金融庁、日本版スチュワードシップ・コードを再改訂。責任ある機関投資家の諸原則3年ぶり見直し

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金融庁は3月24日、機関投資家の行動原則を定めた日本版スチュワードシップ・コードの再改訂版を公表した。機関投資家の投資活動に対して、ESG(環境・社会・企業統治)の要素を含めたサステナビリティ(持続可能性)を考慮するよう盛り込んだ。また、機関投資家向けサービス提供者に対し、「機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである」という項目が加えられた。

日本版スチュワードシップ・コードは2014年2月に策定、17年5月に、「スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」によって改訂された。これまで、スチュワードシップ・コードの受入れを表明した機関投資家は 280を超え、また、2018年6月には、企業統治の指針となるコーポレートガバナンス・コードも改訂された。

その後、2つのコードについて、コーポレートガバナンス改革には一定の進捗が見られるが、より実効性を高めるべきとの指摘もされ、2019年4月24日、金融庁・東京証券取引所に設置された「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」で「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性」と題する意見書が公表された。

意見書では、コーポレートガバナンス改革の実効性を高めるためには投資家と企業の対話の質の向上が必要なほか、議決権行使助言会社や年金運用コンサルタントなどによる機関投資家への助言やサポートがインベストメント・チェーン(顧客・受益者から投資先企業へと向かう投資資金の流れ)全体の機能向上に資するものとなるよう促すことが重要であるとされ、スチュワードシップ・コードの更なる改訂が提言された。

これを受け、同庁では2019年10月から計3回にわたり有識者によるコード改訂に向けた議論を重ねた。意見書では、運用機関における議決権行使に係る賛否の理由や、対話活動とその結果や自己評価などに関する説明・情報提供の充実、ESG要素などを含むサステナビリティを巡る課題に関する対話における目的の意識、企業年金のスチュワードシップ活動の後押しなどについて提言されており、検討会はこれらを議論した上で、その過程で挙げられた意見も加え再改訂案を策定。2019年12月20日から2020年1月31日までパブリックコメントを募集、日本語では44の個人・団体から、英語では23の個人・団体から意見が寄せられた

同庁では、再改訂前のコードを受け入れている機関投資家には、再改訂版公表の遅くとも6ヶ月後(30年9月末)までに、再改訂内容を踏まえてコードの各原則(指針を含む)に基づく公表項目の更新を呼びかけている。

【参照URL】スチュワードシップ・コード(再改訂版)の確定について

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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