新築マンションの物件価格・家賃の下落率は?東京のデータを築年数別に検証

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日本では新築不動産を好む人が多く、マンションは新築時から築年数が経過するにつれて値下がりしていきます。同じく、投資用マンションの賃貸需要においても新築の方が好まれ、築年数の経過とともに家賃は下がっていく傾向にあります。

しかし、築年数ごとにマンション価格および家賃の下落率を検証していくと、特徴的なポイントもあることがわかります。この記事では、マンションの価格と家賃は築年数の経過によってどのように推移するのかを検証します。

目次

  1. 首都圏におけるマンション価格および家賃の下落率
    1-1.首都圏におけるマンション価格の下落率
    1-2.東京(渋谷区)における築年数別マンション家賃推移
  2. まとめ

1.首都圏におけるマンション価格および家賃の下落率

築年数ごとのマンション価格および家賃の推移について、データを用いて解説します。

1-1.首都圏におけるマンション価格の下落率

公益財団法人 東日本不動産流通機構が2021年2月に発表したデータによると、2020年の築年数5年ごとにおける中古マンションの成約価格は以下の通りです。

価格 面積 ㎡単価
築0~5年 5,883万円 66.73㎡ 88.16万円
築6~10年 5,071万円 67.37㎡ 75.28万円
築11~15年 4,484万円 71.34㎡ 62.86万円
築16~20年 4,174万円 72.65㎡ 57.46万円
築21~25年 3,202万円 68.22㎡ 46.93万円
築26~30年 1,884万円 60.58㎡ 31.09万円
築31年~ 1,904万円 57.14㎡ 33.33万円

※引用:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)

上記の表のうち、築年数別の㎡単価推移をグラフ化すると以下のようになります。

首都圏における5年ごと築年数別のマンション㎡単価

※参照:同上

2020年の首都圏では、築26年~30年のマンションよりも築31年以上の物件が高く取引されたことがわかります。不動産会社の間では築古マンションをリノベーションして再販する手法なども広がっているため、そのような物件が取引されたことも一つの原因と推測されます。

しかし見方を変えれば、築26年以上からは、それまでの下落幅と比較して大きく価格が変動しないと捉えることもできるでしょう。

また、築0~5年を基準とした築年数別㎡単価の下落率は以下の通りです。

築年数 築0~5年の物件と比較した下落率
築6~10年 14.6%
築11~15年 28.7%
築16~20年 34.8%
築21~25年 46.8%
築26~30年 64.7%
築31年~ 62.2%

上記の下落率は、築0~5年の㎡単価から各築年別㎡を差し引いた数値を、築0~5年の㎡単価で割り戻して計算しています。つまり、各築年数の㎡単価は、築0~5年の㎡単価と比較して何%下落したかを計算した結果です。

上記の検証結果を参照すると、首都圏の中古マンションは、築年数が30年前後経過することで約60%値下がりしていることがわかります。

また、下落率の推移を見ると、築10年以下の物件(14.6%)と築15年までの物件(28.7%)とでは下落率が14.1%違います。その一方で、築15年までの物件(28.7%)と築20年までの物件(34.8%)とでは、下落率の違いが6.1%にとどまっており、下落率の開きが小さい点が特徴的です。

中古マンションは築10年~20年の間でそれほど価格が下がらないと言えるでしょう。例えば中古マンション投資を考えるのであれば、築10年の物件を購入後10年以内に売却するなどの計画を立てると、値下がり幅も小さく済むということになります。

ただし、マンションの売却額には周辺環境の変化なども影響するため、上述の理論はあくまで築年数のみに着目した市場傾向であり、実際の物件価格は異なる推移をたどる可能性があることに要注意です。

1-2.東京(渋谷区)における築年数別マンション家賃推移

LIFULL HOME’Sがウェブで公開しているデータによると、東京都渋谷区におけるワンルーム・1K・1DKマンションの築年数別家賃相場は以下のようになっています。

築年数 平均家賃
新築 12.34万円
築0~5年 12.18万円
築5~10年 11.65万円
築10~15年 11.15万円
築15~20年 10.67万円
築20~30年 10.00万円

※参照:LIFULL HOME’S「東京都の家賃相場情報(2022年1月時点)

上記の表をグラフにすると、以下のようになります。

渋谷区の築年数別平均家賃(1R・1K・1DK)

※参照:同上

グラフにすると、特徴的なポイントがいくつか浮かび上がってきます。例えば、新築物件と築5年物件との間には差額が1,600円しかなく、家賃がほとんど下がっていません。

その一方で、築5年までの物件と築10年までの物件を比較すると5,300円家賃が下がっており、築10年までの物件と築15年までの物件とを比較しても5,000円家賃が下がっています。

少なくとも東京都渋谷区では、マンションの築年数が5年を過ぎると平均して1年に約1,000円ずつ家賃が下がっていくと言えるでしょう。ただし、築20年~30年までの間には下落率が大きくなるため要注意です。

なお、下落率を算出すると、新築から築5年目までの家賃下落率は1.3%ですが、築5年以降は5年ごとに約4%家賃が下がっていくことになります。

ただし、首都圏におけるマンション価格の下落率と比較すると、渋谷区のマンション家賃は下落率が低いエリアと言えます。渋谷区は東京都心の中でも中心部に位置しており、オフィスや商業施設の割合も多いため、他の区とは異なる背景があると言えるでしょう。

今回事例として取り上げた渋谷区に限らず、不動産投資のデータ収集を行う際はエリアごとの特性や背景も考慮しながら検証することが重要です。

まとめ

首都圏のマンション価格と東京都渋谷区の家賃を取り上げたため、正確な比較にはなりませんが、マンション価格と家賃とで築年数ごとの推移を比較すると、マンション価格の方が家賃と比較して築年数ごとの下落率が高いことがわかります。

築10年~20年の間は価格の下落率が低い一方で、家賃については築5年以降の下落率が概ね一定です。マンション投資を検討する上では、このような物件価格の下落傾向と家賃の下落幅の差を利用して、利益を大きくすることも検討できると言えるでしょう。

ただし、過去のデータは投資判断に役立てることができますが、将来を必ずしも予測し保証するものではありません。実際に投資を検討している物件が全体傾向と同じような価格推移をするとは限らないため、投資判断をする際の一つの参考としてとらえ、多角的な視点で検証を行っていきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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