金融庁は4月22日、「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)の測定と国内公募投信についての諸論点に関する分析」を公表した。KPIの測定と諸論点に関する分析は株式会社QUICK資産運用研究所に委託。国内籍の公募追加型株式投資信託の運用パフォーマンスを示す重要業績評価として公表しており、シャープレシオと累積リターンを取り上げ、2022年末までの各年末時点を基準日とした過去5年間のシャープレシオと累積リターンを計測、主な投資対象で区分したQUICK分類ごとに、各運用会社の平均値を算出している。分析対象、分析方法は2022年公表の調査内容と基本的に同一で、「ESG関連ファンド」に関する集計は行っていない。
それによると、22年の投資信託市場のパフォーマンスは、好調だった前年から一変して悪化に転じた。世界的な物価上昇を背景に主要国での利上げが相次ぎ、金融市場が変調。とりわけ株式相場では上昇基調が続いたグロース株(成長株)が総崩れとなる一方で、バリュー株(割安株や高配当株)に見直し買いが入る展開になった。
その結果、「コモディティ」を除く全分類において、分類別の平均シャープレシオは21年末に比べ縮小。全ファンドの平均シャープレシオは前年末の0.50が0.21に半減した。バリュー株運用を得意とする運用会社が上位に入った。国内では長期金利の上昇により、国内債券ファンドの基準価額が下落し、国内債券型では運用会社すべての5年平均リターンがマイナスとなったのも本年の特色だ。
つみたてNISA対象のファンド、特につみたてNISA対象のインデックスファンドの平均シャープレシオは上位を維持したものの、つみたてNISA対象のアクティブ型ファンドは順位を下げた。一部の運用会社の順位降下が影響したものとみられる。「あくまで平均値の比較という点に留意は必要」と前置きして「全ファンド全体のアクティブ型のシャープレシオ平均がインデックス型を下回っている傾向に変化は見られないが、双方の差は前年末に比べ縮小した」としている。
全ファンドを平均した信託報酬は低減傾向が続き、残高加重平均は前年末の1.25%が1.16%に低下した。低コスト化を伴ったインデックスファンドの残高拡大が信託報酬の低減を主導している。全ファンドの全体の純資産残高をみると、アクティブ型の合計残高は前年から7兆円あまり減少したのに対し、インデックス型は3兆円程度増加していた。
つみたてNISA対象やDC専用を中心に規模の大きいインデックスファンドを運用している国内系運用会社が低信託報酬ランキングの上位に並ぶ。その一方でランキング下位には、相対的に信託報酬が高いアクティブファンドを運用商品の軸にしている外資系や一部の国内系運用会社が多い傾向に大きな変化はなかった。
同庁は22年末ファンド分類別・運用会社別・平均分析データ、個別ファンド・データ集、信託報酬の平均などの資料も公表している。このなかで、マネックス・アセットマネジメント株式会社は同社の「ON COMPASS」の「ファンドラップ(SMAを含む)の『費用控除後』平均パフォーマンス」で「ON COMPASS」が3年リターン、5年リターンにおいて第1位を獲得した。また、対面型サービスの「ON COMPASS+」も3年リターンにおいて「ON COMPASS」に次ぐ第2位を獲得している。
【関連サイト】国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)の測定と国内公募投信についての諸論点に関する分析」の公表について
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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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