アパート経営でトラブルへと繋がりやすい騒音への対策として検討したいのは、各部屋の防音対策です。アパートの隣や上の騒音は、生活リズムが異なる住民が発しているケースもあり、当事者にとって大きな生活被害となっていることもあるのです。
当コラムでは、そんなアパート経営で注意したい騒音トラブルを防ぐための防音対策の基礎知識を紹介していきます。
目次
- アパート経営で防音対策が重要な理由
1-1.騒音による入居者トラブルに繋がる
1-2.解消できなければ退去による空室リスクが高まる - 防音対策で押さえておきたい代表的なアパートの構造・工法と特徴
- アパート経営で実施を検討したい防音対策
3-1.アパート経営で実施を検討したい防音対策
3-2.騒音元への手紙の配布や張り紙
3-3.賃貸契約書へ楽器の演奏禁止やペット飼育禁止の記載 - アパート経営で賃貸前に施したい防音対策6選
4-1.原状回復時に防音シートの導入
4-2.防音マット・防音カーペットの設置
4-3.防音カーテンの設置
4-4.線路沿い・国道沿いの物件は注意
4-5.間取りの工夫 - まとめ
1.アパート経営で防音対策が重要な理由
1-1.騒音による入居者トラブルに繋がる
騒音トラブルは入居者同士のトラブルや大家へのクレームなど、入居者トラブルに直結します。特に騒音に関するトラブルは不動産賃貸経営で発生しやすいクレームの1つであり、尚且つ大家側でも対策が難しいトラブル事例の一つです。
総務省が公表している「令和元年度公害苦情調査」でも、騒音の割合が33.2%と最も多く寄せられている苦情であることが指摘されており、騒音トラブルはクレームに繋がりやすい項目であることが伺えます。
また騒音トラブルは人それぞれで感じ方が異なるため、神経質な入居者によるクレームや夜間に騒ぐなどマナー違反により発生するものまで様々なケースが想定されるでしょう。そのため、騒音が原因で発生するクレームをアパート経営で完全にゼロにするのは、非常に難しいというのが実情です。
円滑な不動産賃貸を営むためには、騒音トラブルはアパート経営で発生しやすいクレームであることを踏まえ、事前にクレームに繋がる要因を排除するのもアパート経営で求められるポイントと言えます。
1-2.解消できなければ退去による空室リスクが高まる
アパート経営において騒音トラブルを円滑に解消することができなければ、入居者の退去といった原因に繋がります。入居者が退去するたびに原状回復費用や不動産仲介料といった費用が発生するため、アパート購入時の想定利回りを大きく下げる要因にも繋がります。
また、騒音トラブルの対処を怠った状態で新規の入居者を募集しても、同じ悩みを抱えた新規入居者の方が退去してしまい、入退去を繰り返す事態になることもあるのです。
2.防音対策で押さえておきたい代表的なアパートの構造・工法と特徴
アパート経営を営む上で騒音対策として、アパートの構造とそれぞれの防音に関する特徴について押さえておきましょう。
主にアパートに使用されている主流の工法は「プレハブ工法」と「ツーバイフォー工法」の2種類となります。
プレハブ工法は後から工事による防音対策を施せるため、壁材としてグラスウールを導入するなど防音リフォームを施すことが可能です。一方でツーバイフォー工法と呼ばれる工法は、壁で建物を支えている工法のため、後々壁を壊して中に防音材を詰めるといった防音対策が壁に施すことができません。
特に中古アパートの購入を検討している方は、後々リフォームにより防音対策が施せる工法が採用されているかどうかも確かめておきたいポイントの1つです。
また、部屋の配置も重要なポイントとなります。例えば、新築アパートの建築・販売を手掛ける「アイケンジャパン」のアパートでは、各住戸間を水廻りで仕切る・全部屋角部屋にすることにより、木造アパートの弱点であった防音効果を高めています。
多くのアパートは間取りが縦に並ぶ羊羹型構造となっており、隣の部屋と壁一枚で連なる構造になっています。このような造りは土地の面積が狭い場合でも多くの住戸を設計できるメリットがありますが、音が漏れやすく快適性に欠けるというデメリットがあります。
部屋の配置状況からどのような騒音トラブルが予想されるのか、物件の購入前には現地調査を行い、確認されていくと良いでしょう。
【関連記事】アイケンジャパンの評判・概要
3.アパート経営で実施を検討したい防音対策
3-1.管理会社の利用
アパート経営であれば管理会社の利用も防音対策となります。管理会社が担当するクレームの多くは騒音なので、プロとして培った現場経験により円滑な解決が期待できるためです。
また長年培ってきたノウハウにより、騒音に関する問題解決や助言といった提案も期待できます。さらに世帯数が多いアパートでは戸建不動産投資と異なり問題が発生する確率も高くなるため、管理会社の利用は検討したい選択肢です。
