今売るべき?不動産売却のタイミングを見極めたい人のための3つの視点

不動産で利益を最大化するには、売却のタイミングの見極めが重要です。ただし、結論から言えば、「このタイミングで不動産を売却することがベスト」などという鉄則はありません。自分の資金が必要なタイミングによっても、売却タイミングは異なるからです。

そこで、資金が必要となるタイミングの判断方法や、見極めのポイントについてお伝えします。

目次

  1. 現在の不動産市況から売却を判断する
    1-1.今は融資が受けにくい市況と言われている
    1-2.不動産の価格や地価は上昇傾向にある
  2. 物件の保有期間で売却を判断する
    2-1.売却益が出そうな場合、5年が一つの目安になる
    2-2.当初予定の利益が確保できそうなら売っても良い
  3. 今後の計画に向けた売却の必要性で考える
    3-1.新しい投資対象に資金を投入したいとき
    3-2.資金繰りが必要なとき
    3-3.不動産より現金で資産を保有したいとき
  4. まとめ

1.現在の不動産市況から売却を判断する

不動産の売却を見極めるタイミングについては、まず、現在の不動産市況から判断することが挙げられます。

1-1.今は融資が受けにくい市況と言われている

2018年にはシェアハウス向け融資に伴う、スルガ銀行の不正融資問題が大きくクローズアップされました。スルガ銀行は高金利で投資家に融資し、融資の際には投資家の属性に関する書類の改ざんを行っていました。通常であれば審査を通過しない顧客にも、無理に融資を行ったとされています。

また、スルガ銀行だけではなく、不動産会社TATERUと西京銀行でも同様の問題があったと言われており、金融機関にとって個人投資家への融資は見極めが必要な段階に来ています。

個人の不動産投資家に対する融資額を見ても、2018年から減速してきています(参照:日本銀行「貸出先別貸出金(2019年2月8日)」)。融資が受けられなくなれば、自己資金のない投資家は不動産を購入できなくなり、市場全体で不動産が売れにくくなります。そうなれば価格の下落が予想されます。

融資が受けられなくなっても、例えば価格が安い区分マンション物件であれば、まだ自己資金で購入できる方もいるでしょう。しかし、融資なしでは購入が難しい一棟物件は、価格が下落する可能性が高いと言えます。一棟物件を売りたい人にとって、売り時を考える時期にさしかかっています。

1-2.不動産の価格や地価は上昇傾向にある

一方で、地価は上昇傾向にあります。2018年3月に発表された公示地価を見ても、全国平均が2017年より0.7%の上昇に転じるなど、東京付近や京都などの観光地を筆頭に地価の上昇傾向がここ数年続いています。

一部のエリアでバブル期の地価を超えたと報道されるなど、需要のあるエリアでは、地価上昇の勢いは目を見張るものがあります。また都内の新築マンションの価格を見ても、投資用・住宅用かかわらず同様に価格は上昇傾向にあります。

こういった状況を見る限りでは、需要が高い都心の一等地の不動産価格は高くなっており、実生活に必要な居住用物件の価格もまた上昇していると言えます。その反面、市場に出回る現金は少なくなっているため、不動産が値上がりしているにもかかわらず買えない、などの悪循環が発生する怖れも出ています。

こうした現在の不動産市況を踏まえ、今後はどうなるのか、今保有している不動産を売却すべきなのか、ということを考えます。

2.物件の保有期間で売却を判断する

次に、所有する不動産の保有期間で、売却のタイミングを判断する考え方です。

2-1.売却益が出そうな場合、5年が一つの目安になる

まず、基準の一つが、5年で変化する譲渡所得税の税率です。譲渡所得税は5年未満で売却した場合は所得税と住民税を合わせ、39%という非常に高い税率が適用されます。しかし、5年以上保有した場合、税率は約半分の20%にまで低下します。

譲渡所得税は法人で不動産売買を行っている方は対象外ですが、個人事業主には大きく影響します。個人が5年を待たずに不動産を売却してしまうと、税率が高いので利益が大きく目減りしてしまいます。

