福岡と大阪でのアパート経営の違いは?空室率や成約賃料の推移から検証

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投資先の地域分散や、高い利回りの追求などを目的に地方でのアパート経営を検討する方は少なくありません。首都圏以外でのアパート経営を考えるときに、大阪や福岡は有力な選択肢となっています。

今回は入居率や成約賃料などをもとに、二つの地域でのアパート経営について解説します。また後半では、福岡や大阪でも多数の成約実績があるシノケンプロデュースやアイケンジャパンについても紹介します。

目次

  1. 福岡と大阪の空室率の推移・比較
  2. 福岡と大阪の成約賃料の推移
  3. 九州と関西の不動産価格・利回りの推移
  4. 福岡・大阪におけるアパート経営のメリット・デメリット
    4-1.大阪でアパート経営を行うメリット
    4-2.大阪でアパート経営を行うデメリット、注意点
    4-3.福岡でアパート経営を行うメリット
    4-4.福岡でアパート経営を行うデメリット、注意点
  5. 福岡・大阪のアパート経営の実績豊富な不動産会社
    5-1.シノケンプロデュース
    5-2.アイケンジャパン
  6. まとめ

1 福岡と大阪の空室率の推移・比較

株式会社タスの調査レポートによると、大阪と福岡の空室率は次の通りです。

大阪・福岡の空室率の推移


出所:株式会社タス「レポート(Report)
2021年3月以降半年刻み、および記事執筆時点で最新の2023年11月時点

福岡県の空室率は2024年2月に11.3%、大阪府は9.9%となっています。福岡は2021年以降緩やかに上昇傾向で、大阪府も2022年末頃を境に上昇傾向に転じています。なお、東京23区は9.9%で、こちらも2023年春先を境に上昇し始めています。

近年続く賃料水準の高騰が、若年層や新社会人の都市流入の抑制要因のひとつとなっていると考えられます。次の見出しで紹介するように賃料の高騰が続くなか、空室率の上昇リスクには注意が必要です。

特に福岡の空室率は東京や大阪と比べて高く、収支計画を立てるときには空室率を保守的にとらえて投資戦略を立てる必要があるでしょう。

2 福岡と大阪の成約賃料の推移

全国賃貸管理ビジネス協会「全国家賃動向」では毎月都道府県別の賃料水準を公表しています。2024年1月は総平均賃料が福岡県で58,145円で前年同月比+3.8%、大阪府は60,836円で同+0.6%でした。

大阪府・福岡県の成約賃料の推移


出所:全国賃貸管理ビジネス協会「全国賃料動向
2021年3月以降半年刻み、および記事執筆時点で最新の2024年1月時点

福岡県は1年前の2023年1月も56,019円で前年同月比+1.9%と、賃料が上昇傾向となっています。同月の大阪は60,450円で前年同月比▲0.6%です。

ふたつの都市を比べると、現時点では大阪の方が賃料水準が高く2024年1月時点でおよそ2,700円の差があります。大阪府の賃料のほうが上下のブレが大きいためもう少し経過をみる必要がありますが、福岡の賃料の上昇が続けば、今後福岡と大阪の賃料の格差は縮小に向かう可能性があります。

3 九州と関西の不動産価格・利回りの推移

不動産価格の動向や利回りについては、大阪含む関西と福岡を含む九州・大阪でみてみましょう。九州・沖縄は利回りが9%前半で過去数年推移しています。

物件価格も上昇しつつあり、2019年には4,813万円だったところが2022年には平均6,000万円台に突入し、2023年は6,421万円まで高騰しています。一方で賃料も上昇傾向なため、関西圏と比べると利回りの低下幅はゆるやかです。

関西については2022年に利回りが下がり、足元は8%台後半となっています。物件価格は2019年で4,918万円でしたが、2022年に6,000万円を上回り、2023年は6,552万円でした。

関西圏、九州・沖縄の利回り推移


出所:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「全種別価格上がる、一棟物は4年連続(不動産投資 年間レポート <2023年1月~12月期>)
2019年以降

4 福岡・大阪におけるアパート経営のメリット・デメリット

ここまでの不動産関連の情報と都市の特性も踏まえて、大阪・福岡でアパート経営を行う魅力とリスクをまとめました。投資先を検討するうえでの参考にしてください。

4-1 大阪でアパート経営を行うメリット

大阪でのアパート経営のメリットは次のような点です。

  • 人口流入が続く
  • 大規模開発が当面続く期待
  • 低い持ち家率=高い賃貸率

大阪は人口自体は少子高齢化により減少が始まっていますが、他地域からの転入が続いているのが特徴です。2023年時点で9年連続の転入超過となっています。(※参照:大阪府「推計人口(年報)」)

