儲かるアパート経営にするための賃貸需要の見極め方と支出改善のポイント

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アパート経営には、長期にわたって安定収入を得られるメリットや節税メリットなどがあり、魅力のある投資分野の一つです。しかし、実際の賃貸経営では、安定した収益をあげているケースとそうでないケースがあります。

そこで、これからアパート経営を始める方のために、安定した収益をあげるための入居需要のポイントや、支出面から賃貸経営の健全化を図るポイントについて考えていきます。

  1. 賃貸需要が多い物件とは?
    1. 入居者のニーズに合う物件
    2. 付加価値がある物件
  2. 賃貸経営の収支状況を健全化するための3つのポイント
    1. ローン返済の負担を軽くする
    2. サブリース契約に注意
    3. 可能な範囲で自主管理を行う
  3. まとめ

1 賃貸需要が多い物件とは?

アパート経営で成功するためには、長期的な家賃収入を得る必要があり、そのためには賃貸需要が多い物件を見極めなければなりません。この「賃貸需要が多い物件」とは、どのような物件になるのでしょうか。

1-1 入居者のニーズに合う物件

入居者のアパートに対するニーズは「家賃が安い」「部屋がきれい」「安心・安全」「交通の便が良い」と様々です。入居者のニーズに合った物件を選ぶには、①「ニーズの中心にいる入居者の属性」、②「属性ごとの入居者のニーズ」の2つを検討する必要があります。

「単身者」からの需要が多い物件は?

東京都の推計では、夫婦と子供からなる世帯の数は2015年にピークを迎え、以降減少する見込みであるのに対し、単身者の世帯数は2035年頃まで増え続けるとされています。また、世帯総数に占める構成比も、2035年には48.9%と全体の半数近くが単身世帯になると予測されています。

このような背景から、今後の不動産投資全体の「ターゲットの中心にいる入居者の属性」は、ファミリー層よりも「単身者層」が中心になるといえます。また、単身者向けの賃貸は、平米あたりの家賃収入が高く、投資効率が良いという特長もあります。

次に、②「属性ごとの入居者のニーズ」については、単身者の多くは、「平日日中は不在で、帰宅するのは夜間」というライフスタイルになります。そのため、周囲の住環境よりも勤め先や学校、都心にアクセスの良い物件などを優先する傾向があります。

都心から電車で数十分以内、複数路線が利用可能、駅徒歩10分以内といった通勤者に喜ばれるアクセスの良さを備えている立地にこだわることが大切です。

立地によってはファミリー層も視野に

一方、ファミリー層の賃貸ニーズについても触れておくと、ファミリー層は交通の利便性が多少悪くても、住みやすく子育てがしやすい環境などを優先することが多いと言われています。

学校や病院、公園やショッピングセンターなど子育てや暮らしやすさに恵まれた環境に物件を用意すれば、今後、ターゲットの中心から外れるファミリー層向けでも一定のニーズが見込めるでしょう。ただ、ファミリー向けの賃貸には広さが必要となるため、都内の狭小地でのアパート経営には向いていないと考えられます。

また、ファミリー向けの賃貸には、単身者向けの賃貸よりも平均の入居期間が長く、一度入居が決まれば収入が安定しやすいという特長があります。

「買えなくても借りて住みたいエリア」がおすすめ

単身者層が優先するニーズが「交通利便性」であるため、投資用物件に適した立地環境は、交通利便性に恵まれた「人口密集地域」と「その周辺」になります。

人口密集地域は「交通利便性」以外に、「良好な買い物環境」「娯楽・文化施設数」など多くのメリットがあります。住みたい人がたくさん集まる人気エリアといえるでしょう。

しかし、人気エリアは一般的に不動産価格が高いのが難点です。そこで単身者を中心に「値段が高くて買えないから借りて住もう」という賃貸需要が発生します。東京23区内など人口密集地域での単身者向けアパートは第1候補に挙がるでしょう。

1-2 付加価値がある物件

「買えなくても借りて住みたい」という地域では投資用物件の価格も高くなります。特に東京23区などでのアパート建築や物件購入は高額になるため、都下や郊外が第2候補に挙がります。

しかし都心を避けたエリアでは、多くの先行アパートが賃貸に出されているため類似物件とは異なる特色を打ち出す必要があります。競合物件が多いなかで生き残るためには、他の物件にはない「付加価値」を持たせて「差別化」を図ることが重要です。

ペット飼育・宅配ボックス・若い夫婦に人気のインテリアなど

例えば、最近のペットブームをみると、多少室内の補修費用がかかっても、「ペットの飼育を認める」ことは需要増につながります。また、ネット通販が拡大していることからも、「宅配ボックスの設置」需要も急激に伸びています。

さらに、室内のクロスやインテリアを工夫することも有効です。例えば、北欧や南仏調の壁紙に輸入家具をあわせる、あるいは、籐や竹、麻やココヤシ製の家具・照明などをセットにしたバリ島風のアジアンテイストなど、エキゾチックなインテリアの演出は内装を重視する若年層や若いファミリー層にもウケが良い要素です。