そのため所有期間が5年未満の場合、売買益が出ていても売らない方が良いことがあります。ただし売却を考えている不動産が自宅である場合は、特別控除など様々な税制の特例があるため、それも考慮して判断する必要があります。

2-2.当初予定の利益が確保できそうなら売っても良い

一方、保有期間に応じた想定通りの利益が得られるのであれば、所有期間が短期であっても売却を検討しましょう。逆に、長期間保有していても想定通りの利益がまだ積めていない場合、今後も保有を考えた方が良い時もあります。

例えば、経費を加味した実質の利回りが5%のマンションを10年間所有していたとします。この場合、購入金額に対して得られた利益は50%です。この場合、マンションが購入価格の50%以上で売れれば、最終的に利益が確定する可能性が出てきます。

保有期間に応じて得られる利益と、最終的な売却額を天秤にかけ、十分に利益が得られる想定であれば、売却する一つの指針になると言えるでしょう。

3.今後の計画に向けた売却の必要性で考える

不動産投資だけが投資というわけではありません。他の投資に資金を回す必要がある際には、資金計画に応じて不動産を売却することも検討しましょう。

3-1.新しい投資対象に資金を投入したいとき

投資対象にも色々なものがあります。不動産投資のようなインカムゲインを目的とした投資だけではなく、株式投資やFX投資、仮想通貨など、様々な投資対象があります。他に魅力を感じる投資があり、投資が絶好のタイミングと考えるのであれば、不動産を売却して投資用の資金を捻出することを考えましょう。

例えば、手持ちの現金は1,000万円しかないものの、保有している不動産が4,000万円で売れる見込みがあったとします。その不動産の年利が2%とした場合、年間の利益は80万円となります。

しかし、例えば他に良さそうな年利5%の投資対象があり、自己資金と不動産の売却によって得られた5,000万円をその投資に費やして問題なく運用できれば、一年間の利益は250万円に上がる可能性があります。

このように不動産を持ち続けるのが良いのか、それとも他の投資対象に資金を移動させるのが良いのか、比較して後者に分があれば売却を検討しましょう。

3-2.資金繰りが必要なとき

不動産を複数所有していても、全ての投資が成功するとは限りません。空室率が上がる物件もあるでしょうし、想定外の修繕が発生し、キャッシュフローをほとんど生み出せていない物件もあるでしょう。

特に大幅なリフォームやリノベーションを施した場合、数百万円単位の出費が必要です。そういった他の物件に対する支出のため、現在運営している不動産を売却し、残りの物件でさらなる収益化を目指さなければいけないケースもあります。

収益性が乏しい不動産をずっと持っていても、身動きができないリスクが高まってしまいます。そのため、そうした不動産は積極的に売却し、より柔軟に投資が行えるようにすることも一つのポイントです。

3-3.今後の市況から不動産より現金で資産を保有したいとき

不動産投資は投資の一手段でしかありません。今後の景気が低迷すれば、不動産よりも現金の方が資産価値が目減りしない可能性もあります。例えば、2008年のリーマンショック直後に、不動産価格は大幅な下落を見せました。そのようなデフレ時においては、現金の価値は相対的に上昇します。

不動産会社へのヒアリングや各種の経済指標などから、不動産市況が停滞に向かいそうだと予測される場合には、値下がり前にいったん不動産を現金に換え、不動産が値下がりした後に買い戻すといったことも視野に入ってくるでしょう。将来的にそのような確信が持てるタイミングであれば、売却も視野に入れるべきです。

まとめ

不動産を売却するタイミングは、現在および将来の不動産市況、売却による利益の額、そして不動産よりも現金が必要かどうか、といった点から判断を行います。

今は金銭面でひっ迫する事態になく、不動産投資で十分な利益を得て満足している方、もう少し物件価格が上がってから売ろうと考えている方も中にはいるでしょう。一方で、資産を現金に変えた方が有利である方、現金が今すぐ必要な方などは、不動産を所有し続けるよりも、早め早めの行動が良い結果を生むこともあるでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」