傾きや雨漏りがある不動産に投資しても大丈夫?空き家再生の投資家が解説

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空き家再生投資を検討する際、傾きや雨漏りといったトラブルが発生している物件への投資については慎重に判断していきたいポイントです。

数ある物件トラブルの中でも傾きや雨漏りといった瑕疵物件は問題を解消することが難しく、多額の修繕費用を必要としたり、修繕を行っても再発してしまうなどのリスクがあります。

当コラムではそんな傾きや雨漏りがある不動産への投資が避けられる理由や、購入前に知っておきたいポイントについて、空き家再生の投資家である筆者が詳しく解説していきます。

目次

  1. 雨漏り・傾きがある不動産のリスク
    1-1.雨漏り・傾きは高額修繕費用が発生する代表的な物理的瑕疵物件
    1-2.DIYでの修繕難易度が高い
    1-3.内部に侵入した湿気により更なる高額修繕が発生する恐れも
  2. 傾きや雨漏りが発生しやすい不動産の特徴
    2-1.坂が多いエリアの物件は傾きが発生しやすい
    2-2.周囲に森の多いエリアの物件は雨漏りが発生しやすい
  3. 雨漏りがある不動産の購入前に知っておきたい屋根の種類
    3-1.スレート屋根
    3-2.金属屋根
    3-3.瓦屋根
  4. 家の傾きがある不動産の購入前に知っておきたい基礎知識
  5. 雨漏り・傾きがある不動産へ投資するメリット・デメリット
  6. まとめ

1.雨漏り・傾きがある不動産のリスク

1-1.雨漏り・傾きは高額修繕費用が発生するリスクがある

雨漏りや傾きがある不動産は、修繕に高額な費用が発生してしまうことがあります。雨漏りの一例として、屋根材の下に敷かれた「ルーフィング」と呼ばれる防水シートが劣化していた場合の雨漏りトラブルがありますが、屋根全体のルーフィングを交換する葺き替え工事を業者に依頼すると、数百万円単位の修繕費が発生することも珍しくありません。

また家の傾きもジャッキアップといった修繕作業が必要になりますが、屋根工事と同様に高額な修繕費用が発生してしまいます。なお、家の傾き原因が地盤沈下なのか、または基礎の劣化によるものなのか、物件の周辺環境などによっても対策できる修繕方法は異なり、根本的な解決が難しい場合もあります。

これらの対策は、新たな安価な物件が購入できるほど高額な修繕費用の発生にも繋がりかねません。このような背景があり、特に雨漏りや傾きといった瑕疵は注意しておきたいポイントとなっています。

1-2.DIYでの修繕難易度が高い

雨漏りと家の傾きの修繕は、不動産の修繕項目の中でもDIYでの修復が非常に困難なリフォーム項目の1つです。一度の失敗が新たなトラブルや事故を引き起こしてしまう恐れが非常に高い修繕項目のため、現場経験の無い初心者投資家ほど注意が必要でしょう。また屋根は金属屋根と瓦屋根で業者が違うほど高度な専門性が求められる修繕項目なので、葺き替えといった大掛かりな工事のDIYは一定以上の経験が求められます。

そのため、DIYで雨漏りや家の傾きといった修繕を検討している場合には、実際に職人業のアルバイトや先輩投資家のお手伝いなどで現場経験を積んでからの挑戦が大失敗を避けるためのコツでしょう。ただし軽度の雨漏りであれば、雨樋のつまりが引き起こすオーバーフローが原因であるケースもあり、この場合は簡単に解決できることもあります。

物件によってトラブルの原因は様々なので、DIYでも簡単に修繕できる項目かどうかの判断も空き家再生投資で求められるスキルです。

1-3.内部に侵入した湿気により更なる高額修繕が発生する恐れも

家の傾きや雨漏りは、本来家の内部に水分が侵入しないよう作られた構造に屋根や基礎の亀裂などに穴をあけてしまった状態です。雨漏りと傾いている期間が長いほど、内部に水分が侵入した期間が長いため雨漏りと傾き修繕以外の様々な問題を発生させる恐れがあります。

例えば、陽の光が当たらない湿気の多い場所を好むシロアリの発生や、カビなどによる柱の腐食といったトラブルが引き起こされてしまいかねません。一つの欠陥が連鎖的に問題を引き起こし、結果的に屋根や家の傾き修理だけではなく、更なる修繕項目が追加されてしまうこともあるのです。

