アパート売却時にローンの残債がある場合の売却方法は?オーバーローンの対策も

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アパートローンの残債がある状態でアパートを売却する場合はアパートの抵当権を解除する必要があります。しかし、アパート経営は20~30年など長期的に継続している方も多く、相続などによって購入当時の情報が不明になっている方も少なくありません。

アパートローンの総額が大きいと、アパート売却しても残債を返済しきれない場合もあるでしょう。このような場合にどのような対応をすれば良いのか、不安に感じる方も多いのはないでしょうか。

そこで今回の記事では、ローンの残債があるアパートの売却について解説します。アパート売却時にローンの残債がある場合の売却方法について悩まれていた方はご参考ください。

目次

  1. アパート売却時にローンの残債がある場合は一括返済する必要がある
  2. アパート売却時にローンの残債がある場合の売却方法
    2-1.アパートローンの残債を確認する
    2-2.アパートの売却価格を不動産会社に査定してもらう
  3. アパート売却でローンを一括返済できない「オーバーローン」の場合
    3-1.不足分に自己資金を充当する
    3-2.入居率を改善する・建物の不具合を修繕する
    3-3.金融機関に任意売却の相談をする
  4. まとめ

1.アパート売却時にローンの残債がある場合は一括返済する必要がある

投資用のアパートであっても自分が住んでいるマンションであっても、ローンの残債がある不動産を売却する場合は、買主へ所有権移転する前にローンを一括返済する必要があります。

金融機関はローンを出すにあたって申込者が購入する不動産に抵当権を設定しています。抵当権は、不動産の購入者のローン返済が滞ってしまった時に不動産を売却して貸付金を回収するための権利のことです。ローンの残債を一括返済しなくてはならない理由は、金融機関によって設定されている抵当権を抹消するためです。

不動産を売却してもローンの残債を返済しきれない場合は、金融機関は抵当権を抹消しません。法的には抵当権付きのまま売却することも可能ですが、実務上、不動産の持ち主が不動産を売却して所有権が移転する場合はほとんどの場合で金融機関が設定した抵当権を抹消することになります。

2.アパート売却時にローンの残債がある場合の売却方法

アパートの売却価格がローンの残債を上回るまたは同等の場合は、アパートを売却することで入ってきたお金を返済に充当してローンの一括返済を完了させます。これはアパート売却で最も多く取られている基本的な返済方法と言えます。

2-1.アパートローンの残債を確認する

ローンの残債があると認識している場合には、アパートを売り出す前に残債がいくらなのか確認し、売却によって一括返済が可能であるかどうかを検証する必要があります。

アパートローンの残債を確認するためには、定期的に金融機関から送られてくる残高証明を確認しましょう。残高証明を手元に保管していなかった場合は、金融機関に問い合わせて再度送付してもらうと良いでしょう。

2-2.アパートの売却価格を不動産会社に査定してもらう

アパートの売却価格を知るには、不動産会社へ査定を依頼して価格を算出してもらうと良いでしょう。この時、1社だけでなく複数社に査定を依頼して、査定価格を比較することが大切です。

不動産会社によってアパート売却に慣れていなかったり、また悪質な不動産会社の場合にはあえて相場よりも高い金額で売却を促し、売却時には値下げ交渉するなどのケースもあります。このような状況を避けるため、複数社に査定を依頼して価格を比較する作業が大切なのです。

複数社に査定を依頼する際は不動産一括査定サイトが便利です。下記の不動産一括査定サイトでは悪質な不動産会社の排除を積極的に行い、全国エリアに対応している特徴があります。

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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

なお、複数社に査定を依頼すると対応に追われてしまい、手間に感じてしまう方も多いでしょう。そのような場合には、まずは大手不動産会社1社に査定を依頼するという方法も効果的です。

大手不動産会社では全国の不動産売買の情報を保有しており、既存顧客も豊富です。不動産査定のノウハウも豊富なため、相場に近い価格を査定してもらえる可能性は高いと言えます。

