人工知能をもつロボットが出てきたことで、金融商品の買い方が変わりつつあります。自分がどういう方針で投資したいかを決めるだけで、あとはロボットが商品を選んで運用してくれます。
「でも便利になった分、手数料高くなってない?」と思い、投資信託やETFの手数料と比較をしてみると、意外なことが分かりました。
目次
- 最近よく聞くロボアドバイザーって今までと何が違うの?
- 販売員のライバル出現?ロボアドバイザーの登場
- ロボアドバイザー、実は投資信託を購入している?
- ロボアドバイザーは、なぜ投資信託を購入しているのか?
4-1.投資信託のメリットその1.リスク分散ができる
4-2.投資信託のメリットその2.少額投資ができる
4-3.投資信託のデメリットその1 商品が多すぎる
4-4.投資信託のデメリットその2 手数料がまちまち - ロボアドバイザーを使うメリットとは?
- ETFも投資信託だった?
- 投資信託とETF、ロボアドバイザー
7-1.共通して発生するコストは?
7-2.投資において異なるところは? - ロボアドバイザーの手数料はどのくらいかかるのか?
8-1.多くの場合運用報酬として手数料が発生する - ロボアドバイザーでの運用はトクなのか?
9-1.自分はどういう投資スタイルにしたいのか
9-2.ロボアドバイザーは、新しい運用スタイル?
9-3.あなたならどっちを選ぶ? - まとめ
1.最近よく聞くロボアドバイザーって今までと何が違うの?
かつてロボットといえば、あらかじめ決められている作業しかできないものでした。しかし近年、私たちの持っている脳と同じように、ロボット自身で物事を判断できるようになったのです。それは、私たちが、成長するにつれいろいろな情報を得て、学んで、考えて行動ができるようになることと同じです。
金融商品の情報やお客様の情報を与えることで、ロボットが、そのお客様がどんな商品が好きなのか、どんな投資がしたいのかを判断し、予算の中で資産運用をしてくれます。そんな役割を果たすのがロボアドバイザーなのです。
2.販売員のライバル出現?ロボアドバイザーの登場
今まで、金融商品を買うには、金融機関の販売員もしくはネット上から自分で商品を選ぶ必要がありました。そのため、商品の販売員は、金融機関にとって無くてはならない存在でした。
その一方で、私たちの立場からすると、金融商品を買いたいなと思っても、なんとなく販売員だと断りにくいかもとか、ネットで商品を見てもよく分からないし、勉強する暇もない。とりあえず人気がある商品を買ってみようか・・・なんて思いをした人もいるのではないでしょうか。
しかし、ロボアドバイザーが登場したことで、自分がどういう投資をしたいのかを決めたら、後はロボアドバイザーの判断で、投資対象の株や債券、投資信託を購入してくれるようになったのです。そこに販売員など人間とのやり取りはありません。今まで商品の仕組みを説明し、販売する役割だった販売員にとって、ロボアドバイザーは恐れる存在になりつつあります。
3.ロボアドバイザー、実は投資信託を購入している?
ロボアドバイザーといわれる役割のロボットは、機関投資家によっても使われていますが、ここではあくまで、個人投資を対象にしたロボアドバイザーのことを指します。
ロボアドバイザーの運用は、そのほとんどが積み立て投資となっており、預かり資産の範囲からユーザーの希望に合った投資をしています。ロボアドバイザーの購入対象となっている金融商品の多くは投資信託、ETFとなっています。
4.ロボアドバイザーは、なぜ投資信託を購入しているのか?
なぜ投資信託を運用するのか?その答えの前に投資信託の商品性について確認してみると、少額から投資をすることができ、リスク分散ができる商品ということがあげられます。もう少し詳しく投資信託のメリットとデメリットを挙げてみると・・・
4-1.投資信託のメリットその1.リスク分散ができる
投資の格言では「卵は1つのカゴに盛るな」と言われています。これは、特定の商品だけに投資するのではなく、分けることでリスクを分散することができるという教えです。投資信託では、色々な金融商品への投資でリスクの分散化をはかっています。
4-2.投資信託のメリットその2.少額投資ができる
多くの金融商品には売買できる最低単位というものがあります。中には少額で運用することが難しい商品も多々あり、初心者には思い切った投資ができないということもあります。
しかし投資信託は、金融商品の中でも比較的少額から投資をすることができる商品で、中には100円から投資できる証券会社も存在します。
4-3.投資信託のデメリットその1.商品が多すぎる
投資信託は2019年2月末現在で6,000本以上あり、その中から自分が投資したい商品を見つけることはなかなかの高いハードルです。投資初心者にとってはなおのことです。
4-4.投資信託のデメリットその2.手数料がまちまち
投資信託にかかるコストは、購入時と保有時、売却時と大きく3つに分けられます。購入時に支払う販売手数料、保有時には投資信託を運用するときの運用や管理費などにかかる信託報酬や監査報酬。そして、売却時は一部の商品において信託財産留保額が発生します。
購入時にかかる販売手数料は、購入する場所(会社)や商品によって異なります。多くの場合、購入手数料の上限は3.3%(税込)です。ノーロードと呼ばれる商品だと販売手数料はかかりません。ノーロードは、ネット証券などに多く取り扱いがあります。
5.ロボアドバイザーを使うメリットとは?