転入が続く都市では賃貸需要が維持されやすく、アパート経営には追い風要因となります。

大阪梅田北口地区など大阪では再開発が進んでいます。中長期的にみると、リニアが大阪まで延伸されるタイミングでさらに開発需要が伸びるとも期待されます。街が新しく便利に生まれ変われば、都市の魅力の向上や経済発展が見込まれるため、賃貸需要にもプラスといえます。

大阪府は、以前より持ち家率が低い地域で、2018年の総務省の調査では第4位です。人口のより多くの部分が賃貸住宅に住んでいることから、賃貸需要が維持されやすいと期待されます。(出所:総務省「都道府県別でみる住宅状況~住宅及び世帯に関する基本集計(確報値)より~」)

4-2 大阪でアパート経営を行うデメリット、注意点

大阪でのアパート経営における注意点は以下の通りです。

  • 利回り低下・価格の高騰
  • 人口減少のペースに大阪府内で格差が生じる可能性

大阪のアパートは価格高騰と利回り低下が進んでいます。近年の不動産価格高騰の影響で、ある程度全国で見られる傾向ではあるものの、大阪は首都圏と比較しても利回りの低下幅が大きいのが特徴です。他方で空室率が緩やかに上昇しているため、物件価格の上昇に実際の入居需要がまだ追い付いていない可能性もあると言えます。

また、流入は続いていても大阪は人口減少が始まっています。府全体の減少率は2020年→2050年で▲17.8%の見通しです。全国平均には▲17%なので、大都市でありながら今後の減少幅は全国平均より大きいと想定されています。(参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」)

さらに、大阪のなかでも地域差が出ると見込まれています。たとえば「大阪市人口ビジョン」によると、西区、中央区、北区、福島区、天王寺区、浪速区は、2050年にかけて2020年より人口が増える見通しです。対して西成区、大正区では30%超の人口減少が見込まれています。地域内でも差が大きいので、物件選びには注意しましょう。

4-3 福岡でアパート経営を行うメリット

福岡でのアパート経営のメリットは次の3点です。

  • 不動産価格が割安
  • 賃料上昇傾向で利回りが底堅い
  • 若年層の転入超過が続く

2024年2月時点では、福岡を含む九州圏は関西と比べると不動産価格が割安です。一時期は関西より上回っている時期もありましたが、大阪の不動産価格の上昇が顕著なこともあり、割安感が増しています。

更に賃料上昇が続いているため、他の多くの地域で利回りが低下する中では底堅く推移しています。以前は利回りが関西圏より低かったものの、2023年時点のデータを検証してみると九州・沖縄の方が高くなっています。

また、福岡市が令和2年に発表した人口ビジョンの資料によると、福岡市は15歳~24歳の若い学生・社会人の転入超過が続いています。これらの層には賃貸で一人暮らしを始める方も多いと想定され、賃貸経営にはプラスです。(参考:福岡市「福岡市 人口ビジョン(令和2年)」)

4-4 福岡でアパート経営を行うデメリット、注意点

福岡でアパート経営を行う場合、次の点には注意が必要です。

  • 空室率がやや高い
  • 人口減少の地域差には注意

福岡は空室率が首都圏や大都市圏と比べると高めで、10%を超えています。収益性を予測する際には、空室率に注意しましょう。また、人口減少の地域差については福岡市についても注意しましょう。福岡市全体では2020年→2050年にかけてほぼ人口が横ばいと推計されていて、少子高齢化のなかでは増減率が高い(人口が減らない・増える)都市の一つです。

一方で、同じ福岡県内の政令指定都市でも北九州市は▲22%程度と予測されているなど、地域によっては人口減少が進む見通しです。福岡市内でも区によって差があります。地域の細かい人口動態を確認しながら投資物件を検討しましょう。(参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」)

5 福岡・大阪のアパート経営の実績豊富な不動産会社

福岡・大阪でのアパート経営の傾向を見るといずれも地域差が大きいため、投資するエリアを厳選したうえで、賃貸需要をしっかりと調査したうえで、適切な賃貸管理を行うことが重要になります。

そこでここでは福岡・大阪のアパート経営で高い実績を上げており、提携金融機関も豊富な不動産会社を2社紹介します。

5-1 シノケンプロデュース

シノケンの不動産投資セミナー
シノケンプロデュースは、土地の選定から企画、設計、施工、引き渡し後の賃貸管理まで一貫したサービスを提供するアパート建築会社です。一般投資家向け賃貸住宅経営のパイオニアとしても知られており、アパート供給棟数は自社施工で6,000棟を超えています。「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」(全国賃貸住宅新聞)の「年間アパート開発棟数部門」では、8年連続No.1に輝いているのも特徴です。

