アパートを新築する際に、建築してくれる業者を選ぶのはとても重要なことです。建てたアパートによって利回りも違い、その後のアパート経営を左右することもあるためです。
そこで今回のコラムでは、アパートを建築する会社を選ぶ際のポイントを解説していきます。自身の投資目的に合ったパートナーを見つけたい方、アパート建築会社の選定に迷う方はご参考ください。
目次
- アパートを建築する業者別のメリットとデメリット
1-1.ハウスメーカー
1-2.企画会社
1-3.工務店 - アパート建築会社の選び方を失敗しないためのポイント
2-1.アパート建築の豊富な実績
2-2.対応できる構造・工法の種類
2-3.担当者との信頼関係
2-4.金融機関との関係性
2-5.トラブル発生時の対応力 - まとめ
1 アパートを建築する業者別のメリットとデメリット
アパートの建築を請け負う業者は、大きく分けて次の3つがあります。それぞれにメリットとデメリットがありますので、見ていきましょう。
1-1 ハウスメーカー
住宅の建築および販売を専門的に行うメーカーです。全国的にも知名度の高いハウスメーカーもありますが、地域限定で事業を行っているハウスメーカーもあります。賃貸経営部門などを設けており、アパートをブランド化しているケースもあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・事業規模が大きく、倒産するリスクが低い ・アパートが規格化されており、品質の信頼性が高い ・全国的な知名度があり、入居者への訴求効果が期待できる ・管理体制が構築されている |
・規格化されているため、デザインの自由度が低い ・コストが高額になる傾向がある |
1-2 企画会社
アパートやマンションなどの賃貸物件の企画・販売を専門に行っている企業です。社内あるいはグループ内に施工部門や管理部門を抱えていることが多く、アパート経営に関することを一貫して提案してくれます。設計や施工、管理などを外部に委託しているケースもあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・アパートやマンションの企画から管理までを一貫して依頼できる ・賃貸物件専門なので、アパート経営に必要な地域の特性などを理解している ・オーナーの意向や土地形状などに合わせてデザインや仕様・設備を提案してくれる |
・費用が高額になりやすい(利回りが低くなりがち) ・家賃が高めの設定になりやすい ・事業規模が小さく、倒産リスクがある ・人材が揃っていないこともある |
1-3 工務店
地域密着型で住宅建築などの事業を展開している工務店は、事業エリアは広くないものの特定のエリアに強いケースがあります。住宅の施工が中心で、建築の技術や工法などを幅広く保有しています。大工などの職人を抱えている企業では、丁寧な施工を武器にしています。
メリット | デメリット |
---|---|
・設計内容や仕様・デザインなどの融通が効く ・大工などの職人を抱えており、現場監理能力が優れている ・建築コストを抑えることができる |
・中小企業であることが多く、事業規模が大きくない ・アパート経営に関する実績が少ない ・施工できる工法が限られているケースもある |
このほかアパートの建築は、設計事務所やゼネコンなどでも行っています。それぞれの特徴やメリットとデメリットを把握した上で、失敗しないための選び方のポイントを見ていきましょう。
2 アパート建築会社の選び方を失敗しないためのポイント
アパートを建築する業者についてメリットとデメリットを把握したところで、選ぶ際にどこをみるべきか、5つのポイントについて解説していきます。
2-1 アパート建築の豊富な実績
前述したように、ハウスメーカーや工務店はアパート建築以外に、一戸建てやマンションなど様々な種類の建築物を取り扱っており、アパートの建築に関して実績が少ないケースもあります。その場合、アパート建築に関する知識やノウハウに加え、地域の特性や入居者ニーズの把握の仕方などの情報が不足していることも考えられます。
アパートは長い期間をかけて運用することになるため、将来的な利益を見越して建築計画をすることが大切です。エリア内のアパート入居者の状況、人気のある設備、予想される利回りの推移などをシミュレーションしていたり、過去の運用実績やノウハウがあるかどうか、確認してみましょう。
例えば、堅実なアパート経営をコンセプトに掲げる不動産投資会社の「アイケンジャパン」では、2006年の創立から約900棟の開発・引渡し実績があります。対象エリアを主要駅10分圏内(首都圏は15分圏内)、入居者のターゲットは物件選びの目線が厳しい社会人女性に絞って、防音性・防犯性・デザイン性・コストパフォーマンスなどを追求し、入居率99.3%(2023年年間実績)を実現しています。