例えば、三井不動産リアルティ株式会社が運営している不動産仲介サービスの「三井のリハウス」では、2021年の不動産事業統計における仲介取扱高は業界1位の1兆5,638億円、累計取扱件数は2020年度に100万件を突破しています。

その他、大手不動産会社としては2021年の不動産事業統計で全国3位となる25,635件の仲介取引件実績の「東急リバブル」があります。従業員の質の高さにもこだわり、売買仲介営業スタッフの約97%が宅地建物取引士の免許を保有しています。そのため豊富な知識と経験に基づいた提案をしてくれるのが特徴です。

※出典:公益財団法人不動産流通推進センター「2021年不動産業統計集

3.アパート売却でローンを一括返済できない「オーバーローン」の場合

アパートの売却額がローンの残債を下回り、売却してもローンが残ってしまう状態のことを「オーバーローン」と言います。オーバーローンになってしまう場合、考えられる主な対策は3つです。

3-1.不足分に自己資金を充当する

売却時の自己資金に余裕があるのならば、ローン一括返済の差額に対して自己資金を充当するのも1つの方法です。抵当権の抹消のための返済方法として自己資金が充当されていても、特に問題視されません。

ローンの残債があるアパートを売却する場合は、残債の正確な金額と用意できる自己資金についても確認しておくと良いでしょう。

3-2.入居率を改善する・建物の不具合を修繕する

収益物件であるアパートの売却では、入居率が不動産価格に大きな影響を与えます。アパートの査定で用いられる「収益還元法」という査定方法では、入居率が低下してしまった物件は収益性が低くリスクが高いと判断され、物件価格も低くなってしまうのです。

このようなアパートは入居率を改善させて収益性を上げることで、売却価格を高くしていくことも可能です。

その他、建物の不具合がある場合には適切に修繕を行い、修全履歴をつけておくことも大切です。買主の印象が異なるというだけでなく、金融機関の担保評価もあがり、買主側の資金調達が行いやすくなります。ただし、過度な修繕を行うと資金回収ができないリスクがあるため、仲介を依頼する不動産会社に適宜相談を行いましょう。

アパートを売却する理由にもよりますが、不動産会社から受け取った査定額がローンの残債を下回るのであれば、不動産の値上がり時期を待つのも1つの方法です。時間の経過によって建物の価値は下がっていきますが、アパートが立地しているエリアによっては不動産市況の好転によって査定額が上がる可能性もあります。

不動産会社から査定を受けたときには、査定額の根拠を確認するとともに、市況によって査定額に違いが出るか不動産会社の担当者へ聞いてみると良いでしょう。

3-3.金融機関に任意売却の相談をする

アパートを売却してもオーバーローンの状態になる場合は、融資を受けた金融機関に相談して任意売却を進めるのも1つの方法です。

任意売却とは、融資元の金融機関から許可を取ったうえで不動産を売却し、売却後の残債について金融機関が指定するペースで返済を続けていくことを指します。任意売却の目的は一括返済に猶予を設けて返済の負担を軽くすることなので、売却後の返済スケジュールは金融機関との相談のうえ、無理のないペースで続けられます。

なお、万一ローン返済が滞る場合は競売という方法もありますが、競売は買主側のリスクが大きいため、売却額が市場相場よりも低くなる売却方法です。一方で任意売却の場合は市場相場と同等の価格で売却することを前提とします。

【関連記事】不動産の任意売却とは?メリット・デメリットや売却手順を解説

まとめ

ローンの残債があるアパートを売却する場合は、金融機関が設定した抵当権を抹消するために、所有権を移転する前に残債の一括返済が必要です。アパートの売却額がローンの残債を上回る状態をアンダーローン、売却額が残債を下回る状態をオーバーローンと言います。

オーバーローンの状態であるならば、不足分を自己資金で補填したり、あらかじめ金融機関の許可を取って売却後も返済を続ける任意売却を進めたりする必要があります。まずは金融機関でローンの残債を確認したうえで不動産会社へ査定を依頼し、売却によって一括返済が可能であるかどうかを調査してみましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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