不動産投資を検討されている方の中には、海外不動産投資に関する情報を目にした方も多いのではないでしょうか。しかし、海外不動産投資には想定した利益が得られず、投資に失敗してしまった事例があります。
不動産投資では、事前に多くの情報を集めてから実行するのが大切です。一方で、海外不動産投資においては言語の問題などもあり、どのような情報を集めたら良いかわからないという方も多いでしょう。
この記事では、海外不動産投資の失敗例にスポットをあて、失敗を未然に防ぐための確認点について解説します。
目次
- 海外不動産投資に失敗してしまった主な7つの事例
1-1.物件が完成せず失敗
1-2.保証賃料が入らず失敗
1-3.施工不具合のために賃貸できず失敗
1-4.家賃収入を日本へ送金できずに失敗
1-5.カントリーリスクの検証が不十分だったために失敗
1-6.都市開発計画が頓挫した・政府の規制が変わったために失敗
1-7.周辺開発の工事が遅れたために失敗 - 海外不動産投資で失敗するリスクを下げるために有効な対策
2-1.海外不動産投資セミナーで情報収集する
2-2.まずは海外不動産クラウドファンディングという手段も - まとめ
1.海外不動産投資に失敗してしまった主な7つの事例
海外不動産投資は投資資金も大きくなり、日本とは異なる法律・税制度・商習慣によって、想定されるリスクも複雑化していきます。海外不動産投資を検討する際は、日本国内での運用にはないリスクについても留意し、慎重に投資判断をしていくことが大切です。
以下、海外不動産投資に失敗してしまった主な7つの事例から、どのような対策が必要になるのか詳しくみて行きましょう。
1-1.物件が完成せず失敗
プレビルド(=工事完了前)の物件に投資する場合は、売主の不動産会社について調べるとともに、プロジェクト自体の売れ行きを確認する必要があります。
特に新興国のプレビルド物件は、売り上げを建設資金の補填に回しており、プロジェクト自体がいわゆる自転車操業状態になっていることがあります。
売主がその国では実績のある不動産会社だったとしても、プロジェクトの売れ行きが悪いと、資金繰りできずにプロジェクト自体が頓挫してしまいます。
もし、売れ行きを確認した時点で販売開始から数ヶ月〜1年など経過していると、そのプロジェクトは途中で頓挫してしまう可能性があります。
1-2.保証賃料が入らず失敗
賃料が保証されている物件を購入検討するのであれば、以下の内容を確認することが重要です。
- 実際にはいくらの賃料が入ってくる見通しなのか
- その賃料は相場と比較して高くないのか
- ターゲットとしているのはどのような入居者なのか
- 入居者ターゲットとなる人たちは物件周辺にどれほどいると見込まれるのか
なお、詐欺と叫ばれるケースの多くは、これらの確認を怠ったことが要因の一つと考えられます。海外不動産の中には、7%利回りを数年保証という物件や、なかには10%利回りを10年保証と謳っているものもあります。しかし、こうした高利回りの保証が実現されず、約束が守られないケースがあります。
このような失敗は特に東南アジアに多くみられますが、イギリスの物件などでも起こっています。したがって、先進国の物件でも事前の確認は必須です。
「保証賃料」といっても、入居者が入らなければ、保証する原資を確保できないため実現ができません。つまり、プロジェクトの中で空室が多ければ、実現しない可能性があると考えられます。
また、高級なコンドミニアムだと、元から現地に住んでいる人には払えない家賃設定に基づいて保証賃料が設定されている場合もあります。この場合の設定家賃は、現地の富裕層もしくは海外からの駐在員をターゲットにしているため、結果的に入居者が見つからず、保証が実現しないケースがあります。
保証賃料だけで判断するのではなく、投資先である不動産の収益性や将来性に向き合い、ひとつひとつ確認をしていくことが大切です。
1-3.施工不具合のために賃貸できず失敗
プレビルドの物件に投資する時は、物件自体に不具合があった場合に売主がどう対応してくれるのかを予め確認しておきましょう。
物件が完成したとしても、完成後に不具合が発覚して賃貸に出せないというケースもあります。海外のデベロッパーは、完成優先で工事をすることもあり、突貫工事で完成した物件に後々不具合が発覚するというケースがあります。
不具合が発覚したとしても、契約上の決め事がない限りは、日本のようにアフターサービスで対応してもらえない可能性があります。施工完了後に不備があった場合、どのような契約になるのか、売主はどのように対応してくれるのか、事前に確認をしておきましょう。
