電通ベンチャーズ含むVCから430億円の資金調達に成功した注目プロジェクトSuiとは?

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今回は、Suiブロックチェーンについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. Sui (スイ)とは?
    1-1. Suiの概要
    1-2. プロジェクトの目的
    1-3. Suiの特徴、メリット
  2. SUIトークン
    2-1. SUIトークンの概要
    2-2. ユースケース
  3. Suiの将来性
    3-1. 購入する決め手になるものとは
    3-2. Sui上場後の考察
    3-3. 将来性
  4. まとめ

先日、電通ベンチャーズがレイヤー1ブロックチェーン「Sui blockchain」に出資を行いました。ラウンドを主導したのはFTX Venturesで、大手VCであるa16zや、Binance Labs、Coinbase Ventures等から430億円(3億ドル)を集めた大型プロジェクトです。

今回はSuiの概要から特徴、またなぜ電通ベンチャーズがSuiに出資をしたかについて解説していきます。

①Sui (スイ)とは?

SUI

1-1.Suiの概要

Suiはレイヤー1のブロックチェーンとして、Mysten Labsによって設立されました。Mysten Labsの5人の共同創設者のうち一部メンバーは元Facebook社勤務のDiemブロックチェーンの開発者です。SuiではMeta(旧フェイスブック)社がDiemのために開発したプログラミング言語「Move」を使用します。ただし、DiemのためのMove言語と完全に同一ではなく、いくつかの違いが存在しています。

9月8日に発表されたSeries Bラウンドで、Mysten Labsは430億円の資金調達をFTX ベンチャーズ主導のもと、a16z、電通ベンチャーズなどが出資を行いました。資金調達を大成功に収めたMysten Labsの企業評価は約2,800億円に上ります。

1-2.プロジェクトの目的

Suiは、主に既存のセキュリティ問題とスケーラビリティ問題の解決をすることを目的としています。その他にも、クリエイターや開発者がWeb3.0に参入しやすいようにすること、アプリケーション開発のサポートを行うこともビジョンとして掲げています。

1-3.Suiの特徴、メリット

Suiは、即時決済を促進し、数十億のユーザー向けのアプリケーションに必要な高スループット、低レイテンシー、低コストを実現するように設計されています。

Suiのウェブサイトによると、レイヤー1の他のブロックチェーンとの主な差別化要因の1つは、同社が「カジュアルオーダー」と呼ぶものを使用していることです。他のブロックチェーンとは異なり、Suiはほとんどの取引でコンセンサスを見送り、取引の実行を並列化し、レイテンシーを減らすことを可能にしています。

既存のブロックチェーンはトランザクションを順番に注文、実行し、それぞれをブロックに入れる必要があります。連続での実行はブロックチェーンのスループット(データ処理能力やデータ転送スピード)を制限してしまうという課題がありました。

しかし、Suiはトランザクションを並行して処理することができ、いくつかのトランザクションが絡み合っている場合でも、それらを並べ替えて順番に実行できます。Mysten Labsの最高製品責任者Adeniyi Abiodun氏は、Suiのシステム設計について「既存のブロックチェーンにおける重要なボトルネックである取引の総順序リストに対するグローバルなコンセンサスを達成する必要性を排除する」と解説しています。

ネットワーク全体に上限がない “水平スケーラビリティを持つ、最初で唯一のパーミッションレス・ブロックチェーンになるということです。

②SUIトークン

2-1.SUIトークンの概要

ネイティブトークンSUI の総供給量は100 億SUIで、総供給量の一部はメインネットのローンチ時に流動的になり、残りのトークンは今後数年間で権利が確定するか、将来のステーク報酬補助金として分配されます。SUI トークン所有者は、トークンをバリデーターに委任し、プルーフオブステークに参加するオプションを持ちます。SUI の所有者は、Sui のガバナンスに参加する権利も保持しています。

Suiのネイティブトークン「SUI」はまだ発行されていません。メインネットもいつローンチされるかなどの詳細は出ていないため、公式のアナウンス待ちとなります。

2-2.ユースケース

Suiのユースケースは現段階で主に3つほどあります。

1つ目は、ステーキングです。SuiをステーキングすることでユーザーはSuiを受け取ることができます。

2つ目はガバナンスです。流動性を提供したユーザーはガバナンスに参加するための投票権を獲得することができ、何かプロジェクトで決める際にその投票権を活用し投票することが可能となります。

3つ目は、トランザクションの取引手数料です。ユーザーはSuiで取引する際にSuiを手数料として支払います。

まだユースケースに関しての情報は少ないですが、メインネットローンチやトークン上場後は新しいユースケースが徐々にでてくるでしょう。

③Suiの将来性

3-1.購入する決め手になるものとは

今回Suiの購入する決め手となるものは、やはり元Diemの開発メンバーが携わっていること、新しいプログラミング言語のMoveを取り入れたことではないでしょうか。また、a16zやFTX ベンチャーズなどといった名だたる世界のVCがSuiに投資をしていることからその期待度が伺えます。

同時期にAptosやLineraといった注目の新興レイヤー1ブロックチェーンが登場しており、ユーザーの間で現在時価総額ランキングが高いAvalaunche、Solanaなどと将来的に入れ替わるのではないかと話題になりました。その影響もあって、Suiに関する認知が業界全体に広がりました。この注目度と認知度を考えればSuiにある程度の資金が入ってくる可能性が高いこと、価格高騰などが考えられるでしょう。

3-2. Sui上場後の考察

Sui上場時の市況、トレンドなどによって上場後の価格は大きく変わるでしょう。Suiは著名なVCが出資をしていることやDiemの元開発者が携わっているなどで話題になった分、注目しているユーザーは多く存在しています。

上記の点から上場後は期待と注目から一旦価格は上昇する可能性があるでしょう。その後の価格の推移はエコシステムの拡大、Sui blockchainのマーケティング次第というところになりそうです。

3-3.将来性

今回、日本のVCがSuiに出資をしたことで、日本人やメディアなどから注目されることが予測されます。世界的に見ても著名なVCも出資をしているため信頼度は高いと判断できるでしょう。

また、ブロックチェーンのスマートコントラクトとして従来のSolidityからMoveといわれる新しいプログラミング言語を採用したこともあり、ブロックチェーン開発者の間でも注目を集めています。開発者がSuiに興味を持ち始め、Suiのエコシステムに開発者が集まってきた時にはエコシステムも拡大し、Suiの長期的な価格形成に影響を与えるでしょう

現在はテストネット等の情報しか調査することはできませんが、今後の動向を注目すべきプロジェクトの一つです。

④まとめ

ここまでSuiについて解説してきました。テストネットが始まっているので実際にSuiを使用してみるのもいいでしょう。

Suiは電通が出資したことで注目が集まっていますが、既に日本では話題になっていなくともSuiのようにアーリーステージの段階で注目が集まっているプロジェクトは数多く出てきています。興味のある方は一度海外のプロジェクトも含めて、仮想通貨市場の次の中心となりそうなプロジェクトを探っていくのも面白いでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12