自分に最適な投資商品を見つけて運用してくれるロボアドバイザーを通じて投資信託を購入すれば、投資信託のメリット、デメリットなどを考える必要もなく、浮いた手間と時間を有効に使うことができます。
また、長期投資をしていると最初の投資環境にだんだん変化が生じてくる場合があります。その場合、投資商品のポートフォリオを見直す「リバランス」を行うことが大切です。そういったこともロボアドバイザーが行ってくれます。
6.ETFも投資信託?
ETFは証券取引所に上場している投資信託です。そのため、通常の投資信託とは購入方法や取引方法が異なります。取引方法は株式と同じ扱いです。
投資信託なので、保有している間のコストは他の投資信託と同じですが、一般的な投資信託の信託報酬率よりも低めのところが多い傾向にあります。売買手数料は取り扱っている証券会社の手数料形態によります。
7.投資信託とETF、ロボアドバイザー
投資信託、ETF、ロボアドバイザーの共通する点と異なる点に注目していきたいと思います。
7-1.共通して発生するコストは?
投資信託、ETF、ロボアドバイザーを通じて投資信託を保有している場合、いずれも信託報酬や監査報酬が間接的に発生します。間接的というのは、直接お金の支払いが発生するわけではなく、日々預け資産の中から手数料が引かれていくといった仕組みが採用されているからです。
7-2.投資において異なるところは?
投資信託とETFは、購入方法や販売手数料に違いがあります。投資信託は様々な金融機関で購入することができますが、ETFは証券口座から株式と同様の形で売買を行う形となります。また、ETFの方が販売手数料は安い傾向にあります。
販売手数料がかからないノーロードの投資信託であれば、手数料なしで購入することができます。購入する場所によって同じ商品でも手数料が異なる場合があります。
8.ロボアドバイザーの手数料はどのくらいかかるのか?
投資信託やETFの手数料は大きく3つに分けられますが、それぞれロボアドバイザーで運用をするとどのくらいかかるのでしょうか?
8-1.多くの場合運用報酬として手数料が発生する
ロボアドバイザーでETFや投資信託を購入している場合、保有している間の信託報酬や監査報酬は発生します。しかし、投資信託やETFを直接購入する場合に必要になる販売手数料は発生せず、代わりに預かり資産に対して、何パーセントか乗じた金額を報酬(手数料)としています。
9.ロボアドバイザーでの運用はトクなのか?
ロボアドバイザーと投資信託やETFを購入する場合での手数料の発生の仕方は異なります。投資信託を保有する際のコストは共通ですが、投資信託やETFでは販売にかかる手数料が発生するのに対して、ロボアドバイザーにかかる手数料は運用する資産の額に対して発生します。
では、果たしてどちらがユーザーにとってお得だと言えるのでしょうか?
9-1.自分はどういう投資スタイルにしたいのか
自分自身で金融商品を選んで運用をしたいのか、時間がないし面倒だから、自分のしたい投資スタイルを伝えて運用をお任せしたいのか。考え方によってロボアドバイザーの手数料が得なのかそうでないのかに判断は分かれるのではないでしょうか。
ロボアドバイザーの手数料率は、年末時点での預かり資産額の1%程度が相場となっています。投資信託やETFは商品や契約会社によってそれぞれ異なりますが、どれだけ資産運用の手間を省きたいかも考慮しながら、比較検討する必要があります。
9-2.ロボアドバイザーは、新しい運用スタイル?
ロボアドバイザーのような運用方法は、プライベートバンクや証券会社で行っているラップ口座というサービスとして、富裕層向けに行われていました。
当時はロボットではなく、人間がお客様の好む投資運用を代わって行っていたので、労力がかかるぶん限られた人にしか提供ができませんでしたが、AIロボットの台頭で誰もが気軽にサービスを使えるようになりました。
こうした背景も、ロボアドバイザーがお得かどうかを判断する材料の一つになるかもしれません。
9-3.じゃあ、あなたはどっちを選ぶ?
ロボアドバイザーは、自分の投資スタイルに応じた投資信託、ETFを購入して運用してくれています。その際の購入手数料はかかりませんが、預かり資産に応じた手数料が発生しています。一方、投資信託、ETFでは、販売手数料は購入場所や商品によってまちまちです。自分で銘柄を選んで購入し、自分でポートフォリオを作る必要があります。
ロボアドバイザーの台頭で、資産運用にも時間と手間を省ける選択肢が広がりました。あなたの資産運用スタイルと手数料率の両方を比較しながら、ロボアドバイザーを利用するか、自分で投資信託やETFを購入するかを判断してみてください。
10.まとめ
例えば、今手元にある100万円を銀行へ預けても、10年経っても額面はほとんど変わりません。一方、投資信託やETFだと減っている可能性もありますが、増えている可能性もあります。つまり、投資対象として相応のリスクが存在しています。
現在のロボアドバイザーのスタイルでは、投資信託やETFを買い付けて運用をする形を取っています。投資初心者にとっては、一定のリスクがあるそれらの投資をロボットにお任せできるのは心強いとも言えるでしょう。
ロボアドバイザーのサービスは始まったばかりで、開発は今も続けられています。今後は投資信託やETFだけでなく、もっと色々な金融商品を運用できるサービスも生まれるかもしれません。手数料率や投資に費やす手間などを踏まえて、ロボアドバイザーを使ってみるかどうか、検討してみると良いでしょう。
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