ターゲットに喜ばれるインテリアを考えて、入居者に選ばれるための工夫を凝らすことが大切です。

2 賃貸経営の収支状況を健全化するための3つのポイント

入居者のニーズに合わせた物件や付加価値をつけた物件について検討してきましたが、アパート経営では支出面から賃貸経営の健全化を図ることも重要です。

2-1 ローン返済の負荷を軽くする

ある程度の賃貸需要があり空室が少ない物件であっても、借入金の返済額が賃貸収入を上回るのは健全な賃貸経営とはいえません。

そこで、ローンの負担を少なくする方法を検討する必要があります。そのためには、「物件の建築資金・購入資金を低く抑える」か、「自己資金の比率を上げる」などの方法が考えられます。

物件購入の時期を見極める

アパートの建築費は、建築資材や人件費の騰落の影響を大きく受けます。また、物件の購入費用は価格相場に左右されます。購入価格を安く抑えたいなら、むやみに飛びつかず安く建築(購入)できるまで待つというのも重要な戦略です。

物件を安く建築できる時期、または安く購入できる時期を見極めるのは簡単ではないですが、不動産会社に足しげく通い、情報収集を怠らないなど最低限の努力は必要になるでしょう。

キャッシュフローを圧迫しないように自己資金を十分に準備する

物件取得のための自己資金は多いに越したことはありません。しかし自己資金が少ない状態ではローン返済金の負担が大きく、賃貸経営でのキャッシュフローを圧迫します。

キャッシュフローとは賃貸経営で実際に動く現金のことで、営業純利益(NOIともいわれる)から税金やローン返済金を控除して求めることができます。

賃貸経営における営業純利益は、以下の計算式になります。

営業純利益(NOI)= 1年間の満室家賃収入×(1-空室率)-1年間の維持管理経費

キャッシュフローは、この営業純利益から税金やローン返済金を控除した利益です。

キャッシュフロー = [1年間の満室家賃収入×(1-空室率)-1年間の維持管理経費]-1年間の所得税・住民税 - 1年間のローン返済金

たとえ営業純利益がプラスでも税金やローン返済を控除した結果、手元に現金がない、またはマイナスになることも考えられます。

負担の多くなるフルローンやオーバーローンを検討される方は賃貸経営の健全性を十分に意識したうえで行うようにしましょう。

2-2 サブリース契約に注意

サブリースは、管理会社が物件の部屋または棟を一括して借り上げ、それを入居者に貸し出す契約です。管理会社はアパートのオーナーに、当初設定家賃の85~90%程度の保証家賃を支払います。保証家賃は、空室や家賃滞納時でも支払われるため、オーナーは空室や滞納を気にせず、安心して賃貸経営ができるというメリットがあります。

しかしサブリース契約は、契約途中で保証家賃額が引き下げられてしまうなどのリスクに加え、オーナーの手元には本来の設定家賃より低い家賃収入しか入らないというデメリットがあります。

前述したように、①入居者のニーズに合わせる、②付加価値を持たせる、という物件づくりに努めることで、空室をおそれて家賃保証に頼る必要性も低減されます。サブリース契約を結ばなければ入居者が払う家賃が全額オーナーの手元に入ってくるわけですから、キャッシュフローを上げるためにもサブリース契約は慎重に検討したほうがいいでしょう。

2-3 可能な範囲で自主管理を行う

管理会社に管理業務のほとんどを委託すると、家賃収入の5%程度の管理委託料が毎月かかります。区分所有の投資用マンションに比べて、アパート経営は棟単位での経営パターンが多くなります。複数棟を所有していると部屋数も多く、管理委託料の金額も相当な額になります。

入居募集や契約などの専門的・法律的な業務は、管理会社に任せる方が安全で効率的ですが、滞納家賃の督促や故障設備の修繕、入居者からのクレーム対応などは、オーナーでも対処できる分野と考えられます。

会社員のオーナーの方は本業とのかけ持ちが難しいかもしれませんが、今後アパート経営を専業にしていきたいというオーナーの方は、委託料節約のため可能な範囲で自主管理することをおすすめします。

3 まとめ

少子高齢化や人口減少が深刻化するなかアパート経営で大切なのは、入居者の賃貸ニーズに応える土地を見極めることや設備や内装などで付加価値を持たせるなど、賃貸需要がある部屋を創り出し提供していくことです。

また、入居者の確保に成功したあとも、無理な資金計画や経費の浪費などで手元のキャッシュフローが圧迫されては、賃貸経営を続けることが難しくなります。「入居者の需要を取り込むこと」と「支出をできる限り抑えること」は、いわば“車の両輪”のようなものなので、どちらが欠けてもアパート経営は成り立ちません。

アパート経営を検討している方は投資物件を慎重に見極め、収益性の確保に努めて不動産投資を成功に導きましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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