「資産運用を始めてみたいけど、種類が多すぎて何から手をつけて良いか分からない」という方は多いのではないでしょうか。ここ数年、超低金利が当たり前となっていますが、コロナショックにより今後も低金利環境が続きそうな状況で、銀行に預金するだけではお金を増やすことは難しくなっています。
2019年に金融庁が発表した報告書を巡り「老後2,000万円問題」がメディアを賑わせたことも象徴するように、資産運用によって将来に備えておくニーズは日に日に高まってきています。
今回は、投資初心者が資産運用を始める前に知っておきたいことと、おすすめの資産運用を紹介していきますので、参考にしてみて下さい。
目次
- リスクとリターンの考え方
- 資産運用の目的が大切
- 資産運用はいつから始めると良いのか
- 資産運用の種類と特徴
4-1.リスク小の資産
4-2.リスク中の資産
4-3.リスク大の資産 - まとめ
1.リスクとリターンの考え方
資産運用にあたっては「リスク」と「リターン」についてよく理解しておく必要があります。特に「リスク=危険・避けるべきもの」といった固定観念にとらわれた方をよくみかけますが、資産運用におけるリスクとは「結果が不確実であること」を意味し、具体的には収益(リターン)の振れ幅のことをいいます。
つまり、リスクとリターンは表裏一体の関係であり、リターンとの兼ね合いでリスクをとらえる視点が大切です。例えば、株式などはリスクが高い一方でリターンも高くなる傾向にあります。
2.資産運用の目的が大切
一言に投資といってもさまざまな方法があり、目的によってもおすすめの種類が変わるのが投資です。最初に投資の目的を明確にし、目的や自分のライフプランに合った商品を選ぶことが重要です。「どれが一番得なのか?」という視点ではなく、「どれが自分の目的に合っているか?」という視点で資産運用の情報収集をしてみましょう。
3.資産運用はいつから始めると良いのか
投資を始めようと思っても、どのような投資をすればよいのか迷ってしまったり、安全な運用を目標に余剰資金を貯めようとしたがなかなか貯まらなかったりしているうちに、時間ばかりが過ぎていってしまっている方が多いのではないでしょうか。
資産運用は長期投資が基本なので、こういった何もしない期間における機会損失のほうがダメージは大きくなり得ます。少額でもよいので、早く始めることで複利効果も大きくなりますので、まずは一歩を踏み出してみましょう。
4.資産運用の種類と特徴
次に、個人が投資できる代表的な投資商品を種類別に解説します。基本的にリスクの大小により下記の通り分類されます。
4-1.リスク小の資産
一般的にリスクが小さいとされている商品には、債券や金(ゴールド)などがあります。
債券
債券の代表格の国債は、国が発行する債券で、発行時に決められた利息をもらえるとともに、満期まで持てば元本が戻ってきます。国が破たんしない限り元本割れの可能性はありません。国が利払いと元本を保証しているため、その他の債券に比べて貸し倒れの危険は低いと考えられます。
機関投資家や金融機関にとって国債は有力な運用商品ですが、個人が国債を買う場合は、個人向け国債が中心になります。株式のように取引所で売買するわけではないので、基本的には持ちきりが前提です。ただ、近年のマイナス金利政策導入以降、たとえば10年国債の流通利回りはマイナスになることも珍しくなく、国債投資の魅力は著しく低下してしまいました。
金
金は鉱物ですから埋蔵量には限りがあり、恐らく無価値にはならないと言われている資産です。世界情勢の変化に強く、株安や紛争、テロなどが起きると金を買う人が増えるため、逆に価値が上がる場合も多く、株が下落する際のヘッジとして有効です。
金の値動き自体には幅があるため、実際にはリスクが小さい資産とは言えないのですが、このようにヘッジ資産としてポートフォリオ全体におけるリスクを下げる効果があることから、金は低リスク資産だとされることが多くなっています。
しかし、近年の世界各国中銀の緩和政策によるマネー余りの状況を受けて、株が上昇する局面でも金価格が一緒に上昇する場面が増えており、これまでの定説が通用しなくなっています。もはや、金は、株式とは一線を画した「リスクが独立している資産」だと言えます。
ただ、金は金利などのインカムを生まないので、インフレになり実質金利が上がることが最大のリスクとなります。元本保証もついていません。ちなみに、ドル建てで取引されるので、ドル高になると上昇する傾向にあります。
4-2.リスク中の資産
