航空会社として初、ANAグループのNFTマーケットプレイスについて解説

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今回は、ANAグループのNFTマーケットプレイスについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 「ANAグループ」とは
    1-1. 「ANAグループ」の概要
    1-2. ANA NEO株式会社とは
  2. ANA GranWhale NFT MarketPlaceとは
    2-1. ANA GranWhale NFT MarketPlaceの概要
    2-2. 「ANA GranWhale NFT MarketPlace」ローンチの背景
  3. 「ANA GranWhale NFT MarketPlace」の特徴
    3-1. NFTの出品が可能
    3-2. クレジットカードでの購入が可能
    3-3. プラットフォーム上での取引が可能
    3-4. 利便性の高いユーザーインターフェース
  4. 「ANA GranWhale NFT MarketPlace」の今後の展開
    4-1. 著名アーティストとのコラボレーション
    4-2. NFT商品のラインナップ拡大
  5. まとめ

2023年5月30日、ANAのグループ企業として知られる全日本空輸株式会社(ANA)とANA NEO株式会社が、エアライングループとして世界初の事例となるNFT(非代替性トークン)のマーケットプレイスをローンチしました。

この新プラットフォームは「ANA GranWhale NFT MarketPlace」と名づけられ、NFTの購入だけでなく、登録したクリエイターが自作の作品を出品・販売することも可能となっています。この記事では、ANAが新たに開設したこのマーケットプレイス「ANA GranWhale NFT MarketPlace」について、その目的と特徴について詳しくお伝えしていきます。

1.「ANAグループ」とは

1-1.「ANAグループ」の概要


ANAグループは、1952年に設立された日本を代表する航空会社で、120社以上の連結子会社と40社以上の関連会社を有する大規模なエアライングループです。その経営理念は「安心と信頼を基軸に、世界をつなぐ心の翼で夢に満ちた未来に貢献する」。これを実現するために、国内外の航空ネットワークと顧客基盤を活用し、利便性と品質に優れたサービスを提供し続けています。

ANAのグループ企業は各々が特化した事業領域を担当し、次のような多岐にわたるサービスを提供しています。ANAホールディングス(株)は、持株会社として各事業会社の自立的な経営を支え、経営資源の最適な配分を行い、全体としての企業価値の向上を目指しています。

  • 航空運送
  • 航空機整備事業
  • 空港地上支援
  • 車両整備
  • セールス&マーケティング
  • コンタクトセンター
  • フライトケータリング
  • 総合商社
  • 貨物、物流
  • IT
  • 人材・ビジネスサポート
  • 不動産、ビルメンテナンス
  • 調査研究、シンクタンク
  • 航空機操縦士養成

1-2.ANA NEO株式会社とは

今回のNFTマーケットプレイスを開設したのは、全日本空輸株式会社(ANA)とANA NEO株式会社です。

ANA NEOは、「ANA GranWhale」、つまりバーチャルトラベルプラットフォームの開発および運営を主たる目的として設立されました。その設立にあたっては、国内外で高く評価されている「JP GAMES」と提携し、この新たな試みに取り組んでいます。

ANA GranWhaleは、2023年3月にクローズドβテストを行い、システムの確認と改善を進めるなど、公開に向けて順調に開発が進行しています。プロジェクトの総合プロデューサーとして、「スクウェア・エニックス・グループ」で「ファイナルファンタジーXV」のディレクターを歴任し、JP GAMESのCEOである田畑端氏が参画しています。そのため、このプロジェクトは業界内外から大いに注目を浴びています。

さらに、ANA NEOは、北海道や京都市などとパートナーシップを結んでおり、メタバース(仮想空間)を通じて、観光地や美術館のような名所、または地元の食や文化を体験できる独特なサービスを展開しています。IT分野に強みを持つANA NEOは、ANAグループの広大な顧客基盤と強力なブランド力、そしてJP GAMESの高度な開発・技術力を結集して、リアルとバーチャルを融合した新たなライフスタイルを提案しています。

2.ANA GranWhale NFT MarketPlaceとは

2-1.ANA GranWhale NFT MarketPlaceの概要

「ANA GranWhale NFT MarketPlace」は、2023年5月30日に全日本空輸(ANA)とANA NEOが共同で開設した、エアライン業界としては世界初のNFTマーケットプレイスです。このマーケットプレイスは、先に説明したバーチャルトラベルプラットフォーム「ANA GranWhale」の一部として開発されました。そしてこれからも、「ANA GranWhale」と連携しながら事業展開を進めていくとのことです。

