海外のコンドミニアム投資を検討している方の中には、ハワイのような先進国のコンドミニアムか、フィリピンのような新興国のコンドミニアムか、どちらに投資をするのか迷う方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ハワイとの比較対象としてフィリピンを取り上げ、ハワイとフィリピンとでどのような違いがあるのか、それぞれの特徴を解説します。海外不動産投資を検討している方はご参考下さい。
目次
- ハワイのコンドミニアム投資の特徴
1-1.需要の多いエリアで物件の資産性が高い
1-2.不動産価格が値上がり傾向にある
1-3.アメリカはカントリーリスクが低い
1-4.為替リスクが低い
1-5.利用できるローン商品が複数ある
1-6.不動産価格が高く利回りが低い - フィリピンのコンドミニアム投資の特徴
2-1.不動産価格が安い
2-2.人口増加に伴い値上がり益を期待できる
2-3.若年世代が多く、働き手が増加傾向にある
2-4.海外の影響を受けやすく経済状況が不安定 - まとめ
1.ハワイのコンドミニアム投資の特徴
ハワイ不動産の特徴は、新興国のようなカントリーリスクが少ない一方で、価格が高く利回りが低くなる点にあります。
ハワイ不動産の特徴について詳しく見て行きましょう。
1-1.需要の多いエリアで物件の資産性が高い
ハワイは世界的に人気のあるリゾート地で、世界中の投資家が注目しているエリアです。
ハワイ不動産は、投資に慣れた富裕層から投資初心者まで、幅広い投資家からの需要があります。人気が高いゆえに、他のエリアと比較すると物件の資産性が高いのがハワイ不動産の特徴です。
また、資産性の高さと需要の多さから、ハワイ不動産は経済不況に強い性質を持っています。リーマンショックの時にも、ハワイではアメリカの他の都市と比較して不動産価格が大きく下がっていません。
1-2.不動産価格が値上がり傾向にある
細かな上下動はあるものの、ハワイでは長期的に不動産価格が値上がり傾向にあります。オアフ島のホノルルでは、特に2013年以降、不動産価格の値上がり傾向が顕著に見られます。
※US Census Bureauを参照し、筆者作成
2010年の推計価格は$596,600でしたが、2018年には$713,300となっており、ハワイ不動産は8年間で$100,000以上値上がりしています。
今後、調整局面に入る可能性はありますが、長期的な目線で見ればキャピタルゲインを狙える国の一つであると考えることが出来ます。
ただし、ハワイ不動産も立地によって利便性が大きく異なるので、物件選びは慎重に進めることが重要です。
1-3.アメリカはカントリーリスクが低い
新興国と比較してカントリーリスクが低いことは、ハワイ不動産が持つ特徴の1つです。
カントリーリスクとは、急な制度変更や経済状況の変化によって、投資環境が大幅に悪化してしまうリスクのことです。特に新興国は政治や経済に突然大きな変化が表出しやすく、カントリーリスクが高くなる傾向にあります。
ハワイはアメリカの国土であり、不動産取引の法律も整っています。アメリカは世界最大の先進国であり、外的な要因によって政治や経済が大きく揺らぐリスクは新興国と比較して極めて低いと言えます。
1-4.為替リスクが低い
海外不動産投資では現地の通貨で家賃が入ってくるため、ハワイ不動産に投資するとUSドルで家賃収入が入ってきます。USドルは世界の基軸通貨であり、為替リスクの少ない通貨です。
外貨による資産形成は資産防衛の観点からも重要なポイントです。USドルで収入を作ることは、資産防衛の一つの手段となります。
1-5.利用できるローン商品が複数ある
不動産投資は金融機関のローンを利用して投資効率を上げることができる投資方法です。
しかし、海外不動産投資では利用できるローン商品が少なく、現金購入による投資を迫られることもあります。現金購入による投資は、ローン返済の義務を負わない一方で、多額の手元資金を用意しなくてはならないデメリットがあります。
一方、海外不動産投資のなかでもハワイ不動産に投資する場合は利用できるローン商品が多く、様々な金融機関で取り扱いがあります。また、投資対象の不動産に抵当権を設定できるので、別の物件を担保に入れずに購入できる点もメリットとなります。
不動産投資が初めてでも、不動産投資ローンを利用しやすいのがハワイ不動産の特徴です。
1-6.不動産価格が高く利回りが低い
ハワイ不動産は、安定性が高く値崩れの心配がない一方で、価格が世界的に見ても高い部類に入ります。すでにホノルル行政区の住宅価格推移について紹介しましたが、2018年の住宅価格は$713,300で、$1=105円で換算すると約7,500万円となります。
不動産の家賃は住宅価格の上昇よりも変動幅が小さく、ハワイも例外ではありません。ハワイでは物件価格が高騰しているために、家賃収入による利回りは低くなります。ハワイ不動産は、リスクを抑えた投資をしたい人に向いているといえるでしょう。
