米製薬大手ファイザー(ティッカーシンボル:PFE)が5月3日に発表した22年1~3月期決算は、売上高が前年同期比77%増の約257億ドル(約3.4兆円)、最終利益は61%増の約78億ドルと大幅な増収増益だった(*1)。新型コロナウイルスワクチンの売上拡大がけん引。ただし、研究開発費の増額や為替変動の影響を考慮して通期の1株当たり利益(EPS)見通しを引き下げた。
22年12月期通期の1株当たり利益(EPS)予想を従来の6.35~6.55ドルから6.25~6.45ドルに引き下げた。研究開発費の増額や為替変動の影響を考慮した。売上高に関しては980億~1020億ドルと、従来予想を据え置いた。
22年1-3月期決算は、売上高と調整後EPSはともに市場予想を上回った(*2)。コロナワクチンの売上高は前年同期比3.8倍の132億ドル。追加接種や子ども向けの利用が増加した。コロナの経口治療薬「パクスロビド」の売上高は約15億ドルだった。米国より2,000万回分の受注を獲得したことが下支えした。
22年のコロナ関連の売り上げについては、ワクチンが320億ドル、経口治療薬が220億ドルになるとの見通しを維持した。アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は、60ヶ国以上でパクスロビドの緊急使用が承認されており、さらなる市場拡大に向けて各国と交渉していることを明らかにした(*1)。
またブーラCEOは、パクスロビドが米国の薬局、長期介護、通販市場において90%のシェアを握っているほか、22年末までに1億2,000万回分を生産する計画が順調に進捗していると述べた(*1)。パクスロビドを生産後には在庫として保管せずにすべて出荷していることから、同経口治療薬に対する強い需要が継続していることがうかがえる。
臨床試験においては、パクスロビドを使用した場合、重症化の恐れがある成人の入院または死亡のリスクを90%低下させることができたとしている。
5月25日には、医療格差の是正に向けて、低所得国45か国を対象に薬剤やワクチンを無利益で提供すると発表した(*3)。この取り組みによって12億人が恩恵を受ける見込みだ。
ESG(環境・社会・ガバナンス)分野の取り組みも推進するファイザーの更なる業績拡大に期待したい。
【参照記事】*1 ファイザー「Pfizer Inc. – Investor Relations – Events & Presentations」
【参照記事】*2 CNBC「Covid Pfizer (PFE) earnings Q1 2022」
【参照記事】*3 ファイザー「Pfizer Launches ‘An Accord for a Healthier World’ to Improve Health Equity for 1.2 Billion People Living in 45 Lower-Income Countries」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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