「ANA GranWhale NFT MarketPlace」は、PCとスマートフォンの両方に対応しています。また、利便性を考慮して、提供されるNFTはアート、ブランド、アニメなどのカテゴリーに分けられています。これにより、ユーザーは自分が関心を持つコンテンツを容易に、そして迅速に見つけ出すことができます。

ANA NEOは既に多数のプロジェクトと提携を果たしており、様々な種類のNFTコンテンツの制作に取り組んでいます。このため、ユーザーからはその展開に対する期待感が高まっています。今後の展開について、ANAグループは、日本各地の特産品などをNFT化する可能性を視野に入れつつ、このマーケットプレイスを通じてユーザー体験の質をさらに向上させることを目指しています。

2-2.「ANA GranWhale NFT MarketPlace」ローンチの背景

「NFT(非代替性トークン)」はデジタルアセットの所有権を表現する新しいテクノロジーで、その安全性と確実性はブロックチェーン技術により保証されています。このテクノロジーにより、デジタルデータに独自の価値を付与することが可能となります。

NFT技術は、現在、アート、音楽、ゲームなどの分野で幅広く利用されており、これまでとは異なる新たなエコシステムを形成しています。ANAグループではこのNFTを航空業界に応用することによって、クライアントとの新たなつながりを生み出すことを目指すとしています。そして、前述したバーチャルトラベルプラットフォーム「ANA GranWhale」および今回新たにリリースされた「ANA GranWhale NFT MarketPlace」を通して、地域や海外を含めたユーザー体験価値の向上を目指していくと語っています。

3.「ANA GranWhale NFT MarketPlace」の特徴

3-1.NFTの出品が可能

「ANA GranWhale NFT MarketPlace」では、アーティストやクリエイターが自身の作品をNFTとして登録し、売却することが可能です。

具体的には、マーケットプレイスに登録することで、出品が可能となり、また、売却価格は出品者自身が自由に設定できます。さらに、作品に関連するロイヤリティも設定できるため、アーティストやクリエイターは「ANA GranWhale NFT MarketPlace」を利用することで継続的な収益を得ることが可能です。ただし、出品時には販売手数料が発生するので、その点については注意が必要です。

もし、出品した作品が売れなかった場合でも、「所持アイテム一覧」から再販売を行うことができます。また、売り上げについては、日本円の場合1,000円以上、ETH(イーサリアム)の場合は0.02ETH以上の売上があった時に出金申請を行うことができます。また、一度に出金できる最高額は、円の場合は300万円、ETHの場合は15ETHと定められています。

3-2.クレジットカードでの購入が可能

ANA GranWhale NFT MarketPlaceでは、出品者がNFT作品を出品する際に、決済方法を選べるようになっています。この点は特筆すべきことで、通常の仮想通貨決済だけでなく、クレジットカード決済も選ぶことができます。

その結果、ユーザーは特別に仮想通貨を準備する必要がなく、また、仮想通貨に馴染みのないユーザーでも、通常のネットショッピングと同じ感覚で、気軽かつ安心してNFTを購入することが可能となります。なお、仮想通貨を用いて決済を行う場合には、「メタマスク(MetaMask)」という、イーサリアム(ETH)系ウォレットを利用することができます。また、クレジットカードや仮想通貨での決済には一定の制限時間が設けられており、購入手続きを開始してから15分以内に決済を完了させる必要があります。

3-3.プラットフォーム上での取引が可能

ANA GranWhale NFT MarketPlaceでは、一度購入したNFT商品をプラットフォーム上で再販売することが可能です。

従来、アーティストやクリエイターは自身の作品を初めて売却する際、その初売り(一次流通)の利益しか得られないのが普通でした。そのため、資金的な理由で作品制作を続けるのが難しい、または本来表現したいことを我慢しなければならない、という状況が多くのクリエイターには存在していました。しかし、NFTの台頭により、その問題が大いに軽減されました。アーティストやクリエイターは、自分の作品をNFTとして出品する際に、その後の取引から一定のロイヤリティー(権利料)を受け取ることが可能になったのです。それにより、自分の作品が再販されるたびに継続的に収益を得られるようになりました。

ANA GranWhale NFT MarketPlaceでも、同様のシステムが機能しています。クリエイターは作品のロイヤリティーを自由に設定でき、購入者は購入した作品をマーケットプレイス内で二次販売することが可能です。これにより、ユーザーはNFTを単に購入するだけでなく、それを自由に取引することができます。ただし、全てのNFT商品が再販売の対象となるわけではないので、その点は注意が必要です。

