少子高齢化で注目される「サ高住ファンド」の仕組みは?投資のメリット・デメリットも

※ このページには広告・PRが含まれています

不動産クラウドファンディングのメリットの一つには、投資規模が大きく個人投資家が投資しづらい物件にも少額資金から投資できるという点があります。高齢化社会でニーズが増えているサ高住サービスを提供するファンドも、注目度の高い投資案件の一つです。

今回はサ高住ファンドの仕組みや、サ高住ファンドに投資する際のメリットやデメリットをお伝えしていきます。

目次

  1. サ高住ファンドとは
  2. サ高住ファンドの仕組み、FUELオンラインファンドの事例
  3. サ高住ファンドのメリット
    3-1.事業利用できる補助金・税制度があり手堅い経営を見込みやすい
    3-2.今後需要の増える施設であり、社会的貢献ができる
    3-3.投資家のリスク軽減の取り組みが行われている
  4. サ高住ファンドのデメリット
    4-1.物件の転用がしづらい
    4-2.オペレーションリスクがある
  5. まとめ

1.サ高住ファンドとは

サ高住とは、「サービス付高齢者向け住宅」を指した略称です。日本では高齢化が進んでおり、高齢者が安全に生活するためのサービス付き住宅の需要が年々増加しています。

サービス付き高齢者向け住宅は高齢者の賃貸住宅の一種で、高齢者住まい法の改正により創設された介護・医療と連携し、高齢者の安心を支えるための「安否確認(状況把握)サービス」と「生活相談サービス」が必ず付いているバリアフリー構造の住宅です。

60歳以上の高齢者または要介護認定を受けた60歳未満の方が対象で、介護や生活の補助・食事提供といった生活支援サービスが必要な場合にはオプションで申し込み利用する事ができます。

サービス付き高齢者向け住宅の登録制度に登録するためには以下の要件が必須となります。

  • 床面積は原則25㎡以上、便所・洗面設備等の設置、バリアフリーの住宅
  • ケアの専門家が建物に常駐し、状況把握サービスと生活相談サービスを提供する
  • 高齢者が安定して住まいを確保するための契約であり、前払家賃の返還ルールといった高齢者を契約上守るための措置が講じられている

※参照:一般社団法人 高齢者住宅協会「サービス付き高齢者向け住宅のご案内

なお、民間の高齢者向けの賃貸住宅といえば有料老人ホームがありますが、有料老人ホームは介護が必要な方が対象、サービス付き高齢者向け住宅は介護が必要でない方も入居が可能であるという違いがあります。

サ高住ファンドは上記の要件をクリアする必要があり、通常の住宅よりも建築・維持のコストが高く、個人が投資するにはやや投資規模が大きくなりすぎるという特徴があります。

サ高住ファンドのようなクラウドファンディングの仕組みを通じてこのような建物を取得、運用し、利益を分配できるという試みは、現代社会のニーズに沿ったファンド運営の形だと言えるでしょう。

2.サ高住ファンドの仕組み、FUELオンラインファンドの事例

FUELオンラインファンドFUELオンラインファンドは、FUEL株式会社が提供するクラウドファンディングサービスです。間接的に企業やプロジェクトに投資することで金銭的な利益を狙えるだけでなく、経済活性化の一役を担えるのが、FUELオンラインファンドの大きな特徴です。

サ高住ファンドの仕組みを理解するために、サ高住ファンドを積極的に提供しているFUELオンラインファンドの「高島屋FPファンド1号(札幌市サ高住)」のスキーム図を参考に見てみましょう。

高島屋FPファンド1号(札幌市サ高住)のスキーム図

このファンドにおいては、高島屋ソーシャルレンディングを通してサ高住ファンドの運営者に貸付を行う事業者に対して融資を行っています。貸付先の事業者が明示されており、また貸付を行う事業者である高島屋ソーシャルレンディングともに、どちらも上場企業の子会社である点が特徴だと言えます。

上記のFUELオンラインファンドの事例では、事業者が不動産運用を行う不動産投資型クラウドファンディングではなく、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)であるという点も注意しましょう。

