

まとめ

ヤマハ発動機は、ESG投資の判断基準となる国内外の様々な指数に採用されるなど、サステナビリティ・ESGに対する取り組みが社外から高い評価を受けています。

株価はここ5年ほどで大きく変動していますが、2020年12月期に大きく売上高が減少した新型コロナウィルスなどによる影響から回復傾向を見せており、2022年12月期も増収増益の見通しとなったことからも堅調な推移です。

一方、今後も円安などプラスとなる要因はあるものの、原材料費の高騰や半導体の供給不足といったマイナス要因もあるため、株価動向については注視が必要な銘柄となります。ヤマハ発動機に関心のある方は、ESGへの取り組み内容や株主優待情報なども考慮した上で投資判断を行うようにしてください。

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