アパート経営では資金調達のためにアパートローンを利用できます。不動産を担保設定できるアパートローンは、ビジネスローンよりも金利が低いことが多く、投資の収益を上げやすいメリットがあります。
しかし、収支シミュレーションが甘かったり市場調査が不足していると、ローンを返済できなくなるリスクもあります。投資前にはアパートローンの返済リスクについて慎重に検討することが大切です。
本記事アパートローンの返済リスクおよび対策について解説します。アパート経営を検討している方はご参考下さい。
目次
- アパート経営で注意したい、アパートローン4つの返済リスク
1-1.アパートローンの返済金利が上昇する可能性がある
1-2.空室が発生すると返済不能に陥ってしまうことも
1-3.借りすぎると返済がキャッシュフローを圧迫する
1-4.物件を売却してもローンを完済できないリスク - アパートローンのリスク対策
2-1.念入りにキャッシュフローをシミュレーションする
2-2.自己資金を用意して借入額を調節する
2-3.周辺相場よりも高すぎる物件を購入しない - まとめ
1.アパート経営で注意したい、アパートローン4つの返済リスク
アパートローンを利用する上で注意すべきリスクとしては、返済金利の上昇に関するポイントや借入額に関するポイントなどが挙げられます。
1-1.アパートローンの返済金利が上昇する可能性がある
アパートローンの金利には固定金利と変動金利との2種類があり、変動金利で契約する場合には返済金利が上昇するリスクがあります。
2021年5月時点では、日本銀行が設定する長期金利が低いために、アパートローンの返済金利も低めに設定されています。しかし、今後の経済動向によって各金融機関が返済金利を引き上げる可能性も否定できません。
金利の上昇は不動産投資による収益の減少に直結します。なお、例えば3年固定金利特約付きなどの場合も要注意です。固定金利特約付きのアパートローンは、毎年の返済金利見直しがないメリットがある一方、定期的に返済金利の見直しが入ることになります。
1-2.空室が発生すると返済不能に陥ってしまうことも
アパートローンの返済は、アパート運用の家賃収入を返済の原資にします。アパートの購入には数千万円単位のお金がかかるので、アパートローンの借入額も大きくなることが多いものです。
マンション投資等と比較するとアパートローンの返済額は大きいため、空室の数が増えてしまうと、返済後の収益が残らない、返済しきれないなどのリスクが出てきます。
アパートローンを利用する時には、何部屋まで空室が出ても返済できるのか、想定の空室率は現実的かなど、事前のシミュレーションで見極めることが重要です。
1-3.借りすぎると返済がキャッシュフローを圧迫する
アパートローンは、上手に活用すれば自己資金に対する利益の割合を上げられますが、借りすぎには要注意です。借入額が大きくなるほど毎月の返済額と返済金利も上がるため、毎月のキャッシュフローがローン返済に圧迫されます。
キャッシュフローとは資金の流れのことで、アパート経営では家賃収入から返済金や支出を引いて手元に残る資金(もしくは流出する資金)がいくらなのかを見ることになります。不動産投資で物件を判断するためには、表面利回りだけではなくキャッシュフローも確認することが重要になります。
不動産投資の初心者は自己資金が少ないことも多く、ローンを利用できるのであれば、上限まで利用したいと考える人も少なくありません。しかし、リスクヘッジのためにも適切な借入額の見極めが重要です。
1-4.物件を売却してもローンを完済できないリスク
新築物件に投資する場合には特に、購入する物件の価格が周辺相場から乖離していないか調査することが重要になります。
周辺相場よりも高すぎる物件を購入すると、物件を売却するときには、購入価格よりも大幅に値下げして売却せざるを得ないこともあります。結果的に物件を売却してもローンを完済できないオーバーローン物件となる可能性も出てくるので要注意です。
アパートローンが返済不能の状態に陥ると、任意売却や競売などの検討が必要になります。任意売却や競売は、売却期限の定めがない物件売却と比較して売却価格が下がる傾向にあり、物件の売却後も返済は残るケースが少なくありません。
アパート経営を検討する際は、アパートをいずれ相続するのか、売却するのか、売却する場合は最低売却価格はいくらになるのか、出口戦略についても慎重に検討することが重要になります。
2.アパートローンのリスク対策
アパートローンのリスク対策で重要なポイントは、事前のシミュレーションと周辺エリアの価格調査です。許容できる返済額の見極めと妥当な価格での物件購入ができれば、アパートローンの返済リスクを抑制できます。
2-1.念入りにキャッシュフローをシミュレーションする
アパートローンの返済リスクを下げるためには、物件を購入する前に、念入りに収支をシミュレーションすることが重要です。
シミュレーションをする上では、物件の立地エリアが持つ特性と周辺の家賃相場とを確認し、高めの空室率を設定しても収益を出せるかがポイントになります。
空室率を見極めるために、投資エリアの人口推移や家賃相場の推移を確認しておくことも検討しましょう。人口が増加傾向にあり、家賃相場の下落が起きていないエリアでは、賃貸需要が豊富であることから高い入居率が見込めます。
なお、毎月返済額の目安を見極めるにあたっては、アパートの収益性が一時的に低下した場合や災害などの突発的トラブルに備えて、給与収入から返済するケースも考慮することも大切です。
2-2.自己資金を用意して借入額を調節する
購入物件を担保に入れることで、ローンで大きな資金を調達できるのは、不動産投資が持つ大きなメリットです。一方、自己資金を投下して借入額を下げることで、運用中の返済リスクの軽減につながる点も考慮しておきたいポイントと言えます。
2021年5月時点、アパートローンの利用にあたって物件価格の10%〜30%など自己資金を求められることも多いものです。自己資金が多くかかってしまうことは投資ハードルが高くなるデメリットともなりますが、返済リスクを低下させるメリットがあります。
自己資金の投下には、返済に関するリスクを軽減するほか、毎月のキャッシュフローを押し上げる効果もあります。収支のシミュレーションによって毎月の返済額を見極めるためには、理想とするキャッシュフローの金額を考えることも重要です。
2-3.周辺相場よりも高すぎる物件を購入しない
周辺相場から見て妥当な価格の物件を購入すれば、アパートローンの返済不能に陥るリスクを軽減できます。不動産投資で物件を選ぶ場合は、複数の物件を比較して判断することが重要になります。
金融機関の融資審査ではアパートの収益性も考慮されますが、築浅アパートや立地条件の良いアパートは担保評価が高く、物件が持つ収益性以上の融資条件でアパートローンが借りられてしまうことがあります。アパートローンの融資が下りるからと言ってむやみに購入検討するのではなく、周辺相場を考慮した投資戦略が大切です。
まとめ
アパートローンの返済リスクで注意すべきポイントは、空室による返済不能のリスクと、相場よりも高すぎる購入価格に起因する返済不能のリスクです。
毎月の返済額と許容できる空室率とを突き合わせて、空室率が何%までであれば返済に支障がないのか、見極めることが重要です。
また、周辺相場よりも高すぎる物件を購入してしまうと、物件を売却してもローンを完済できないリスクがあります。返済のリスクを軽減するために、物件購入前の周辺相場確認を行うことも検討しておきましょう。
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