物件の状態を見る時は、一部の欠陥だけでなく全体を俯瞰し、様々な角度から検証する必要があります。複数の問題が想定される場合は、修繕の労力や時間とコストを考えて投資判断を行いましょう。

2.傾きや雨漏りが発生しやすい不動産の特徴

2-1.坂が多いエリアの物件は傾きが発生しやすい

急な坂道が続いており段々畑のように物件が集中しているエリアは、物件に傾きが発生しやすい特徴となります。実際に筆者が物件を探している際に傾きが発生している物件を内見したケースの殆どは、ひな壇型の宅地という共通点が印象的でした。

坂の多いエリアやひな壇型が形成されている住宅地では、物件の傾きが発生している可能性が高い、もしくは今後発生する恐れがあるため注意が必要です。

ただし、傾斜地はデメリットだけではなく、展望がよく光があたり、風通しが良いといったメリットもあります。傾きを解決することができれば、好条件の物件として高利回りを期待できるケースがある点も見逃せないポイントです。

2-2.周囲に森の多いエリアの物件は雨漏りが発生しやすい

周囲に森など木が多いエリアの物件は、雨漏りトラブルが発生しやすい立地条件となります。理由としては毎年落葉した落ち葉が雨樋の詰まりの原因となり、梅雨といった雨天の多い季節でオーバーフローを発生させるためです。

特に針葉樹ではなく、毎年大量の落ち葉を発生させる落葉樹の巨木が物件の周囲に点在する場合には注意が必要でしょう。オーバーフローを起こしている物件の見極め方は、雨樋(あまどい)に溜まった水を下に流す役割を持つ「集水器」から植物が育っているかどうかで判断することができます。

集水器に詰まりを起こしていると、中で落ち葉が腐葉土と化してしまい植物が育つ環境の条件が揃っていることがあります。オーバーフローを起こしている雨樋は外観から雨樋に植物が育っていることがあるため、一つの判断ポイントになるのです。

屋根に登って定期的に雨樋から、落ち葉や腐葉土の除去といったマメなメンテナンスを行っている方はごく少数と予想されます。雨樋からのオーバーフローが続いた結果、何度も溢れた水分が屋根の内部に侵入し雨漏りといったトラブルを起こしてしまう原因です。

物件の周囲に落葉樹の林や森が沢山存在する立地の物件は、雨漏りトラブルを避けるために雨樋の定期的な清掃を行うことも対策の一つになるでしょう。

3.雨漏りがある不動産の購入前に知っておきたい屋根の種類

3-1.スレート屋根

スレート屋根とは薄いセメントを原料とした屋根材で、カラーベストやコロニアルという名称で呼ばれることもあります。数ある屋根材の中でも最も価格が安く、軽い屋根材のため地震被害に強くデザインも豊富といったメリットを持つ材質です。

デメリットは耐久度が低く割れやすいため、定期的な交換や屋根塗装といった高額な定期メンテナンスが求められる点となります。空き家再生投資では、長年放置された結果として、全ての交換を行う高額な葺き替え工事が必要なケースが多い材質となるため注意が必要です。

3-2.金属屋根

金属屋根は金属の材質で構成された屋根で、住宅に採用されている金属屋根の材質を細分化すると以下の4種類が存在します。

  • トタン屋根
  • ガルバリウム銅板屋根
  • ステンレス屋根
  • チタン屋根

また住宅用の物件に採用されているケースはあまり無い材質ですが、お寺や神社などに採用されている銅板屋根などもあります。この中でも空き家再生投資として私が最も目にする機会の多かった屋根の材質は、トタン屋根でした。

トタン屋根は金属屋根の中でも最もコストが安く、以前は軽量のため地震に強いといったメリットを持つ屋根材でした。一方で熱伝導が良い材質のため、夏や冬の気候の影響を受けやすく空調代が高く付くなどデメリットが多いため、年々採用している物件数が減少している材質です。

さらに一度劣化により腐食し雨漏りが発生したトタン屋根は部分修理での修復が難しく、全体の葺き替え工事やカバー工法といった高額修繕が発生する恐れがあります。腐食を防ぐためには定期的な屋根塗装といったメンテナンスが必要ですが維持費が高額なため、長期的な目線では結果として導入コストの安い恩恵を受けにくい材質なので注意が必要です。

