フィリピンを含む東南アジアの新興国は物件価格が日本と比べて安く、利回りも高い水準となっています。
しかし、実際に日本国内とフィリピンとで不動産投資の利回りがどの程度違うのか、よくわからないという方もいるのではないでしょうか。また、フィリピンの不動産は日本の不動産投資と何が違うのか、リスクも把握しておきたいという方もいるでしょう。
この記事ではフィリピンと日本の利回りの比較や、リスク・注意点などについて解説します。
目次
- フィリピンと日本の不動産投資の利回りを比較
1-1.フィリピン不動産は期待利回りが高い - フィリピンと日本とでリスクや注意点を比較
2-1.フィリピン不動産投資における為替リスク
2-2.日本の不動産投資における人口減少のリスク
2-3.海外不動産の売買契約書は現地の言語で書かれている
2-4.海外不動産は情報収集が難しい
2-5.新興国への投資では急な規制の変更に注意 - まとめ
1.フィリピンと日本の利回りを比較
まずは、フィリピンの不動産と日本の不動産とで何%の利回りを期待できるのか、利回りについて比較します。
1-1.フィリピン不動産は期待利回りが高い
まずは日本の利回りから確認してみましょう。東京都心5区の利回りは以下の通りです。
- 千代田区:4.86%
- 中央区:4.66%
- 港区:4.34%
- 新宿区:4.21%
- 渋谷区:4.37%
※中古マンションで1R・1K・1DKの間取りに関する平均利回り
※HOME4UおよびCHINTAIのサイトに掲載されている2020年5月29日更新の情報を参照して作成
一方、フィリピンの不動産投資における期待利回りは6.13%となっています。フィリピン不動産の期待利回りは、東京都心5区よりも高くなっています。(※Global Property Guideを参照)
フィリピン不動産の利回りが高くなる原因には、物件の価格が関係していると考えられます。
フィリピンの首都マニラでは、2019年第4四半期の住宅価格がPHP232,000(m2単価)となっています。これは、円に換算すると、約547,000円です。(※Colliers INTERNATIONALを参照)
一方、東京都心5区の中古マンション価格は以下の通りとなっています。
- 千代田区:1,381,197
- 中央区:1,005,092円
- 港区:1,324,086円
- 新宿区:1,034,382円
- 渋谷区:1,189,085円
※㎡単価
(※国土交通省「土地総合情報システム」の情報を参照して筆者作成)
(※2019年第4四半期に取引された1R〜1LDKの物件情報に基づいた平均価格)
東京都心5区では、マニラの倍近い価格となっています。首都の物件が日本の半額程度で買えるのはフィリピン不動産のメリットといえるでしょう。
2.フィリピンと日本とでリスクや注意点を比較
不動産投資には家賃の下落リスクや空室リスクなど、様々なリスクがあります。投資の検討段階でできる限りリスクを減らしておくことが重要なポイントになります。ここからは、フィリピンと日本とでは、どのようなリスクや注意点があるのかについて比較していきます。
2-1.フィリピン不動産投資における為替リスク
海外の不動産へ投資するときに認識しておくべきリスクの1つは為替リスクです。
例えば、フィリピンでPHP1,000万の物件を購入した場合、フィリピンペソの相場が1円変動すると、物件の価値も1,000万円変動することになります。
フィリピンのこれまでの経済発展を考慮すれば、今後フィリピンペソの価値が上がる可能性はあるでしょう。しかし、新興国の通貨は先進国と比較して外的な要因によって乱高下が起こる可能性は高くなります。
フィリピンも例外ではなく、フィリピンペソは現時点の日本円や米ドルなどと比較して、まだ国際的に強い通貨と言い難い通貨です。為替の変動は「いつ物件を売却するか?」という出口戦略にも重要なポイントとなるため、留意しておきましょう。
2-2.日本の不動産投資における人口減少のリスク
不動産の賃貸需要は人口の増加と関わりがあります。人口が増えれば衣食住の需要が増えるため、人口が増えれば不動産の賃貸需要も増加し、不動産の賃貸運用には有利となります。
多くのメディアでも報道されている通り、日本全体ではすでに人口減少局面に入っています。総務省統計局の発表によると、2019年10月時点の人口推計では、首都圏と沖縄県など一部の県を除いて人口が減少しています。
