株式投資を始めたいものの、元本割れのリスクが怖いために踏み切れない方もいるのではないでしょうか。そういう方は、投資信託に投資を検討するのも一つの選択肢です。一部の証券会社では、最低100円から投資することができます。少額から始め、徐々に投資金額を増やしていきましょう。
今回は、投資信託の仕組み、投資のメリット・デメリットなどについてお伝えいたします。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 投資信託の仕組み
- 投資信託のメリット
2-1.ワンコインで投資できる
2-2.少額でも分散投資ができる
2-3.専門家が運用するため効率的 - 投資信託のデメリット
3-1.元本を下回ることもある
3-2.保有している限り手数料がかかる
3-3.繰上償還されることもある
3-4.申し込み時点の価格が未定 - 投資信託の基準価額とは
- 投資信託の分配金とは
5-1.分配金の仕組み
5-2.普通分配金とは
5-3.特別分配金とは - 投資信託にかかる3つの手数料
6-1.販売手数料
6-2.信託報酬
6-3.信託財産留保額 - まとめ
1.投資信託の仕組み
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を大きな財布(ファンド)に移し、その資金を運用の専門家が株式や債券などに分散投資し、運用成果を投資家に分配する仕組みです。投資信託の価格は基準価額と呼ばれ、公表されています。
2.投資信託のメリット
投資するメリットは以下の通りです。
2-1.ワンコインで投資できる
株式や債券に投資する場合、ある程度まとまった資金が必要となります。しかし、ネット証券などでは投資信託はワンコイン(100円)から始められる会社もあります。例えば以下のような証券会社で100円からの購入が可能です。
- SBI証券
- auカブコム証券
- 松井証券
- 楽天証券(積立のみ、月額)
- 大和コネクト証券(積立のみ、月額)
2-2.少額でも分散投資ができる
株式に投資する場合、複数銘柄に分散投資するにはある程度まとまった金額が必要です。投資信託では、小口のお金を集めて一つの大きな資金とし、様々な金融資産に分散投資するため、比較的少ない金額でも分散投資ができます。
2-3.専門家が運用するため効率的
投資信託は「投資信託運用会社」で作られ、運用のプロであるファンドマネージャーが運用します。ファンドマネージャーのような専門知識を身につけるにはある程度の年月が必要ですが、投資信託の銘柄選びには彼らの知識と知恵が結集しています。そのため、自身で運用するより投資信託に投資したほうが効率的とも言えます。また、個人では投資できない海外の株式や債券などへの投資も可能なため、幅広い商品が運用対象となります。
なお投資家は、定期的に発行されるレポートにて、運用状況を把握することができます。
3.投資信託のデメリット
一方でデメリットは以下の通りです。
3-1.元本を下回ることもある
投資信託が投資している銘柄の株価などが下落した場合は、当初の購入価格(元本)を下回る可能性があります。そのため、投資には当分の間使う予定のない資金を充てるようにしましょう。
3-2.保有している限り手数料がかかる
投資信託の手数料は、株式や債券とは異なります。現物株式や債券の手数料は、購入時と売却時に必要です。しかし、投資信託の手数料は、販売手数料、信託報酬、信託財産留保額の3つがあります。
近年では、販売手数料や信託財産留保額については、無料の投資信託が主流となっています。信託報酬は投資信託を保有する限り必要な手数料で、投資信託により料率が異なり、年0.1~2.5%程度に設定されています。最低料率と最高料率には大きな差があるため、投資信託に投資する際には事前に調べる必要があります。
3-3.繰上償還されることもある
長期保有するつもりで投資していた投資信託が繰上償還されてしまうことがあります。繰上償還とは、あらかじめ決まっていた投資信託の信託期間が終了する前に、投資信託の運用が終了することをいいます。
繰上償還の要因は、投資家の換金で投資信託全体の運用金額が一定水準を下回ってしまい運用効率が下がってしまうことです。繰上げ償還になる条件は、目論見書などに書かれているので、投資信託を購入する前に確認しましょう。
3-4.申し込み時点の価格が未定