3-3.瓦屋根

日本の住宅でポピュラーな材質として長年愛されている瓦屋根は、耐久性の高さが魅力の屋根材となります。金属屋根やスレート屋根のように高額な修繕費用が求められる材質と異なり、粘土瓦の屋根は定期的なメンテナンスが必要ありません。

また瓦屋根は屋根全体の葺き替えが求められるスレート屋根や金属屋根と異なり、部分的な修理が可能な点もメリットの屋根材です。空き家再生投資であれば修繕費用が他材質と比較すると安価に済ませることができる可能性が高く、家の状態も良好に保っている可能性の高い材質となります。

デメリットとしては屋根が重くなるため地震被害に弱く、建物の柱や基礎などに被害が及んでいる可能性が高い点に注意が必要です。ただし、昔ながらの平屋に採用されているケースが多いセメント瓦は防水性がないため、屋根塗装といったメンテナンスコストがかかるなどデメリットを多く抱えた材質である点に注意しましょう。

4.家の傾きがある不動産の購入前に知っておきたい基礎知識

家の傾きは地盤自体が原因で引き起こされる場合と、シロアリなどの被害で劣化した建物が原因で引き起こされるケースがあります。建物の劣化により生じた家の傾きは修繕することができますが、地盤が原因で引き起こされる傾きは修繕には特に注意が必要です。

地盤により家の傾きが生じてしまう事例としては、元々沼地であった土地など地盤の柔らかい土地で地震の影響により液状化現象が発生している、などの要因で引き起こされてしまいます。地盤が原因で傾きが生じている物件はジャッキアップで修繕することができないため、薬液注入や新たな杭を打ち込むといった大掛かりな修繕工事が必要です。

修繕費用の目安としては200万円以上と、最低限のリフォーム費用だけでも地方エリアの安価な物件が購入できるほどの修繕費が発生してしまいます。家の傾きが発生している物件は、ジャッキアップで修繕が可能な建物の劣化による原因かどうかの見極めも、空き家再生投資で求められると言えるでしょう。

5.雨漏り・傾きがある不動産へ投資するメリット・デメリット

雨漏りや傾きがある物件の概要を紹介していきましたが、どちらの物件も共通点はハイリスクであるという点になります。高額な修繕コストと労力、リフォームの時間を考慮すると、同じ費用で状態の良い物件を買った方が良かったというトラブルに繋がりかねません。

また高額な修繕費用の見積もりで先に進むことができずに、損切りを余儀なくされるといった失敗にも繋がる恐れがあります。雨漏りや傾きが生じている物件を購入する場合は、トラブルを避けるためにも入念な下調べと高いスキルが求められる可能性があるということに理解が必要です。

一方で、DIYによるローコストでの修繕が可能な場合には、「雨漏り・傾き」が競合する投資家の参入障壁となり、高利回り物件を優先的に取得できる可能性を秘めています。

雨漏りや傾きがある空き家再生に挑戦する際は、物件購入価格は相場より安いが適正賃料で空室を埋められるかどうかという投資判断に加えて、欠陥を解消して入居者へ快適な住環境を提供できるかどうかという建物修繕・管理の知識も重要なポイントになります。

実践経験を経て修繕できる算段を立てることができる場合など、経験者向けの投資対象となるでしょう。

まとめ

空き家再生投資で傾きが生じている物件や、雨漏りが発生している物件の購入を検討しているケースでは高額な修繕費が発生する可能性があり、ハイリスクな投資対象となります。ただし、リフォーム費用をカバーできるほど安価に入手できるケースや、自身が培ったDIYスキルによってはライバルが真似できない強みを持つ不動産投資の手法になり得るメリットがあります。

空き家再生投資も年々人気が高まり状態の良い安価な築古不動産の入手が難しくなっていますが、あえて欠陥のある物件投資を攻略することで競争に巻き込まれないビジネスモデルを組み立てることが可能です。経験者向けのハードルの高い選択肢の1つとなるため、傾きや雨漏りの注意点を押さえた上で、投資の検討を行いましょう。

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HIROTSUGU

過去に屋根工事・防水塗装・リフォーム業へ携わった現場経験を元に、20代で中古戸建物件を購入し初期費用を安価に済ませるDIYで不動産賃貸業を開始。不動産投資の他に暗号資産や投資信託、FXなど多彩な資産運用経験を元にフリーライターとして執筆活動を行なっています。