マンションを売却することになった場合に、「できるだけ高く売りたいとは思うけど、どうやって価格を決めるのかがわからない。」「売出価格を決める時の注意点を知りたい。」などと思う人は多いのではないでしょうか。
マンションの売出価格を決める時には、不動産会社の選定など注意点があるほか、あらかじめ相場を調査しておくなど事前準備が必要です。
この記事では、マンションの売出価格を決める時のポイントや、買主からの値下げ交渉が入った場合の対策などについて解説します。
目次
- マンションの売出価格を決めるのは売主
- マンションの売出価格を決める時の注意点
2-1.複数の不動産会社から査定を受ける
2-2.あらかじめ周辺相場を把握しておく
2-3.売却完了までの期限を設定する - マンション売却で買主からの値下げ交渉に有効な対策
3-1.交渉の窓口は不動産会社
3-2.最初から最低売却額を決めておく
3-3.契約不適合責任の対応期間を短くする
3-4.解約手付金を増額する - まとめ
1.マンションの売出価格を決めるのは売主
マンションの売出価格設定には不動産会社が大きく関与するものの、必ずしも不動産会社の言う通りにしなければならないわけではありません。
マンションを売り出す時には、不動産会社から不動産の価格について査定を受けることが多いものです。このため、マンションを売却する場合は、不動産会社の査定額に基づいて売り出し額が決まるケースが大半となります。
しかし、不動産会社主導で価格が決まるようにも思えますが、マンションの売出価格について最終的な決定権を持っているのは売主です。マンションの売出価格を決める際には、後悔のないように、売主としての希望や意見を主張することが重要になります。
なお、マンションを含む不動産の売却を成功させるためには、売出価格の設定が最も重要です。周辺相場よりも高すぎると、価格を見た時点で買主から興味を持ってもらえない確率が高くなり、買主の目に留まらないと売却期間が長期化する原因となり得るためです。
「長期間売れていないのは何か理由があるのでは」と買主から良くない印象を持たれるようになる可能性があるため、周辺相場に合わせた価格設定が重要となります。売出価格の設定を誤り、結果的に売れない悪循環に陥らないよう注意が必要です。
2.マンションの売出価格を決める時の注意点
売主にとって納得できる売出価格を決めるためには、不動産会社の見極めや相場価格の把握などが重要になります。
2-1.複数の不動産会社から査定を受ける
マンションの売出価格は不動産会社から提示された査定額を参考にして決めるケースが大半となります。このため、査定を依頼する不動産会社の選定は重要なポイントです。
悪質な不動産会社は「とにかく価格が安くても売れれば仲介手数料を取れる」と考えていることもあれば、「最初は高めの査定額を提示しておき、媒介契約を結んだら後で値下げしてもらおう」などと考えていることもあります。
売主が不動産会社を見極めるためには、複数の不動産会社を比較することが必要です。マンションの売出価格について査定を受ける時には、複数の不動産会社から査定を受けることで、査定額と不動産会社の対応を比較することが重要になります。
不動産会社の対応を比較するためには、査定を取得した各社から査定額の根拠について話を聞くことが有効です。実際の成約事例や査定でプラスに評価したポイントなど、論理的な根拠に基づいた査定額であるかどうか確認をしてみましょう。
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2-2.あらかじめ周辺相場を把握しておく
物件の査定額を見極めるに当たっては、複数の不動産会社から査定を受けると同時に、売主自らも周辺の相場価格を把握することが必要です。
相場価格よりも極端に高いまたは低い金額を提示された場合は特に、査定の根拠を聞くことが重要になります。不動産価格の周辺相場については、売出価格の相場と成約価格の相場を把握することが有効です。
売出価格については、大手の不動産ポータルサイトなどを見て確認してみるのも良いでしょう。可能な限り立地や築年数などが近い物件について調べることで、有効なデータを収集できます。
その一方で、成約価格については、「レインズマーケットインフォメーション」というwebサイトが参考になります。
レインズマーケットインフォメーションでは、物件の立地エリアや広さに加えて築年数などによって成約事例を検索できます。非会員の一般人に公開されている情報は限定的ですが、査定を受ける準備として成約事例を収集する際には役立ちます。
2-3.売却完了までの期限を設定する
マンションを売却するのであればとにかく早く高く売却したいと考える人も多いのではないでしょうか。しかし、なんとなく早く高額で売却したいと考えるだけでは、不動産会社もどのような提案をしてよいのか迷ってしまうことがあります。
