米スターバックス22年1~3月期、純利益微増。ゼロコロナ政策の中国が重し

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米スターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)が5月3日に発表した2022年1~3月期(第2四半期)決算は、純利益が前年同期比2%増の6億7,450万ドル(約850億円)だった(*1)。「ゼロコロナ政策」をつづける中国が不振で、小幅な増益にとどまった。中国の都市封鎖(ロックダウン)が重しとなるなか、22年通期の業績見通しの公表を見送った。

売上高は同14.5%増の76億4,000万ドルと、市場予想の76億ドルをわずかに上回った(*2)。既存店売上高は全世界で7%増えた。北米が12%増と好調を維持。ロイヤルティプログラム「Starbucks® Rewards」の会員数は17%増の2,670万人に増加した。

海外市場の既存店売上高は8%減と振るわなかった。とくに米国に次ぐ第2位の市場規模を誇る中国が23%減と足を引っ張った。スターバックスの経営陣によると、同社が店舗を設けている中国の都市の72%でオミクロン株に感染する患者が急増したという。中国の店舗の約3分の1が一時閉鎖もしくはモバイル注文・決済やデリバリー注文のみの対応になったとのことだ。スターバックス中国のベリンダ・ウォン会長は、上海がロックダウンを開始した時期や他の都市で感染が再拡大していることを考慮すると、第3四半期決算により甚大な影響が及ぶと見込む(*1)。

また、スターバックスでは賃金の引き上げと職場環境の改善を求めて労働組合を結成する動きが広まっている。過去6ヶ月間で約50店舗が労組結成に賛成する票を投じたという(*2)。そのようななか、暫定的に最高経営責任者(CEO)に復帰したハワード・シュルツ氏は4月初頭、自社株買いを一時中止し、人や店舗へ資金を振り向ける方針を発表した。労組結成に向けた動きをおさえるべく、22年9月期通期に賃上げや従業員教育などに総額10億ドルを投じる計画も明らかにしている。

中国のロックダウンやインフレ、人と店舗への投資の影響を見定めるため、22年通期の業績見通しの公表を見送った。スターバックスはすでに21年10~12月期決算の発表時において、22年の調整後1株当たり利益が8~10%の伸びになると見込み、少なくとも10%としていた従来の見通しを修正している(*3)。

なお、中国のゼロコロナ政策は他の企業の経営にも影響を及ぼしている状況だ。たとえば、中国の都市封鎖の影響を受け、米アップル(AAPL)はiPhone(アイフォーン)の開発が予定よりも遅れているほか、エヌビディア(NVDA)は売上高を押し下げると見込む。エアビーアンドビー(ABNB)は7月に中国本土でのサービスを停止する。

中国のゼロコロナ政策が米国企業に与える影響に、今後も注目する必要があるだろう。

【参照記事】*1 スターバックス「Starbucks Corporation
【参照記事】*2 CNBC「Starbucks (SBUX) Q2 2022 earnings
【関連記事】*3 米スターバックス2021年10~12月期は市場予想下回る、コスト高が重し

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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