3-2.住民への手紙の配布や張り紙
アパート経営で騒音トラブルが発生してしまった場合には、各住民への手紙の配布や張り紙による呼びかけ等が考えられる対策例の1つでしょう。直接注意ではなく手紙で呼びかける理由としては、感情的な口論へ発展させないことが理由となります。
また相談者の匿名性を守りながら注意喚起をアパート内で行えるのも、住民へ手紙の配布を行うメリットです。ただし、漠然とした注意喚起では効果がないことが多いため、発生する時間やどのような音で迷惑が発生しているか具体的な内容で織り込むなどの工夫が必要でしょう。
3-3.賃貸契約書へ楽器の演奏禁止やペット飼育禁止の記載
騒音対策として検討材料になるのは、入居前の段階で騒音に関する禁止事項を契約書内に設けるという対策です。具体例としては楽器の演奏やペットの飼育禁止など、故意的に騒音を発生させる行為の禁止などが挙げられます。
4.アパート経営で賃貸前に施したい防音対策6選択
4-1.原状回復時に防音シートの導入
DIYでも比較的手軽にできる防音対策の1つは、原状回復時に防音シートを利用した壁や床の導入となります。防音シートとは音を通さないように開発されたシート材で、下地として利用することで音を伝わりにくくする建設材です。
例えば、原状回復時に施工ボートや床材の下に導入し、グラスウール等と併用することで高い防音効果を期待することができます。
4-2.防音マット・防音カーペットの設置
追加で騒音対策として検討したいのは、防音マットや防音カーペットなどの設置です。防音マット・カーペットは絨毯のように、部屋の内部に敷き詰めることで防音効果を期待できます。
防音マット・カーペットは下の階に音を響かせないため、2階以上の各部屋に導入したい防音対策です。防音マットや防音カーペットの利点として既に入居者が入居している状態でも、利用を促すことで対策が行える点となります。
また、他の防音対策と組み合わせることで、さらに効果的な騒音対策を期待することができます。注意点としては退去後に汚れが付着し、買い替えが必要になる可能性があるといったデメリットが想定されるでしょう。
4-3.防音カーテンの設置
対策が難しいベランダなどの騒音対策は防音カーテンの設置が選択肢となります。防音カーテンは通常のカーテンと異なり、音を通さない素材などでコーティングすることにより遮音性・吸音性に特化したカーテンです。
メリットとしては防音シートなどの大掛かりな工事が必要になる防音対策と異なり、カーテンを取り替えることで簡単に防音対策を施すことができる点です。防音マット・カーペットと同様に、防音カーテンの導入は入居後でも対応が行える数少ない手段の1つです。
ただし、防音カーテンは外からの騒音を防ぐ役割を持つ防音対策のため、部屋が隣り合ったり上下したりすることで発生する防音対策には直接的に効果がない点に注意が必要です。
4-4.線路沿い・国道沿いの物件は注意
線路沿いや国道沿いといった騒音トラブルが生じやすい物件の購入を控えるのも、防音対策として検討したいポイントとなります。
特に地方エリアでは貨物列車など騒音が発生する時間が長い列車が通過するため、より騒音によるクレームが発生することも想定されます。また、騒音だけではなく電車や大型車両が通過する振動により、物件そのものにダメージが生じやすいのも注意点として押さえておきたい項目です。
小さな振動は長年積み重なると基礎部分へクラックとしてダメージが生じたり、瓦屋根であれば各部位へダメージが募り雨漏り被害を引き起こしたりする恐れもあります。劣化した屋根材が入居者へ落下し怪我・事故が発生するなどの事態も想定されるため、線路沿いや国道沿いの物件購入は十分注意が必要です。
4-5.間取りの工夫
入居者が入る前であれば、防音が伝わりにくい間取りにするなどの工夫も防音対策として採用したい対策例の1つです。
例えばバスルームやキッチンなどを隣り合うように配置するなど、水回りを集中させることで生活音を寝室などに伝わらないようにする工夫などが考えられます。
また家具を備え付ける物件であれば、隣り合う壁側に家具を集中させるのも防音対策として検討したい工夫の1つです。
5.まとめ
各部屋の防音は、アパート経営でトラブルへと繋がりやすい騒音対策として重要なポイントです。騒音に関するトラブルは不動産賃貸経営で発生しやすいクレームの1つであり、空室や入退去を繰り返してしまう原因ともなり得ます。
今回はアパート経営で注意したい騒音トラブルを防ぐための防音対策について解説しました。本記事を参考に、騒音トラブルを未然に防ぎながら健全なアパート経営と入居者への快適な住環境の提供を両立させていきましょう。
HIROTSUGU
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