アメリカ不動産投資でも、物件やエリアを比較する上では、日本の不動産投資と同じく治安の良し悪しや人口動態を見ながら比較することが大切です。
アメリカは特に国土が広く、経済状況や人口動態がエリアによって大きく異なるため、エリア選びにおいてデータに基づいた比較が重要となってくると言えるでしょう。
そこで本記事では、アメリカ不動産投資において治安やエリアの比較が重要な理由と、具体的なデータの集め方について解説します。
目次
- アメリカ不動産投資において治安とエリアが重要な理由
1-1.治安の悪いエリアでは入居率が低下するリスクが高い
1-2.不動産価格が上がりにくい
1-3.エリアによって経済の状況や不動産市況が大きく異なる - アメリカ不動産投資の治安とエリアを見極める方法
2-1.Spot Crimeを参照する
2-2.Redfinを参照する
2-3.Censusを参照する
2-4.アメリカに進出している日本国内の不動産会社に問い合わせる - まとめ
1.アメリカ不動産投資において治安とエリアが重要な理由
最初にアメリカ不動産投資ではなぜ治安とエリアの見極めが重要になるのか、その理由について解説します。日本とは異なる文化的な背景について理解することが重要です。
1-1.治安の悪いエリアでは入居率が低下するリスクが高い
アメリカ不動産投資において治安を見極める必要がある理由は、治安の良し悪しが入居率に関わるためです。アメリカは広い上に、州によって法律や規制などが異なっており、治安もエリアによって異なります。
また、一般人も銃を所有できるアメリカでは、治安の悪いエリアでは殺人事件などが頻発するケースもあり、入居者は治安の悪いエリアを好みません。そのようなエリアでは入居者が見つからない可能性が高くなるほか、犯罪などのトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。
また、収益性の面から見ても、入居者の所得が低くなるほど家賃の滞納リスクが上がります。遠隔地での管理を行う必要のあるアメリカ不動産投資においては、空室リスクや滞納リスクなどが強くなるため、治安の悪いエリアへの不動産投資は非常にハードルが高いと言えます。
1-2.不動産価格が上がりにくい
アメリカにおいて治安の悪いエリアには人が集まりにくいため、治安が良いエリアと比較すると産業の発展なども遅れがちになります。人が集まらないと住宅に関するニーズが弱まるほか、産業が発展しないエリアでは周辺住民の所得が上がりにくいものです。
住宅のニーズが縮小しているエリアでは競争が起こりにくく、不動産の売却益(キャピタルゲイン)を狙うことも難しくなります。治安の悪いエリアでは、インカムゲインとキャピタルゲインの両方について利益を狙いにくくなるため要注意です。
1-3.エリアによって経済の状況や不動産市況が大きく異なる
アメリカでは法律や規制内容だけでなく、経済の状況や不動産市場の状況もエリアによって大きく異なるため、アメリカ不動産投資を進める上では、エリアごとの状況を整理しながら比較することが重要です。
例えば、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が起きた2020年、アメリカの不動産ポータルサイトRedfinによると、2020年におけるアメリカ不動産の値動きは2020年2月までは$290,000台で推移していましたが、3月に$300,000を超えています。その後は、5月に1度$300,000を割り込みますが、6月以降は$300,000台を維持しており、9月には$330,000を超えました。
アメリカの経済はコロナウイルスの感染拡大に大きく影響されましたが、不動産価格についてはマイナスの影響が出ておらず、2020年11月の住宅価格は$335,519で、対前年比14%のプラスとなっています。
しかし、アメリカ全体ではコロナ禍においても不動産価格の上昇が見られているものの、どの州でも成長が続いているわけではありません。
例えば、かつては自動車産業で栄えたデトロイトでは、大手自動車メーカーの経営不振とともに経済は大きく落ち込みました。経済の落ち込みは平均所得や不動産価格の低下とともに治安の悪化を招いています。(※参照:在デトロイト日本国総領事館「デトロイトへ旅行される皆様へ」)
このように、エリアによって経済や市況は大きく異なるため、アメリカ不動産投資においては、州ごとに状況を把握して比較することが重要です。
2.アメリカ不動産投資の治安とエリアを見極める方法
ここからは、犯罪率や不動産価格、人口動態などの具体的なデータの探し方について解説します。ご紹介するのはいずれも英語で構成されたウェブサイトですが、ブラウザの翻訳機能などを活用することで、比較適容易にデータの検索が可能です。
