築古の自宅をお得に売却できる方法と注意すべきポイント5つ

※ このページには広告・PRが含まれています

近年、古い住宅の売却が注目されています。両親が住んでいた実家を相続しても空き家となっているため、その維持管理に困っている方や、自身が高齢になったため長年住んだ自宅を処分してマンションや介護施設に移り住むことを検討している方が増えています。

そこでこの記事では、古くなった自宅を売却する際に、高く売るために必要なポイントと注意したいポイントについて詳しく解説していきます。将来的に自宅売却を検討している方は参考にしてみてください。

目次

  1. 不動産売却における古い家の基準とは
  2. 古い自宅を売却する際に注意すべき5つのポイント
    2-1.不動産の売却価格査定を受ける
    2-2.解体費や修繕費など必要経費を事前に調べておく
    2-3.更地にする際はデメリットをよく考える
    2-4.中古住宅として売る場合は採算性をよく検討する
    2-5.「古家付き土地」で売るメリットを検討する
  3. どの方法で売るのがベスト?
  4. まとめ

1 不動産売却における古い家の基準とは

不動産売却では、「古い家」の定義は特にありませんが、一つの基準とされているのが建物の法定耐用年数です。法定耐用年数が迫っている住宅、または超えている物件は「古い家」と表現される場合があります。たとえば木造住宅の法定耐用年数は、次のとおりです。

  • 木造モルタル造:20年
  • 木造・合成樹脂造:22年

しかし、建築技術が進歩した現代では、法定耐用年数を超えても十分な利用価値が残っている住宅は多くあります。そのため、不動産売却における「古い家」とは、修繕・リフォーム工事などを行い、満足に住むことができる状態にするために一定以上の資金がかかる住宅や、または築40年以上が経過した家などを指す場合もあります。

2 古い自宅を売却する際に注意すべきポイント

古くなった自宅でもお得に売る方法があります。古家を売却する際に検討するべきポイントは次の5つです。

  1. 不動産の売却価格査定を受ける
  2. 解体費や修繕費など必要経費を事前に調べておく
  3. 更地にする際はデメリットをよく考える
  4. 中古住宅として売る場合は採算性をよく検討する
  5. 「古家付き土地」で売るメリットを検討する

2-1 不動産の売却価格査定を受ける

古い住宅の売却では、はじめに家と土地の売却価格査定を受けることが重要です。「築年数が経過した古家は売れないだろう」と家の解体や家財処分を先に決める方もいますが、現在は不動産に対する世間のニーズは多様化しており、新築・築浅・築古・更地など対象ごとに購入希望者が多くいます。

築年数が経過した昔風の住宅を探す方も多く、自分好みにリノベーションしたり、安く購入して投資物件として蘇らせたりする手法も人気を呼んでいます。そのため、最初から「古い家は解体して更地にしてから売るしかない」と決めつけず、まずは既存の状態で家と土地の売却査定を受けることが大切です。

古家の売却査定で把握しておきたいポイントは次の3つです。

  • 家と土地をセットで「中古住宅として売る」場合の査定額
  • 「古家付き土地として売る」場合の査定額
  • 古家のない「更地として売る」場合の査定額

「古家付き土地として売る」とは、販売価格に建物分は含めず、土地だけの価値として売却する方法です。「古家が残してあるから、あとは住むなり壊すなり自由にしてください」と建物を残置物として扱う売り方となります。

また、売却査定ではなるべく複数の業者に依頼して、それぞれから査定額を貰う必要があります。1社のみの査定では、査定額の客観性が保証されないこともあるからです。すまいValueLIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービスのような大手の不動産一括査定サイトなどを利用し、複数社からの3通りの査定額に基づいてどのような売り方が最も有利になるのかを検討するのが良いでしょう。

2-2 解体費や修繕費など必要経費を事前に調べておく

不動産業者の査定を受けている間に並行して、家の解体費・廃棄物処分費、修繕費などを調べておくことも大切です。

家を解体してから売る場合、解体費・廃棄物処分費が発生しますが、解体せずにそのまま売る場合でも買主との価格交渉の際に必要な情報となります。また、修繕費は中古住宅として売る場合に、どれくらい修繕費が必要となるかを知っておくためにも必要です。

解体費・廃棄物処分費・修繕費を調べるには、業者から正式な見積書を出してもらうのが一般的な方法です。インターネット上で調べて算出することも可能ですが、必ずしも正確な金額になるとは限りません。

正確な見積りは、査定を依頼している不動産業者に解体業者や工務店を紹介してもらい、見積り依頼を出すのが良いでしょう。家を解体する・しない、修繕する・しないにかかわらず調べておきましょう。

2-3 更地にする際はデメリットをよく考える

古家を解体し、更地にして売る場合には事前にデメリットをよく検討しましょう。建物を解体して更地にする場合は、はじめから購入層を更地希望者に限定することになります。つまり、売る前から中古・築古希望者を排除して売却のチャンスを自ら狭める可能性があるのです。

また、古家の解体には、建物の解体費や廃棄物の処分費がかかります。木造住宅では坪当たり3~5万円程度が相場で、木造2階建て住宅の平均的なサイズとなる延床面積30坪の建物では、90~150万円程度が必要となります。

さらに、住宅を壊して更地にすると、土地の固定資産税負担が数倍に上がることもあります。通常、住宅用地については固定資産税の評価額が軽減されますが、解体すれば住宅用地とみなされなくなるからです。

不動産は売りに出しても、いつ売れるかの保障はありません。その時の景気状況や不動産固有の条件にもよりますが、長い期間売れなかった場合、高額な固定資産税を払い続けるというリスクを負うこともあるため、要注意です。

