多くの人にとって不動産売却は何度も経験することではないうえに、不動産の取引には大きなお金が動きます。不動産の売却にあたって失敗を防ぎたいと考える人も多いでしょう。
しかし、一言で「不動産売却の失敗」と言っても何が失敗に該当するのか、何が原因で失敗が起こるのかを理解していないと、失敗を防ぐことは難しいものです。
この記事では、不動産売却の代表的な失敗例を挙げるとともに、失敗を防ぐための注意点を6つに分けて解説します。
目次
- 不動産売却の代表的な失敗の事例
1-1.想定したスケジュールで買手が見つからない
1-2.売却金額が希望より著しく低くなってしまう
1-3.売却活動に経費が掛かり過ぎてあまりお金が残らない - 不動産売却の失敗を防ぐための注意点と対策
2-1.売り出し金額の設定に注意
2-2.市場が活発な時期に売り出す
2-3.買手候補の内覧対策を万全にする
2-4.売手側で過度なリフォームしない
2-5.必要経費を事前に把握する
2-6.不動産会社選びは慎重に - まとめ
1.不動産売却の代表的な失敗の事例
そもそも不動産売却の失敗とはどのような状態のことを指すのか、代表的な失敗例について解説します。
1-1.想定したスケジュールで買手が見つからない
不動産売却の失敗例として代表的なものの1つは、不動産を売り出してからいつまで経っても買手が見つからないというものです。
特に、転勤による住み替えが理由の売却で、新居を購入または賃貸するのに資金が必要という場合など、明確な売却期限が決まっている場合には要注意の失敗です。
不動産売却にかかる期間の目安としては、最短でも1ヶ月、長いと7ヶ月がかかります。その他、少数ではあるものの中には1~2年以上経過して売却に至るケースもあります。
不動産を仲介で売り出す際には、売却完了までに半年前後はかかると見込んだうえでスケジュールを組むのが良いでしょう。
1-2.売却金額が希望より著しく低くなってしまう
不動産が売れたものの、売却金額が期待していたより低くなってしまったという失敗例もあります。
売却金額が期待値より下がってしまう原因は、そもそも期待値が高すぎたというものや、買主からの価格交渉が入ることなどです。
売却価格の期待値が高まってしまう原因の一つには、売却を依頼してほしい不動産会社から高めの査定価格を提示され、そのまま依頼してしまうケースがあります。1社からの査定価格を鵜呑みにせず、複数社の査定価格や査定の根拠から相場を掴むことが大切です。
また、不動産の売却に際して買主からの価格交渉が入ることは少なくありません。買主は不動産購入の意思を示すために申込書を仲介不動産会社へ提出しますが、買主からの価格交渉は申込書の提出時点で行われることが多くなります。
非常識な値下げ希望は仲介不動産会社の方で調整されますが、後の値下げ交渉を見込んで売り出すため、売り出し価格の5%~10%の値下げ幅を目安に検討しておくと良いでしょう。
申込がなかなか入らない状況下では値下げ交渉に応じざるを得ないこともあるので、売り出し価格や売り出し時期などには要注意です。
1-3.売却活動に経費が掛かり過ぎてあまりお金が残らない
不動産売却に関する失敗や後悔としては、経費や税金が多すぎて思っていたよりお金が残らなかったというものもあります。必要経費と税金については、売り出し前に不動産会社や税理士に確認しておくと良いでしょう。必要経費や税金などについては後の項で詳しく解説します。
2.不動産売却の失敗を防ぐための注意点と対策
ここからは、不動産売却の失敗を防ぐために売手側で取れる対策について解説していきます。
2-1.売り出し金額の設定に注意
早期売却に繋がった事例としては、「価格交渉の余地を見込んで売り出し価格を決めていた」というものや、「売り出し価格を査定価格より多少高い程度に設定していた」というケースがあります。
売り出し価格が周辺相場より高すぎると、買手が価格を見た段階で候補から外してしまうことも多くなります。売却期間の長期化を防ぐためには、売却期限を明確にしたうえでバランスを考慮して売り出し価格を決めることが必要です。
2-2.市場が活発な時期に売り出す
売却期間の長期化や売却価格の低下を防ぐためには、不動産市場が活発な時期に売り出すことも有効です。
