インフレや円安を背景に、資産防衛の観点から実物資産である不動産への関心が高まっています。特に都心部では不動産価格の上昇が続き、区分マンション投資では利回りの確保が難しくなりつつあるのが現状です。
こうした状況下で、より大きな資産形成を目指す投資家の関心が高まっているのが「一棟物件投資」です。しかし、一棟物件は投資規模が大きく、管理の手間や空室リスクなど、区分投資とは異なる専門的な知見が求められるため、一歩を踏み出せない方も少なくありません。
実際のところ、プロは現在の市場をどう捉え、どのような基準で物件を選び、リスクを管理しているのでしょうか。今回は、東京23区を中心に一棟物件や区分マンションの仕入れから販売までを手掛ける不動産投資会社「エイマックス」の事業担当者、間氏にお話を伺い、一棟物件投資の「リアル」に迫ります。
エイマックス

エイマックスは、資産(Asset)の最大化(MAX)を社名・理念として掲げる不動産投資会社で、東京23区の投資用マンションや一棟投資物件の仕入れ・販売を手掛けています。日本でトップの不動産販売実績(※)を有する代表の天田 浩平氏を中心に少数精鋭の営業体制できめ細やかなサービスを提供しています。(※投資用マンション部門 天田氏の個人取引実績 年間最高売上高83.9億円 年間387部屋)
エイマックスでは、購入後の家賃アップ戦略を強みとしており、管理戸数711戸・入居率99.1%(2023年7月時点)という高い実績を誇ります。その結果、不動産投資オーナーのリピート率82%、紹介率37%(いずれも2022年1月集計)という非常に高い満足度につながっています。
Q1:まず、最近の一棟物件市場の動向と、どのような方が投資を検討されているのか教えてください
間氏: はい。私たちが日々接している中で感じるのは、すでに区分マンションを2〜3件ほど所有されている投資家様が、次のステップとして一棟物件をご検討されるケースが非常に多いということです。資産規模の拡大スピードを加速させたいという明確な目的をお持ちの方が中心ですね。
また、個人投資家様だけでなく、ご自身の事業で使われる事務所や店舗として、物件の一部を自己利用したいというニーズも少なくありません。
価格帯としては3,000万円台から6億円規模まで幅広く扱っていますが、実際に成約に至るのは2億円未満の物件が多い傾向にあります。ご自身の与信で1億円程度の融資を組めるような、いわゆる高属性の会社員や経営者の方が主なプレイヤーと言えるでしょう。
また、私たちが扱う物件は、同業である宅建業者様にご購入いただくケースも少なくありません。プロの目から見ても「投資妙味がある」と評価される、価値ある物件をご提供できているのではないかと考えています。
Q2:一棟物件は価格帯も広く、初心者には選び方が難しい印象です。プロはどのような基準で物件を選定しているのでしょうか?
間氏: おっしゃる通り、一棟物件の選定には多角的な視点が求められます。私たちは数ある基準の中でも、特に二つの点を重視しています。
一つ目は「遵法性」です。具体的には、金融機関からの融資が問題なく受けられる、法的にクリーンな物件であるということです。市場には、例えば建築基準法に適合しない増改築(車庫を居室に改造するなど)が行われた物件や、権利関係が複雑な物件も存在します。こうした物件は、どんなに利回りが高く見えても、融資や将来の売却時に大きな障害となるため、仕入れ後に遵法性を満たせるのかを厳しくチェックする必要があります。
二つ目は「賃料査定の精度」です。私たちは、現在の入居率といった表面的な数字よりも、将来にわたって安定的に得られるであろう「想定賃料」を極めて重視します。これまで蓄積してきた豊富な賃貸データや周辺の賃料相場などを基に、賃料の下落リスクを徹底的に分析し、長期的に見て入居に困らないと確信できる物件のみを仕入れています。この精緻な査定こそが、投資家様の最大のリスクヘッジになると考えています。
なお、利回りに関しては、立地条件によって大きく異なりますが、都心の好立地な物件では表面利回り4%前後、一方で板橋区など少しエリアを広げた物件では8%を超える高利回りを実現できるケースもあり、お客様の戦略に合わせて幅広くご提案しています。
Q3:区分投資と一棟投資の最大の違いは何でしょうか?また、投資家にとってのメリットを教えてください
間氏: 最大の違いは、「土地」という資産が手に入ることです。建物は経年で価値が減少する減価償却資産ですが、土地は価値が維持されやすく、エリアによっては上昇も期待できます。
実際に私たちが扱った東京23区の物件では、1年間で土地の評価額が20%上昇した事例もございます。これは家賃収入(インカムゲイン)とは別に、資産そのものの価値が向上したことによる含み益であり、一棟物件投資の大きな魅力です。
さらに、この「土地」は、次の投資戦略において極めて重要な役割を果たします。購入した一棟物件の土地を共同担保として金融機関に提供することで、次の物件を購入する際の融資枠を大きく広げることが可能になります。区分投資を一つずつ買い進めるのとは、資産拡大のスピード感が全く異なります。
持続的な人口流入が見込めるエリアの土地を所有することは、インフレヘッジとしてだけでなく、将来の資産形成における強力なエンジンとなり得るのです。
Q4:とはいえ、一棟物件には特有のリスク(管理の手間、空室リスクなど)が伴うイメージがあります。リスク対策についてお聞かせください。
間氏: まず空室リスクですが、これは先ほど申し上げた「仕入れ段階での精緻な賃料査定」が最大の対策となります。需要が見込めるエリアで、適正な賃料設定が可能な物件を厳選しているため、安定した稼働が期待できます。
次に管理の手間についてですが、ご購入後は、前オーナーから管理会社ごと引き継いでいただくのが最もスムーズなため、それを推奨しています。もちろん、ご希望に応じて、私たちのグループ会社が提供する賃貸管理や設備保証サービスをご利用いただくことも可能ですし、長年の付き合いがある信頼性の高い建物管理会社をご紹介することもできます。
投資家様からいただくご質問のなかには、「入居者の属性はどうか」「インターネット環境や、水道・電気メーターの個別設置状況はどうか」といった、運営の細部に関わるものもあります。私たちはこうした点も事前に詳細に調査し、情報開示した上でご判断いただいています。
Q5:最後に、これから一棟物件投資を検討する方へメッセージをお願いします。
間氏: 一棟物件投資は、決して簡単な投資ではありません。しかし、正しい知識を持ち、信頼できるパートナーと組むことで、資産形成を大きく加速させる可能性を秘めています。
私たちが扱うような一棟物件は、一般の不動産ポータルサイトに出ることは稀で、その多くがレインズ(不動産業者間の情報システム)などを通じて非公開で取引されます。だからこそ、物件の価値を正しく見極められる専門家との出会いが成功の鍵となります。
私たちは今後、一棟投資領域における金融機関とのアライアンスをさらに強化し、お客様がより有利な条件で融資を受けられる環境を整えていく計画です。投資家の皆様が、安心して一棟投資へ踏み出すための一助となれれば幸いです。
【まとめ】
一棟物件投資で失敗しないためには、表面的な利回りだけでなく、「遵法性」「長期的な賃料収入の安定性」そして「土地資産としての価値」という、多角的な視点から物件を評価することが重要です。
特に、融資や売却の土台となる遵法性の確保と、精緻な賃料査定は、専門家にも相談しながら進めたい部分です。この記事を参考に、物件の仕入れ段階でリスクを可能な限り抑え、資産価値の高い物件を厳選することで、長期的な目線での一棟投資の検討を進めてみてください。
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