マンションを売却するタイミングを見極めるための5つの判断軸

マンションの販売価格は、時期によって「高くなるとき」と「そうでないとき」があるため、売却する際はタイミングを正しく見極めて売り時を逃がさないことがポイントになります。またマンションの保有期間によっては支払う税金も大きく異なるため、売却費用を抑えるためにも、売るタイミングの見極めは重要です。

この記事では、マンションを売却する適切なタイミングを解説していきます。スムーズに買い手を見つけて、できるだけ高く売りたいという方は、参考にしてみてください。

目次

  1. マンションの販売価格を決める要因
  2. 売却のタイミングを見極める5つのポイント
    2-1.「不動産市況・経済動向」で判断する
    2-2.「住宅ローン金利」で判断する
    2-3.「税制」で判断する
    2-4.「季節要因」で判断する
    2-5.「物件固有の条件」で判断する
  3. まとめ

1 マンションの販売価格を決める要因

まずはマンションの販売価格がどのように決まるかを確認します。販売価格に影響する主な要因は次の通りです。

  • 立地
  • 間取り
  • 築年数
  • 周辺環境
  • 土地公示価格・道路の路線価
  • 近隣類似物件の相場価格

一般的には築浅で立地が良いほどマンションの価値は高くなりますが、築年数が経つごとに下落していきます。しかし、築30年以降になると下落は止まり、逆に上昇に転じるケースも見られます(レインズ「中古マンションの築年帯別平均㎡単価」より)。

例えば、築30年以上の築古マンションなら下落のスピードが緩やかになるため、無理に売り急ぐ必要はなく、買い手が集まりやすい時期など不動産市況などを正しく見極め、最も高く売れる時期に売却することが重要になります。

このほか、公園、学校・病院・買物場所、騒音・臭いといった周辺環境や、単身者用・家族用、開口部の方位といった間取りなどの条件も販売価格に影響します。周辺相場や近隣での開発案件があれば、それらも同様です。

後述するように築年数だけで売却のタイミングを判断するのではなく、支払う税金や買い手目線の住宅ローン金利といった要因を総合的に見ることが大切です。

2 売却のタイミングを見極める5つのポイント

中古マンションを有利に売る場合は、マンション市場が活況になる(=購入需要が多い)時期が狙い目です。例えば新築マンションの販売価格が高騰した時などは、価格が高い新築を諦め、安い中古マンションに目を向ける購入者が増えます。

2-1 「不動産市況・経済動向」で判断する

新築マンションの販売価格が高騰する条件は以下のようなタイミングが挙げられます。

  1. マンションの地価が高騰しているとき
  2. 建築資材の価格が高騰しているとき
  3. 建築関係者の人件費が高騰しているとき

①については、新規物件の開発や工場、店舗を広げるために用地を確保する、個人が積極的にマイホームを買うなど、経済環境が活況を呈している場合です。②、③については、ホテルや店舗、マンション、オフィスビルなどの建設ラッシュになった場合に、資材や人が不足するためマンションの価格が上がります。

また、景気が良くなれば収入も上がり、融資も付きやすくなることで価格が高い新築物件を買う人も現れてきます。好景気の時には、価格が高騰した新築マンションの購入を諦めた層が中古マンションの購入需要を支え、その市場価格も高い水準を維持することができます。そのような時期に売れば、買い手は見つけやすく、比較的高い価格で売ることも期待できます。

なお、経済・景気動向の先行きを予測するのは難しく、リーマンショックなどのように、突然景気の歯車が狂うこともあります。一度不況が訪れれば回復するのに一定の時間がかかります。

政府は2019年5月、景気動向指数の基調判断について約6年ぶりに「悪化」と下方修正しました。戦後最長とも言われたアベノミクス景気に、後退する可能性が出てきた現在も売り時の一つと言えるでしょう。

2-2 「住宅ローン金利」で判断する

国の金利政策も不動産の売却に大きく影響を与える要因です。マンションを売却する時期が、国の金融引き締め政策の時期に該当するか、金融緩和政策の時期にあたるかで、購入需要に大きな違いが生じるからです。

なかでも住宅ローン金利は、マンションの購入需要を左右します。国の金利政策が金融引き締め期で住宅ローン金利が高いと、マンションの購入を諦める方が多くなり、反対に金融緩和期で住宅ローン金利が安いと、マンションを購入したいと考える方が多くなるわけです。マンションを購入したいと考える方が多くなれば、物件を高い価格で売りやすくなります。

住宅ローンの金利にはおもに「変動型」と「全期間固定型」の2種類があります。変動型はその時々により金利が変動するため、短期金利(国の政策金利)に連動します。また、全期間固定型は途中で金利を変えることができないため、将来的な経済情勢を予想して長期金利(10年物国債の利回り)を参考に決定されます。

住宅ローン金利は、国の政策金利と不可分の関係にあります。現在、大規模な金融緩和政策を続けている日本では、住宅ローン金利も連動して安くなっており、ローンを組んで住宅を購入しやすい環境下にあると言えます。