例年、転勤や入学・入社が多い春前後は不動産市場で取引が活発になります。公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会 不動産総合研究所が2022年1月に発表した資料によると、首都圏における中古マンションの月別成約件数推移は以下のようになっています。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きかった2020年を除くと、毎年取引件数が最も多い月は3月で、8月はどの年も取引件数が少なくなっています。なお、コロナ禍以前の傾向を見ると、1月も比較的取引件数が少ないため要注意の時期と言えるでしょう。
8月は夏休みで、1月は年末年始で長期休暇を取る人が多くなります。長期休暇と重なりやすい時期は不動産を探す人が減る傾向もあるため注意しておきましょう。
2-3.買手候補の内覧対策を万全にする
売却期間の長期化を防ぐための対策としてもう1点有効なのは、内覧対策を万全にすることです。
買手が気になる不動産を見つけたときに、実際にその不動産を見に行くことを内覧と言います。この内覧時の印象が良くないと、購入申込がつかなかったり値下げ交渉に発展したりすることが考えられます。
内覧日の前には家の中を掃除しておくとともに、一軒家の場合は家の前もきれいにしておくと良いでしょう。特に水回りは気にする買手が多く、家の印象を左右するポイントなので、重点的に掃除しておくことが重要です。
2-4.売手側で過度なリフォームしない
水回りは買手の印象を左右すると解説しましたが、売手側で過度なリフォームを施すと、買手がつかず売却期間の長期化につながることもあるため要注意です。
リフォームの内容は人によって好みが違うため、売手好みのリフォーム内容が必ずしも買手の好みに合致するとは限りません。売出す不動産にリフォームを要する箇所がある場合は、買手が自由に選択できる余地を残しておき、発生する工費の分の値下げをされている方が、印象が良くなる可能性もあります。
2-5.必要経費を事前に把握する
期待していたより手元にお金が残らなかったという失敗を防ぐためには、不動産を売り出す前に必要経費を把握することが重要です。不動産を売却する際にかかる経費としては、主として以下のようなものが挙げられます。
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 売買契約書に貼付する印紙にかかる印紙税
- 住宅ローンを利用している場合にかかる抵当権抹消費用
- 売却額で住宅ローンを一括返済する場合の繰り上げ返済手数料
- 売却益に課税される譲渡所得税と住民税
- 戸建住宅を売却する際に必要な場合は測量費用
- その他必要経費
上記で挙げた費用のうち、仲介手数料から譲渡所得税・住民税までの金額については、売り出し価格を決めた時点でおおよその金額を算出可能です。
お金がいくら手元に残るのか確定させるため、売却活動を始める前の時点で不動産会社や税理士などに相談の上、必要経費を計算しておくと良いでしょう。
【関連記事】不動産売却にかかる税金はいくら?計算手順や税控除に使える特例も紹介
2-6.不動産会社選びは慎重に
ここまで不動産売却の失敗を防ぐため、売手が取れる対策について解説してきましたが、実際の不動産売却は不動産会社に委託することが大半です。売却活動の大半は不動産会社が担うため、売却を成功させるためには不動産会社を慎重に選ぶことも必要になります。
不動産売却の委託先については、複数の不動産会社から査定を受けたうえで、不動産会社を比較して選ぶのが重要です。査定額ありきで不動産会社を決めるのではなく、査定額の根拠や売却活動の方針などについてヒアリングし、担当者の対応が自分に合っているかも判断していくと良いでしょう。
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
まとめ
不動産の売却においては、買手が見つからない状態が続くと、売り出し金額を値下げせざるを得なくなったり、買手から値下げ交渉が入ったりといったことが起こり得ます。
このような失敗を防ぐためには、あらかじめ不動産の周辺相場を把握したうえで、相場に合致する金額で売り出すことや、売り出し時期を選ぶことなどが有効です。そのほか、買手に与える印象を良くするため、内覧時には不動産をきれいにしておいたりなどの対策もされておくと良いでしょう。
いずれの場合も、不動産の売却活動を行うのは仲介不動産会社となります。依頼先となる不動産会社選びについては特に重要なポイントになるため、複数の不動産会社を比較し、自身の状況にあった不動産会社を選べるように慎重に検討していきましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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