マンションを含む不動産は、安く売りだせば早めに売れる可能性が高くなります。反対に高額で売り出すと、売却完了までの期間が長期化することも少なくありません。
不動産会社にマンション売却の相談をする際には、住み替え・相続・転勤など売却の理由と期限を明確に伝えることがポイントになります。
なお、住み替えの場合は住み替え先の家ではローン返済が発生するのか、いつからローン返済が始まるのか、相続の場合は相続税の納税期限がいつなのかなど、具体的な日付から逆算して期限設定することが必要です。
住み替えの場合はダブルローンになってしまうと返済負担が重くなるほか、相続税は納税期限を過ぎると延滞税が課されます。いずれも金銭的な負担が大きくなるため、スケジュールの明確化が重要です。
一方、売却完了までに時間的な余裕があるのならば、相場価格よりもやや強気な価格で売り出し、問い合わせの有無を検証してから再度価格の設定を見直すような戦略も、一つの方法です。
3.マンション売却で買主からの値下げ交渉に有効な対策
マンションの売却は、必ずしも売出価格そのままで売れるわけではなく、買主からの値下げ交渉が入ることもあります。値下げ交渉に関する注意点や対策などについて解説します。
3-1.交渉の窓口は不動産会社
買主との値下げ交渉が発生した場合に、交渉の窓口に立つのは売主ではなく仲介を請け負う不動産会社です。
買主側とのやりとりは、売主と買主双方の不動産会社を介して行われるため、値下げ交渉があっても売主と買主とが直接的に話し合うなどのことは基本的にはありません。
ただし、内見時に購入検討者が訪れたとき、その場で直接売主に値下げ交渉を行うケースもあります。このような場合に備え、仲介会社との価格の相談は、事前に行っておくと良いでしょう。
3-2.最初から最低売却額を決めておく
買主からの値下げ交渉を受けて値下げしすぎないようにするためには、マンションの売出価格を決める時点で「最低でもこの金額で売却したい」という最低ラインを決めておくことが必要です。
売却価格の最低ラインについては、住宅ローンの残債や周辺相場などとバランスを取ることが必要になります。不動産会社と相談しながら線引きしてみましょう。
3-3.契約不適合責任の対応期間を短くする
ある程度の値下げに応じる代わりに、契約不適合責任の対応期間を短くするのも有効です。契約不適合責任とは、売却するマンションが契約書及び付属の書類に記載されている状態と異なっていた場合は、引渡し後2年間は売主負担にて修繕または契約に適合させる責任のことを指しています。
平易に説明すると、マンションを引き渡した後、契約書などに記載されていない不具合が見つかった場合は売主の費用負担で修繕する責任ということです。
契約不適合責任の適用期間は民法で2年以上と決められていますが、売主が個人である場合には、特約で2年以下にすることや無効とすることなどが可能であり、取引慣例上、3~6ヶ月の期間に設定されます。
買主からの値下げ交渉が入った場合には、契約不適合責任について売主側の負担を軽くするよう求めるのも有効と言えます。
3-4.解約手付金を増額する
マンションの売買においては、買主が売主に手付金を支払うケースが大半であり、これは解約手付金として取り扱われます。売買契約を締結してから一定期間が経過したのちに、買主側の事情によって売買契約を解約する場合は、売主は手付金返金の義務を負わないというものです。
買主からの値下げ交渉があった場合は、買主側からの解約を防ぐ目的のもとに、手付金を増額するのも有効と考えられます。ある程度の値下げには応じるものの、解約を防ぎながらマンションを売却したい場合には有効な手段です。
まとめ
マンションの売出価格を決める上では、不動産会社から提示される査定額が大きな意味を持ちます。不動産会社から査定を受ける前に、周辺相場を確認しておく、売却までの期限を明確化するなど、売主側でも準備をすることが重要です。
万一買主からの値下げ交渉があった場合には、契約不適合責任の適用期間や手付金などを変更することで交渉に応じるのが有効です。
しかしながら、売却完了の期限までに余裕がある場合などは、無理に交渉に応じる必要はありません。
売却完了までの期限・最低売却価格が明確になっていれば、交渉の対応有無について判断しやすくなります。マンションの売却活動を始める前にこれらの準備を行っておくことで、突発的な交渉事が起きたときにも対応しやすくなるでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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