ウェルスナビの新機能「AI資産運用アドバイス」投資家にとってのメリットは?

AIを使った資産運用サービスを提供している『WealthNavi(ウェルスナビ)』が、2019年10月16日に新サービス「AIによる資産運用アドバイス機能の実装」 を発表しました。

老後の2,000万円不足問題などに象徴されるように、現役世代の資産運用の重要性は高まっています。AIによる資産運用アドバイスには、どのようなメリットや注意点があるのでしょうか?詳しく見ていきたいと思います。

目次

  1. 「ウェルスナビ」とは
    1-1.ロボアドバイザー「ウェルスナビ」の概要
  2. AI資産運用アドバイス機能とはどういうものなのか
    2-1.人間が行うアドバイスと何が異なるのか
  3. AI資産運用アドバイスの機能のメリット
    3-1.資産運用の長期継続を支援してくれる
    3-2.個人の感情や相性に左右されないアドバイスが貰える
  4. AI資産運用アドバイス機能を使う際の注意点
    4-1.AIだからと言って必ずしも正しいわけではない
    4-2.最終的に決めるのは私たち自身の判断
  5. まとめ

1.ウェルスナビとは

WealthNavi(ウェルスナビ)は、日本ではハードルが高いと思われがちだった個人の投資、資産運用の問題点に着目し、投資にあまり馴染みのない初心者の方にも簡単に資産運用ができる「ロボアドバイザー」というサービスを提供しているFintech(フィンテック)企業です。

CEOの柴山氏がアメリカにいた頃、アメリカに比べて日本人の投資への認知度やハードル意識が高いことに疑問を持ち、「個人の資産運用が日本には浸透していない」と感じたことがサービスの発端です。

1-1.ロボアドバイザー「ウェルスナビ」の概要

ウェルスナビは、最低投資額10万円、運用報酬年1%(長期割で手数料最大10%OFF、3,000万円を超える部分の手数料は0.5%)、追加の手数料なし、自動積立1万円からと少額から取り組みやすいロボアドバイザーのサービスです。運営会社のウェルスナビ株式会社には、SMBCベンチャーキャピタル、SBIホールディングス株式会社、DBJキャピタル投資事業有限責任組合(日本政策投資銀行の100%子会社)など、大手金融機関・ベンチャーキャピタルが出資をしています。

運用面では、年齢や金融資産額などに基づき判定された5つのリスク許容度から、自動で適した運用ポートフォリオを構築してもらえるため、簡単に国際分散投資を始めることが可能です。

また、資産運用によって受け取った分配金は、一定額以上になると、自動で再投資にまわしてもらうことができるため、分配金を引き出さずに再投資し続けることで「複利効果」による資産の成長が期待できます。特定口座なども選択可能ですので、確定申告などわずらわしい手続きもなく運用をすることができます。

2.AI資産運用アドバイス機能とはどういうものなのか

ウェルスナビでは、資産運用の3つの基本と言われる「長期・積立・分散」というキーワードで運用を行っていますが、今回の「資産運用アドバイス機能」は、その中のひとつ「長期」に着目し、運用を挫折しそうな状況になった際に、AIを使ったアドバイスをしてくれるサービスです。

資産運用は長期にわたって行うことが大切であるため、ユーザーが挫折しそうな状況を見つけアドバイスをすることによって、挫折を回避するという目的があります。

一般的に金融機関が提供する資産運用アドバイスサービスでは、運用が順調に進んでいるかどうかを担当者がユーザーに定期的に確認を取り、必要な助言を行う形を取っています。

例えば、分散投資の効果を持続させるために、運用している商品を入れ替えたりする時があります。この場合、個々の金融商品からどのタイミングで、何を購入し運用すべきかなどの提案を行います。

ウェルスナビでも、同様のアドバイスは今まで提供していたサービスに含まれています。しかし、長期間にわたって資産運用する中では、金融商品の状況や先行き不安、また個人の生活環境などが変化することもあり、「運用を止めようかな」と思う場面も出てくる可能性があります。

特に、オンライン上だけで資産運用を行なっていると、どうしたら良いか相談するアドバイザーもおらず、自分で投資判断をしないといけないという人も多いでしょう。今回のサービスは、そういった状況に陥っている人を、 AIを活用した資産運用アドバイス機能で支援していくというものです。

2-1.人間が行うアドバイスと何が異なるのか

人が投資に対するアドバイスを行う場合は、ユーザーと担当者との相性もあり、また担当者ごとに考え方や知識量も異なるため、良いアドバイザーを見つけることは簡単ではありません。また、優秀なアドバイザーは富裕層の資産運用を任せられている場合も多いため、一部の限られた人にしか接触できないということも考えられます。

最近は資産運用のアドバイスを行えるFPなどもいますが、満足のいくアドバイスを受けられるかどうかは保証できません。一方、膨大な過去データの分析に基づき、個人的な考えや感情に捉われないAIが行うアドバイスでは、こうした問題点を解決でき、多くの人に適切な資産運用アドバイスをしてくれる期待ができそうです。

