なぜマレーシアは日本人の海外移住先として人気なのか?

年間を通して常夏のマレーシアは、物価が安く、治安もいいことから海外の移住先として日本人に人気があります。財団法人ロングステイ財団の調査によれば2006年から2017年まで12年連続で「海外で日本人が住みたい国」の第1位となっています。

特に2011年の東日本大震災後は海外移住を考える日本人が増え、2012年のマレーシア長期滞在ビザ取得数は前年比約2倍に増加しました。また、税金対策として資産を海外に移すために移住するというケースも多く、税金の安いマレーシアで不動産投資などの資産運用に取り組むサラリーマンも少なくありません。

今回はますます注目が集まるマレーシアを取り上げ、その人気の理由とマレーシア移住で気をつけたいポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

  1. 移住先として人気が高い国の条件とは
    1. 海外移住者が住みやすいと考える要素
    2. 日本人が海外移住を希望する理由
  2. 移住先としてマレーシアが選ばれる理由
    1. 治安の良さ
    2. 物価の安さ
    3. 英語が使える
    4. 親日的な国民性
  3. マレーシア移住で知っておきたいコト
    1. MM2H取得の条件
    2. マレーシアの日常生活で気をつけたいマナー
  4. マレーシアへの移住をお考えの方へ

1 移住先として人気が高い国の条件とは

マレーシアがなぜ移住先として人気が高いのか。その理由を探るためには海外移住者が移住先に何を求めているのかを知る必要があります。

1-1 海外移住者が住みやすいと考える要素

世界中の住宅ローンを手掛ける商業銀行HSBCの「海外移住者調査」では、海外での住みやすさを評価する項目として、「経済」「暮らし」「家庭環境」の3つの指標を取り上げ、ランキングを発表しています。

世界46か国において「駐在員が住みやすいと思う」順に作成したランキングを見ると、マレーシアの総合順位は25位(2017年)となりました。なお、この時の日本は29位です。

指標 内容 順位
経済 貯蓄 13位
暮らし 資産 7位
健康管理 7位
友達の作りやすさ 12位
家庭環境 社会生活 19位
パートナーとの良好な関係 8位
子供にかかるコスト 8位
統合保育 8位

(順位が高いものを一部抜粋)

1-2 日本人が海外移住を希望する理由

次に日本人が移住先に求めるものを確認してみます。
法務手続きに関する情報を発信する日本法規情報が行った、すでに海外に移住している人・あるいは具体的に検討している人を対象に行ったアンケートによると、「定年後の海外移住を検討・実行した理由」として多かったのは

  • 移住先の静かな環境に惹かれて(33%)
  • 趣味に適した環境だから(18%)
  • 移住先の刺激ある環境に惹かれて(15%)

となりました。

また、「興味はあるが海外移住を具体的には計画しない理由」はおもに次の4つが挙げられました。

  • 資金が足りない(30%)
  • 語学力に不安がある(24%)
  • 治安が心配(22%)
  • 現地に知り合いがいないので不安(18%)

海外移住するにはそれなりの資金が必要なうえ、現地の言葉をある程度理解する力も必要です。また日本と比べれば一般的な海外の治安は良くなく、現地で知り合いや友人ができるかどうかも不安に感じている人が多いことがわかります。

2 移住先としてマレーシアが選ばれる理由

上記の海外移住希望者のデータをもとに、なぜマレーシアが移住先として人気があるのかを見ていきましょう。

2-1 治安の良さ

マレーシアは東南アジアのなかでも治安が良い国として知られています。
経済平和研究所(IEP)の世界163か国を対象にした「平和の度合い」ランキングによると、
マレーシアは163か国中25位となります(2018年)。アジア圏でマレーシアより上位となる国は、シンガポール(8位)、日本(9位)、ブータン(19位)のみです。

ただし最近は、国際テロ組織ISの脅威が、イスラム教徒が6割を占めるマレーシアにも及んでいるため、日本大使館は一部地域(サバ州東海岸)などに対する渡航中止勧告を出しています。また、スリや置き引きといった盗難被害は日本より多いため、人が密集する観光地や商業施設ではある程度の注意が必要です。特にカメラやスマートフォン、タブレットなど高価なものはテーブルの上に置いたまま席を離れないよう注意する必要があります。

