日本ハムのESG・サステナビリティの取組実績と今後の方針は?株主優待や配当推移も

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日本ハムは、ハムやソーセージで有名な「シャウエッセン」「美ノ国」などを商品ブランドに持つ食品加工メーカーです。国内食肉業界で1位、世界の食肉業界で8位のポジションにあることから、日本を代表する食肉総合企業として幅広く認知されています。

そこでこの記事では、日本ハムのESG・サステナビリティに対する取り組み実績と今後の方針について詳しく解説しています。株主優待や配当推移など株主還元策についてもご紹介しているので、ESG投資に関心のある方や日本ハムへの投資を検討している方は参考にしてください。



※本記事は2023年3月10日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 日本ハムの特徴
  2. 日本ハムのESG・サステナビリティの取り組み
  3. 日本ハムのESG・サステナビリティに関する外部評価
  4. 日本ハムの業績・株価動向
    4-1.業績
    4-2.株価動向
  5. 日本ハムの株主優待・配当推移
    5-1.株主優待
    5-2.配当推移
  6. まとめ

1 日本ハムの特徴

日本ハムは売上高1兆円を超えるグループ企業であり、国内首位の食肉総合メーカーです。食肉、加工、販売までの一貫体制が特徴であり、中でもたんぱく質の供給力と加工技術力に強みがあります。日本ハムの主な事業は、以下5つから構成されています。

  • 食肉事業
  • 加工事業
  • 水産事業
  • 乳製品事業
  • その他事業

中でも食肉分野は日本ハムの主力事業です。生産飼育から販売までを一貫して行うシステムを構築したことで、品質の高い食肉を安全かつスピーディーに供給することを可能にした結果、売上高の61.5%を占めているほか、国内食肉販売量のシェア20%を握っています。

また、加工事業では「シャウエッセン」や「石釜工房」のような数々のヒット商品を世に送り出すなど、常に新しい価値を顧客に提供しているのが特徴です。

2 日本ハムのESG・サステナビリティの取り組み

日本ハムは中期経営計画のスローガンとして掲げる「たんぱく質を、もっと自由に。」というビジョンのもと、ESG・サステナビリティに対して、5つのマテリアリティ(重要課題)を策定した上で、解決に取り組んでいます。マテリアリティの具体的な内容は、以下の通りです。

  • たんぱく質の安定調達・供給
  • 食の多様化と健康への対応
  • 持続可能な地球環境への貢献
  • 食やスポーツを通じた地球・社会との共創共栄
  • 従業員の成長と多様性の尊重

日本ハムは、各マテリアリティに対して施策や具体的な指標を定めています。例えば、「たんぱく質の安定調達・供給」の重要課題については、サプライチェーンの維持安定に向けてステークホルダーと協働する方針を示しており、2030年度までに重要な一次サプライヤーへの方針周知に努めています。

また、「食の多様化と健康への対応」については、食べ物アレルギー対応や植物アレルギー関連商品の拡充を目指しており、具体的な目標金額として出荷目標40億円を掲げています。

ESGのE(環境)に該当する「持続可能な地球環境への貢献」に関しては、バリューチェーンを通じた温室効果ガスの削減や、食品ロスおよび水使用量の削減に取り組んでいます。例えば、CO2排出量の削減に関しては、国内において2030年度までに2013年度比で46%以上の削減、水使用量の削減については2030年度までに国内で2019年度比5%削減を目指しています。その他にも、廃棄物排出量リサイクル率を2030年までに92%以上高めることなどに取り組んでいます。

また、ESGのS(社会)に該当する箇所としては、「食やスポーツを通じた地球・社会との共創共栄」および「従業員の成長と多様性の尊重」をマテリアリティに掲げて取り組んでいます。具体的には、スポーツを通じた地域社会との共創として、食育を通じた次世代の育成支援や事業展開地域での地域社会との対話を重視しています。従業員の成長と多様性を尊重するため、従業員それぞれが持てる力を発揮して活躍できる職場作りに努めています。

また、総労働時間の削減に取り組むとともに、2030年度までに女性管理職比率を20%以上に高めること、2030年度までに障害者雇用率を2.3%以上に高めることなどを多様性尊重の施策として掲げています。

このように日本ハムは、5つのマテリアリティに対して、具体的な施策や数値目標を定めた上で、ESG・サステナビリティに積極的に取り組んでいます。

3 日本ハムのESG・サステナビリティに関する外部評価

日本ハムのESG・サステナビリティの取り組みは外部から高い評価を受けています。

2022年7月30日 「FTSE4Good Index Series」に12年連続で選定
2022年7月30日 「FTSE Blossom Japan Index Series」に6年連続で選定
2021年4月7日 青少年の体験活動推進企業表彰で優秀賞を受賞
2020年12月2日 日本ハム惣菜(株)が「くるみん」認定を取得
2020年12月2日 令和2年度における「障害者雇用優良事業者等厚生労働大臣表彰」を受賞

「FTSE4Good Index Series」は、FTSE Russellによって構築される代表的なESG指数です。この指数は、ESGについて優れた対応を行っていることが評価された企業によって構築されており、日本ハムは2011年から12年連続で選定を受けています。

また、「FTSE Blossom Japan Index Series」は、ESGについて優れた対応を行っていると評価された日本企業から構成された指数であり、2017年より6年連続で選定されています。

指数ばかりでなく、青少年の体験推進企業表彰についても優秀賞を受賞しています。これは、青少年の体験活動に優れた対応を行う企業を評価する制度であり、青少年の体験活動の推進を図ることを目的として行われています。このうち、日本ハムはウインナーの手作り体験教室の取り組みが評価される形で受賞に至っています。