1-4.家賃収入を日本へ送金できずに失敗
海外不動産に投資する前には、必ずその国の海外送金に関する規制を確認しておくことが必要です。
例えば、ベトナムは米中貿易摩擦の影響などもあり経済発展著しい国で、海外不動産投資の対象国として注目されています。しかし、ベトナムでは海外送金に関する規制が多くあるため、事前に規制内容について詳しく確認をしておく必要があります。
このように、特に東南アジア諸国では自国通貨の海外送金に対して規制をかけている国があります。家賃収入はその国の通貨で得るものですが、現地の管理会社では海外送金まで対応してもらえない可能性が高くなります
家賃収入を日本で使うためには、家賃を得た国から日本へ海外送金する必要があります。しかし、海外送金に対する規制をクリアできないと、国外へ出せない資金となってしまうので注意しましょう。
1-5.カントリーリスクの検証が不十分だったために失敗
海外不動産投資で失敗の可能性を避けるためには、投資先を選ぶ時点でカントリーリスクの検証が必要です。カントリーリスクとは、投資先の国で政治情勢や経済状況が変化した結果、投資環境が大きく悪化してしまうリスクのことを指します。
政治情勢や経済状況の変化とは、例えば以下のようなものです。
- 急激な通貨価値の暴落
- 経済状況の悪化によるデフォルトの発生
- 政権交代による外国人向け規制の変化
- 反政権デモの頻発による外資の撤退
- 戦争や内戦の発生
過去の事例を見ると、例えばタイではこれまで度々反政権デモの頻発による社会・経済の混乱が発生しています。また、ミャンマーでは外国人向け規制の内容が頻繁に変わるため、日本人投資家にとってはややハードルの高い投資環境と言えます。
新興国では特に、長期政権による市場運営が行われていないことも多いものです。新興国で投資する場合には、一定以上のカントリーリスクを許容することも必要になります。
そのほか、2023年時点でロシアとウクライナが緊張関係にあることを背景として、周辺諸国で経済状況が不安定になっている変化も、カントリーリスクがもたらした現象の1つです。
カントリーリスクを完全に排除することは不可能ですが、事前の情報収集でリスクの大小を見極めることはできます。情報収集するためには、格付け会社が発信している情報をチェックするほか、海外進出を支援しているジェトロやIMFが発信しているニュースなどを見るのが有効です。
1-6.都市開発計画が頓挫した・政府の規制が変わったために失敗
都市開発に伴う発展を期待して投資する場合には、できるだけ現地の情報を多く集めることが必要です。
特に発展途上国では、都市開発計画の進捗や、政府が掲げる政策の変化などが、投資に対して大きな影響を与えることもあります。
発展途上国の不動産では、都市開発計画に伴う値上がり益や人口増加を期待できるとして売り出されている投資用不動産があります。しかし、発展途上国は特に状況や政策が変わりやすく、結果として投資に失敗してしまった例があります。
実際にあった投資の失敗談:マレーシアのイスカンダル計画
マレーシアのジョホールバルでは、「イスカンダル計画」という都市開発計画がありました。イスカンダル計画は、2006年以降にジョホールバルのインフラ開発を進め、マレーシア人やシンガポール人のほか、海外からも人を呼び込むという計画でした。
しかし、実際のところは、出来上がった商業施設に現地人が買い物できるようなスーパーなどが入らず、都市としての生活利便性が上がりませんでした。
また、日本のタワーマンションに近いようなコンドミニアムが乱立し、住宅の供給過剰状態となっています。その結果、実際にジョホールバルの物件の多くが長期間続く空室に悩まされています。
このように、政府による急な規制変更が起きた結果、投資環境が期待されていたものから乖離してしまった事例も、カントリーリスクによる失敗例であると言えるでしょう。
海外の都市開発計画や政府の規制を日本から判断することは難しく、想定した成果を得られないことがあります。海外不動産に投資する際は楽観的な視点ではなく、リスクについても慎重に検討し、判断することが大切です。
1-7.周辺開発の工事が遅れたために失敗
都市開発による利益を期待して投資する場合には、開発の進捗などを確認することが必要です。投資対象となる物件だけではなく、周辺地域の施設の工事が遅れる可能性があるためです。