2.フィリピン不動産の特徴
フィリピン不動産は価格が比較的安い一方で、カントリーリスクなど新興国特有のリスクがあります。
2-1.不動産価格が安い
世界68カ国に展開しているコリアーズインターナショナル社が発行している「Philippine Property Market Reports: Q1 2020 Office, Residential, and Retail」のレポートによると、フィリピンの第1四半期住宅価格は、1㎡あたりPHP246,000でした。PHP1=2.2円で換算すると541,200円となります。例えば30㎡のユニットは約1,620万円です。
一方、時期が少し違いますが、ホノルルの不動産価格は1sqftあたり$700(2020年8月20日時点)です。広さ30㎡(=約323sqft)の不動産の価格は約$226,100で、$1=105円で日本円に換算すると約2,374万円となります。(※参照:Zillow「Honolulu Home Prices & Values」)
ハワイと比較すると、フィリピン不動産はまだ不動産価格が安く、比較的少ない資金で不動産が購入できるメリットがあると言えるでしょう。
2-2.人口増加に伴い値上がり益を期待できる
フィリピンでは人口増加により人口密度も上がっていることから、不動産需要も増加していく見通しです。下記、フィリピンの人口推移の表です。
フィリピンの人口推移(単位100万人・1㎢あたり人口)
年 | 人口 | 人口密度 |
---|---|---|
1990 | 61.9 | 207.6 |
2000 | 77.99 | 261.6 |
2010 | 93.97 | 315.1 |
2018 | 106.65 | 357.7 |
※参照:「世界銀行」
こちらを見ると、人口・人口密度ともに大きく数値が伸びていることが分かります。このような人口ボーナスを背景とした不動産価格上昇への期待感は、フィリピン不動産はキャピタルゲインを狙いたい人にも向いているといえるでしょう。
2-3.若年世代が多く、働き手が増加傾向にある
フィリピンの年齢中央値は24.1歳です。一方、アメリカの年齢中央値は38.5歳となっています。(※参照:Central Intelligence Agency「THE WORLD FACTBOOK」)
フィリピンではアメリカと比較すると若年層の人口が多く、働き手が今後も増えていくと予測されます。若年層の労働人口は住宅を賃貸することが多く、フィリピン不動産の賃貸需要の増加につながる可能性は高いと言えるでしょう。
2-4.海外の影響を受けやすく経済状況が不安定
フィリピンでは、出稼ぎのために海外へ働きにいく多くの人がいます。海外からフィリピンへの仕送りは、フィリピン経済に大きく寄与しており、2019年にはフィリピンの国内総生産のうち約10%を占める状況となりました。
多くの先進国でフィリピン人が働いているということは、フィリピン人の労働力が数多くの国で評価されている証拠でもあります。しかし、一方で仕送り額がGDPに占める割合の大きさから、フィリピンの経済は海外の影響を受けやすい側面があります。
世界銀行は、コロナウイルスによる世界的な経済の落ち込みにより、2020年のフィリピンあて仕送り額は13%程度減少すると予測しています。
また、フィリピンは、輸出入に関してアメリカが最大の輸出国であり、アメリカの景気変動の影響を受けやすい特徴を持っています。コロナウイルス感染症拡大の影響が出た2020年は、3月以降特に輸出額の減少が顕著に表れています。
フィリピンはハワイと比較すると特に外的な影響を受けやすく、不安定要素が多いと言えるでしょう。
まとめ
ハワイ不動産は市場の安定性が最大の特徴で、価格が高いために利回りが低くなりますが、リスクの少ない投資ができます。また、ハワイ不動産は長期的に値上がりを続けているので、キャピタルゲインを得られる可能性もあるでしょう。
一方、フィリピン不動産はハワイ不動産と比較すると価格が安く、投資金を抑えながら投資できます。また、人口増加が続いているほか、若年世代の多さから将来性に期待できるでしょう。
しかし、新興国ゆえにアメリカと比較して法整備は整っておらず、経済を外国に依存している側面から外的要因の影響も受けやすいといえます。
利回りは低いながらも堅実な投資をしたい人はハワイ不動産に向いています。一方、リスクを許容しつつも少ない投資額で大きなリターンを狙いたい人は、フィリピン不動産への投資を検討してみてはいかがでしょうか。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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