オリンピック終了、生産緑地問題、空き家増加、高齢化…2025年までの不動産投資リスクまとめ

不動産投資を始めるにあたって、一番気になるのは不動産投資の市場環境がこれからどうなっていくのか、という点です。不動産経済研究所が7月17日に発表した2018年上半期(1~6月)の首都圏マンション市場動向において、新築マンション1戸あたりの平均価格は前年同期比1.3%増の5,962万円となり、6年連続で上昇となりました。この上昇トレンドは今後も続くのでしょうか?

不動産投資の書籍やセミナーなどでは、不動産投資のメリットや具体的な物件の話が多くなり、投資に関するリスクの話は少なくなりがちなので、不安を抱えたままになってしまうことも多いかと思います。

この記事では、2020年の東京オリンピック開始から2022年の生産緑地問題、2023年の空き家率や2025年以降の高齢化の状況など、今後数年間の不動産投資市場に関わるリスクについて詳しく説明をしていきます。

記事

  1. 【2020年】東京オリンピック終了で、東京への期待が低下
  2. 【2022年】生産緑地問題で大量の土地が供給される可能性
  3. 【2023年】全国の空き家率が21.4%に増加
  4. 【2025年】日本人の3割が高齢者に
  5. まとめ

【2020年】東京オリンピック終了で、東京への期待が低下

不動産投資のセミナーなどに行くと、必ずと言っていいほど出てくるのが東京オリンピックに関する話題です。2020年の東京オリンピック開催に伴い、湾岸エリアをはじめとした物件がオリンピック特需で活気づき、不動産市況を下支えしているということが言われていますが、東京オリンピックが終了してしまうと、その特需がなくなってしまうため、不動産投資にも大きな影響があるのではということが心配されています。

たとえば、野村不動産アーバンネット株式会社が2018年5月22日~5月31日に実施した「不動産投資に関する意識調査(第10回)」の調査結果によると、投資用不動産は「買い時だと思う」と回答した人の割合が年々減少して2015年からはほぼ半減となっていることに加え、買い時だと思う理由として「オリンピックを控え、需要が高まっている」ことを挙げるなど、東京オリンピックを大きく意識していることを伺うことができます。

投資用不動産サイト「ノムコム・プロ」2018年度 不動産投資に関する意識調査(第10回)投資用不動産の買い時感について投資用不動産サイト「ノムコム・プロ」2018年度 不動産投資に関する意識調査(第10回)を実施

2020年以降の東京の再開発計画や人口の転入超過状況など、東京オリンピック以降にどれだけ不動産投資家の期待が維持できるか、という点が今後の焦点になってくるでしょう。

【2022年】生産緑地問題で大量の土地が供給される可能性

最近、雑誌などでもよく話題になってきているのが生産緑地問題です。生産緑地は、地盤の保持や保水などによる災害の防止、都市環境の保全などの目的から、農業を営むことを指定されている土地で、固定資産税が免除される代わりに土地の売却などには厳しい制限がある土地を指します。

実は、全国でかなりの土地が生産緑地として指定されており、全国で13442ヘクタール(約406.6万坪)、東京都全体では3296.38ヘクタール(約997.1万坪)、東京都23区内にも葛飾区、江戸川区、足立区、北区、世田谷区、大田区、目黒区、杉並区、中野区、練馬区、板橋区の11区に生産緑地が452ヘクタール(約136.7万坪)という広大な土地が生産緑地として指定されています。

2022年の生産緑地問題の影響

この生産緑地の8割程度が2022年に期限切れとなると言われているため、住居地として売りに出される可能性がある、というのが2022年の生産緑地問題です。

たとえば、東京都の約997.1万坪という数字がどれだけ大きいかということを考えてみましょう。総務省統計局がまとめた「平成25年住宅・土地統計調査」という調査において東京都の平均の住宅延べ面積は63.54平方メートル(19.22坪)となっています。

もし仮に生産緑地の3割が住宅地として売りに出された場合、マンションやアパートなどの2階建て以上の建物を考えずに、すべて一戸だけで提供されることを考えたとしても、以下の件数が新規の住宅として供給されることになります。

(生産緑地997.1万坪×指定解除80%×売却割合30%)÷平均住宅面積19.22坪=12万4,495戸

住宅着工統計によると、東京都の平成29年の新設住宅着工戸数が15万350戸ですので、1年間の供給数に匹敵する住宅が新たに生まれる可能性があり、需給のバランスが大きく崩れるリスクがあると考えられます。そのため、生産緑地が存在するエリアは、2022年以降に不動産価格に大きな低下圧力がかかる可能性があると考えられます。

【2023年】全国の空き家率が21.4%に増加

不動産投資市場には、東京オリンピック、生産緑地以外にも大きな問題があります。それが、全国の空き家問題です。空き家に対する関心は年々高まってきており、色々なデータにも現れています。たとえば、以下は「空き家」と「不動産投資」というキーワードに対する2004年から2018年7月までのGoogle検索の推移ですが、2014年の9月頃から「不動産投資」よりも「空き家」に関する検索のほうが多くなってきているということが分かります。

空き家と不動産投資に関する検索の推移

空き家問題は、実は日本の構造的な問題といえるものです。これまでは、サラリーマンが郊外に戸建てを買ってその地に永住する、というのが典型的なライフスタイルでしたが、現在は職住近接というスタイルが主流となり、郊外から出勤する労働者は少なくなってきているのが現状です。

しかし、今後は郊外にマイホームを購入した世代が高齢となってくるため、相続の問題が発生してくるようになります。空き家問題に発展するのはここからで、親の家や土地を引き継いだものの、職場からは遠い郊外や地方にあって住居としては使うことができず、借りる人や買い手もつきにくいので、住居が放置されるうちに空き家になってしまう、というわけです。

今後は、相続などによる空き家問題がさらに加速すると考えられており、株式会社野村総合研究所(NRI)が2017年6月に発表した予測値では2023年には日本全国で21.4%が空き家になると考えられています。

野村総合研究所による2023年以降の空き家率の予測

空き家が多くなればなるほど、不動産は供給過剰となっていきますので、不動産価格が下落する圧力になっていくリスクがあります。

【2025年】日本人の3割が高齢者に

日本はすでに超高齢化社会と言われていますが、内閣府の平成29年版高齢化社会白書によれば2025年には30.0%、2040年には35.3%が高齢者になると予測されています。

日本の高齢化率の予測
内閣府 平成29年版高齢化社会白書1 高齢化の現状と将来像

総人口が減少するなかで、高齢化率は上昇するということなので、日本の国力が衰えていく可能性が高く、2060年には高齢者1人に対して現役世代(15~64歳)1.3人という人口比率になるため、年を経るごとに現役世代にのしかかる税負担や社会保障費の負担が重くなり、消費や投資がしにくくなると考えられます。

まとめ:投資はリスクを正しく把握することから始まる

2020年のオリンピック終了に始まり、生産緑地問題、空き家率の増加、高齢化の進行と、不動産投資にとっては暗い話題が多くなってしまいましたが、これらの状況は今後の政策や都市開発計画によっても大きく変わってくる内容です。

まずは目前に迫っている投資リスクを正しく認識した上で、不動産投資を始めるのにベストなタイミングを見極めていきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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