超高齢化社会を迎え、個人の資産承継に対する関心が高まる中、自身の財産の一部を社会貢献に役立てる「遺贈寄付」が注目されている。遺贈寄付は、個人が遺言によってNPOや公益法人、自治体などに寄付する仕組みだが、国内では遺言書の作成に対する心理的なハードルなどから、まだ十分に普及していないのが現状だ。
この状況を打開すべく、一般社団法人日本承継寄付協会は7月22日、埼玉りそな銀行と連携し、遺贈寄付専門の情報誌「えんギフト」を同行の全店舗で2025年5月8日より配布開始したと発表した。この取り組みの目的は、個人の資産を社会貢献に繋げる遺贈寄付の認知度向上だ。
「えんギフト」は、日本承継寄付協会が年に一度発行する情報誌で、年間発行部数は21,000部に上る。誌面では、遺贈寄付の具体的な手順や体験談のほか、寄付先となる社会課題に取り組む27以上の団体や大学、自治体の事例を紹介する。

金融機関では、相続関連サービスの一環として、顧客の社会貢献への想いを実現する選択肢の提供が重要性を増している。埼玉りそな銀行は、顧客の相続や資産承継に関する相談業務を強化しており、今回の連携を通じて、社会貢献に関心を持つ顧客層のニーズに応える。同行は、事業活動を通じて地域社会の持続可能性に貢献する「地域×SDGs」の実現を推進しており、本取り組みもその一環と位置づける。
一方で、遺言書による寄付への関心は年々高まっているものの、いざ検討しようとしても「誰に相談すればよいかわからない」と諦めてしまう人は少なくない。そこで日本承継寄付協会は、情報提供と並行して、こうした相談に専門的に対応できる人材の育成にも力を入れる。その中核となるのが「承継寄付診断士講座」だ。

この講座は、寄付を希望する方の相談に応じ、次世代へ想いをつなぐ支援を行うための専門知識を身につけることを目的とし、これまで全国から400名以上が受講した。士業、金融機関、FP、不動産業界など相続・終活関連の仕事に携わる者、寄付を受け入れる非営利団体の職員、その他関心のある者なら誰でも受講できる。
2025年度版の申し込み受付も開始された。年に一度の会場受講は、2級が8月2日(土)、1級が11月1日(土)に開催される。また、オンラインでの録画受講も可能だ。
日本承継寄付協会は、信頼性の高い情報提供と専門家の育成を通じて、誰もが安心して遺贈寄付を検討できる環境を整え、日本の文化として根付かせることを目指す。
【関連サイト】
一般社団法人 日本承継寄付協会「遺贈寄付情報誌えんギフト」
承継寄付診断士講座 詳細・申し込み

HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム

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