なお、更地にして売ったほうが良い場合は、次のようなケースが考えられます。

  1. 解体費をかけても更地にすることで十分な採算が見込める
  2. 中古住宅としては採算がとれず、また古家付き土地として売るのも困難

①は、土地の条件がよく、更地にすれば中古住宅で売る場合よりも採算が見込めるケースなどです。②は、建物が老朽化して相当な修繕費が見込まれ、かつ建物が残ったままでは買主との交渉が困難と判断されるケースなどが該当します。

このように古家を解体し、更地にして売ることについては、デメリットをよく検討しましょう。

2-4 中古住宅として売る場合は採算性をよく検討する

古家を中古住宅として売る場合にも注意したいポイントがあります。中古住宅は人が住める住宅として売る必要があるため、建物の傷んだ部分は補修工事を行い、壊れた設備は交換・修繕して使える状態にしておかなければなりません。

つまり中古住宅として売る場合は、一定の資金が必要になり、特に築年数が経過した古い家の場合は、修繕費が高額になる場合もあります。

リフォームは必要最小限にとどめる

売る前にリフォームを行う例もみられます。「壁のクロスやフローリングを一新して綺麗な状態にする」「古いキッチンやトイレ・洗面台などを新しい物に交換する」などのケースがあり、費用もかかります。住宅のフルリフォームでは少なくとも約200~300万円、簡易的なリフォームでも数十万円の資金が必要になります。

このようにリフォームにはお金がかかりますが、リフォームを行ったからといって高く売れる保証はないことにも注意しましょう。古家の場合は、お金をかけて内装や設備をリフォームして新しくしても、建物の外側は古びています。中には古びた外観を好む方もいますが、住宅の見栄えをよくするためのリフォームは、壊れた設備の修繕などを除き、必要最小限度にとどめるのが良いでしょう。

瑕疵担保責任にも要注意

住宅として売る場合は、住宅の瑕疵について買主に対して責任を負うことになるため注意しましょう。

住宅を売った後で、購入時に買主が注意しても見つからなかった隠れた瑕疵(例:シロアリ被害や雨漏りなど)が明らかとなった場合、売主は住宅を補修して正常な状態に戻す必要があります。仮に、瑕疵の程度が大きく補修してもなおらない場合は、契約解除となる場合もあります。

売買契約の定め方にもよりますが、個人が売主の場合は、一般的には売却後2~3ケ月間の期間は瑕疵担保責任を負うことになります(売主が不動産業者の場合は2年間)。

このように、古家を人が住める状態にして中古住宅で売ろうとすると、一定の経費や契約上の責任を負うことになります。中古住宅として売るのは、収益(査定額でみる)とそれによって生じる支出・責任とを天秤にかけ、採算がとれる場合に検討するのがおすすめです。

2-5 「古家付き土地」で売るメリットを検討する

「古家付き土地として売る」とは、販売価格に建物分は含めず、土地だけの価値として売却する方法です。建物は売るわけではなく、残置物として土地に残す方法となるため、次のようなメリットがあります。

  1. 建物を解体する必要がない
    ⇒建物は土地に残置物として残すだけのため、解体する必要がありません。
  2. 建物を補修する必要がない
    ⇒人が住む住宅として売るわけではないため、破損箇所や壊れた設備があっても、交換・修理する必要がありません。
  3. 瑕疵担保責任を負わない
    ⇒建物の瑕疵担保責任も負う必要はありません。
  4. 固定資産税が上がらない
    ⇒更地にしないため固定資産税が上がることもありません。

このように、「古家付き土地として売る」場合は、経費面・契約面で多くのメリットがある一方で、古家の解体に費用がかかることを理由に、買主から値引きを要求される可能性が高いなどのデメリットが挙げられます。

ただし、あらかじめ解体費・廃棄物処分費の見積書をとって準備していれば、その見積もり費用を上限として値引きに応じることができます。仮に、見積もり費用の限度内で値引きするのでは買主が納得しない場合は、自分で解体して値引きなしの更地にしてから引き渡すことについて交渉することも可能です。

このように、中古住宅として売ろうとしても採算が合わないケースでは、古家付き土地として売ることを検討するのが良いでしょう。

3 どの方法で売るのがベスト?

古家売却の方法を整理すると、次の3つの方法に分かれます。

  1. 更地にして売る
  2. 中古住宅として売る
  3. 古家付き土地として売る

一定の資金をかけて補修し、中古住宅として売れば確実に採算がとれる場合には、②「中古住宅として売る」方法について検討するのが良いでしょう。しかし、建物が非常に古く相当な修繕費用がかかるため、中古住宅として売ったのでは採算が見込めない場合には、③「古家付き土地として売る」方法が様々なメリットが見込めので、有力候補となります。

一方、①「更地にして売る」については、更地にして売れば確実に採算がとれる場合以外は、「販売のチャンスを広げておく」「解体費などの費用をかけない」「税金が上がるのを防ぐ」などの点から慎重に検討することが必要です。中古住宅としては採算がとれず、古家付き土地としても売るのが困難な場合に、最終的に選択する方法と言えるでしょう。

4 まとめ

築年の古い自宅を売却する場合に、建物を解体し更地にして売るのがよいか、また、解体せずに古家に資金をかけ、中古住宅としての機能を持たせるのがよいかは、土地の立地条件(売りやすいか)、古家の経過年数や保存の状態、売却査定額の内容、解体費や修繕費といった必要経費の見込みなど、複数の要因を総合的に勘案して方向性が決まるため、一律に判断することは難しいと言えます。

そのため、古家を売る場合には、①中古住宅として採算がとれるか、②中古住宅が無理なら、古家付き土地ではどうか、③上記2つがダメなら解体して更地にするか、という順序で検討するのがおすすめです。古家の売却を予定している方は、この記事を参考にそれぞれの売却方法ついて検討してみてください。

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」