2-1.Spot Crimeを参照する
アメリカ不動産投資のエリア選びにおいて治安を見極めるために、Spot Crimeというアメリカのウェブサイトを参照してみましょう。
Spot Crimeでは、トップページに目を付けた物件の住所を入力すれば、物件の周辺で発生した犯罪の種類や日時を確認できます。例えば、ZillowやRedfinなどのアメリカ不動産ポータルサイトで物件を探し、気になった物件の住所をコピーしてからSpot Crimeで検索すれば、物件ごとに周辺の治安を比較することができます。
なお、アメリカのウェブメディアであるSafe Home.orgによると、2022年1月に発表されたデータでは、ミシガン州デトロイトは殺人や強盗などの暴力犯罪発生率が高くなっています。
大まかな比較にはなりますが、このような犯罪を調査できるウェブサイトを参照してエリアの見当をつけるのも有効です。
2-2.Redfinを参照する
アメリカ不動産に関する不動産価格の上昇・下降傾向を比較するためには、不動産ポータルサイトRedfinのData Centerを参照するのが有効です。
こちらのウェブサイトの中断にある「Redfin Monthly Housing Market Data」というグラフを活用すれば、2012年1月からの不動産価格推移についてエリアごとに比較できます。
表の上にあるタブの「Median Sale Price」とは、物件の掲載価格中央値を示しています。中央値とは、最高価格と最低価格のちょうど中間にあたる値のことです。アメリカでは平均値ではなく中央値が統計によく用いられます。
なお、コロナが流行した2020年はアメリカで金利が引き下げられたため、住宅ローン金利の低下に伴って住宅需要が大幅に拡大しました。値動きはエリアによって様々ですが、全体的な傾向を念頭に置いてエリアを選ぶことも必要です。
2-3.Censusを参照する
海外と日本国内とを問わず、不動産の値上がり益を狙うのであれば、人口が増加しているエリアであるかどうかという点が非常に重要なポイントです。
アメリカ全体では長期的に人口が増加傾向にありますが、国土の広いアメリカでは人口動態もエリアによって異なるのが実態です。エリアごとに人口推移を比較するため、アメリカの国家統計であるCensusを参照してみましょう。
ウェブサイトを開いたらサイト上部にある検索窓に都市名を入力します。左側に人口や所得など複数の項目があるので、人口に該当する「Populations and People」をクリックし、同名の項目下にある「Table」のリンクをクリックします。
リンク先のページでは調査・推定年度ごとのデータが表示されるので、年度ごとのデータを比較していけば、エリアごとの人口動態を大まかに把握可能です。
2-4.アメリカに進出している日本国内の不動産会社に問い合わせる
アメリカ不動産の販売を行う、日本の不動産会社へ問い合わせてみるのも情報収集の手段です。例えば、アメリカ不動産の販売・管理・売却を手掛ける大手不動産会社には「オープンハウス」があります。
アメリカ現地の不動産市場に深く入り込み、人口動態や需給バランス、空室率、学区などの生活環境、周辺取引事例といった広範囲に渡るデータを駆使することで投資に適した地域、物件を見極めています。
オープンハウスでは、初心者向けにアメリカ不動産の基礎がわかる不動産投資セミナーを定期的に開催しています。アメリカが投資国として注目されている理由や、アメリカ不動産と日本の不動産の違い、税効果などだけでなく、アメリカ不動産のリスクや起こりうるトラブルなどについても解説しているため、きちんと理解を深めてから投資を始めたい、メリットとデメリットを慎重に検討したい、という方は検討されてみると良いでしょう。
【関連記事】オープンハウス(アメリカ不動産投資)の評判・概要
まとめ
アメリカの不動産市場にも、日本の不動産市場と同じくエリアによっては物件が安く高利回りになるエリアがたくさんあります。しかし、物件価格が安く高利回りの物件には背景があるため、様々なデータを参照したり、不動産会社から資料を取り寄せるなどして、背景を読み解いていくことが重要なポイントと言えるでしょう。
専用のウェブサイトから検索してみたり、アメリカ国内の不動産を扱う不動産会社へ問い合わせてみることで日本からでも情報収集することが可能です。アメリカ不動産投資を検討する際には、これらの方法を用いて、エリアの特徴について自身でも調査されてみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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