周辺開発の工事が止まってしまうと、当初期待していた物件の値上がり益や、家賃収入が得られない可能性があります。なお、マレーシアのイスカンダル計画以外にも、都市開発による発展を見込んで売り出されている物件があるので注意しましょう。
2.海外不動産投資で失敗するリスクを下げるために有効な対策
海外不動産投資における失敗のリスクを下げるために必要なのは、実際に投資する前の情報収集です。人口や経済状況の推移に関する情報と、物件開発元の不動産会社に関する情報などは、リスクの大小を判断する上で最低限必要な情報です。
しかし、海外不動産投資は日本国内での不動産投資と比較すると事例が非常に少ないため、投資家個人による情報収集には限度があります。また、国によって情報整備の進み具合が違ったり、言語の壁があったりするため、海外不動産に関する情報収集は難しいのが実態です。
正確で投資判断に有効な情報を収集するためには、海外現地に進出している不動産会社のサービスを利用してみましょう。投資を検討している国に日系の不動産会社が進出しているのか確認し、進出している場合は話を聞いてみると良いでしょう。
2-1.海外不動産投資セミナーで情報収集する
海外不動産投資セミナーでは、海外不動産投資のメリット・デメリットや、投資の注意点などを体系的に知ることができます。複数社のセミナーを受講することで状況にあった投資先を比較することもできるため、興味がある場合には受講検討されてみると良いでしょう。
例えば、アメリカ不動産の販売・管理・売却などで国内トップクラスの実績がある不動産会社「オープンハウス」のセミナーでは、アメリカ不動産投資のメリットだけではなくリスクまでしっかり説明しており、税メリットのポイントや今後の税制動向まで役立つ情報を仕入れることができます。
その他、海外不動産投資を物件選びから賃貸管理、売却までワンストップで手掛ける「ビヨンドボーダーズ」では、初心者が抱く疑問に応える講習を実施しています。「どの国で投資をすれば最も高い収益を得られるのか」「物件購入後の工事に関するトラブルやリスクにはどのようなものがあるか」など丁寧に解説しています。リスクを回避し、収益性を高めるために必要な知識を得られる内容となっています。
2-2.まずは海外不動産クラウドファンディングという手段も
海外不動産投資は投資的な知見だけでなく、海外における不動産動向の専門的な知識・トレンドに合わせた投資判断が重要になります。国内不動産と比較して資金調達のハードルも高く、興味があるもののなかなか物件を取得できないという方も少なくありません。
このような場合の対策として、少額から海外不動産投資ができる不動産クラウドファンディングという手段があります。不動産クラウドファンディングは10万円などの少額資金から投資が可能で、物件の運営については事業者へ任せられるメリットがあります。
例えば、TECRA株式会社が運営する「TECROWD(テクラウド)」では、経済成長が著しいモンゴルやカザフスタンなどをメインに、中央アジアの新興国の不動産を投資対象にしています。TECROWDで提供されている海外不動産投資ファンドの募集想定利回りは、9.0%~11.0%の高水準となっており、国内不動産を扱う他のクラウドファンディングサービスと比較して高いリターンを期待できるファンドとなっている点も特徴的です。
TECROWDの投資物件はTECRA株式会社によって施工されており、日本の建築技術によって品質基準を満たしています。実績豊富な日本企業が監修に入っていることで、海外不動産投資で懸念材料となりやすいプレビルド案件のリスクを軽減している点もポイントと言えるでしょう。
海外不動産投資に興味があるものの、なかなか物件取得まで至らない場合は、このようなクラウドファンディングを活用した投資方法から徐々に情報収集を進めて行くのも一つの方法と言えます。
まとめ
海外不動産投資で失敗の可能性を下げるためには、様々な情報を集める必要があります。その全てを一人で集めるのはとても大変なことでしょう。できる限り現地の情報などを集めるためには、物件を販売している業者だけでなく、現地の日本人会などに問い合わせてみるのも一つの方法です。
海外不動産投資は資産分散や外貨収入の獲得ができる有効な投資手段です。失敗事例と対策を確認し、情報を収集して進めてみましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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