グループ会社のシノケンファシリティーズの管理戸数は47,000戸以上(2023年12月末時点)、入居率98.56% (2023年年間平均入居率)となっています。このような入居率の高さは、5,000店舗以上(2021年4月時点)の仲介業者と提携し、良好な関係を築いていることも要因の一つです。

大阪・福岡での施工実績豊富

シノケンプロデュースの販売物件は、多くが自社開発の物件となっています。福岡・大阪にも拠点を構えており、双方の地域でも多数の物件販売実績があります。創業時の本拠地である福岡市では、過去に着工件数ランキングで7年連続(2015年~2022年)1位になっています。

多数の金融機関と提携

シノケングループは、1990年の創業以来30年以上にわたり金融機関との取引実績を築いており、新築アパート経営において日本で初めて独占提携ローンを提供したことでも知られています。オーナーの属性によっては、金利1%台、RC物件と同程度の35年の返済期間などでの紹介実績もあります。

デザイン性と機能性ともに優れたハーモニーテラス

シノケングループのアパートの基幹ブランドは「ハーモニーテラス」といい、デザイナーが一棟ごとに、オリジナルのデザインをほどこしています。洗練された外観はもちろんのこと、快適に暮らせる工夫を土地や立地の事情に合わせて積極的に取り入れています。

シノケングループでは、セキュリティや設備についてもこだわっているのが特徴です。小規模な物件でもオートロック式の物件が多くみられます。また、2019年以降の開発物件では全戸でIoTを導入しています。スマホでの施錠や照明ON/OFF、空調設定などが可能です。

5-2 アイケンジャパン

株式会社アイケンジャパンアイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をモットーに「グランティック」「レガリスト」などのアパートブランドを全国で展開する不動産会社です。2023年12月末時点で、アパート開発棟数1257棟の実績があります。

賃貸管理の実績として9,136戸(2023年12月時点)の管理を行っており、入居率99.3%(2023年年間実績)となっています。オーナーの負担が大きく、効果が一時的なフリーレントや家賃の値下げを行わずに高い入居率を維持しているのも特徴です。

2017年3月以降に完成したすべての物件で劣化対策等級が最高レベルの等級3の評価を第三者機関より獲得しています。2世代から3世代にわたって引き継ぐことが可能です。

福岡・大阪において豊富な開発・販売実績

福岡発祥のアイケンジャパンは、地方大都市圏でのアパート開発・販売を積極的に行っています。特に福岡は同社のサイトに掲載されている物件だけでも250棟以上と実績が豊富です。関西でも、大阪支店のもと複数のアパート物件を販売してきました。

福岡周辺の地元金融機関との提携が強み

アイケンジャパンも、これまでの物件販売や不動産会社としての経営実績に定評があります。とくに地元福岡の金融機関と強固なリレーションを築いています。

  • 福岡銀行
  • 西日本シティ銀行
  • みずほ銀行
  • 福岡中央銀行
  • オリックス銀行
  • 七十七銀行
  • 十八親和銀行

金融機関探しや融資交渉なども、提携している金融機関を活用すれば手間なく進められることが期待できます。特に福岡でアパート経営を手がけるときには、複数の金融機関と融資に関する相談が可能です。

社会人の女性をターゲットとしている

アイケンジャパンは「社会人の女性」をメインターゲットとしてデザインや機能性、立地などにこだわって物件開発を行っているのが特徴です。駅から徒歩15分以内の利便性の高い土地を取得してアパートを建設し、オートロック完備・防犯カメラの設置や屋内共用階段など、安心して暮らせる設備・構造をとりいれています。

さらに、全戸角部屋を基本とすることにより防音性の向上を実現させているのも特徴です。プライバシーが守られる物件であるため入居需要を獲得しやすく、家賃の下落を抑える効果も期待できます。

6 まとめ

福岡と大阪は、地方でアパート経営をするときの立地選びにおいて有力な選択肢となる大都市圏です。将来の人口減少や足元の不動産価格の高騰といった懸念材料はあるものの、細かい立地選びを丁寧におこなうことでリスクを抑制することができます。

アパート経営の初心者の方が地方物件を検討する場合は、その地域でのアパート開発・販売に実績のある不動産会社を利用するのも一つの方法です。まずは情報収集を行っていきたい方は、無料で参加できるセミナーや資料請求などからアクションされていくと良いでしょう。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。