気候変動プロジェクト銘柄のSTOプラットフォームを運営する「CO2Network」とは?

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参照:CO2Network

目次

  1. CO2Networkとは?
  2. 独自ID及びブロックチェーン基盤も開発
  3. CO2Networkの展望は?

CO2Networkとは?

気候変動が加速する中、カーボンオフセットは重要な対策の一つとして注目を集めています。しかし、既存の炭素クレジット市場は複雑で、個人が参加するのは困難でした。そんな中、CO2Networkは、ブロックチェーン技術を活用して、誰もが簡単にカーボンオフセットに参加できるプラットフォームを構築しています。

全ては連携していますが、活動内容で分類して紹介していきます。

①UNZN

「United Net-Zero Nation」と呼ばれ、持続可能なネットゼロ国家を目指すデジタルツインコミュニティです。”国家”と呼んでいる通り、そのメンバーシップは「市民」と「君主」の2種類に分類され、購入及び年間更新費用がかかります。

参照:CO2Network

「市民」を購入しUNZNの一員となると、後述するSTOプラットフォームに参加できるようになります。また、「君主」を購入するとより早いタイミングでのSTOに参加できるようになる特典があります。

②STOクラウドファンディングプラットフォーム

続いて、先ほど話にでたSTOプラットフォームについてです。STOとは「Security Token Offering」のことで、証券トークンの販売のことを意味します。トークンの販売をICOやIEOと呼びますが、収益分配機能などの証券性を持つトークンは有価証券と見なされて規制されているので、STOと別の名前で分類されます。

CO2NetworkはSTOクラウドファンディングプラットフォームを持っています。尚、STOの中でも気候変動に対処するプロジェクトに限ります。気候に焦点を当てたプロジェクトに対して個人が投資する機会を提供し、プロジェクト側には資金調達の機会を、個人(投資家)には収益の機会を提供します。

参照:CO2Network

個人(投資家)はウォレットを持っている必要はありませんが、CO2Networkのプラットフォームでアカウントを作成する必要があります。そこで自動的にウォレットが作成されます。そのアカウントと銀行口座を連携すると、銀行口座から出金と引き出しが可能になります。また、収益は自動で分配されますが、ユーロ建のステーブルコインで分配されるため、変動リスクがありません。

参照:CO2Network

③個人向けカーボンオフセットアプリ

3つ目の活動はアプリです。個人がダウンロードし、自身の移動や活動履歴から炭素排出量を測定するカーボンフットプリント機能、その排出量をオフセットするためにカーボンクレジットを少額から購入できるマーケットプレイス機能、上述したUNZNへの参加やSTOに参加できる機能が備わっています。

主にこれら3つの活動内容によって、個人がカーボンオフセットに参加できるプラットフォームを構築しています。

独自ID及びブロックチェーン基盤も開発

実はこの「CO2Network」は独自のIDやブロックチェーン基盤も開発しています。正確に言えば、ファウンダーであるPhantom Yun氏が経営する別法人「Sovereign Wallet」にて開発しており、それらの技術をカーボンオフセット分野に適用したプロジェクトが「CO2Network」です。

Phantom Yun氏のキャリアを簡単に説明します。韓国のKAISTで電子工学を専攻し、米国の南カリフォルニア大学でコンピューターサイエンスを学び、大学院修了後は、サムスン先端技術研究所(SAIT)で技術戦略部門とデジタル通信研究所の研究員として働きました。その後、2014年にブロックチェーンに特化したテクノロジー企業であるSovereign Walletを設立し、CBDC、トークン化証券、IDウォレット、AIセキュリティなど、さまざまなサービスを提供しています。

そんなSovereign Walletは「MetaMUI」と呼ばれるIDベースのブロックチェーンを研究・開発しました。MetaMUIによるCBDC ソリューションは、オーストラリア、北欧、中央アジア、中東の先住民族の国々で導入されています。

その「MetaMUI」をカーボンオフセット領域に利用するために立ち上げたプロジェクトが「CO2Network」です。CO2 Networkは、MetaMUIブロックチェーンを通じて誰もが安全に自分の身元を認証し、所有権を取引できるデジタル プラットフォームを提供することを目指しています。また、個人が日常生活でカーボン クレジットを取引できるようにすることで、気候危機の加速を抑えることに貢献したいとのことです。

CO2Networkの展望は?

さて、「CO2 Network」はこの先どのようになっていくでしょうか、その展望を考察します。

非常にユニークだと感じた点はやはり「STOプラットフォーム」を運営している点です。ReFiプロジェクトの中には、コミュニティ形成やカーボンオフセット達成のためのカーボンフットプリントサービスやカーボンクレジットのマーケットプレイスを運営しているプロジェクトが多く存在します。ただ、気候変動プロジェクトに直接投資できるSTOプラットフォームはあまり聞きません。STOのメリットはきちんと規制された環境下で投資、収益化ができる点です。

このメリットによって、一般投資家も投資機会として気候変動に注目してもらえるきっかけができます。グリーントランスフォーメーションやカーボンオフセット市場の盛り上がりによって、気候変動プロジェクト自体の注目度が上昇する中で、魅力的な銘柄がSTOプラットフォームに並ぶことも考えられます。これは気候変動に対しての意識や積極的な貢献という気持ち面での訴求に関わらず、収益性という観点で気候変動に対抗できる非常に有意義な取り組みだと考えています。

一方のデメリットは規制されているが故にグローバルでの展開が難しいという点にあります。有価証券の販売が国毎に法律が異なるように、セキュリティトークンの販売も国毎に法律が異なります。ブロックチェーンによって技術的には世界中の人が参加できるとしても、法律的な規制によって参加できないことが想定されます。

ただ、これがデメリットになるのかはわかりません。まだ規制されていないだけのグレーなスキームを利用したところで、スキーム自体の永続性が不透明になります。気候変動という大きく長期的な問題に対処する中で、そのスキームが不安定では投資する側、利用する側も不安になります。なので、STOプラットフォームは一部の制約はあれど、非常に素晴らしい仕組みだと感じます。

また、キャリアとしてブロックチェーンネイティブのファウンダーが構築しているプロジェクトである点も非常に可能性を感じます。ReFiの分野は気候変動に対しての興味関心から入り、ブロックチェーンを活用することで新しい取り組みができるのではないかと感じ、参入する人も多いです。もちろんそういったプレイヤーも非常に大切ですが、2014年からブロックチェーン事業を運営し、自社でDIDやブロックチェーン基盤を開発しているファウンダーがその技術をカーボンオフセット領域にも転用するという流れは、ブロックチェーンを正しく効率よく使うことができる期待感が生まれます。

総じて、紹介した活動内容が相互の連携し、カーボンオフセットに協力したいと思う個人も、収益的な観点から参加する投資家も、あらゆるプレイヤーが連携できるエコシステムを構築しているように感じました。肝となるのはやはりSTOプラットフォームだと思うので、現地対応を含めて、グローバルな展開が期待されます。