日本独自の文化とされる畳ですが、住宅の洋室化が進む現代社会では畳のお手入れ方法が分からない方も増えています。畳は放置し続けるとさまざまな不具合が発生するため、定期的な張り替えが必要です。
当コラムでは畳のお手入れで気になる、張り替え費用の目安や交換タイミング・注意点を解説していきます。
目次
- 畳の張り替え種類やタイミング・費用目安
1-1.裏返し
1-2.表替え
1-3.新調 - 畳の素材や種類ごとの特徴
2-1.い草
2-2.和紙畳
2-3.樹脂畳
2-4.琉球畳 - 畳を張り替えずに放置した場合に想定されるトラブル
3-1.害虫の発生
3-2.毛羽立ちやささくれによる怪我
3-3.カビの発生 - 畳張り替えの注意点
4-1.縁付きと縁なしがある
4-2.新畳は湿気が生じやすい
4-3.重量の重たい家具は置けない
4-4.洋室化という選択肢がある - 複数社に見積もり依頼ができるリフォーム一括見積サイト
- まとめ
1.畳の張り替え種類やタイミング・費用目安
1-1.裏返し
畳の張り合えで、最も簡易的な施工が「裏返し」です。裏返しは畳表面の「畳表」を一度取り外し、裏の綺麗な部分を表にします。裏返しが推奨されるタイミングは2〜3年経過後です。費用は1畳4,000円前後が目安です。
色褪せや痛みが生じてきた場合、見た目を綺麗にしたい際に推奨される張り替え方法です。注意点として、1つの畳につき裏返しができるのは1回までです。加えて、経年劣化が進行し裏面まで腐食が生じている場合には、裏返しができません。畳の痛み具合が激しい場合には、後述する表替えや新調を検討しましょう。
1-2.表替え
表替えは表面の「畳表」を新しいものに交換する施工で、一般的に想像する畳の張り替えとしてメジャーな施工方法です。表替えが推奨されるタイミングは、4〜5年経過後です。費用は5,000〜10,000円前後が目安となります。
畳自体を交換する張り替え方法と比較すると非常に安価で、畳の素材がメジャーに使用されているイ草であれば、新しい畳特有のリラックス効果を持つ良い香りがするのも表変えのメリットです。
一方で、畳の下地である「畳床」は既存のままなので、踏み心地は変わらずクッション性が戻らないため注意が必要です。畳自体の感触に違和感がある場合や、凹みが生じている場合には後述する新調を検討してみると良いでしょう。
1-3.新調
畳自体の交換は「新調」と呼ばれる施工です。畳そのものを交換するため、品質や料金は新たに導入する畳によって上下します。
張り替えの目安は畳自体が変形している場合や、10年以上経過している畳が推奨されます。費用は10,000〜35,000前後が目安です。
新しい畳へ交換するため、踏み心地が良くクッション性が高い畳に復活します。表替えと同様に素材がイ草であれば、新品の畳特有の良い香りがするのも新調のメリットでしょう。
一方で、裏返しや表替えと異なり、畳の処分費用が伴うため、施工費用が高額になりやすい弱点を抱えています。
2.畳の素材や種類ごとの特徴
2-1.イ草畳
国内で古くから畳の原料として使用されている「イ草」は、湿地で成長する単子葉植物です。湿度が高い時には水分を吸収し、乾燥している環境では水分を放出する働きがあるため部屋の湿度を自動に調整する役割を担っています。
畳の中でも特にメジャーな存在なので、価格帯も安価です。一方で天然素材のため、定期的な手入れをしない場合は害虫やカビが発生すると言った弱点も抱えています。
2-2.和紙畳
耐久性が高く、カビやダニが発生しにくい畳の新素材として注目されているのが和紙です。着色しやすいため豊富なカラーバリエーションをほこり、変色しにくいため、イ草のように定期的な張り替えが必要ないのも和紙の強みでしょう。
耐久度はイ草畳の3倍近くの耐久度を誇り、長期間使用できる畳を求めている方に強みを持つ素材です。
一方で、イ草の強みである調湿機能や、特有の良い香りはありません。加えて施工費用も倍近くと非常に高額なので注意しましょう。
2-3.樹脂畳
樹脂を原料とした樹脂畳は、劣化しにくく手入れがしやすい畳です。天然素材の畳と異なり、カビやダニが発生しにくいのも樹脂畳の強みでしょう。
水や油にも強いため、水拭きで手入れができるのも樹脂畳の特徴です。反面、イ草特有の香りはしません。加えて熱に弱いため、冬季に高熱になる暖房器具を設置予定の場合には注意が必要な畳です。
2-4.琉球畳
琉球畳とは、沖縄で栽培される「七島イ」を原料にした畳です。近年では縁無しの畳を琉球畳と呼ぶケースもあります。イ草と異なり七島イは強度が高いため、縁なしの畳を作成できます。
