不動産投資型クラウドファンディングサービスの大家どっとこむでは、株主優待によってリターンを増やすことができます。株主優待を受けることで、投資効率の向上を狙っている方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、株主優待を受けるにはミライノベートの株式を100株保有することが条件となっています。株式投資のリスクや運用の手間がかかる点に注意が必要です。
そこで今回は、大家どっとこむの株主優待制度について、メリットやデメリット、注意点について紹介します。株式優待の条件についてお調べの方、優待の注意点などを確認しておきたい方はご参考ください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 大家どっとこむの概要
1-1.運営会社は上場企業の子会社 - 大家どっとこむの株主優待制度
- 大家どっとこむの株主優待制度のメリット
3-1.大家どっとこむでの投資額の1.0%がキャッシュバックされる
3-2.株式投資の配当金・売却益などのリターンも期待できる - 大家どっとこむの株主優待制度のデメリット
4-1.ミライノベートの株式1単元(100株)を保有する必要がある
4-2.優待特典のために大家どっとこむで投資する必要がある
4-3.必ず投資できるとは限らない
4-4.元本は保証されない - 大家どっとこむの株主優待の注意点
5-1.キャッシュバックには上限がある
5-2.以前の優待制度とは内容が変更されている - まとめ
1.大家どっとこむの概要
サービス名 | 大家どっとこむ |
運営会社 | 株式会社グローベルス |
本社所在地 | 東京都品川区西五反田7丁目17番3号 第2noteビル 5階 |
事業内容 | ・不動産売買事業 ・中古住宅再生事業 ・商業施設建築事業・不動産仲介事業 ・コンサルティング事業 ・不動産クラウドファンディング事業 |
創立 | 1996年(平成8年)7月10日 |
資本金 | 1億円 |
代表 | 代表取締役社長 藤田 賢一 |
関連会社 | 株式会社ミライノベート(東証2部上場) |
「大家どっとこむ」は、株式会社グローベルスが運営する不動産投資型クラウドファンディングサービスです。
1口1万円から投資ができるほか、不動産投資型クラウドファンディングとしては珍しく、運用期間の途中で投資分を他社に譲渡できる仕組みを採用しているのが特徴です。
1-1.運営会社は上場企業の子会社
株式会社グローベルスは東証2部に上場する株式会社ミライノベートの子会社です。株式会社ミライノベートは創業が1937年と歴史のある企業で、不動産事業と再生可能エネルギー事業を展開しています。
上場企業の関連会社が運営していることもあり、資本力やコンプライアンスの遵守意識の高さを期待できます。
2.大家どっとこむの株主優待制度
大家どっとこむの特徴の1つが、株主優待制度によって投資特典が得られるということです。
特典内容は、大家どっとこむで募集しているファンドへの投資をした場合、投資期間満了時に通常の配当利回りに加えて、投資額の1.0%をキャッシュバックする(上限あり)というものです。対象となるのは下記の条件を満たした株主です。
株主優待条件 | 基準日(毎年3月末日)時点で株式会社ミライノベートの株式名簿に記載または記録された1単元(100株)以上保有している株主 |
特典対象条件 | 大家どっとこむへの投資家登録を行い、対象期間までの募集案件に投資した株主 ※2021年10月1日~2022年3月31日までの募集案件が対象 |
備考 | ・キャッシュバックの上限額は、景品表示法に基づき、最低投資額の20%まで ・大家どっとこむの案件に投資後、運用期間終了時までに当該投資を途中解約また、大家どっとこむの投資家登録を抹消した場合は特典の対象外 |
こちらの株主優待制度は、同社への日頃の支援に対する感謝と、同社株式への投資の魅力を高め、中長期的に保有してくれる株主市の増加を目的に、2020年度から導入されています。なお、株式会社ミライノベートの1月時点の株価データなどは下記のとおりです。
- 銘柄:ミライノベート(東証2部)
- コード:3528
- 優待回数:1回
- 優待券利確定月:3月
- 優待利回り:—
- 株価:174.0円
- 優待を得るための最低投資額:17,400円
- 権利付最終日:2022年3月29日(火)
※2022年1月28日時点
3.大家どっとこむの株主優待制度のメリット
大家どっとこむの株主優待制度のメリットについて見て行きましょう。
3-1.大家どっとこむでの投資額の1.0%がキャッシュバックされる
大家どっとこむの株主優待制度のメリットは、投資でのリターンが増えるということです。
大家どっとこむで募集しているファンドに投資した場合、投資期間満了時に通常の配当利回りに投資額の1.0%がプラスアルファでキャッシュバックされます。大家どっとこむの第29号案件に投資した場合を例に、リターンのシミュレーションについて考えてみましょう。
大家どっとこむ「第29号案件」
- 対象物件:東京都杉並区中古アパート
- 想定利回り:4.50%
- 想定運用期間:12ヶ月
- 最低投資額:10,000円~
- 募集期間:2022年1月14日18:00~2022年1月24日18:00
最低投資額での投資をして想定通りの利回りが償還される場合、投資額10,000円に対して配当利回りは450円になります。株主優待制度の対象となる場合、投資額の1.0%がキャッシュバックされますので、配当利回りに加えて100円が贈呈されます。
簡単に計算すれば、配当利回り4.50%にキャッシュバック1.00%をプラスして、合計5.50%の利回りが期待できることになります。
