民泊仲介大手の米エアビーアンドビー(ティッカーシンボル:ABNB)は4月28日、従業員の働く場所や居住地を自由に選択できるようにすると発表した(*1)。新型コロナのパンデミック期を経て、他の企業がオフィス勤務の再開を目指すなか、エアビーは柔軟な働き方がしやすい環境を整備し、有能な人材の確保や多様性のある組織の形成を目指す。
ブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)は社員向けのメールで、2022年9月から世界170ヶ国以上で1ヶ所当たり年間最大90日間にわたり居住し働くことができる、より柔軟な働き方を導入する方針を明らかにした。転居したとしても給与は変わらないという。
エアビーはこの柔軟な勤務体系を機能させるべく、各国の政府・自治体との協力を進めている。28日時点で20ヶ国以上の国々が、リモートワークビザ(#1)を発給するとのことだ。他の企業が同様のリモートワーク制度を導入することで、民泊仲介を手掛けるエアビーにとって新たな需要の掘り起こしにもつながると期待されている。
足元では従業員をオフィスに呼び戻すために、ソーシャルイベントを催したり、無料で食事を提供したりする企業が出てきている。それでもすべての社員を説得できず、より柔軟なリモートワーク制度を敷く企業に転職する者もいるという。そのようななか、エアビーは働く場所や居住地を自由に選択できるようにすることで、居住地にかかわらず優秀で多様な人材を確保する狙いがあるようだ。
チェスキー氏は社員を通勤圏内にとどめることは甚大な損失をもたらすものであり、働き方の柔軟性やリモートワークは、われわれがこれからの10年を働くうえで有力な手法(働き方)になるだろうと述べた(*1)。
また、エアビーは23年から四半期ごとに1週間ほど社員が対面で集う機会も設ける。チェスキー氏はZoom(ズーム)は人びとの関係性を維持するのに優れているが、それを深化させる最良の方法でないと指摘する(*1)。
世界の企業でリモートワークへの取り組みが進むなか、最先端ともいえるエアビーは四半期ごとに対面の機会を設けるというのは他の企業にも影響を与える可能性があるだろう。
(#1)リモートワークビザ…外国企業に遠隔勤務する人(リモートワーカー)に居住を認める制度のこと。
【参照記事】*1 エアビーアンドビー「Airbnb’s design for employees to live and work anywhere」

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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