Green Finance & Development Centerが公表した報告書によると、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関連するアフリカへの投資が2025年上半期に急増し、建設契約と直接投資を合わせて390億ドルに達した。南アフリカの報道メディアMail & Guardianが27月29日付で報じている。この額は他の全地域を上回り、中国が資源豊富なアフリカ大陸へ地政学的な軸足を移していることを示している。
アフリカが受け取った投資の内訳は、建設契約が305億ドル、直接投資が85億ドルだった。特に建設契約額は、前年同期の61億ドルから5倍近くに増加し、驚異的な伸びを見せた。国別ではナイジェリアが石油・ガス処理インフラを中心に210億ドルを確保し、最大の受益国となった。
分野別では、エネルギー関連投資が世界全体で過去最高の420億ドルに達し、そのかなりの部分がナイジェリアの石油・ガスプロジェクトに向けられた。一方で、アフリカ大陸全体では太陽光、風力、廃棄物発電などのグリーンエネルギー分野にも97億ドルの新規投資があった。また、鉱物・金属分野への投資も過去最高を記録し、アフリカ域内の加工インフラに約100億ドルが投じられた。これは、アフリカ諸国が進める資源ナショナリズムと国内での付加価値創出を求める動きに呼応した動きとみられる。
専門家は、この投資急増の背景に米国との貿易摩擦などがあり、中国が新たな成長市場と地政学的な同盟関係を模索していると分析する。中国の資金提供は、厳しい条件を伴うことが多い欧米の融資モデルに代わる柔軟な選択肢となる一方、アフリカ諸国は債務の持続可能性を確保し、自国のバリューチェーンを強化する条件で交渉する必要がある。外国資本を国内の発展戦略といかに連携させ、単なる資源採掘経済から脱却できるかが真の試金石となる。
【参照記事】China’s Belt and Road shifts focus to Africa with record-breaking investments

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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