ただし、近年では七島イの生産者が少なく、とても希少価値の高い原料です。そのため、原料に七島イを使用する琉球畳は、非常に高額な弱点があります。
また縁がない都合上、裏返しや表替えといったメンテナンスができない畳もあるという点に注意が必要です。
3.畳を張り替えずに放置した場合に想定されるトラブル
3-1.害虫の発生
畳は放置すると、ダニが発生する恐れがあります。ダニは人を刺すため、痒みや腫れといった皮膚の健康被害に繋がる恐れもあります。加えてダニの死骸や糞は、アレルギーを引き起こす原因にもなります。
ダニが発生する条件は気温20度以上・湿度60〜80%程度です。畳に落ちた埃や皮膚を食べるため、不衛生な環境ほど発生しやすくなります。畳の目は気付かぬ間に汚れがたまりやすいため、定期的な清掃を心がけましょう。
3-2.毛羽立ちやささくれによる怪我
畳は経年劣化が生じると、毛羽立ちやささくれといった不具合が生じます。毛羽立ちやささくれは靴下など衣類が引っかかるだけではなく、皮膚に刺さりケガをしてしまう可能性もあります。
ハサミなどで応急処置も可能ですが、毛羽立ちやささくれが目立ち始めた場合も裏返しや表替えなどの張り替えを検討してみると良いでしょう。
3-3.カビの発生
湿気が多い状態が長期間続くと、カビが発生する恐れもあります。特に布団やカーペットを畳の上に敷きっぱなしにしている場合は、気付かぬうちにカビが好む環境を作り出していた、というケースもあります。
カビを放置すると胞子を吸い続けることで、呼吸器官に健康被害が発生するリスクがあります。特に湿度が高い環境が続く梅雨時には畳にカビが発生しやすい環境になるため、和室の風通しを良くするといった工夫が必要です。
4.畳張り替えの注意点
4-1.縁付きと縁なしがある
畳は昔ながらの「縁(へり)」と呼ばれる部位が備わっているものと、無いものが存在します。最近ではメンテナンスフリーで、洋室にも相性が良い縁なしの畳も人気です。
縁なしの畳はスタイリッシュな見た目から、和モダン風の洋室とも相性の良い畳です。畳の張り替えタイミングで洋室化に迷っている方は、選択肢として押さえておきましょう。
4-2.新畳は湿気が生じやすい
新しい畳は吸収性が復活するため、古い畳と比較すると湿気が生じやすくなります。湿気を含んだ畳は非常にカビやすいため、適切な湿気管理が求められます。
湿気が溜まりやすい環境の室内の場合は、風通りを良くしたり畳の下に防湿シートをひいたりするなど、カビが発生しにくい環境づくりを維持するように心がけましょう。
4-3.重量の重たい家具は置けない
畳に重量の重たい家具を設置し続けると、凹みの原因になります。一度変形した畳は元に戻らないため、変形を修繕するためには畳自体の交換が必要になることもあります。
賃貸であれば原状回復義務により、入居者とオーナーの間でトラブルへと発展する恐れもあります。畳の不具合を未然に防ぐためにも、重たい家具などの設置はできるだけ控えておきましょう。
4-4.洋室化という選択肢がある
畳は定期的なメンテナンスが必要なので、一定のコストがかかります。一度のリフォームで済ませたい方は、和室の素材を生かした洋室化も検討してみると良いでしょう。
5.複数社に見積もり依頼ができるリフォーム一括見積サイト
依頼するリフォーム会社によって工事の費用や期間は異なってきます。また、各社によって対応できる内容や保証内容にも違いがあるため、費用だけでなくサービス面についても比較することが大切なポイントとなってきます。
複数社の見積もりを取る際は、複数のリフォーム業者に見積もりの依頼ができるリフォーム一括見積サイトが便利です。リフォーム一括見積サイトでは、提携しているリフォーム会社へ一括で見積もり依頼ができるので、工事内容や費用を手軽に比較できます。また、見積サイトが悪質なリフォーム会社を排除してくれている点も、利用するメリットと言えるでしょう。
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まとめ
日本の伝統文化である畳は、定期的なメンテナンスを施すことで本来の性能を発揮できます。経年劣化が生じた畳は見た目が悪いだけではなく、健康被害を引き起こすリスクがあるため、定期的な張り替えを行うことが未然にトラブルを防ぐためのポイントです。
費用やタイミング、注意点を押さえた上で、後悔が無いよう入念にリサーチを済ませた上で、畳の張り替えを検討してみましょう。複数社のリフォーム会社から見積もりをとり、それぞれ比較するなど、情報収集から始めてみると良いでしょう。
HIROTSUGU
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