また、アイケンジャパンでは、資料請求やセミナー参加で同社のアパート経営ノウハウが詰まった詳細資料とアパート経営に関する書籍のPDFを無料プレゼントしてもらえますので、まずは情報収集からという方は検討してみましょう。
2-2 対応できる構造・工法の種類
アパートを建築するには、主に下記のような構造があります。
- 木造
- 鉄骨造
- 軽量鉄骨造
- 鉄筋コンクリート造(RC)
これらの構造の建物を建てるには、それぞれに工法がいくつもあります。アパートを建築する際は土地の広さや立地条件、入居者の主要ターゲット、オーナーの意向によって選択する構造や工法が違ってきます。そのため、いろいろな構造と工法で実績があるか、特定の工法に特化している場合は自身の要望に応えられる会社かどうか確認しましょう。
一戸建て住宅では主に木造が用いられ、マンションでは鉄筋コンクリート造が主流になります。そのため、複数の構造と工法の実績が少ない会社もあります。
そうしたケースでは入居者ターゲットに合致していなかったり、オーナーが法定耐用年数を考慮して構造・工法を指定したいのに、業者側の得意な方法で提案されることもあります。そうならないためにもどのような構造と工法が得意なのか、確認しましょう。
2-3 担当者との信頼関係
アパートが竣工するまで、また管理を依頼するケースではそれを含めた長い期間、アパート建築会社はビジネスパートナーとなります。信頼関係が築くことができるのか、担当者を見極めることも重要になります。
アパートの建築プランは何度か打ち合わせをして、意向を伝えて修正をしてもらいましょう。こちらが意向を伝えやすい人柄であること、またそれを真摯に受けとめてくれることなどがポイントになります。
担当者の性格などもありますが、担当者と接する時は下記のような点をチェックするといいでしょう。
- こちらの要望に対して真摯に向き合ってくれるか
- 適切にレスポンスをしてくれるか
- 自社の都合を優先したプランばかりを提案していないか
- 意見の言いやすい人柄か
- 意見に対して柔軟に対応してくれるか
- アパートの建築に関する知識とノウハウは不足してないか、など
2-4 金融機関との関係性
アパートを建築するには多額の費用が必要です。その際、現金で用意できるオーナーは数少なく、通常は金融機関からの融資を活用することがほとんどです。通常はアパート建築業者を通して、融資してくれる金融機関を紹介してもらうことになります。
このときに、金融機関と良好な関係が築かれているケースであれば、融資の際も融通を効かせてくれることもあります。例えば、知名度のあるハウスメーカーでは過去の実績も多く、取引先の金融機関と連携が取れている可能性があります。そのため、資金計画や収支計画を含めた事業計画に対しても信頼を持っており、オーナーの属性に問題がなければ融資は下りやすくなります。
一方で業者の実績が乏しい場合は、物件への信頼度が低く、融資の条件も厳しくなるケースもあります。融資の年数や金利、借入可能総額などは経営のパフォーマンスにも影響を与えるため、確認しておきたい重要なポイントとなります。
2-5 トラブル発生時の対応力
アパートを建築する際にトラブルがないのに越したことはありませんが、中にはトラブルに遭ってしまい、アパート経営が始められないという事態も起きる可能性があります。アパート建築をめぐるトラブルには、下記のようなものが想定されます。
- 子請け・孫請け企業などの手抜き工事
- 天候不良などを起因とする納期の遅れ
- 追加費用の発生
- 建築工事中の騒音や人の出入りによる近所とのトラブル
- 隣接する敷地内に荷物などが侵入するトラブル
- 工事現場における事故、など
特に近隣とのトラブルがあると、物件が竣工したあとも悪い関係が続き、アパート経営に支障が出ることもあります。
トラブルが起きないようにどのような対応をしているのか、トラブルが起きた際にはどのような対応をするのか、事前に確認しておくといいでしょう。ホームページには顧問弁護士がいる旨が記載されていたり、保証に関する記載があるアパート建築会社もあります。それらの情報もチェックしておきましょう。
まとめ
新築してアパート経営を始める際は、物件を建築してくれる業者を選ぶことがスタートです。その後長い期間にわたって経営することになるため、業者選びは慎重に行うことが大切です。
今回のコラムでは、失敗しないための選び方を解説しました。ポイントは、担当者を含めて提案が信頼できるかどうかです。その基準として、実績や金融機関との関係、トラブル時の対応などを確認してみましょう。
倉岡 明広
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