さらに、障害者の雇用に積極的に取り組んでいることが評価されたことで、厚生労働大臣から「障害者雇用優良事業者等厚生労働大臣表彰」を受賞しています。日本ハムのグループ会社が受賞した形ですが、多様な人材が活躍できる職場づくりに取り組んでいることが外部の評価機関から評価されました。

4 日本ハムの業績・株価動向

日本ハムの業績や株価動向は、次の通りです。

4-1 業績

日本ハムの業績は悪化しています。2023年1月27日に開示された業績予想の修正では、売上高は前回発表予想と同じく1兆2,700億円であるものの、事業利益および親会社の株主に帰属する当期利益において、下方修正を発表しています。

その背景にあるのは飼料価格の高騰と、輸入牛肉価格の上昇です。特に、牛肉の取引価格が想定より軟調に推移したにもかかわらず、原価率は高水準で推移したことから、牛肉事業の業績悪化が想定を上回る形となっています。

このような牛肉価格の影響を受けて、2023年1月31日に開示された第三四半期の最終利益は、前年同期比で47.7%減少することが発表されています。しかし、通期業績予想に対する進捗率は113.1%を上回っており、進捗率自体は好調です。

4-2 株価動向

日本ハムの株価は軟調に推移しています。2023年3月10日時点の株価は3,840円であり、3,500円~4,000円のレンジを行ったり来たりしています。しかし、長期的には上昇トレンドを描いており、株価は値上がりを続けています。

直近10年間の株価動向を振り返って見ると、2013年1月1日に2,444円だった株価は、2017年6月15日には7,320円という上場来高値を付けています。2013年から5年かけて一時は3倍以上の水準まで株価が値上がりしたことを示していましたが、中期移動平均線が下降トレンドに転換したことで株価の値下がりは継続します。

2020年3月のコロナショックの際には、一時3,000円を割り込む水準まで株価が値下がりしていますが、その後コロナショックの反発に乗る形で一時的に5,000円台を回復。しかしながら下降トレンドが継続している影響で、現在の株価レンジに収まっています。

5 日本ハムの株主優待・配当推移

日本ハムの株主優待や配当推移の詳細については、以下の通りです。

5-1 株主優待

日本ハムは、100株以上を保有するすべての株主に対して、株主優待制度による株主還元を実施中です。優待内容は、スポーツ観戦チケットを含む自社グループの商品などがあり、100株以上保有していれば、一律で3,000円相当の優待品が受け取れます。また500株以上保有すると、保有期間に応じて受け取れる優待品の相当額が変わります。

具体的な保有期間による優待品の市価は、以下の通りです。

保有期間 優待品の市価
3年未満 5,000円相当
3年以上5年未満 7,500円相当
5年以上 10,000円相当

保有期間が3年未満であれば、5,000円相当の優待品が受け取れます。一方、保有期間が3年以上5年未満であれば7,500円、5年以上であれば10,000円相当と、保有期間が長いほど受け取れる優待品も高価になります。

なお、具体的な優待品は日本ハムグループの商品カタログから選ぶことになります。カタログに掲載されている具体的な商品には、次のようなものがあります。

  • 熟成布巻きロースハム
  • ベーコンの詰め合わせ
  • 国連WFPへの寄附
  • 日本ハムファイターズの株主限定デザイングッズ
  • セレッソ大阪の背番号タオルほか多数

このほか、株主優待を受け取るためには、割当基準日と呼ばれる日付までに株主になっておく必要があります。割当基準日は保有株数によって異なり、100株以上の割当基準日は毎年3月31日の年1回、500株以上の割当基準日は毎年3月31日と9月30日の年2回となっています。割当基準日までに株主になるためには、その日付の2営業日前までに株式を購入する必要があることに注意しましょう。

5-2 配当推移

日本ハムは株主優待に加えて、配当金の支払いによる株主還元を実施しており、毎年3月31日現在において株主名簿に名前が記載されている株主に対して配当金が支払われます。また、配当金の目安となる指標は株主資本配当率(DOE)であり、おおむね2.3%程度が目安として示されています。

株主資本配当率とは、企業が株主資本に対してどれくらいの配当を支払っているのか示す指標であり、配当性向に代わる指標としてもよく活用されています。数値が高いほど株主還元に積極的であることが分かるのが特徴です。

直近10年間における具体的な配当金の推移は、以下の通りです。

各年度 年間配当金
2013年3月 24円
2014年3月 37円
2015年3月 46円
2016年3月 33円
2017年3月 52円
2018年3月 53円
2019年3月 90円
2020年3月 90円
2021年3月 94円
2022年3月 102円
2023年3月 110円(予想)

上記の通り年度によっては減配しているものの、長期的には増配が継続しています。特に、今期の年間配当予想は110円と過去最高を更新する見込みです。

なお、2018年3月~2019年3月にかけて年間配当金が大きく増えているのは、2018年4月1日付で2株を1株にする株式併合が実施されたことが関係しています。

株主として配当金を受け取りたいのであれば、基準日である毎年3月31日の2営業日前までに、株式を購入することが必要です。

まとめ

日本ハムはESG・サステナビリティの取り組みが外部の評価機関から高く評価されており、ESG指数にもよく選定されています。また、今後の方針として5つのマテリアリティ(重要課題)を定めた上で、具体的な施策や数値に基づいた取り組みを実施していることから、ESG投資を検討するのに適した銘柄となっています。

日本ハムのESGやサステナビリティの取り組み内容に関心のある方は、この記事を参考にご自身でもお調べになった上で検討してみてください。


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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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