ミドルリスク・ミドルリターンの資産には主に以下のようなものがあります。
投資信託
投資家から集めたお金をファンドマネージャーとよばれるプロの専門家が運用し、得られた利益を投資家に還元する投資商品です。一人の元手が小さくてもファンド全体として分散投資が可能で、基本的には長期投資に向いていますが、短期投資や分配金狙いの投資も可能です。ファンドの選択や投資タイミングがうまくいけば大きな収益が期待できる反面、値下がりリスク、元本割れリスクがあります。
日本には2020年6月現在で約6,000本の投資信託があり、ハイリスク・ハイリターンの商品もあれば、ローリスク・ローリターンの商品もあります。また、外貨建ての投資信託もあります。近年、インデックス型といわれるタイプの商品を中心に販売手数料や信託報酬の引き下げなどの低コスト化が進んでいます。毎月一定額での購入など、少額での積立型の投資にも対応しています。
ETF
投資信託のなかでも上場しているものをETF(Exchange Traded Fund)といいます。株式と投資信託の両方の特徴を持ち、値下がりリスク、元本割れリスクがあります。ETFは通常の投資信託より手数料が安いのが特長です。
商品の歴史はまだ浅いので、銘柄数は約200銘柄と少ないのですが、金や原油など商品(商品指数)に投資するタイプもあり、一通り全ての資産が揃っています。上場しているため、株と同じようにリアルタイムで取引可能です。
REIT
近年、急速に存在感を増してきたのがREIT(不動産投資信託)です。投資家の資金を集めて、オフィスビル・商業施設・マンションなどの不動産で運用し、その不動産から得た賃料収入や売買益を投資家に分配する金融商品です。
一方で、値下がりリスク、元本割れリスクだけでなく、不動産に投資していますので、地価下落リスクや空室リスク、また災害リスクなど、不動産特有のリスクにも注意する必要があります。
通常、投資法人は資金を借りて不動産に投資するので、金利上昇に弱い(借入金利の上昇につながるため)ことにも注意する必要があります。非上場のREITもあれば、上場しているものもありますし、ETF型もあります。
4-3.リスク大
ハイリスク型資産の主なものには、以下があります。
株式
株式は投資商品の代表格といえるほど人気のある資産です。株式投資には、企業が発行する株式を購入し、利益の一部を配当金として受け取るインカムゲイン狙いと、購入時より株価が上がったときに売却して得られるキャピタルゲイン狙いの二つの目的があります。
しかし、どの企業が成長するかを初心者が見極めるのは非常に困難で、株式を購入したものの株価が下がってしまう値下がりリスクや元本割れリスクがあります。また、企業には倒産リスクがあり、倒産してしまえば一瞬で株券が紙くずになってしまいかねません。
上場株式は、取引時間中にいつでも買うことができるので、銘柄にもよりますが利便性が高く流動性に優れています。
FX
二国間の通貨を売買して利益を得る投資方法です。FXでは、証拠金を差し入れて、レバレッジをかけることで元手の最大25倍まで取引金額を引き上げられます。少額でも大きな利益を得られる可能性がある一方で、見通しがはずれたらとても大きな損失を出す可能性があります。ほぼ24時間取引ができるなど利便性が高く、近年人気が高まっている商品です。
まとめ
以上を踏まえ、下記のような一般的な投資初心者のモデルケースを元に最適な資産運用を考えていきましょう。
- できるだけ安全に運用したい
- 良く分からないから少額から始めたい
- これといったライフプランはないがぼんやりと老後のための資産運用したい
- 今すぐに使う資金でもないが、将来的にはしっかり増えていてほしい
これらを概ね満たしてくれるものは、「株式に投資する積み立て投資信託」ということになります。これであれば、分散投資効果も十分に機能し、長期間の複利運用効果も得られ、最初の一歩としては一番お手軽にスタートできるのではないでしょうか。
とはいえ、それだけで資産運用が成功する保証はなく、現実にはその他の資産についても幅広く学び、自身の投資目的や市場の流れに応じて柔軟に運用を行っていく必要があります。そのため、まずは投資の目的を明確にすることから始め、投資信託など様々な金融商品から自分に合った資産運用を検討してみてください。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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