マレーシア不動産の値上がり余地は?GDP推移と周辺国との比較で検証

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海外不動産投資におけるキャピタルゲインの期待値を計るためには、国ごとのGDP成長率も1つの指標となります。

この記事では、マレーシアと周辺諸国とでGDP成長率の推移などを比較し、マレーシア不動産投資の成長性を検証していきます。

目次

  1. マレーシアのGDP成長率推移
    1-1.2010年以降におけるマレーシアのGDP成長率推移
    1-2.周辺諸国とGDP成長率を比較
    1-3.リーマンショック時のGDP成長率を比較
    1-4.2021年以降の予測GDP成長率を比較
  2. まとめ

1.マレーシアのGDP成長率推移

GDP成長率の推移に焦点をあてて、様々な角度からマレーシアと周辺諸国とで比較します。

1-1.2010年以降におけるマレーシアのGDP成長率推移

マレーシアのGDP成長率について、2010年以降の推移を検証します。IMFの統計によると、マレーシアのGDP成長率推移は以下グラフの通りです。

マレーシアの経済成長率推移

※参照:IMF「Real GDP growth

2020年はコロナウイルス感染症が拡大したため、マレーシアでも大幅にGDP成長率が低下しましたが、2019年までの推移を見ると、4%以上の成長率を保っているのが特徴的です。

2010年から2019年までの平均値は5.3%でした。2011年以降は7%に届いた年がありませんが、大崩れもしていないのがマレーシア経済の特徴と考えられます。コロナの影響を除けば、比較的堅調に推移しているのがマレーシア経済の強みです。

なお、同じく2010年から2019年における日本のGDP成長率平均は1.3%です。日本はすでに先進国であり経済が成熟していますが、マレーシアはまだ新興国であり経済成長の余力を残しています。

GDP成長率だけの比較ではありますが、経済的な背景からみたとき、マレーシア不動産は値上がりの余地があると考えられます。

従来、マレーシアの経済をけん引してきたのは、もともとあった天然ゴムなどの農林業や原油産出国であることを強みとした製造業でした。しかし、近年では政府がIT産業に関する外資の誘致などを推進していることもあり、電気機器を中心とした製造業も盛んです。

新興国と先進国との違いを区別するためには、国民総所得という指標が用いられます。1人あたり国民総所得が12,235ドルを超える国は、世界銀行から「高所得国」と判断されるため、OECD(経済協力開発機構)による補助対象外です。

また、OECDの補助対象から外れた国は先進国と判断されます。世界銀行の統計によると、経済発展を続けるマレーシアでは1人当たり国民総所得が2019年に11,230ドルまで上がってきました。(※参照:世界銀行「GNI per capita, Atlas method (current US$) – Malaysia」)

マレーシア政府は2025年までの先進国入りを政策として掲げていることもあり、近年中の先進国入りが期待されています。

1-2.周辺諸国とGDP成長率を比較

2010年から2019年までの平均GDP成長率を、マレーシアと周辺諸国とで比較します。

2010~2019年における平均経済成長率

※参照:IMF「Real GDP growth

比較している5ヶ国の中で平均GDP成長率が最も高いのはカンボジアです。次いでベトナム・フィリピンと続き、マレーシアの平均GDP成長率はベトナムやフィリピンよりも約1%低くなっています。しかし、マレーシアの平均GDP成長率はタイより1.7%高いという状況です。

経済が拡大・成熟へ向かうにつれて、GDP成長率自体は下がっていくので、マレーシアの経済は周辺諸国よりも成熟していると考えられます。

1-3.リーマンショック時のGDP成長率を比較

ここからは、経済の安定性を検証するため、有事の際にGDP成長率がどう変化したか確認します。東南アジア諸国における2008年~2010年のGDP成長率は以下グラフの通りです。

リーマンショック前後における経済成長率

※参照:IMF「Real GDP growth

リーマンショックは2008年9月に発生した、リーマンブラザーズの経営破綻に端を発した経済危機です。不況は全世界に広がっており、翌年2009年には東南アジアの各国もGDP成長率が低下しています。マレーシアも例外ではありませんでした。

マレーシアのGDP成長率は、2008年から2009年にかけて6.3%下がっており、比較している5ヶ国の中では、6.6%のカンボジアに次ぐ下がり幅となっています。金融危機においてマレーシアのGDP成長率が低下したのは、マレーシアの経済規模が拡大しているからとも言えるでしょう。

なお、多くの東南アジア諸国がGDP成長率を下げた中で、ベトナムだけはあまり変化がありません。ベトナムがリーマンショックの影響をあまり受けなかったのは、他国よりも閉鎖的な金融政策によるものです。

ベトナムでは通貨の海外送金について規制が敷かれているほか、短期的な資本移動についても規制されています。金融市場を対外開放しない政策が金融危機におけるリスクヘッジにつながったと言えるでしょう。

1-4.2021年以降の予測GDP成長率を比較

最後に、IMFの統計から2021年以降の予測GDP成長率について、マレーシアと周辺諸国とで比較します。

2021年以降の予測経済成長率

※参照:IMF「Real GDP growth

各国とも、2021年から2022年にかけてGDP成長率が大幅に回復すると予測されています。ベトナムとカンボジアは2026年まで比較的安定するものの、マレーシア・フィリピン・タイの3ヶ国については、1~2年後にGDP成長率が少し落ち込む様子が見受けられます。

しかし、2025年からはマレーシア・フィリピン・タイでもGDP成長率の変動は少なくなると予想されています。マレーシアのGDP成長率も4%を超えており、今後も先進国入りに向けた経済の拡大と、不動産の値上がりを期待できると言えるでしょう。

まとめ

マレーシアと周辺諸国とでGDP成長率を比較すると、マレーシアのGDP成長率はタイより高いものの、ベトナムやカンボジアなどよりは低くなっています。また、ベトナムは東南アジアの中でも特にGDP成長率が堅調に推移している状況です。

経済成長の期待値という点では、マレーシアよりも周辺諸国の方が高いように見えますが、マレーシアは先進国入りの可能性も見込まれています。周辺国よりも低リスクの投資対象国になりつつあるという見方もできるでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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