海外不動産投資で注意したい為替リスクは?4ヵ国の通貨の値動きを検証

海外不動産投資では、現地の通貨で物件を購入し、現地の通貨で家賃を受け取ります。このため、海外不動産投資では対円相場の変動によって収益も変動する点に要注意です。

為替変動に伴う収益の変動リスクを「為替リスク」と言います。海外不動産投資を検討する際は、この為替リスクについてもセットで考え、過去の推移や経緯から、将来的なリスクについても慎重に検討しておくことが重要なポイントとなります。

この記事では、日本から不動産投資ができる国について、対円相場の推移を比較します。

目次

  1. 各通貨の値動き
    1-1.USドルとユーロの値動き
    1-2.マレーシアリンギットの値動き
    1-3.タイバーツとフィリピンペソの値動き
    1-4.経済規模が大きいほど通貨の変動も大きい
  2. 各国のメリット・デメリット
    2-1.アメリカ不動産投資のメリット・デメリット
    2-2.マレーシア不動産投資のメリット・デメリット
    2-3.タイ不動産投資のメリット・デメリット
    2-4.フィリピン不動産投資のメリット・デメリット
  3. まとめ

1.各通貨の値動き

日本から海外不動産投資が可能な国について、2016年からの為替変動を比較します。先進国と新興国とでは、変動幅に違いがある点に要注意です。

1-1.USドルとユーロの値動き

代表的な先進国であるアメリカのUSドルとヨーロッパのユーロについて値動きを検証します。直近の5年間における各通貨の値動きは以下グラフの通りです。

USドルとユーロの為替推移※参照:日本銀行「基準外国為替相場および裁定外国為替相場一覧

直近の5年間では、USドルもユーロも2016年10月に最低値を記録しています。2016年10月〜11月は、アメリカ大統領選挙があった時期です。11月にはトランプ氏が大統領に選出されています。

トランプ氏が政治経験を持っていなかったことや、「メキシコとの国境に壁を作る」など過激な発言を繰り返したこともあり、市場には先行き不安を嫌う空気が広がった経緯があります。経済混乱などのリスクを避けたい考え方もあり、円高に振れたものと予測されます。

その後、トランプ大統領は当選後に経済政策を推進したことから、ドル高が進みました。2020年にコロナウイルス感染症が拡大したこともあり、ゆるやかに円高へ向かっています。

2016年1月以降の5年間において、USドルの最高値と最低値との差は22円です。この記事でご紹介する通貨の中では、USドルの振れ幅はユーロと並んで最大となっています。

ユーロもUSドルと同様でトランプ大統領選出時に値下がりしました。しかし、5年間の推移を比較すると、ユーロの値動きはUSドルよりも激しくなっています。過去5年間におけるUSドルとの比較では、ユーロの方が為替変動のリスクが大きいと言えるでしょう。

1-2.マレーシアリンギットの値動き

つづいて、中進国とも言われるマレーシアリンギットの値動きを検証します。直近5年間におけるマレーシアリンギットの値動きは以下グラフの通りです。

マレーシアリンギットの為替推移※参照:日本銀行「基準外国為替相場および裁定外国為替相場一覧

2016年以降の直近5年間では、マレーシアリンギットが最高値をつけたのは2016年4月です。欧米諸国の通貨と同様に、マレーシアリンギットもトランプ大統領が選出された時期に最低値を記録しています。

マレーシアリンギットは、アメリカ大統領選挙が開催されて以降、2018年初頭に28円台まで上がりました。しかし、それ以降は緩やかに値下がりしています。

マレーシアリンギットの最高値と最低値との差は6.26円です。外的な要因によって通貨が約6円下落する点は、新興国特有のリスクと言えるでしょう。

1-3.タイバーツとフィリピンペソの値動き

最後に、タイバーツとフィリピンペソの値動きを検証します。2016年以降における各通貨の推移は以下グラフの通りです。

タイバーツとフィリピンペソの為替推移※参照:日本銀行「基準外国為替相場および裁定外国為替相場一覧

2016年のアメリカ大統領選以降の推移を見ると、タイバーツは2017年に入ってから3円以上を維持しています。その一方で、フィリピンペソは2017年以降に再び下落しました。直近5年間におけるフィリピンペソの底値は2018年6月の2.01円です。

各通貨の最高値と最低値との差は、タイバーツが0.73円、フィリピンペソが0.57円となっています。

1-4.経済規模が大きいほど通貨の変動も大きい

各通貨を比較すると、直近の5年間において、値動きが最も大きいのはUSドルとユーロで、値動きが最も小さいのはフィリピンペソです。経済規模が大きくなるほど、通貨の値動きも大きくなると言えるでしょう。