このようにマンション売却では、国の金融緩和政策により住宅ローン金利が安く、購入需要が旺盛な時期がおすすめのタイミングと言えます。

2-3 「税制」で判断する

不動産を売却して利益が出れば、その譲渡所得に対して譲渡所得税(所得税・住民税)がかかります。譲渡所得の税率は、不動産の所有期間により以下のように区分されています。

譲渡所得区分 短期譲渡所得 長期譲渡所得
不動産の所有期間 5年以下 5年超
税率 39.63%
(内訳 所得税30.63%・住民税9%)
20.315%
(内訳 所得税15.315%・住民税5%)

(注)
・所有期間は、譲渡した年の1月1日時点で算定されます
・税率には、復興特別所得税が上乗せされています

不動産を所有して5年以内に売却すると、5年超所有した場合に比べ、ほぼ2倍の税金がかかることになります。税金を抑えてマンションを売却する場合は、所有期間が5年超の長期譲渡所得が適用されるタイミングで売るのが良いでしょう。特に、売却するマンションがマイホームではなく賃貸目的の投資用物件の場合には、長期譲渡所得の適用を受けることが重要になります。

一方、売却するマンションがマイホームの場合には、次のような税制上の優遇措置が講じられています。

  • 一定の要件を満たせば、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円までが控除されます。
  • 所有期間10年超の場合は、一定の要件を満たせば、長期譲渡所得の税率より低い軽減税率が適用されます。

2-4 「季節要因」で判断する

不動産は、1年のうちで売りやすい時期と売り難い時期があります。経済状況に大きな変動がない限り、毎年同じようなサイクルを繰り返します。

例えば、例年3月下旬~4月初旬にかけて、入学・卒業・就職・転勤・退職などのシーズンに合わせて人の移動が生じるため、その時期に間に合う2~3月に不動産の購入・賃貸需要が活発になり、マンションも売りやすくなります。

逆に、人の移動が一段落した4月以降は売りにくい時期になります。4月以降になると、ほとんどの人が新居を決めて移り住んでしまっているため、不動産の購入・賃貸需要が沈静化します。

そのため売却を検討する際は、販売開始から3ケ月間程度の期間を見込んでおくことが大切です。例年の2~3月に照準を合わせ、前年から売却の準備に入るのが良いでしょう。前年のうちに販売計画の策定・売却査定・不動産業者選び・販売価格の決定を済ませ、年明け早々に募集を開始し、2~3月のうちに売却ができるよう内覧対策や価格交渉に力を入れます。

このように、マンションは春の移動シーズンを逃さないように売るのが上手なタイミングのとり方です。

2-5 「物件固有の条件」で判断する

物件固有の条件からみた売却のタイミングも重要です。売却のタイミングに大きく影響する条件は、以下の2つがあります。

  • 築年数
  • 大規模修繕の時期

まずは、マンションの築年数と売却価格の関係を詳しく見てみます。公益財団法人の東日本不動産流通機構から、首都圏中古マンションの築年数帯別成約単価の状況が公表されています。

2018年の中古マンション築年数帯別㎡単価(成約単価)

築年数帯区分 1㎡単価 直前の築年数帯からの下落率
築0~5年 80.96万円
築6~10年 68.06万円 △15.9%
築11~15年 60.56万円 △11.0%
築16~20年 52.77万円 △12.9%
築21~25年 38.70万円 △26.7%
築26~30年 29.68万円 △23.3%
築31年~ 31.70万円 6.8%

(レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場2018年1~12月の動向

上記表のとおり築年数を経るごとに、中古マンションの成約単価が下落しています。築16~20年までは、直前の築年数帯からの下落率が10%台であるのに対し、築16~20年以降は、築31年に至るまで20%台と大きな下落率となっています。下落率が大きくなる前に売却を検討するのも一つの方法です。

また、マンションは、築10~15年を経ると大規模修繕の時期を迎えます。大規模修繕では、以下から必要なものを組み合わせて補修工事を行います。

  • 屋上防水加工
  • 外壁の亀裂・剥離補修
  • 外壁洗浄・塗装
  • エレベーター・玄関自動ドアの入れ替え・修理
  • 階段・廊下など共用部の亀裂・剥離補修
  • ベランダ防水加工など

大規模修繕を終えた時期に売り出されるマンションの販売用広告やチラシには、「大規模修繕実施済み」と表記されます。大規模修繕実施済みの物件は、買い手にとって大きなメリットです。

また、大規模修繕では、外壁の洗浄・塗装や階段・廊下などの破損個所が補修されるため、買い手が下見を行う場合、外観や共用部が綺麗で見栄えがすると好印象を与えます。

築年数と大規模修繕の両方の要素を判断した際、中古マンションなら「築15年程度」「大規模改修実施済み」であれば売り時と言えるでしょう。

3 まとめ

適切な売却のタイミングを逃すと、「買い手がつかない」「売れないため販売価格を値下げする」といった対応が必要になってきます。

保有期間で変わる譲渡所得税にも注意が必要ですが、いずれにしてもマンション売却は、時間の経過とともに売却に与える影響も変化するという特徴を持っています。売却を検討している方は、この記事を参考に、マンションの売主にとって有利に変化するタイミングを見計らって売却を検討してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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