不動産投資で一番頭を悩ませるのが空室リスクです。この記事では、空室リスクをおさえるためにできる以下の対策について一つ一つ解説をしていきたいと思います。
- 都心や開発計画のあるエリアなどの物件を選ぶ
- 賃料・敷金・礼金等を他の物件と比べて適正に定める
- 内装や設備を充実させる
- 仲介会社に優先的に入居を決めてもらう
- 退居者に入居者を紹介してもらう
- サブリース契約を活用する
- リノベーションを行う
空室対策① 都心や開発計画のあるエリアなどの物件を選ぶ
まず、空室対策で最も大事なことは入居が見込めるエリアに物件を持つことです。マンション投資の場合であれば、都心エリア(港区、中央区、千代田区)の駅徒歩10分以内の物件であれば、多少の築古物件であってもまず空室に困ることはありません。入居者が物件を選ぶにあたって、最重要のポイントがアクセスであるためです。また、品川区や渋谷区などの再開発計画が予定されているエリアについても、今後はテナントや人が集まることが予想されますので、空室に悩まされることは少ないはずです。
また、アパートであれば、都心にアクセスのよいターミナル駅(たとえば北千住駅など)の近くに位置する物件がおすすめです。その際に、競合物件が多すぎると空室リスクが高まりますので、周囲にどれくらいアパートがあるのか、これからの建築予定のアパートがないかを調べておくと良いでしょう。
このように、物件選びの際にエリアにこだわることで、空室リスクを大きく下げることが可能です。
空室対策② 賃料・敷金・礼金等を他の物件と比べて適正に定める
物件の空室対策2つ目は、賃料・敷金・礼金・フリーレントなどの価格設定です。こちらは、賃貸管理会社からの提案や、周辺の物件相場をSUUMOなどの賃貸ポータルサイトなども参考にして価格設定をすると良いでしょう。
一点注意したいのは、安易に家賃を引き下げないことです。空室が続くと家賃を下げたくなってしまいますが、家賃を一旦下げると引き上げることは難しくなる上に、物件の利回りが低下することになります。家賃の引き下げは、毎月の収支が悪化するだけでなく、物件の担保評価や売却時の価格にも関わってきますので、慎重に判断をしなければいけません。
もし、空室が続いて家賃水準を下げる必要がありそうなときには、家賃ではなく、まずは敷金や礼金を引き下げてみることをおすすめします。家賃を1000円引き下げることは、単に年間で1.2万円の収入減少になるだけではなく、将来的に数十万円の資産価値を引き下げることにつながります。そのため、長期的に見ると家賃を1000円引き下げるよりも、礼金を1ヶ月少なくすることのほうが、費用対効果が高くなるケースも多いのです。
入居者から見て一番お得に映り、値下げによる損が一番少ないラインを見極めて、賃料・礼金・敷金・フリーレントなどのバランスを考えていくことが大切です。
空室対策③ 仲介会社に優先的に入居を決めてもらう
物件の空室対策3点目は、仲介会社をうまく活用することです。仲介会社に自発的に動いてもらうためには、次に挙げる2点が大切です。一つ目のポイントは、営業マンや仲介会社から良い印象を持ってもらうことです。ふんぞり返って命令口調であれこれと言ってくる客と、笑顔や感謝を絶やさない客では、どちらを優先したくなるでしょうか?仲介会社の社長や営業マンも人ですから、自分たちをパートナーとして丁重に扱ってくれる顧客と長い付き合いをしていきたいと考えます。お中元やお歳暮などを定期的に送るなどの日頃の地道な取り組みも、長期的に見れば空室対策に有効となります。
二つ目のポイントは、他の物件よりも仲介手数料を高めに設定することです。仲介手数料を高めに設定することで、仲介会社としても優先的に入居を決めようとするインセンティブが働きます。たとえば、内見の際に、どの順番で物件を見せるかによって入居率は大きく変わってきます。3つの物件を内見する場合であれば、印象に残りやすいのは1つ目と3つ目の物件ですので、2つ目の物件は当て馬的に使われることがありますし、営業マンのセールストークやアピールの仕方でも入居の決定率は大きく左右されます。
営業マンは、入居希望者のニーズを読み取った上で、自分たちが決めたい物件とのバランスを考えながら、入居までのストーリーを組み立てていきますので、その際に優先的に入居を勧めてもらえるようにインセンティブを用意しておくことが大切です。
空室対策④ 内装や設備を充実させる
物件の空室対策4点目は、内装や設備の充実です。内装が汚れていたり、印象が暗かったりすると、そもそも内見が入りづらくなりますし、内見後の入居も決まりづらくなります。入居希望者に入居後の明るい未来を思い描いてもらうためにも、内装は清潔感や白さ、明るさを演出することが大切です。
また、写真の撮り方一つで部屋の印象も大きく変わりますので、部屋が一番広く見える角度や、明るく見える場所から撮影をするのが良いでしょう。
