投資家が実践する「不動産投資×AI」の活用事例は?5つの事例と方法を紹介

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近年、さまざまなサービスにおいてAIを実装する動きが広がっていて、それは不動産業界においても例外ではありません。業界関係者やプロの機関投資家向けのシステムはもとより、個人投資家が利用可能なサービスも増えています。

今回の記事では不動産投資におけるAIの活用方法を、具体的なサービス事例とともに紹介します。今後の不動産投資をより効率的なものにするために、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 不動産投資でのAI活用方法
    1-1.購入物件の探索や価格査定
    1-2.物件管理の効率化
    1-3.物件と入居・購入希望者のマッチング
    1-4.売却額の査定・売却提案
  2. 不動産投資に役立つAIサービス事例
    2-1.賃貸需要ヒートマップ
    2-2.リハウスAI査定
    2-3.Renosy
    2-4.キャッシュフローシミュレーション
  3. 不動産投資におけるAI活用のメリット・デメリット
    3-1.AI活用のメリット
    3-2.AI活用のデメリット・注意点
  4. まとめ

1 不動産投資でのAI活用方法

不動産投資では、次のような領域においてAI活用の余地があると期待されます。

  • 購入物件の探索や価格査定
  • 物件管理の効率化
  • 物件と入居・購入希望者のマッチング
  • 売却額の査定・売却提案

それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。

1-1 購入物件の探索や価格査定

物件購入は不動産投資の第一歩であり、重要なフェーズのひとつです。割安な価格で購入できる分にはよいですが、割高な価格で購入してしまうと、充分な収益を得られなくなる恐れがあります。そこで、購入物件の選別においてAIが活用される事例も増えて生きています。

例えば、一部の不動産会社は、投資家のニーズや意向を踏まえて最適な物件をAI分析をもとに提案してくれるサービスを実施しています。物件の価格設定にAIを取り入れて、市場の適正価格を正確に捉える不動産会社もみられます。物件購入に際してAIを活用することで、適切な物件を適切な価格で購入可能です。

また、個人でも国土交通省が提供している「不動産情報ライブラリ」などから不動産データし、AIに価格動向を調査させるなどの方法などで活用されています。AI関連のツールは年々増加しており、今後はより投資家が活用しやすい形で新しいツールが登場することも期待されています。

1-2 物件管理の効率化

物件管理にAIを導入して、効率性を高める方法もあります。たとえば、市場環境を踏まえた最適な賃料設定や、稼働率向上に向けた対策の提案などをAIを活用して最適化してくれるサービスなどが考えられます。

物件の周辺環境などを踏まえて、入居者に適した顧客層を割り出し、客付けを促進させることも可能です。

1-3 物件と入居・購入希望者のマッチング

物件の特性と入居希望者や購入希望者のデータをAIで解析してマッチングするシステムもあります。不動産会社向けの営業支援ツールとしてすでに実装されているものがあるほか、一部のポータルサイトでもAIを活用したサービスがみられます。

営業支援ツールでは、見込み顧客の割り出しのほか、検討顧客と物件情報の紐づけ、提案書の作成など、営業活動に必要な作業を一部自動化したものもあります。従来では分析・解析が困難であった膨大なデータも、AIの学習機能を取り入れることで、より高度な分析とデータ活用が可能です。

1-4 売却額の査定・売却提案

物件の諸情報と市場動向のデータを基に、物件売却の提案や売却額の査定などを行うことも可能です。

不動産の物件情報において価格の変動要因となるデータをまとめ、さらに市場の価格データとともに解析したうえで、売却時の適正価格を提示します。さらに、こうした各種データをもとに、売却の提案を出してくれるサービスもみられます。

2 不動産投資に役立つAIサービス事例

すでに個人でも利用可能なAIを取り入れたサービスは複数存在します。ここでは、次の5つの事例について紹介します。

  • 賃貸需要ヒートマップ
  • リハウスAI査定
  • Renosy
  • キャッシュフローシミュレーション

不動産投資を検討したり、物件を運営したりするうえで、ぜひ利用してみてください。

2-1 賃貸需要ヒートマップ|LIFULLHOME’S

「LIFULLHOME’S」の「賃貸需要ヒートマップ」では、任意の市町村を選択すると、閲覧件数の多さや入居希望の強さなどを、10段階に分けて示す地図が表示されます。高い需要が期待できる場所には赤色が塗られます。

こちらのヒートマップを活用すれば、魅力的な地域を一目で確認し、物件選びを効率よく進められます。さまざまな縮尺で情報を閲覧できるため、おおまかにターゲットエリアを絞り込むときにも、駅を中心に需要の強い立地を調べるときにも便利です。

2-2 リハウスAI査定|三井のリハウス

三井のリハウスでは、リハウスAI査定というサービスを提供しています。これまえの売却データをAIが解析して、インターネット上で入力した売却物件の売却査定額が表示されるサービスです。特に、マンションや戸建てであれば、居住用・投資用にかかわらず利用可能なので、投資物件の出口戦略に有効です。