サ高住ファンドは事業規模の大きさから実際に事業者が保有して運用する不動産投資型ではなく、事業者が運営者へ融資を行う融資型になりやすい傾向があると言えます。

3.サ高住ファンドのメリット

投資家の視点から、サ高住ファンドに投資する時にはどのようなメリットがあるのかを考えていきましょう。

3-1.事業利用できる補助金・税制度があり手堅い経営を見込みやすい

サービス付き高齢者向け住宅は、事業利用できる補助金が多くあるというメリットがあります。例えば、施設を開設する際には補助金が支給されます。また不動産取得税が軽減される税制上のメリットもあります。※参照:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制

3-2.今後需要の増える施設であり、社会貢献ができる

日本の大きな社会問題の一つに少子高齢化社会があり、サ高住施設の需要は高齢者の増加に比例して増えていくものと予測されます。

自宅で生活することが難しい高齢者でも、サ高住施設への入居を通じて健やかに一生を送ることに繋がります。そのような目的を持つ施設の増加に貢献でき、金銭的メリットだけではない、社会全体に寄与する投資効果があると考えることが出来るでしょう。

また、クラウドファンディングによりサ高住施設の選択肢が増えていけば、将来で自分自身が高齢者になったときにも利用しやすくなることが期待できます。

3-3.投資家のリスク軽減の取り組みが行われている

不動産クラウドファンディングの案件として見ると、サ高住ファンドでは数々の投資家リスクの軽減のための取り組みも行われています。例えば、先に例に出したFUELオンラインファンドでは、投資家への情報開示が積極的に行われています。

融資型クラウドファンディングにおいては融資先の事業者の公開は義務化されていないため、融資先企業が公開されていないファンドは少なくありません。一方、FUELオンラインファンドのように融資先が公開されていると、資金状況や事業の信頼性なども判断したうえで投資検討できるというメリットがあります。

また先の事例では関連する企業がどちらも上場企業の子会社であり、IR情報から資金状況を把握しやすく、また事業運営のコンプライアンスの信頼性という観点からも、投資を始めやすいという特徴があるのです。

その他、本貸付元本と同額の譲渡性預金担保、いわゆる質権を設定しているために、運営に失敗した時でも投資家が現金を回収できるよう対策が取られている点もリスク対策として機能しています。

4.サ高住ファンドのデメリット

サ高住ファンドには、いくつかのデメリットが存在しています。そのデメリットをしっかり知っておくことで、投資の際に比較検討しやすくなります。サ高住ファンドのデメリットを確認しておきましょう。

4-1.物件の転用がしづらい

サービス型高齢者向け住宅は居住用物件とは異なり、高齢者が日常生活を送るための設備が搭載されています。段差をなくしたり手すりをつけたりなどバリアフリーをハード面で提供していますが、物件を居住物件に転用するのは難しいと考えられます。

居住用マンションのクラウドファンディングの場合は物件の汎用性が高く、流動性が高いことから売却しやすいメリットがあります。

一方、サ高住専用に作られた物件の売却先はサ高住事業者に限られてきます。そのため、物件の流動性が低い点がデメリットとなってくるでしょう。売却まで時間がかかったり、想定した売値で売却できない可能性があります。

4-2.オペレーションリスクがある

サ高住物件には、高齢者の生活を訪問や入浴補助などでサポートする人員が必要です。このようなサポートを手厚く行うことで、高齢者の方が安心して生活をすることにもつながっていきます。

しかし、高齢者向け施設ではスタッフのオペレーション方法や労働環境により、入居者とスタッフの間で問題が発生することもあります。サ高住ファンドでそのような問題が起こるリスクはゼロではありません。サ高住は生活に密着したサービスを提供するために、オペレーション上のリスクまた人間同士リスクなども起こる可能性があると言えるでしょう。

その他、十分なサービスを提供するための従業員の確保が難しかったり、退職によって運営が途中で難しくなったりなど、オペレーション上のリスクは居住用マンションなどと比較して大きいと言えます。

まとめ

サ高住ファンドは日本が直面している高齢化社会に対応したファンドであり、社会的な意義も大きなファンドです。

今回取り挙げたFUELオンラインファンドでは、取得価格も抑えることで運用リスクを下げ、金銭的なリターンと社会貢献の両立を目指せるファンドの募集を行っています。

一方で物件の流動性やオペレーションリスクなど、サ高住ファンドならではのリスクもあります。事業者のサ高住の運営実績が豊富であるかどうか、出資のスキームに問題がないかなど、様々な視点からリスクを検証して投資判断を行っていくこともポイントとなります。

【関連記事】ESG不動産投資のメリット・デメリットは?投資可能な商品やファンドも紹介

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」