人口が減少すれば国内の住宅需要は全体的に減少するため、日本の不動産の平均価格が将来的に値下がりする可能性は高いと言えます。
一方、国際連合の統計によるとフィリピンでは国全体の人口増加率が2019年平均で1.7%となっており、人口増加の傾向にあります。人口増加によって不動産の価格上昇が起きる可能性はあると言えるでしょう。
2-3.海外不動産の売買契約書は現地の言語で書かれている
不動産投資を実行するうえでは、契約書の内容をしっかり把握しておくことはとても重要です。日本の不動産投資では、契約書も日本語で書かれているので、内容を把握するのにそれほど大きな苦労はしないでしょう。
しかし、フィリピンの不動産投資では、契約書が英語もしくはタガログ語で書かれています。外国語で書かれている契約書の内容を隅々まで把握するのは、慣れている人でなければ難易度が高いと言えるでしょう。
また、フィリピンでは契約の内容に日本の常識から外れたものが含まれている可能性があります。契約書が外国語で書かれているからといって内容をあまり把握せずにサインしてしまうと、後で大きな損害を被ることもあるでしょう。
実際に、売主が提供するローンを利用できると思っていたら、契約書に書かれているのはローンではなく分割払いだったというトラブルも起こっています。
日本の不動産投資では、契約書を一読すれば、内容について問い合わせするハードルも低いので、このようなトラブルが起こるとは考えにくいでしょう。
2-4.海外不動産は情報収集が難しい
日本ではすでに不動産や人口などの情報や制度が整備されているので、情報を集める難易度がそれほど高くありません。人口統計については、インターネットで総務省や各都道府県のサイトにアクセスすれば、かなり細かな情報まで収集できます。
不動産の情報についても、不動産流通機構のサイトなどに豊富な情報が掲載されています。一方、フィリピンでは制度や仕組みが未整備な部分も多いうえ、日本から集められる情報量には限界があるでしょう。
このため、投資物件を扱う営業マンからどれだけ情報を引き出せるかというポイントが重要です。フィリピンの不動産投資では、少ない情報に基づいた投資判断を迫られる可能性があることに注意しましょう。
2-5.新興国への投資では急な規制の変更に注意
フィリピンのような新興国では海外資本の過剰な流入によって、外国人に対する規制が急に変更されるケースがあります。海外資本が大量に入ってくると、不動産の乱開発や価格の高騰が起こるためです。
例えば、マレーシアでは住宅の乱開発によって過剰供給が社会問題化しました。また、価格の高騰については、過去にオーストラリアで発生した例があります。
このように海外資本の流入によって価格が高騰すると、国民が住宅を購入しづらくなってしまうため、政府は海外投資家に対して規制をかけるケースがあります。
特に、経済成長率の高い新興国では急な規制の変更が起こりやすいです。今後突然外国人投資家に対する規制が新設される可能性があるのは、リスクとして認識しておく必要があるでしょう。
他方、経済が比較的安定している日本では規制が変更される可能性はあっても、新興国ほど急な変更が行われる可能性は低いと言えます。日本では規制の変更に対策する時間もしっかり確保できるでしょう。
まとめ
例えば、日本の不動産とフィリピンの不動産とでどちらに投資するかという比較をするならば、投資にあたって何を重視するのか決めることが重要です。日本の不動産投資は為替リスクがなく、情報が集めやすいうえにコミュニケーションの問題がないため、海外不動産投資と比較して難易度は低いと言えます。
一方、フィリピン不動産に投資する場合は言語の壁や為替リスクがあり、不動産投資の難易度もやや高いと言えるでしょう。しかし、利回りは日本よりもフィリピンの方が高く、人口増加による経済成長が見込めるなどのメリットもあります。
リスクが少ない日本の不動産へ投資をするのか、あるいはリスクや難易度が高いもののリターンが大きい投資をするのか、どちらを優先するのかによって投資先を選んでみましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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