ただし、建物の劣化状況など、建物固有の特性は反映されません。あくまで参考程度に捉えて、より正確な査定額を知りたいなら、業者に適切な見積もりを依頼しましょう。

【関連記事】三井のリハウスの不動産売却査定の評判・口コミは?申込み手順も【取材あり】

2-3 Renosy|GA technologies

Renosyは都市部の中古マンションの区分投資物件を中心に販売する「GA technologies」の中古不動産流通ポータルサービスです。物件販売と管理を一体対応しているのが特徴です。スマートフォンもしくはPCで基本的な管理が完結する仕組みとなっていて、普段は仕事などで忙しいサラリーマンでも手間なく物件管理を進められます。

同社では、販売物件の選別や価格設定、投資家の保有物件の売却査定など、さまざまなシーンでAIを活用しています。AI活用により、コストをかけずに効率的な不動産経営を実現させているのが特徴です。

【関連記事】GA technologiesの評判・口コミ・資料請求
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2-4 キャッシュフローシミュレーション|オリックス銀行

オリックス銀行では、無料で将来のキャッシュフローのシミュレーションを立てられるサービスを実施しています。不動産ローンの提供に積極的な同行では、マーケティングの一環として、投資家が自身の物件情報を入力すると、50年後までのキャッシュフローの予測を建てられるツールを後悔しています。

物件の価格や家賃、ローンの返済計画などを入力することで、年ごとのキャッシュフローを予測可能です。こちらのキャッシュフロースケジュールの導出には、独自のAI分析も取り入れながら、制度の高い予測を実現させています。

3 不動産投資におけるAI活用のメリット・デメリット

不動産投資におけるAI活用のメリットと注意点をまとめました。AIを取り入れる不動産会社を利用するとき、もしくは実際にAIを使用したサービスやツールを活用するときの参考にしてください。

3-1 AI活用のメリット

不動産投資でのAI活用のメリットとして、次のような点があげられます。

  • 投資判断に役立つ
  • 効率的な物件管理
  • 不動産投資のハードルが下がる

AIを取り入れることで、膨大なデータを検証したり、比較したりなど、投資判断に役立てることができます。不動産の市場データや取引データ、不動産価格に影響を与えうる物件のデータは膨大で、自力で全てのデータを加味して投資判断をするのは困難です。

AIでビッグデータとして活用することで、これまでよりも精緻な情報が入手でき、数値に基づいて投資判断をくだせるようになります。

また、物件管理においてAIを導入することで、賃料設定や入居者の募集、物件の修繕といった対策を適切に進められるようになります。稼働率の上昇や資産価値の維持にも役立つでしょう。

最後に、AIを取り入れた投資ツールやサービスを活用することで、自ら難解なデータを分析したり不確実な状況で意思決定をしなければならない局面が減少します。その結果として、初心者でも不動産投資がしやすくなるでしょう。

3-2 AI活用のデメリット・注意点

不動産投資でのAI活用の注意点は次のとおりです。

  • 個人向けサービスは発展途上
  • 定量化できない情報は加味されない
  • 判断の高度化のために継続利用が必要

不動産でのAI活用は、どちらかというと不動産会社向けのツールやサービスに多く見られます。

一部の不動産ポータルサイトや不動産管理サービスなどでも導入事例がありますが、まだ発展途上という様子で、個人の投資家が活用する余地はまだ大きくありません。今後さらなるAIを取り入れたサービスの普及が望まれます。

AIは、基本的に定量化されたデータを読み込んで解析・判断するのに長けています。しかし、不動産の資産価値や賃料水準を正確に決めるうえでは、個々の物件の特性を加味しなければなりません。

その中には部屋の形状や色味、劣化の程度、住民の特性など、データ化が難しい要素もあるため、現時点でAIの分析だけで完璧なアウトプットが出せる状況とはいえないでしょう。

今後さらなるAIの学習能力の進化や、不動産データの高度化(いまは定量データが存在しない領域の定量化など)が望まれます。一方で、現時点においてはAIの情報だけで全てを判断することはできない、ことを念頭に置いてサービスを利用する必要があります。

最後に、AIは基本的に自己学習をすることで判断を精緻化する仕組みを持っています。そのため、使用回数を増やし、インプットするデータを拡大させることで、判断能力の向上が期待されます。

導入の当初は学習が進んでおらず、分析・解析の品質のばらつきがでる可能性がある点には注意が必要です。

4 まとめ

不動産投資でAIを活用すれば、これまでよりも精緻な判断を簡単に下せるようになり、堅実な投資の実行がしやすくなります。また、専門的な分析の必要性が低下して、初心者でも不動産投資にチャレンジしやすくなるでしょう。

今回紹介したように不動産においてAIを活用する余地は多々ありますが、現時点では不動産会社向けのサービスも多く、今後は個人の投資家が利用できるサービスの開発や普及が期待されます。物件探しや投資判断、物件管理にAIを取り入れて、自分のニーズに合った不動産投資を実現させましょう。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。