3.AI資産運用アドバイス機能のメリット

AI資産運用アドバイス機能が必要な理由や、人のアドバイザーとどう異なるのかについて、いくつか取り上げた内容からメリットをまとめてみたいと思います。

3-1.資産運用の長期継続を支援してくれる

AIを使ったウェルスナビの資産運用は、今まで投資や資産運用について知識がなかった初心者でも簡単に利用できるよう、一人ひとりの状況に合わせて自動的に最適な運用を提案してもらえるといった点にメリットがありました。

さらに今回のアドバイス機能によって、今度は実際に投資を始めた後に「このままで良いのかな」「運用の状況が思わしくないからやめてしまおうか」と思った場合に、誰でも適切なアドバイスを貰えるという期待も出てきました。

資産運用は長く続けることによって大きな資産形成ができるものです。一時の価格下落があっても、また資産額が増える可能性はあるため、損失が出ているからといってそこで投資をやめるのが正しいかどうかは冷静に判断する必要があります。AIのアドバイスによってこの判断が簡単にできるようになることは、長期運用による将来的な資産形成への助けになるはずです。

3-2.個人の感情や相性に左右されないアドバイスが貰える

資産運用においては、アドバイザーが相談に乗ってくれるサービスを提供している会社は珍しくありません。しかし、従来アドバイザーは人間が務めていたことから、どうしても担当者による能力の違いや個人の想い、一時の感情、また担当者とユーザーとの相性などでアドバイスの質が左右されてしまいます。

しかし、ウェルスナビではそのアドバイスをAIに置き換えることで、これらの問題を解決するという期待が持てます。過去の運用データに基づき、ユーザーの状況に合ったアドバイスを客観的に行ってくれる点で安心感があります。

始まったばかりのサービスなので、このアドバイスが現状どこまで上手く実装できるのかは未知数です。しかし、これから機械学習を進めていき、より最適な資産運用のサポート体制を構築していく予定です。

ウェルスナビ社は、今回のサービス開始の約2年前から産学協同で研究を進めていました。今後も研究を継続していくということなので、さらにこのサービスは発展していく可能性があります。

4.AI資産運用アドバイス機能を使う際の注意点

自分の資産運用の相談相手を選ぶ時に、その相手が信頼できるかどうかということは、とても重要です。AIが資産運用アドバイザーとなった場合でも同じことが言えます。

ウェルスナビのアドバイス機能も始まったばかりのサービスなので、まだ十分に信頼できるかどうかはわかりません。そこで、AI資産運用アドバイス機能を使う場合に注意したいことを挙げてみました。

4-1.AIだからと言って必ずしも正しいわけではない

AIの仕組みはブラックボックスと言われています。膨大なデータの処理や分析を得意とするAIにおいて、人間では想像できないようなデータの相関性や関連などが導き出されることがあるからです。

そのため、人間のように感情やその時の気分によらない、冷静な判断から導き出されるAIのアドバイスが正しいかどうかはわかりませんので、あくまでひとつのアドバイス、自分の資産運用の選択肢のひとつとして捉える必要があります。

一方で私たちは、AIはデータに基づき論理的にアドバイスをしているということや、その判断の元は人間が作っていることを理解したうえ、AIが利用するデータの元は何か、ということを考える必要があります。AIサービスの提供元が信頼できるかどうかは、AIのアドバイスの信頼度にも繋がると言えます。

4-2.最終的に決めるのは私たち自身の判断

AI資産運用アドバイザーは、膨大なデータから私たち個別に合った最適な答えを導き出してくれるだろう、という期待もある反面、まだ始まったばかりのサービスであるため、その正確性は未知数です。

金融に限らず、未来のことは誰にもわかりませんが、人は大昔から過去の経験に基づいて未来を予測し次の対策を立てるという仕組みで生きてきて、それは現在でも変わっていません。それを考えると、今までの膨大な情報をまとめたうえでアドバイスをくれる AIの存在が様々なサービスで使われ始めているのは自然な流れだと言えます。

自分で物事の判断ができない場合、人に頼りたくなる時もあります。また今後は人の代わりに AIの判断を活用する時代も来ています。しかし、判断を何かに頼りすぎるのは危険です。何かあった場合のAIの責任範囲もまだ定かではありません。自分の判断は自分で責任を取るという意識を持っておく必要があります。

5.まとめ

資産運用では、一つの分野に偏らずにバランスの良い投資を行い、定期的なメンテナンスを行って長期的に資産を増やしていく必要があります。この点は健康管理にも似ているところがあります。最適な体づくりをするには、長期的に栄養バランスの取れた物を食べるなどして体型を維持する必要があるからです。

しかし、色々な要因で挫折をして続かないという人も多いため、健康管理を一緒にサポートするトレーナーの存在が大切になってきます。資産運用でも、損失が出て挫折しそうになる時には支えてくれるサポーター(アドバイザー)の存在が大切になってくるので、AIの伴走者としての役割に期待したいですね。

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河合志保

河合志保

証券会社での勤務経験を活かし、金融商品、投資、経済関連などのライティングをしています。 日々変化する金融の世界は、Fintechでさらに加速し、ますます面白くなっていきそうです。 そんな金融の世界にもっと興味を持ってもらえるよう、わかりやすく、ためになる記事を発信していきます!