なお、どの通貨もトランプ大統領が選出されたタイミングで下落していることから、アメリカなど大国の政治情勢は各国の為替に大きな影響を与えることがわかります。

海外不動産投資においては、為替変動が収益に与える影響は少なくありません。海外不動産の購入を検討する際には、大国の政治情勢と為替変動に気を配る必要があります。

2.各国のメリット・デメリット

通貨の変動とは別に、把握するべき各国不動産投資のメリット・デメリットについて解説します。

2-1.アメリカ不動産投資のメリット・デメリット

アメリカ不動産投資のメリットは、全般的なリスクを抑えて投資できることです。アメリカでは外国人投資家も土地を購入できるほか、海外送金に関する規制などもありません。

その一方で、他国と比較すると物件価格が高めで利回りが低くなる点はデメリットです。特にカリフォルニア州・ニューヨーク州・ハワイ州といった都会では、不動産価格が高くなります。

アメリカでは州ごとに経済状況や税制が異なる点に要注意です。アメリカ不動産投資で物件を選ぶときには、州ごとの特徴把握が重要になります。

2-2.マレーシア不動産投資のメリット・デメリット

マレーシア不動産投資のメリットは、今後の経済成長に伴う利益の拡大を狙える点です。IMFによると、マレーシアの2021年予測GDPは7.8%となっています。(※参照:IMF「Real GDP growth」)

日本の予測GDP2.3%と比較して、マレーシアでは日本よりも大きな経済成長を期待できます。また、2025年までの予測を見ても、マレーシアはGDP成長率5%以上を維持する見通しです。

その一方で、外国人投資家に対する規制はマレーシア不動産投資のデメリットとなります。マレーシアでは、外国人は価格RM100万以上の物件しか購入できません。入居者ターゲットが現地の富裕層か外国人駐在員などに限定されるため、綿密な投資戦略が必要です。

2-3.タイ不動産投資のメリット・デメリット

タイ不動産投資のメリットは、日本人の現地エージェントを探しやすいことです。外務省が発表している「海外在留邦人数調査統計」によると、2019年10月時点で、タイには約80,000人の日本人がいます。

タイの首都バンコクには特に現地で不動産業を営む日本人も少なくなく、複数のエージェントを見つけることができます。日本人エージェントを介して取引すれば、商習慣や言語の違いによる負担を軽減可能です。

その一方で、タイ不動産投資のデメリットは、周辺諸国と比較すると成長の余地が小さいことです。CIA「THE WORLD FACTBOOK」によると、タイの推計年齢中央値は2020年時点で40.1歳になっています。

東南アジアには推計年齢中央値が20代の国も多く、人口面での成長期待が比較的に小さいと言えるでしょう。そのほか、2025年の予測GDP成長率が3.7%で、日本よりは高いものの、周辺諸国よりは低くなっています。

2-4.フィリピン不動産投資のメリット・デメリット

フィリピン不動産投資のメリットは、高い人口密度を背景として、空室率の低い投資を期待できることです。世界銀行「World Bank Open Data」の統計によると、2018年におけるフィリピンの人口密度は357.7人/㎢で、日本の347.1人/㎢よりも高くなっています。

フィリピンでは規制によって外国人が土地を所有できません。このため、フィリピン不動産投資ではコンドミニアムが投資対象になります。集合住宅の投資で空室率を下げるためには、人口密度が高いエリアで物件を選ぶことが必要です。

2018年時点で人口が1億人を超えているほか、人口密度も日本より高いフィリピンには、入居者を入れやすい環境が整っています。

その一方で、フィリピン不動産投資には不動産会社の選定に要注意です。フィリピンには国内大手のデベロッパーが複数ありますが、各社は客層によってグループ会社を分けています。

まとめ

海外不動産投資では、投資先の国の通貨で取引するため為替変動に要注意です。通貨ごとの為替変動を比較すると、経済規模が大きい国ほど為替変動が大きくなります。

また、アメリカ大統領選挙など、大国の政治情勢に合わせて変動する通貨が見られます。リスクヘッジのためには、世界情勢を見ながら物件購入時期を見計らうことも必要になります。なお、多くの通貨は、世界的に不安が広がると円高へ進む傾向が強いと言えます。

そのほか、リスクヘッジのためには、各国のメリット・デメリットを把握することも重要です。投資目的と各国のメリット・デメリットを照らし合わせてみましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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