2-2 物価の安さ

海外移住で治安のほかに重視されるのが生活コストです。そこで参考になるのが、米コンサルティング会社大手のマーサーが発表している「駐在員生活費ランキング」です。これは世界209都市を対象に、「住居費」「交通費」「食費」「娯楽費」など200品目以上の価格を米ドルに換算して、ニューヨークを100として比較したものとなります。

2017年のデータによると、マレーシアの首都クアラルンプールは209都市中165位と、ASEANの中でも最も低く、物価の安さが際立っています。

生活費ランキング(ASEAN抜粋)

並び順 順位 都市名(国名)
物価が高い

物価が安い

5位 シンガポール
67位 ヤンゴン(ミャンマー)
バンコク(タイ)
88位 ジャカルタ(インドネシア)
95位 マニラ(フィリピン)
97位 ホーチミン(ベトナム)
100位 ハノイ(ベトナム)
115位 プノンペン(カンボジア)
165位 クアラルンプール(マレーシア)

実際、マレーシアの物価は日本の3分の1ほどと言われます。たとえば屋台で食事する場合、チキンライスやワンタンメンといった日本でも馴染みのある料理は5~6リンギット(約140円)です。お茶と合わせても1食当たり200円程度で済みます。

このほか、ガソリンはレギュラー1リットルで1.7リンギット(約47円)、お米(韓国産)4.5キロで49リンギット(約1,350円)、ミネラルウォーター1.5リットルで1.5リンギット(約42円)などとなります。ただしイスラム教の国なので、酒やたばこは高く設定されています。
(※2018年6月のレート 1リンギット=27.55円で換算)

また、家賃の目安については、エリアや物件を探す時期によって違いはありますが、日本人が多く住むモントキアラ(クアラルンプールの高級住宅地)では次のようになります。

  • 1ベッドルーム(70㎡ほど) 6万円~7万円
  • 2ベッドルーム(100~120㎡ほど) 8万円~11万円

2-3 英語が使える

前述のデータで「海外移住をためらう理由」として24%を占めたのが「語学力」です。特に東南アジア圏は馴染みのない言語が飛び交うため日常生活で不便さを感じるのではと考えている人が多くいます。

しかし、マレーシアの場合は日常で英語を使うことができます。全く知らない言語を一から勉強するよりも比較的馴染みのある英語を使えるのは大きな魅力となります。

マレーシアで日常的に英語が使われる理由は色々あります。マレーシアはもともとイギリスの植民地であり、また多民族国家です。おもにマレー系や中国系、インド系に分かれ、さらに少数民族も多く、それぞれが独自言語を持っています。このように多様な人々が意思疎通を図るため共通言語として英語が使われているという背景があります。

2-4 親日的な国民性

資金面や語学力面に続いて海外移住をためらう理由に挙がるのが、「現地には知り合いがいない」ことです。もちろんマレーシアは多くの日本人が住んでいますし、日本人向けのお店も多く、日本人の知り合いを作る機会には困りません。しかし、マレーシアが人気の理由は、国民全体として親日であることが大きな要因の1つです。

米国のピュー・リサーチセンターが日本・中国・インド・韓国に対する好感度をアジア諸国に対して調査したデータによれば、日本に対する好感度が最も高かったのはマレーシアで、84%の人が「日本に対して好感が持てる」と答えています(2015年データ)。

マレーシアの親日である理由は多々ありますが、1981年の「ルック・イースト政策」が大きく影響しているのではないかと言われています。これは当時のマハティール首相が提唱したもので、日本の集団主義と勤労倫理を学ぼうという政策方針です。

マハティール首相は戦後の日本を訪問し、そこで日本人の勤勉さや集団の利益を重んじる国民性に感銘を受け、その結果、欧米からではなく日本から学ぶという姿勢を初めて国内で広めたきっかけとされています。

また97年〜98年のアジア通貨危機において、他のアジア諸国がIMF(国際通貨基金)の管理下に置かれる中でマレーシアは自力での金融再編を行い、それに対して日本が資金援助をしたことも今日の親日につながったと考えられています。

