「今が売り時だと思って、いざ物件を売り出してみたものの、一向に内見が来ない…」そんな話をよく耳にするようになりました。不動産価格が上がり、売買が活発になってきたためだと思われますが、すべての売却がうまくいっているわけではありません。不動産の購入に比べて売却に関する情報は少なく、売り方を知らずに安値で売ってしまい、あとで後悔するといったケースも少なくありません。
この記事では、今ちょうど売却を始めた投資家や、これから不動産投資を始めてみたいという方に向けて、初心者投資家が陥りがちな「売れないワケ」を4つのポイントから解説していきたいと思います。
- 売りたい価格≠売れる価格
- 売れにくい物件の3つのタイプ
- 売る気のない業者に注意
- 値下げを渋ると、逆に売値が安くなることも
売りたい価格≠売れる価格
まず一点目に理解しておきたいのは、売り主が「売りたい価格」は、「売れる価格」ではないケースが多いということです。売却の際には、売り主は自分の物件をひいき目で見てしまうということが言われています。長年保有してきた物件に強い愛着を持ってしまい、多少の欠点には目をつむってしまい、良いところばかりに目を向けてしまうため売却価格が上昇してしまう、というわけです。
買い手の目線で考えてみる
買い主に物件が割高だと思われると内見やお問い合わせを敬遠されることになってしまいます。これを回避するためには、買い手の厳しい目線で自分の物件を見直すことが大切です。たとえば、近隣で条件が類似している売り出し物件(立地、部屋の広さ・間取り、築年数など)を見て、自分がその物件で不動産投資を始めるとして、いくらでなら買いたいか、どういう点が気になるかなどを改めて考えてみると良いでしょう。
一括査定の価格は、実際に売れる価格ではない
高く売りたいと思った投資家の方が、よく利用するのが一括査定サービスです。高い査定額が出た会社を好意的に見てしまいがちですが、一括査定で出る金額は「実際に売れる金額」ではなく「売れるかどうかは分からないが、とりあえず売り出してみる金額」であることに注意をしたほうが良いでしょう。査定額は、金額自体よりも「なぜその金額をつけたのか」という理由のほうが大切です。その理由が不明瞭な会社は、ただ媒介契約を結びたいがために高値を提示した会社の可能性が高いので避けたほうが良いでしょう。
売れにくい物件の3つのタイプ
価格付けだけでなく、そもそも売れにくい物件というのもあるので注意が必要です。特に下記3つのタイプに該当する物件を売り出したい方は、売り方を含めて入念に検討をする必要があります。
利便性が低いエリアにある物件
まず、現在の物件選びで一番重要なポイントが「利便性」です。都心の駅徒歩7分以内のマンションのような物件であれば買い手に困りませんが、逆に郊外や地方にある物件や駅からのアクセスが悪い物件(駅徒歩15分、バスで10分など)は買い手が手を出しにくい物件となりますので、価格を安めに設定するか、不動産投資目的以外の自宅購入者への売却活動も視野に入れたほうが良いでしょう。
築年数が数十年以上の築古物件
築年数が20年以上のアパートや、築30年~40年以上のマンションなども売り出しの際に苦戦することを想定しておいたほうが良いでしょう。築古の物件は建物の耐用年数がゼロか残り少ないため、建物価値がほとんどないものとして扱われることになります。そのため、買い手が購入する際に融資が引きにくく、敬遠される要因となってしまいします。
また、1981年以前の物件は耐震性能面で不安を持たれやすいことや、設備が一回り古く、購入後に空室リスクが懸念されるという点も念頭に入れておいたほうが良いでしょう。
購入価格が5000万円以上
中古の不動産投資では、購入価格が3000万円以下の売り出し物件が過半数を占めるため、高価格帯の物件はそもそも買い手の母数が限られてしまいます。5000万円以上の中古物件は属性が比較的良くないと融資がつかず、購入することができないため、価格でお得感を出すか、売却期間を長く取るなどが必要となります。
売る気のない業者に注意
なぜ売る気がない業者がいるのか?
不動産業界では、専任媒介契約をした売り主の物件を、故意に売らない行為を「干す」と言います。なぜこのようなことをするかというと、仲介業者が売り主と専任媒介契約を結んだ場合に、自分たちで買い主を見つけてくれば、売り主と買い主の両方から仲介手数料を取れることとなり、利益が倍に増えるという業界構造があるためです。売り主と買い主の両方から仲介手数料を取ることを「両手仲介」といいますが、この「両手仲介」を狙うため、他の業者からの問い合わせを理由をつけて断り、自社で探してきた買い主が「買いたい価格」まで売り主に価格を値下げさせて取引を成立させる、ということが行われるわけです。
信頼できない場合は、乗り換えを検討する
相場に近い価格で売り出したはずなのにまったく数カ月経ってもまったく内見の問い合わせが来ないという場合や、仲介業者から10%~数十%の大幅な値引きの提案をされた場合は、両手仲介を狙って「干されている」可能性もありますので、定期的に提出される報告書を厳しくチェックしたり、買い手を装って仲介業者に電話をしてみて、実際に物件が売り出されているかを確認してみたりすることが対策となります。
また、専任媒介契約は3ヶ月で契約更新となりますので、業者が信頼できないという場合には他の仲介会社に乗り換えを検討してみることも重要です。
値下げを渋ると、逆に売値が安くなることも
できるだけ高く売りたい気持ちが強いと、値下げには抵抗感があるかと思いますが、値下げを小さい幅で行ってしまうと、買い手の目につきにくくなり、他の売出し物件に埋もれてしまいます。そうなると、何度も値下げを繰り返す羽目になるので、結局は一度に引き下げてお得感のインパクトを演出したほうが安く済むというケースも多いのです。
値下げの目安としては、売り出し価格の5%前後か100万円の数字が変わる程度の値下げをしてみると良いでしょう。また、値下げ後の価格は「1980万円」のように「○○80万円」「○890万円」のように端数を意識するとお得感が強調されて、内見につながりやすくなります。
まとめ
2017年11月現在、不動産投資の市況は活況ですので、然るべき価格で売り出せば買い手はつきやすい状況かと思います。もし売り出した物件が数ヶ月で0件~1件のお問い合わせしか無いような場合には、本記事でご紹介した「売れない理由」を抱えている可能性が高いかと思いますので、改めてチェックをされてみると良いかと思います。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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