なお、キャッシュバックは最低投資額の20%が上限です。大家どっとこむで提供されるファンドの最低投資額は10,000円か20,000円(過去に1件だけ最低投資額10万円の案件あり)となるため、キャッシュバックの上限は2,000円または4,000円となります。
そのため、最低投資額10,000円の案件では20万円を、最低投資額20,000円の案件では40万円を投資した場合に、リターンが最も大きくなります。想定利回りが4%だった場合の、リターン総額は下記のとおりです。
ファンドの最低投資額 | 10,000円 | 20,000円 |
リターンが最大になる投資額 | 200,000円 | 400,000円 |
想定利回り(仮) | 4.0% | 4.0% |
想定配当金 | 8,000円 | 16,000円 |
キャッシュバック(1.0%) | 2,000円 | 4,000円 |
リターン合計(4.0%+1.0%) | 10,000円 | 20,000円 |
大家どっとこむの想定利回りは、案件によって3.5%~7.0%が期待でき、これにプラスして1.0%利回りがアップするというのは、利用者にとって大きなメリットになるでしょう。
3-2.株式投資の配当金・売却益などのリターンも期待できる
株式優待を受けるためには、ミライノベート(3528)の株式を保有することが条件となるため、クラウドファンディング投資と同時に株式投資をすることになります。株式投資では、保有する株式割合に応じて配当金を受け取ったり、取得時よりも株価が上昇していると売却益を狙うことも可能です。
4.大家どっとこむの株主優待制度のデメリット
一方、大家どっとこむの株主優待制度のデメリットは下記のとおりです。
- ミライノベートの株式1単元(100株)を保有する必要がある
- 優待特典のために大家どっとこむで投資する必要がある
- 必ず投資できるとは限らない
- 元本は保証されない
4-1.ミライノベートの株式1単元(100株)を保有する必要がある
先述した通り、1単元(100株)の保有が最低条件ですので、17,400円(2022年1月28日時点)を株式会社ミライノベートに投資しておけなければなりません。キャッシュバックの上限額よりも、株式会社ミライノベートへの投資額の方が高くなるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
4-2.優待特典のために大家どっとこむで投資する必要がある
すでに株式会社ミライノベートの株主である場合、株主優待を受けるためには大家どっとこむへの投資が必要になるというのがデメリットになります。
株式投資は行っているものの、不動産投資型クラウドファンディングへの投資に関心がない場合は、優待内容に魅力を感じない可能性があります。
4-3.必ず投資できるとは限らない
大家どっとこむでは先着制による応募方法を採用しているため、申込みをしたとしても希望したファンドへ必ず投資できるわけではありません。
これまで合計29件のファンドが提供されていますが、すべて満額成立となっていることから、投資家の注目度の高さがうかがえます。ファンドの募集が掛かっても、応募がすぐに埋まってしまう可能性があります。
投資ができなければ、キャッシュバック特典も受けられないというのは、利用者にとってデメリットになるでしょう。
4-4.元本は保証されない
元本が保証されないというのも、デメリットになります。大家どっとこむが提供するファンドへの投資と、株主優待を受けるために株式会社ミライノベートの株式を購入する場合のどちらも、元本割れが発生する可能性があります。
株式とクラウドファンディングの両方に投資を行うことで運用額が大きくなってしまいます。手元の資金に余裕がない場合、資金が1つの事業カテゴリに集中してしまい、ハイリスクな運用となっている可能性もあるでしょう。
キャッシュバックを受ける場合は、株式投資とクラウドファンディング投資の両方のリスクについても慎重に吟味し、それぞれ余裕資金で行うなどのリスク対策が重要なポイントとなってきます。
5.大家どっとこむの株主優待の注意点
大家どっとこむの株主優待の注意点は下記のとおりです。
- キャッシュバックには上限がある
- 以前の優待制度とは内容が変更されている
5-1.キャッシュバックには上限がある
大家どっとこむの株主優待は最低投資額の20%がキャッシュバックの上限額となっており、それ以上のキャッシュバックは受けられません。なお、ほとんどのファンドが最低投資額10,000円または20,000円となっているので、上限額は2,000円または4,000円となります。
満足できるリターンかどうかをしっかり確認したうえで投資判断を下すようにしましょう。
5-2.以前の優待制度とは内容が変更されている
大家どっとこむの株主優待制度は、2021年10月から内容が変更されています。旧制度では、3月末・9月末の2回の権利確定日があったほか、10株から1株への株式併合が行われたこともあり、必要株数が現在の100株へと変更になっています。
優待制度の内容や条件が変わっているため、2021年9月以前から同社の株式を保有している方は注意する必要があります。
まとめ
今回は、大家どっとこむの株主優待の内容やメリット・デメリット、注意点などに紹介しました。
大家どっとこむの親会社である株式会社ミライノベートの株式を100株以上保有することで、大家どっとこむの対象となる案件への投資額の1.0%がキャッシュバックされます。
投資のリターンを増やしたい方にとってメリットのある優待内容となっています。一方、新たに株式投資を始める方は100株を保有する必要があり、投資のリスクは増大します。ポートフォリオ内でのリスクバランスを考えながら、資金が集中しすぎないように慎重に検証してみましょう。
山本 将弘
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