3-4.利便性の高いユーザーインターフェース

ANA GranWhale NFT MarketPlaceでは、ユーザーがサービスをスムーズに利用できるよう、使い勝手の良いユーザーインターフェースが提供されています。特に注目すべきは、NFT作品の検索機能です。これは、ユーザーが興味を持つNFTコンテンツを、多角的に調査し見つけ出すことを容易にします。

具体的には、下記のような分類や機能が用意されています。

  • アイテムカテゴリ
    NFT作品は、ユーザーが検索や閲覧を容易に行えるように、様々なカテゴリーに分類されています。例えば「イラスト」、「フォト」、「キャラクター」、「ブランド」、「3D」、「アート」などのカテゴリーが存在します。
  • プロジェクト
    ANA NEOは数々のプロジェクトとパートナーシップを結んでおり、それらのプロジェクトごとに作られたNFT作品を探し出すことができます。
  • ハッシュタグ
    検索や閲覧の利便性を高めるために、NFT作品はハッシュタグにより分類されています。例えば「イベント」、「メタバース」、「時空旅客機」、「美しい」、「旅行」、「自然」、「スタイル」、「おしゃれ」、「パイロット」、「カッコいい」などのハッシュタグが利用されています。
  • お気に入りアイテム登録
    ユーザーは、気に入ったNFTアイテムをお気に入りリストに追加することができます。

これらの機能を通じて、ANA GranWhale NFT MarketPlaceは、ユーザーが多数のNFTアイテムから自分好みの作品を見つけることをサポートします。これらの利便性を重視した機能のおかげで、NFTに未経験の初心者でも気軽にサービスを利用することができます。

4.「ANA GranWhale NFT MarketPlace」の今後の展開

4-1.著名アーティストとのコラボレーション

ANA GranWhale NFT MarketPlaceは、すでに様々なプロジェクトと連携しており、多岐にわたるNFTコンテンツを提供しています。これらのコンテンツは、多くの人々から注目を集めています。

例えば、2023年5月30日には、航空写真家ルーク・オザワ氏が撮影した6種類のデジタル写真をNFT化したコレクションがリリースされ、話題を呼びました。オザワ氏は半世紀にわたり航空機を撮影し続けており、その長年の努力がNFTという形で評価されたのです。これらのNFTは各10万円で提供されましたが、中には写真の原版である「ポジフィルム」付きのものもあり、こちらはオークション形式で販売されました。

さらに、ANA GranWhaleでは、風景写真家の清家拓氏や、航空パイロットをテーマにした3DボクセルアートNFT「Airbits」も手掛けられています。

そして、2023年6月7日にはNFTコレクションの第二弾として、ANAがローンチカスタマーとして世界で初めて導入した「ボーイング787初号機」の特別塗装機や、幻のデザイン案とされていたモデルを3Dデザイン化した飛行機のNFTがリリースされました。これらのコラボレーションは、ANA GranWhale NFT MarketPlaceが提供するコンテンツの多様性と質の高さを示しています。

さらに、2023年6月22日からは、アーティストのAkira Terada氏が制作したNFT作品のリリースも予定されています。この新作リリースに向けて、ファンやNFTコミュニティからの期待が高まっています。

4-2.NFT商品のラインナップ拡大

ANAグループは、今後、日本全国の特産品をNFT化し提供する可能性も検討中です。そのため、ANA GranWhale NFT MarketPlaceを通じて、国内外のユーザーに対し、さらに多様な体験価値を提供していくことを目指しています。現在のところはアーティストや写真家とのコラボレーションが主流ですが、特産品などのNFTが加わることで、提供されるコンテンツの幅はさらに広がると見られています。

5.まとめ

「ANA GranWhale NFT MarketPlace」は、ANAグループが新たに開始したNFTマーケットプレイスで、ITを担当するANA NEOと連携して推進されているバーチャルトラベルプラットフォーム「ANA GranWhale」の一部です。ここでは、NFTの購入だけでなく、アーティストやクリエイターが自身の作品を販売し、二次取引の際にはロイヤリティを設定できるなど、多様な機能が提供されています。

既に数々のアーティストや写真家とのコラボレーションが実現しており、今後もそのラインアップは増え続ける予定です。そんな「ANA GranWhale NFT MarketPlace」に興味のある方は、ぜひ一度覗いてみてはいかがでしょうか。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12