投資信託は、申し込み時においては、基準価額(受渡価格)が決まっていません。投資家が投資信託を購入する場合、基準価額で取り引きされますが、基準価額は投資信託の申し込みを締め切った時点で算出されるからです。
株式市場が大きく変動した場合には、基準価額が変動する可能性があります。投資信託の申し込みをする際には注意する必要があります。
4.投資信託の基準価額とは
基準価額とは、投資信託の価格のことで、1口もしくは1万口当たりを示しています。投資信託が投資をしている株式・債券の利息や資産の総額(含む配当金)から運用費用を差し引いた金額を総口数で割って求められ、1日に1度公表されます。
この基準価額において、投資信託の購入や換金が行われますが、基準価額の公表は、投資信託の申込み締め切り後のため、当日の基準価額が公表される前に投資信託の取引が行われます。相場が変動すると基準価額も変動するため、投資信託を購入する場合には、資金に余裕を持たせるようにしましょう。
5.投資信託の分配金とは
投資信託の分配金について説明します。
5-1.分配金の仕組み
投資信託には「分配金あり」と「分配金なし」の2つの種類があります。分配金ありの投資信託は、決算日に分配金が投資家に支払われます。分配金は、株式でいう配当金、債券でいう利息に相当します。
分配金の原資は、投資信託が保有している資産の売買に伴う売却益(キャピタルゲイン)と配当金・利息(インカムゲイン)の合計です。元本を取り崩して支払われる分配金もあります。それぞれ見ていきましょう。
5-2.普通分配金とは
普通分配金の原資は、各投資信託が積み上げてきた利益と、キャピタルゲインとインカムゲインです。投資信託の運用成績次第で変動し、相場環境が悪化すると普通分配金が支払われないこともあります。
5-3.特別分配金とは
特別分配金とは、投資信託の元本を削って支払われる分配金のことで、元本払戻金ともいいます。
投資信託の決算日は、銘柄によって毎月、年2回、年1回など様々です。分配金は決算に合わせて支払われます。分配金の支払い回数が多い投資信託は、分配金の原資を運用益で補えない場合には、投資信託の元本を削って支払われる場合があります。特別配当金が支払われると、基準価額が相当額値下がりします。
6.投資信託にかかる3つの手数料
投資信託の手数料についても解説します。
6-1.販売手数料
販売手数料とは、投資信託を購入する時にかかる手数料のことです。現在は、販売手数料が不必要なノーロードが主流です。
6-2.信託報酬
信託報酬とは、投資信託の保有期間中に必要な手数料で、毎日徴収されます。信託財産の中から手数料が徴収されるため、別途支払う必要はありません。投資家は手数料を支払っている意識が薄くなるため、信託報酬の料率には注意する必要があります。
投資信託ごとに年0.1~2.5%程度に設定されています。一般的に、料率は指数に連動する運用を目指す「インデックスファンド」が低く、より高い収益を目指す「アクティブファンド」が高い傾向にあります。
6-3.信託財産留保額
信託財産留保額は、投資信託を解約する時にかかる手数料です。しかし、多くの投資信託では必要ないため、投資信託を購入する際には、必要かどうかを確認する必要があります。信託財産留保額は、ヘッジファンド、新興国に投資する投資信託に設定される傾向があります。料率は0.1~0.5%程度に設定されています。
まとめ
今回は投資信託の仕組みや投資のメリットなどについて解説しました。
投資信託を購入する際は、投資信託の保有期間中に必要な信託報酬の料率、分配金の有無、決算頻度を確認しましょう。なお、信託報酬の料率は過去の運用実績と比較することが大切です。料率が低くても運用実績が悪ければ意味がありません。一方、料率が高くても、運用利回りが高い投資信託は将来的にも大きな収益が期待できます。
また、長期投資が前提の場合、分配金“なし”の投資信託は分配金相当額の再投資で複利効果が得られるため、将来的に大きな資産を築き上げる可能性が高まります。投資信託に関心のある方は、まず少額からの購入も踏まえつつ、投資の検討を進めてください。
藤井 理
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。
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