このとおり、海外移住希望者にとって障壁となる資金面や語学力面などが、マレーシア移住では問題とならないため、特に日本人に人気の移住先となっていると考えられます。

3 マレーシア移住で知っておきたいコト

それでは実際マレーシアに住むためには知っておくべきこと、注意したいポイントなどをご紹介します。

3-1 MM2H取得の条件

マレーシアは滞在資格という面でも住みやすい国と言えます。日本人は観光目的でビザなしでも90日間滞在できるので、本格的に移住を決める前に生活してみても良いでしょう。そして移住を決断したあとは、MM2H(マレーシア・マイセカンド・ホーム)ビザを取得する必要があります。

一方、就労も可能な永住権も取得することができます。ただし、200万米ドルを5年間定期預金することが必要です。それに対してMM2Hはリタイアビザなので就労は(自営も含めて)できませんが、費用の面ではかなりハードルが下がります。またMM2Hは10年ごとに更新できるため、実質的に永住することも可能となります。このMM2Hビザを取得するための条件は年齢によって下記のように異なります。

・50歳未満

  • 50万リンギット(およそ1,400万円)の財産証明
  • 毎月1万リンギット(およそ28万円)以上の収入証明
  • 仮承認後に現地の銀行に30万リンギット(およそ830万円)以上を定期預金する
    など

・50歳以上の場合

  • 35万リンギット(およそ960万円)の財産証明
  • 毎月1万リンギット以上の収入証明あるいは年金証明
  • 仮承認後に現地の銀行に15万リンギット(およそ415万円)以上を定期預金すること など

3-2 マレーシアの日常生活で気をつけたいマナー

マレーシアで実際に生活するとなれば、知っておきたいルールやマナーが多々あります。まずマレーシアはイスラム教徒が国民の6割を占める国なので、1日5回のお祈りや豚肉の禁止、ラマダン(断食)中の禁止といった慣習が根付いています。

また、イスラム教では左手は不浄のものとされます。そのためマレーシア人と食事する時は左手で食べ物を持たないよう意識しましょう。

服装について、女性は肌の露出に注意が必要です。特に寺院に入るような時は、必ず1枚羽織るようなものを持つことをオススメします。スカートも丈の長いものを履くようにしましょう。

このほかマレーシアでは人差し指を立てるのは厳禁です。道を尋ねるような時、うっかり人差し指で方向を差すようなことがないように注意しましょう。

さらに人の頭を撫でるのもマナー違反です。たとえ相手が子供であっても、つい頭を撫でたりしないように注意が必要です。

日本とは勝手が違うことも多いのですが、マナーは相手のことを慮って、相手が不快にならないように考えて行動することですので、マレーシアに住む方と仲良くなりたい、もっとよく知りたいという気持ちを持つことが何よりも大切と言えるでしょう。

4 マレーシアへの移住をお考えの方へ

ここまで見てきたようにマレーシアには、

  • アジアの中でも治安が良い
  • 生活費が安く、日本の3分の1程度
  • 英語が使える
  • 親日国で日本人が歓迎される

といった移住にあたってのメリットが複数あります。

一方で、移住を検討するにあたって、以下のようなポイントも気になるところです。

  • 移住にあたって必要となる資金は?
  • 自分の語学力で通用するのか?
  • 現地に知り合いがいないので不安

このような不安を解消するには、マレーシアに詳しいプロに聞いてみるのが良いでしょう。
HEDGE GUIDEに掲載されている会社の中で、マレーシアに支社を持ち、現地にも強力なネットワークを持っているのがビヨンドボーダーズという不動産会社(本社:新宿区)です。マレーシアの物件を多数取り扱っており、移住などの相談や実績も非常に豊富です。マレーシアへの視察ツアーなども開催しており、移住前にイメージを固めたいという方にもおすすめです。

「住宅はいくらから購入できる?」「ローンは組めるだろうか?」「病気にかかった時はどうすればいい?」「MM2Hは取得できる?」「子どもの教育環境は整っているか?」などなど、移住にあたっての様々な疑問や不安を遠慮せずにぶつけてみると良いでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」