設備の充実も、空室対策に有効な方策の一つです。設備をどう充実させるかについては、2つの方法があります。一つは入居してほしいメインターゲットを決めて、そのターゲットのニーズの高い設備を導入することです。たとえば、一人暮らしの女性であれば、TVモニター付きのドアホンや室内干しのワイヤー、独立洗面台などがあると喜ばれるでしょう。どんな設備が空室対策につながりやすいかについては、賃貸管理会社や不動産投資会社もデータを持っていることが多いので、一度尋ねてみると良いでしょう。
また、設備を充実させる2つ目の方法は、現在の入居者に直接ヒアリングをしてみることです。「設備で何かお困りのことや、あったらいいなと思うものはありますか?」と聞いてみることで、実際に住んでいる方が感じている生の声を聞くことができます。そこで上がってきた設備を導入すれば、現在の入居者の満足度が上がりますので、入居期間が長くなる可能性がありますし、仮に転勤などで退居をしてしまったとしても、次の入居予定者にアピールできるポイントが増えることになります。
空室対策のヒントはつねに現場にある、ということを忘れずに入居者からの声に耳を傾けていくことが大切です。
空室対策⑤ 退居者に入居者を紹介してもらう
空室対策のテクニックとして、退居者に次の入居者を紹介してもらうという方法があります。その際、紹介をしてくれた場合に退居者と入居者にそれぞれメリットがあるようにします。たとえば退居者には退居費用の軽減や謝礼を渡す、入居者にはフリーレントをつけるなどを行うことで、紹介する方も紹介される方にもメリットがある形となります。
上記の紹介にかかる費用を家賃の1.5ヶ月~2ヶ月以内でおさまるようにしておけば、原状回復費用や空室期間が少なくでき、新しく広告を出す必要や仲介手数料を支払う必要もなくなりますので、結果として入退居時の総費用を少なくおさえることができるようになります。
入居者の満足度が著しく低い場合は上記のような話をすることが難しくなりますので、日頃からの適切なコミュニケーションや設備の改善などをしっかりと取り組んでおくことが大切です。
空室対策⑥ サブリース契約を活用する
これらの空室対策を行う時間がない方や、手間を他のところにかけたいという場合は、サブリース契約を活用することも一つの選択肢です。サブリース契約で注意したい点は、30年保証などと謳われていても2年ごとなど定期的に賃料の見直しが発生するケースがあることや、契約開始前に45日間、60日間などの賃料免責期間が設けられていることが多いという点です。
家賃を引き下げれば空室が埋まりやすくなるのは当然ですので、サブリースを使うメリット自体が薄れてしまいますし、開始前の免責期間を年間で見た時に、すでに1ヶ月~2ヶ月の空室を発生させていることになりますので、サブリースを利用しない時と比べてどれくらいメリットがあるのかを一度比較検討してみたほうが良いでしょう。
また、悪質なサブリース会社かどうかを見極める方法としては、「会社名 訴訟」「会社名 裁判」などのキーワードで検索をして、過去の契約の履行に問題を抱えていないかを調べておくと良いでしょう。
空室対策⑦ リノベーションを行う
空室対策をあれこれ行ってもどうしても空室が埋まらないケースや、家賃を引き上げたい場合にはリノベーションが有効な場合があります。リノベーションを行う上でのポイントは、リノベーション費用が割高な会社を選ばない事と、自分でできることは自分でやってしまうことです。
リノベーション会社選びの方法としては、ポータルサイトを活用して複数社を比較検討したり、オーナー同士の付き合いがあれば、おすすめのリノベーション会社がないかを聞いてみたりすると良いでしょう。また、リノベーション会社の口コミもチェックしておきたいポイントです。
また、リノベーションの費用対効果としては、費用100万円をかけたリノベーションで家賃を1万円引き上げることができれば、毎年の家賃が12万円増えるだけでなく資産価値も数百万円上がることになりますので大成功と言えるでしょう。売却前に資産価値を引き上げたい場合には、リノベーションを視野に入れておくと良いでしょう。
まとめ:空室対策を行って満室経営を目指そう
不動産投資では、物件の満室が実現できれば安定した賃料収入が期待できます。エリア選定から賃料・礼金・敷金・フリーレントの設定、内装や設備の充実、仲介会社との連携、入居者の紹介、サブリース契約の利用、リノベーションなどの空室対策をうまく使って、満室経営を目指していきましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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